ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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前話の魔法を修正しました。森人族って魔法を使えるのかわからないので、薬に変更しました。
本当、森人族って亜人ですけど魔法はどうなんでしょう? 獣人でもないですし、魔法は使えるのか……使えないのか。尻尾だけ違うわけですし。


第49話

 

 

 森人族がアルテナ・ハイピストとその護衛としてやってきた森人族の男女九人。彼女達を受け入れて、アルテナは俺が引き取ることになった。そのまま即座にベッドインしてその幼い身体を堪能させてもらう……というのは色々と問題なので別々に寝て何れという事にしようとしたら、アルテナ本人が物凄く嫌がったのでそのままユーリと一緒にさせてもらう事になった。

 まあ、彼女からしたら有耶無耶にされて後で捨てられるよりも、さっさと身体を差し出して初夜を済ませた方が楽なのだと他の森人族に説得された。それにフェアベルゲンに居る間に祖父のアルフレリックや父親達に連絡しないといけないということだ。もう会えなくなるかもしれないからとのことだった。

 そういう理由もあったので、アルテナの身体を堪能させてもらった。変身薬の使用は一週間は間を置かないと駄目らしいので、しばらくは幼い姿で楽しませてもらってそれから大人の姿でも楽しませてもらう。幼い時はユーリと姉妹みたいなので、同時に可愛がって、大人の時はヘイゼルの姿をした優花と二人の胸を楽しませてもらうことにする。

 アルテナは最初、気持ち悪がったり、痛がったり、必死に耐えていたが一度し終わったら限界がきたようで、薬を使っていいかと聞いてきたので許可した。使われた薬は媚薬のようで、甘い匂いがするものだったが、それは俺達にも影響してかなりハッスルしてしまった。嫁の全員にたっぷりと搾り取られてかなりやばかった。気絶した彼女達を寝かせてぼーとしていたら、外から森人族の女性達が入ってきてベッドを整えて身体を綺麗にしてくれた。そんな彼女達から栄養ドリンクを与えられ、それを飲んで眠ったらだるさが嘘のように抜けていた。

 ユーリ達は肌がツヤツヤしているから良かったが、本当に恐ろしいのは森人族印の薬を箱単位で渡されたことだ。聞いた話では森人族は子供がなかなかできないので、どんどん強力な物を開発してきたらしい。他にも色々とやばい薬がある。本当にエロフと言えるような感じだ。

 まあ、森人族のお薬はこれから頼る事になるのでよしとしよう。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 朝。森人族のお薬で元気を取り戻したので、現在はひょこひょこと歩きにくそうなアルテナをお姫様抱っこしながら森人族の集落に連れてきた。他はそれぞれ森人族の者達がついて案内してくれる観光に出ている。俺も本当はユーリや詩乃達と観光したかったが、予定を変更して森人族の方にやってきた。

 

「あ、あの……主様……不手際があれば治しますから……捨てないでください……」

「大丈夫だ。アルフレリックさん達に挨拶をするだけだからな」

 

 俺の服をギュッと握って不安そうにしているアルテナをしっかりと抱きしめながら、建物に入る。周りの森人族やその他の種族にしっかりと見られていて、睨み付けるような憎悪の籠った視線を送られてくるが気にもしない。

 護衛の者に要件を告げてから案内された部屋で待つ。アルテナは不安そうにしているが、ただ話すだけだ。少しするとアルフレリックさんがやってきた。

 

「孫娘に不手際があったかな?」

「いえ、大変良い子でした。嫌なはずなのに我慢して耐えてくれましたし」

「あ、あの、さ、最初だけ、です……後はとっても気持ち良かったですから……その……ごめんなさい。主様は気持ち良かったですか……?」

「ああ、気持ち良かったよ。ありがとう」

「良かったです……あの、お爺様……」

「ああ、仲良くできそうで良かった。それで孫娘に不手際がなかったのなら、何の用かな?」

「アルテナのご両親は……」

「死んだよ」

「それは……」

「息子は殺され、娘は連れ去られた」

「すいません」

「構わないさ。それで要件は?」

「娘さんを嫁に頂くという挨拶をしに来ました」

 

 宝物庫から果物を使ったフルーツタルトが入った箱と高純度の魔石を取り出して、アルフレリックさんの方へと渡す。こちらとしてはどんな形であれ、アルテナを貰うのだから、筋は通さないといけない。

 

「わかった。確かに受け取ろう。しかし、その姿とは懐かしいな」

「私も、この姿が良かったですから丁度良かったです。お母様が作ってくれたこの衣装を着れましたから……」

「確かに大人の方はまだ作れていなかったな」

 

 母親が娘を作って作っていくのだったか。だったら、大人の衣装ができていない事もなっとくだ。まあ、ちょっと染みができてしまっているので後で綺麗にしてやらないといけない。

 

「そうだな……少し時間はあるか?」

「主様……」

「はい、大丈夫です」

「だったら、少し付き合ってくれ。宝物庫を持っているのなら、アルテナの服や物は持っていけるだろう」

「では、ありがたく。できれば製薬道具などもいただきたいです」

「アルテナ、荷物を纏めてきなさい。お前の物は全部持っていきなさい。もうここに戻る事はないのだから」

「はい、お爺様。今までお世話になりました」

 

 そう言って立ち上がってからパタパタと部屋から出ていくアルテナ。俺はアルフレリックさんを見る。

 

「別に帰ってきてもいいと思いますが?」

「駄目だ。アルテナは表向き、追放になる。フェアベルゲンに踏み込めば殺される。アルテナの未練を断ち切り、其方に尽くす事の方に心を向けさせた方が良い」

「それは……」

「私とて可愛い孫娘にこんな事はさせたくないが、長老会議で決まった事を簡単には覆せぬ。例外を一度作ったのだ。次も作ればフェアベルゲンは崩壊する。それはまだ困る。そちらも準備が出来ていないのだろう?」

「はい。いえ、数十人くらいならば受け入れる事は可能です」

「そうか。なら……いや、やはり早急か」

「長。用意できました」

「うむ」

 

 森人族の人によってテーブルの上には杯とワインが入れられていく。

 

「あの、これは?」

「アルテナを嫁に貰うとなれば我が一族に入るということだ。だから、杯を交わす」

「未成年……いや、もらいましょう」

「うむ。孫を頼む」

 

 注いでもらった杯でワインを飲む。正直、味は全くわからない。それでも、どことなく美味しいと感じた。

 

「姫様を頼むぞ」

 

 気がつけば他にも居た森人族の人から注がれてどんどん飲まされていく。これはやばいので、美遊に頼んでアルコールを分解してもらう。そうすればただのぶどうジュースだ。飲酒にもならない。

 そんな風に飲みながらアルテナの子供の頃の話とか、思い出話を聞いていく。すると戻ってきたアルテナにアルフレリックさん達が思いっきり怒られていた。流石に恥ずかしい失敗談とかは怒るのは仕方がない。

 

「これからの計画について教えられる範囲でいいから教えてくれぬか?」

「わかりました。まず、ハウリア族と預かった森人族の一部に我々が発見した魔物(モンスター)を喰らっても問題なく生き残れ、その力を得られる方法を実行します。これでシア、ハウリア族の忌み子と同じ魔力を直接操る力を手に入れる事ができます」

「ふむ。魔物(モンスター)の力を使えるようになるのか」

「はい。私達が目指す国は人間族も亜人族も魔族も魔物(モンスター)も関係なく、協力して作る多種族国家の予定です」

「魔女……いや、ルサルカさんだったか。彼女からも聞いたが、可能か?」

「可能か不可能かで言えば可能ですが、多種族で団結しなければ神エヒトに勝てません。我々はエヒトの玩具ではない」

「……確かに戦力を得られるのなら、手っ取り早いか。だが、忌み子になれと……」

 

 流石に俺達に協力する事は決めても、魔物(モンスター)の力を自分達が得るとなると及び腰にもなるか。今までの常識が完全に壊れるのだ。ましてや長生きした者ほど怖いだろう。

 

「お爺様。私はもう覚悟を決めております。何故、私達だけ人とは違う部分があるというだけで虐げられなければいけないのですか?」

「それは……」

「私は嫌です。皆が苦しんで必死に生きているのに殺され、攫われ、嬲り者にされて殺されていく。そんなのはもう嫌です。ですから、戦いましょう。その為に魔物(モンスター)の力が必要だと言うのなら、受け入れましょう。人間達が言うには私達は魔物(モンスター)と同じらしいです。なら、その通りになってあげましょう。彼等が私達を魔物(モンスター)だというのなら、魔物(モンスター)らしく戦います。泣き寝入りをしてどうなったかは、歴史が証明しています。私達はどんどん衰退していっています。そんな時にリューティリス・ハルツィナ様のご同胞が残された試練を攻略し、試練を挑もうという主様達が現れました。これはリューティリス様の思し召しでしょう」

「良かろう。皆、長としての決定を伝える。若い者は自らの意思でアルテナに従うか、ここに残るか判断せよ。アルテナに従うのなら、折を見て行方不明ということにして合流するように。それ以外は今まで通りに行動せよ。私は長老会議で時間を稼ぐ」

「準備はどうするのですか?」

「資材などはアルテナの嫁入り道具として提供する事にすればよい。他は交易品ということにして、物々交換をする。婿殿には武器を用意してもらい、必要な時になったら使わせてもらおう」

「なるほど」

 

 アルテナの言葉でほぼ確実にこちらに付くことになったか。いざとなれば決起するから、フェアベルゲンを制圧しろとまで言っているのだ。これは助かるが、大義名分ができるまではこのままだな。

 

「とりあえず、魔物(モンスター)の力を得るのは私達十人で試してからにします。適応できたら順次、希望する人に施しますが……子供は駄目です。成人した子達だけですからね」

「ちぇ~」

「……駄目、なの?」

「駄目です」

 

 同じ年齢のような子達に注意しているアルテナの姿がなんとも言えない。まあ、これでこちらは問題ないだろう。

 

「ああ、そうじゃ。一つ合法的に土地を手に入れる策がある」

「それは?」

「うむ。ジンを慕っておった熊人族が婿殿達を襲撃しようか悩んで居る。それを利用せぬか?」

「詳しく」

「うむ。我等森人族から一部の者がアルテナを慕って離反し、婿殿達を本気で襲ってもらう。その計画をそれとなく熊人族に伝えて奴等から接触させ、共に婿殿達に挑ませる。婿殿達は殺さずに無力化してくれればよい。そこから、同胞はそのまま回収していけばよい。女性比率をあげておけば我等が取り返す交渉に赴いても怪しくはあるまい。熊人族は散々脅して、今回の件の罰として大樹一帯を婿殿達の支配下にすると宣言して追い返せば後はこちらでなんとかしよう。なに、こちらは大切な娘達を更に取られたのじゃから、罰は受けておる」

「うわぁ……」

「お爺様……」

 

 悪辣だ。確かにこの方法なら、大義名分とはいかなくても因縁はつけられる。そうして手に入れた場所に要塞を作っても問題ない。うむ、素晴らしい。

 

「その案を相談して決めさせてもらいます」

「うむ。頼む」

 

 しかし、ここまでしてもらえたのなら……やる事は一つだな。

 

「少しお時間をください。今夜、ここに皆様で集っていてください。その時にアルテナを迎えにきますし、プレゼントを用意しておきます」

「わかった。しかし、夜に出るのか? 危険だが……いや、婿殿達ならば大丈夫か」

「はい。アルテナ、今の内にお爺様にしっかりと甘えておくといい」

「あ、ありがとうございます」

「じゃあ、俺はちょっと行ってくる」

「はい」

 

 アルテナを置いて鈴達を探しにいく。彼女達にお願いしてハウリア族と同じように死者と会わせ、浄化用の結界を一つの部屋に展開してもらってから帰る。日が昇ると解除されるとくれぐれも言い残し、それまでに成仏させてあげるように伝えておく。そうでないと計画に森人族も巻き込まれるからだ。

 死者と面会した彼等はとても晴れやかな顔をしていた。アルテナも例外ではない。彼女の隣に父親であろう人が居た。彼は涙を流しているアルテナの背中をそっと押してから、こちらに頭を下げてから浄化用の結界が施された部屋へと消えていった。アルテナに見せつけることで未練を断ち切らせるかのようにだ。

 

「主様、これからよろしくお願いいたします。全力でサポートさせていただきます」

 

 涙を両手でぐしぐしと拭い取ってから、しっかりと強い意思を込めた瞳でこちらを見詰めてくるアルテナをブラックトライクの前に乗せ、鈴と恵里を後ろに乗せて先行しているハジメ達に合流するために走らせる。

 

 

 

 森人族の人達が最後まで見送ってくれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 フェアベルゲンを出た翌日の夜。仮のキャンプ地から少し離れた場所。ここで地獄が降臨する。地面には恵里の力によって描かれた巨大な魔法陣。空には死者の魂を吸い寄せるように作られた結界が展開されている。何をしているかって? 決まってるじゃないか。食事だ。

 

「えっと、本当にやるんだよね? 鈴は止めておいた方がいいと思うな~」

「何を言っているの。真名がやるって言ってるんだからやるでしょ」

「そうよ。しっかりと利用しないと魂が勿体ないじゃない」

「せめて浄化してあげたら……」

「それだとガチャができねえじゃねえか。俺は、俺は10連ガチャをいっぱいっぱい回したいんだよぉぉぉっ!!」

 

 そう、大迷宮が作られて数十年から数百年。こことライセン大迷宮で儀式を行えば馬鹿みたいな魂が集まるだろう。なにせライセン大渓谷の方は元々処刑場らしいからな。

 

「駄目だ、まなまなが狂ってる」

「元からでしょ」

「それもそうだね」

「まあ、随分と禁止してたしね。優花の中じゃ意味なかったし」

「それに私達にも得があるからいいじゃない。鈴はハウリア族と森人族を譲ってあげたんだからいいでしょ」

「まあ、そうだね。うん。やっちゃおう」

「さあ、ネクロノミコン。行くよ。開け、地獄への扉。今一度、魂を現世に呼び出せ。アビスゲート」

 

 魔法陣から黒よりもなお暗い、漆黒のような闇が広がって門が口を開く。そこは真っ黒で光すら通さない闇。そこから無数の手が出てきて、上に何かを投げてくる。それはここで死んで地獄へと行った者達の魂だ。同時に結界によって吸い寄せられてきた浮遊する魂も集まってくる。

 

「んー亜人の魂って獣臭いビーフジャーキー?」

「僕は激辛スナック菓子かな」

「俺はよくわからん。ドロドロした魂だな」

 

 まあ、なんというか亜人の魂は歪だ。身体能力は強化されるが、魔力系統は強化されない。俺は全てガチャ用につぎ込むから関係ないがな。

 

「鈴はね~チョコクッキーかな~」

「それは鈴が今、食べてるからでしょう」

「えへへ~」

 

 鈴は壁に寄り掛かりながら棒状のクッキーをジャムにつけてパクパクと食べている。あのクッキー、味がないしな。砂糖がないから、ジャムで味付けしないと食べられない。

 

「森人族と兎人族は分けておけよ」

「面倒だけど仕方ないわね」

「うん。でも、流石に仲間の魂だから、鈴に浄化してもらった方がいい」

「あ、レア物きたよ」

「戦闘準備!」

「むしろ任せろ」

 

 俺は空を飛んで神喰を起動。そのうちの一つを掴んで出て来たトリガーを手で持つ。剣が開いて砲身が現れ、大量の魔力がチャージされていく。

 

「──■■■■■■■■■■ッ!!」

 

 アビスゲートの中から巨大な竜が出てくる。そいつは腐敗した身体で、口からは毒の吐息を吐いていく。

 

「全力全開。スターライトブレイカー」

 

 高町なのはが得意とする核兵器みたいな威力がある馬鹿みたいな砲撃魔法。非殺傷設定で物理ダメージを無くして魔力だけのダメージにできるが、どう考えても人に撃つものじゃない。

 実際、巨大な光が円形状に広がってドラゴンを飲み込み、その身体を破壊の魔力が数百メートルを蝕んで破壊していく。叩き込まれたドラゴンは身体の一部が無くなったが、まだ生きている。

 神喰の魔力がなくなれば次の神喰を掴んで再度、スターライトブレイカーを放つ。流石に二発で死んでくれたらしいが、相手は腐っても竜種。

 故に身体が滅んでも中心の魂を核として身体を形成し始める。だが、これこそが狙いでもある。

 

「美遊」

『はい』

 

 空中から突撃する。形成されだしている身体から毒を放たれるが無視する。効かないとわかると拳で殴ってくるが、神喰を美遊が操作して串刺しにして防いでくれる。腐敗の肉へと突入して魂を掴みとり、引き抜く。竜の身体は取り返そうと、(逃げるように)攻撃をしかけてくるが、その前に──

 

「いただきます」

 

 ──ぱくりと口に入れて食べる。身体中の竜の細胞が活性化し、聖杯に魔力が満たされていく。竜の魂は極上の甘味。感覚共有で鈴達に共有すると恨めしそうな表情になった。そんな風にしていると、周りから手が伸びてくる。肉体のある俺を地獄へと引きずり込もうとしているのだろう。だから、さっさと離脱するが、後ろから死神みたいなのが沢山でてきた。

 

「なんだこいつら」

「魂を取り返しにきたんじゃないの?」

「あ~地獄から取ってるとも言えるしね」

「つまりレア物だな」

「やりますか」

「やっちゃお~!」

 

 この世界を管理しているエヒトの手の者かもしれないしな。鈴が神獣鏡(シェンショウジン)を展開して光で相手を拘束し、そこを俺達が攻撃して殺す。神喰も全力運用だ。魔力刃ではなく、刀身を使って魂喰いの方を扱っていく。流石に数が多いのでユーリも呼んで手伝ってもらう。

 

「もう、何をやってるんですか!」

「「「食事?」」」

「この人達は……」

『あはは』

「ゆりゆり怒らないで。大丈夫だよ危なくなったら全部浄化するし……」

「そういう問題でもないんですけどね」

 

 ユーリを身体の中に入れ、憑依してもらう。物理攻撃は意味ないからアストルフォはお留守番だ。

 

 

 

 80分ほど虐殺を繰り返していると、アビスゲートの維持ができなくなってきた。どうも、奥からもっとでかいのが抜け出そうといているみたいだ。だから、解除して門を閉じる。後処理に残りの魂を回収してから、鈴に綺麗に浄化してもらったら出てきた瘴気はきれいさっぱりなくなった。(鈴に出てきた瘴気を(綺麗に)浄化してもらった。)

 

「よし、ガチャだ。ガチャの時間だ」

「やるなら夜じゃなくて昼にしてください。それに魔力を回復してからですよ」

「それもそうだな」

 

 262連分と少し増えていたのを合わせれば286連だ。すぐに溶けそうだが、まあいい。キャンプ場に移動して眠ると、ユーリ達のご機嫌取りも兼ねてたっぷりと愛する。

 

 

 ◇

 

 

 気がつけば和風建築の家の中に居て、目の前に十二単のような服を身に纏った美遊が立っていた。軽く周りを見渡せば(見渡すと)すぐ近くに日が当たる縁側があり、部屋の中には布団が敷かれている。

 

「ここは……」

「私の中です。魂が一定値を超えると形成ができるようになります。もっと私と深く繋がればですが……その、それで……」

「ああ、なるほど。だが、美遊が嫌ならやらなくていいが……」

「いえ、やります。むしろ、してくれないと困ります。私の中、泥でいっぱいなんです! 掻き出してください! 気持ち悪くて気持ち悪くて……」

「あ~」

 

 食当たりみたいなものだろう。なんせ、地獄にあった魂まで回収しているしな。

 

「魔力供給をしてもらって、中和してから押し流します。ですので、お願いします。私頑張るから、お兄ちゃんをちゃんと召喚してくださいね」

「わかってる」

「なら、お願いします……」

 

 服を身体から落としていく美遊。俺は彼女を布団に寝かせて覆いかぶさる。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 気が付いたら隣にユーリが居た。美遊の姿は見えないが、形成できる事は感覚ではなく、懇切丁寧に説明書が脳内に用意されていた。美遊が用意してくれた奴で、読んでいくとやり方がわかった。まだ美遊とは深く繋がりきれていないから、聖杯としての形成しかできない。身体は無い感じだ。つまり、まだしばらく脳内嫁となるわけだ。

 とりあえず、ユーリの頬っぺたをぷにぷにして、それからアルテナと詩乃の耳をモフモフする。これを皆が起きるまでやってみた。

 

 そして、皆でうたわれるものを鑑賞していると魔力が回復したので次の作業に入る。大規模な召喚用魔法陣を描いてスマホを確認する。色々とピックアップガチャがあるが、うたわれるものを選択する。人類悪ガチャや悪魔ガチャ、地獄ガチャとかが勝手に表示されていくが、排除してうたわれるものを断固として選ぶ。

 

「全員、一応戦闘準備をしておいてくれ。きっと大丈夫だが、変なのが召喚される可能性がある。タタリとか」

「タタリか。焼き尽くしたらいいだけだし、大丈夫だな」

「まあね。よしガチャだ! ガチャの時間だ。溶かすぞぉぉぉぉっ!」

「溶かす前提かよ」

 

 ガチャを回す。まずは単発6回。光が現れ、現れたのは仕込み鉄扇。うん、ハクオロやハクが使っていた奴だな。ランクはR。まあ、当たりだろう。

 

「次!」

 

 C石。Rタタリ。赤色のスライムが現れて襲ってくるが、即座に鈴の神獣鏡(シェンショウジン)によって浄化される。これは呪いだから祓えるのだ。ただし、残ったのは魂だけ。ご馳走様。石、木、結糸。まあ当たりか。

 

「よし、ここからだ。10連開始!」

 

 R大剣、Rクオンの薬、C鉄の欠片、SRタタリ、SSRタタリ、Cアマムニィ、Rガウンジ、C黒い羽、C石、SRデコポンポ。

 タタリは巨大な赤スライム。SSRは家なみに巨大なので周りのデコポンポが食べられた。こればかりは仕方がない。タタリは浄化してガウンジだけは食べられる前に蒐集して取り込んでもらう。いや、タタリも取り込ませればいいのか。勿体ない事をしたかもしれないが、浄化してやるのが正解だろうからまあよし。

 

「次!」

 

 虹、R呪文書、虹、N小石、SR皇の証、N燃えカス、C将軍のふんどし、Nなにかの糞、虹、虹。なんだこれ。

 

「10連で虹四つ! 勝った!」

「いや、まだだ! 変なのが出たらどうする!」

「そうだったな……来いネコネ! オシュトルに会えるかもしれないぞ!」

 

 一つ目の虹。ちなみにデコポンポはハジメも無視していた。他の人はなんとも言えない感じだ。さて、虹だ。一つ目。光の中から現れたのは男性。頭には仮面をつけている。

 

「召喚に応じ、馳せ参じた。某の名はオシュトル。ヤマト右近衛大将オシュトルと申す。オンヴィタイカヤンよ。よろしくお頼み申す」

「あははは」

「先に兄が来たな。これ、引いてもネコネを説得するのは大変そうだな」

 

 オシュトルが居なければ彼を召喚する事を条件に協力してもらいやすくなる。

 

「まあ、オシュトルも好きだし問題ないな!」

「いや、某は男色の趣味は……」

 

 顔色を悪くしながら告げてくるオシュトル。

 

「違う!」

 

 とりあえず、オシュトルは当たりだ。彼はヤマト右近衛大将(うこんえたいしょう)を務める武人で、召喚したいネコネの兄だ。帝より仮面(アクルカ)を賜った仮面の者(アクルトゥルカ)のひとり。仮面は顔の上半分を覆う形状だ。

 彼自身は清廉潔白で、民からの信頼が篤く、巡邏の時には歓声が上がるほど人気がある。将として優れているだけではなく、自ら剣術にも秀でており、かつて試合で唯一ヴライと呼ばれるその国最強の人物に土を付けた。

 地方の下級貴族出身で、かつてヤマトに仕えて民を守っていた父に憧れ、帝都に上京して仕官する。その後、自身の能力で右近衛大将にまで上り詰めた。その結果、貴族(特にデコポンポなど)の中には「成上り者」として毛嫌いされる。

 そんな彼だが帝の暗殺及び、アンジュ暗殺未遂の容疑をかけられ、投獄される。そこから主人公のハク達によって助け出されるが、追跡してきたヴライと戦う殿となり、仮面の力を開放してヴライと激闘を繰り広げる。その最中、ネコネの介入が裏目に出てしまい渾身の攻撃を外してしまうが、仮面に自らの魂を喰わせてまでの執念の一撃でヴライを倒す。ハクにはアンジュを頼むといい、ネコネにハクの支えとなってやってくれと頼み、ウコンとしての声音で別れを告げ、仮面に魂を喰われた者の成れの果てとして消滅した。

 

「しかし、なんでもありだな。魂が消滅した奴ですら召喚できるか」

「それなのだが、実はかなりまずいのだ」

 

 服をずらして見せてくれるのだが、穴が空いているし消えかかってやがる。どう考えてもヴライとの戦った直後に召喚されたようだ。

 

「ああもう!」

 

 ダッシュで近付いてオシュトルの口に手首を噛み切って聖杯の力でブーストした血を飲ませる。これで身体は修復されるだろう。魂の強度が足りんのなら、獣人の魂を与えて修復する。応急手当てだが、まあこれで一命は取り止められる。

 

「すまぬ」

「いいから……って、やば」

「逃げろ!」

 

 俺が動いた事で次の虹が出てくる。ソイツは現れた瞬間に炎を巻き散らかす巨人。

 

オシュトルゥウウウウウウウウゥゥゥッ!! 

「追ってきてんじゃねえよ!」

「えっと、アレは敵でいいんだよね?」

「ああ、潰せ!」

「本当にすまぬ」

 

 オシュトルを横抱きして飛び退る。すると先程まで居たところに拳が突き刺さる。そのタイミングでもう一つの虹からも巨人が出て来た。今度は人だったがある意味では同一人物だ。ソイツもオシュトルを見るなり仮面を掴んで叫び、まったく同じ巨人へと変身した。

 

「地獄でまた会ったなオシュトル!」

「そりゃ召喚だからあり得ることだわな」

「敵は仮面の者(アクルトゥルカ)ヴライ二体。普通なら終わりなんだが……」

 

 ハジメがアハトアハトを取り出して放つ。爆音を放ちながら放たれた弾丸を奴は光線を吐いて排除する。

 

「ちっ」

 

 俺もドーラを取り出して放つ。流石に列車砲であるドーラ砲を光線を吐いている横から放つと相手は両手で掴んで防ごうとしたが、そのまま吹き飛んでいく。あちらはハジメに任せる。

 もう一体の方はユーリを俺の身体に憑依してもらって神喰で戦ってもらう。俺が扱うよりも勝てる可能性が高い。それに詩乃やユエ達全員で参加して戦いだす。森は激しい轟音と燃え盛る業火によって地獄へとなる。

 

まだだ! まだ終わらぬ! 仮面よ、更なる根源を開き、我に力を! 

「鈴、オシュトルを、彼を頼む」

「了解だよ。被害がでないようにもしておくし、頑張ってね」

「ああ」

 

 ヴライの頭部が弾かれ、即座に弾丸が飛んできた方に光線を放つ。それを詩乃は飛んで回避してヘカートで銃弾を放つ。恵里はジャンヌダルク・オルタの力を引き出して黒い炎でヴライの炎と戦っている。

 

「魂を燃料にしているんだから、放置してたら勝手に死ぬんだが、そうもいかないか」

 

 何故なら、ここにもう一つ虹がある。それがこの業火の中、人型をとっていく。

 

「皆さんもご存知のように、私の皇位(オゥルオ)継承について……え? あれ、ここど──」

 

 良し来た! と思ったら、そのネコネの前にはヴライが居て、拳を振り下ろしている。それを見た彼女は──

 

いやぁぁぁぁぁっ!! 助けて兄様ぁぁっ! 

 

 ──プチッとはならなかった。オシュトルが投げた剣をヴライが弾き飛ばすことを優先した。しかし、裏拳が放たれる。その前に飛び込んでネコネを押し倒して、ヴライの一撃を背中で受ける。

 ヴライの拳で身体が軋み、地面に腕や足が埋め込まれるが、なんとかネコネが潰れないように耐える。ネコネの方が大事だから問題はない。

 

「ちょっとごめんね。すぐ兄様の所に連れていってあげるから我慢してくれよ」

「は、はいです……」

 

 ネコネを守りながら背中で乱打を受けている間、詩乃達の攻撃が集中していくが、ヴライは気にもしない。だが、これはチャンスだ。

 

「ユーリ、美遊。魄翼を解除。背中に再展開」

『『了解です』』

 

 刃を上にして展開すると、タイミングよくヴライの拳が剣に突き刺さる。全力で魔力を与えて永劫破壊(エイヴィヒカイト)と呪いを発動する。

 

「ぐっ」

 

 すぐさま飛び退るので、ネコネを抱きかかえながら飛んで移動してヴライと向き直る。ネコネはヴライを見ると恐怖に引きつった表情で悲鳴を上げて暴れだしていく。

 

「兄様、兄様兄様っ!」

「落ち着け。オシュトルならそこに居る」

「え? ほ、本当に? ハクさんじゃなくて……」

 

 服装事態はロストフラグのイベント衣装、亡國の双姫の皇の時に着ていた物だが、記憶はしっかりと全て入っているようだ。

 

「本物のオシュトルだ。ちょっと待っていてくれたら、すぐに連れていってやる」

「あっ、あぁぁ……」

「いいか? 大人しくたのむな」

「は、はいです! 大人しくするのです!」

「よろしい」

 

 ヴライが怒りに任せてこちらに光線を放ってくる。

 

「ひっ」

「大丈夫」

 

 魄翼と神喰を盾として展開し、光線を防ぐ。お返しとばかりに操って前後左右から剣を突き刺す。剣に与えられた傷は呪いによってどんどんと広がっていく。そして、ドーラとグスタフの砲撃を近距離からぶっ放す。吹き飛んでいったヴライに追いつく。

 

「ひゃあああああぁぁぁっ!」

 

 ネコネの叫び声を聞きながら奴の仮面を掴んで地面に叩き付け、神喰二つをヴライの身体と大きな口の中に突き刺して魔力弾を殺傷設定でたらふくお見舞いしてやる。

 

「あ、ネコネが止めを刺すか? 兄の仇だろ?」

「……やるです」

「じゃあ、このトリガーを一緒に引こうか」

「はいです……兄様の仇っ!」

 

 引き金が引かれて莫大な魔力が流れ、魔力弾の代わりに砲撃が叩き込まれる。攻撃を受けたヴライの身体が塩のような砂になって消滅していく。残ったのは仮面だけだ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 仮面を回収したら放心状態のネコネを連れてオシュトルの下へと向かう。もう一人の方はどうなったか気になるが、ネコネが優先だ。そう思っていたが、あちらもハジメとユエ、詩乃、ルサルカ達が虐めていた。そう、虐めだ。だって、ルサルカが動きを止めてひたすら攻撃するだけの簡単なお仕事だ。アストルフォも参加していて、彼が僥倖の拘引網(ヴルカーノ・カリゴランテ)を体内から放って最終的には倒していた。

 

「で、被害が甚大だが……」

「いやはや、まさかヴライ二体とは思わなかったな」

 

 ネコネをオシュトルに渡すと、二人は抱き合って無事を喜びあっている。良かったよかった。

 

「さて、続きといくか」

「おい」

「今更だって。えい」

「待てや!」

「もっと溶かすんだぁぁっ!」

 

 今度はNの野菜、Rの剣、虹、R美味しいお水、Rテレビ、Nティッシュ、虹、N果物、SRマスターキー、Nダイス。なんだか運がいいな。おかしい。絶対におかしい。

 

「次は……」

「総員、戦闘準備!」

 

 人が現れた。そいつも仮面をつけている。というか、オシュトルにそっくりだ。

 

「ハクオロか、それともハク?」

「それがオシュ……あれ、お前もしかして……」

「あんちゃんか」

「ハクさん!」

 

 どうやら、ハクのようだ。それも仮面装備。ややこしいわ! とりあえず、向こうは放置してもう一個の虹だ。今度のは……急激に大きくなっていく。それはもう、数十メートル、数百メートルまでの大きさだ。

 

「おい、こいつって」

「あはははマジデ」

「アマテラスじゃないか」

 

 軍事衛星アマテラス。かつての人類が作り出した代物で、地球の環境再生こそが本来の役割だ。だが攻撃に転用してしまえば、地上を滅ぼしかねないほどの力があるため、そんな目的で使うのは愚の骨頂だと言われている。しかし、タタリ化を恐れた人類の戦争に使われてしまった。

 

「やばくて使い道がない兵器であるので、宝物庫に死蔵だな」

「そもそも宇宙に運べないからな」

 

 さて、続きをしよう。まだ36連だ。この運ならいけるいける! そう思っていたが、オシュトルの怪我やネコネの事もあるのでここまでにしておこう。ヴライがクオンとかなら言う事がなかったんだが……あれ、これってハクはサボりまくるフラグじゃなかろうか? 

 

 

 

 

 

 

 




おかしいな。なんでダイスを振ってるのにこんなに固まったんだ。規格だおれじゃないか。
100面ダイス 00から10でSSRの美味しい物。90から99敵のやばい奴。美味しい物は50以下でキャラ、以上でアイテム。
ネコネ00
ハク00
オシュトル01
アマテラス04からの96
ヴライ98 94
タタリ92


さて、ネコネ狙いのガチャだ!


糸の10連できてくれた。これで二万円は無駄じゃない! やっぱり書けばでるんですね!

アルテナ・ハイピストの行き先

  • ハジメルート
  • 真名ルート

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