ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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一部の業界ではご褒美?
デートは次回となりました。


第5話

 

 

 

 約一メートル四方の立法体だった魔力式バッテリーはユーリのお蔭で容量などが飛躍的に上昇した。こいつを訓練所に設置してから、ユーリを連れて図書室や工房、部屋や風呂場などを案内していく。それが終われば部屋の場所を教え、ついでにハジメや白崎、谷口の部屋の場所も教える。

 女性陣が泊っている部屋の場所だから、緊張する。実際に扉を開けて睨んできている奴も多い。来る事自体は問題ないから文句は言われない。言われても谷口や白崎にユーリの事で相談や頼み事があるだけだと言えばいいだけだ。実際にユーリを連れて来ているのでとやかく言われる筋合いはない。

 

「谷口、居るか」

「はいはい、いるよ~今日はもう休憩だよね?」

 

 扉をノックして声をかけるとすぐに返事がきて、扉が開けられる。頭だけ出した谷口はユーリを見るなり、勢いよく開いてユーリに抱き着こうとするが、ササっと俺の後ろに隠れる。そうなると先程と同じように俺に突撃してくることになる。

 

「ぐぎぎ、邪魔だよ!」

 

 そう言いながら俺のふくよかなな腹をポコポコと叩いてくる谷口。呆れながら肩を掴んで反対に向かせて部屋に押し入れる。

 

「明日について相談がある。それと少し話したら白崎を呼んで欲しい」

「明日? ユーリちゃんと買い物?」

「そうだ。その計画もあるしな。ここでは話せない。工房か俺の部屋、谷口の部屋かは好きに決めてくれ」

「ん~ちょっと待ってね。今、恵里もいるから聞いてみるよ」

 

 少ししてから、谷口が戻ってきた。

 

「恵里も一緒に聞いていいかって言ってるよ」

「他の誰にも洩らさないなら構わない」

「大丈夫だと思う。どうぞ~」

「ありがとう。行くぞ、ユーリ」

「は、はい」

 

 不安そうなユーリと共に部屋の中に入ると、すぐに遮音の結界が展開された。作り自体は俺の部屋と同じだが、やはりというか匂いが違う。女の子の部屋なんて入った事はないので少し緊張する。

 部屋の中にあるベッドに中村が座っている。その隣に谷口が座り、空いている席を俺に進めてくる。

 

「じゃあ、ユーリちゃんはこっちに座って」

 

 そう言いながらベッドの上をポンポンと叩く。ユーリは俺と谷口達を見る。特に中村を少しの間、じっくりと見てから悩む。それから俺の方にやってきた。

 

「ん?」

「よいしょ」

「おお……」

「なん、だと……」

 

 ユーリは俺の膝へと登ってきて、小さなお尻をチョコンと乗せて俺の両腕を自分の前にクロスさせて、むふーというような感じで息を吐いた。

 

「オノレ、ウラヤマシイゾ」

「……どう見ても事案だね」

「俺は無罪だ」

「駄目ですか?」

「いや、全然いいぞ」

 

 ユーリをしっかりと抱きしめて固定しておく。俺にとってはとても幸せだ。まあ、ユーリとしてもよく知らない二人の近くに座るのが嫌だっただけかもしれない。それか、中村になにかあるのかもしれないな。

 

「それで、相談って何?」

「ああ、まずは明日の買い物だ。午前中はユーリの買い物をして、午後は二組に別けて買い物をする予定だ。谷口は悪いが、俺と組んで買い物をしてもらう」

 

 ユーリはわからないだろうから、暇つぶしとして俺のタブレットを渡しておく。すぐに色々と調べ出したので時間の無駄にはならないはずだ。

 

「それってやっぱりかおりんと南雲君をデートさせるためだよね?」

「そうだ。だから協力してくれ」

「全然いいよ。恵里もかおりんの為にできれば協力してくれないかな?」

「私が? うん、もちろんいいよ。私が光煇君達を足止めすればいいんでしょ?」

「流石は恵里! お願いね!」

「いいよ、気にしないで」

 

 ニコニコと笑っている中村。凄く友達思いのようだな。

 

「助かる。じゃあ、そのように行動するとしてこの事を白崎に知らせるか?」

「いや、それは駄目だよ。知らせたらかおりん、気合を入れすぎちゃうし」

「そうだね。行くメンバーが決まっているなら、伝える時に鈴が気合を入れておしゃれをすれば香織も対抗しておしゃれをしてくると思うよ」

「その辺は全部任せる。俺にはわからないからな」

 

 ユーリの頭を撫でながら告げると、ユーリも頷いている。彼女も人間関係をまだ把握していないので助言なんてできない。

 

「よし、鈴にお任せだよ」

「でも、それって沙条君か南雲君とのお出掛けに力を入れているように見られるけれど、鈴はいいの?」

「何言ってるの? 鈴が力を入れるのはユーリちゃんとのデートだよ!」

「「なるほど」」

 

 俺と中村は思わず納得してしまった。確かに鈴の性格ならユーリは大好物だろう。特にユーリの髪の毛とか気持ちいいからな。

 

「中村、白崎を呼んできてくれないか? 彼女にも用事があるんだ。できれば中村もまた来て欲しい」

「わかった。行ってくる」

「用事? なんだろ?」

「後でわかるから気にするな」

 

 少しした後、中村が白崎を連れて戻ってきた。

 

「用事ってなにかな?」

「一つは明日の予定だが、食事をした後に馬車を用意してもらって街へと買い物に行く。白崎も付き合ってもらう。ユーリの服を買わないといけないから、谷口と二人で選んでやってくれ。まあ、ぶっちゃければ谷口へのストッパーとしての役割を期待している」

「ひどい!」

「あははは、うん、わかったよ。任せて。いざとなったら物理で黙らせるから」

 

 何と言われようが、恐怖で震えるユーリを助けるためならばストッパーぐらいは用意する。

 

「その後も買い物があるが、これはバッテリーに必要な品物を色々と買っていくからだ。白崎も欲しい物があったら付き合うお礼としてハジメに買ってもらえ」

「うん!」

「で、中村も合わせた三人に頼みたいんだが、ユーリを風呂に連れていってくれ。流石に風呂へ一緒に行くわけにもいかないしな。頼む」

「任せて! 鈴が手取り足取りしっかりと教えてあげるよ!」

「二人はストッパーだ。ユーリに余り手を出せないようにしてくれ」

 

 ユーリが涙目になってこちらを見てくるが、仕方ないだろう。個室とはいえ、大浴場しかないのだから。

 

「ユーリにシャンプーとリンスを渡しておくから、それが代金だ」

 

 ハジメが好きな匂いがついたシャンプーとリンスを渡せば白崎はユーリの手を掴んで任せて! と伝えてきた。怖がっているユーリの耳元に口を近づけてこっそり白崎とハジメの関係について教えてやると、こくこくと頷いた。

 

「じゃあ、よろしく頼む。俺はその間にメルド団長に許可を貰って、馬車の手配をしてもらう。合流は食堂だ」

「わかったわ」

 

 ユーリを預けてからすぐにメルド団長に話を通す。必要な鉱石なども買いに行くので許可をもらえた。ただ、ついでだから他の連中に聞き取りをして要望にあった物を集めてきて欲しいとも言われた。面倒だが、やるしかない。だが、それが条件だから仕方がないな。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

「あ? 欲しい物だ? ロリコンキモブタ野郎の命?」

「なるほど、オークが欲しいんだ。飼うにしろ、食うにしろ、ちゃんと管理しろよ。予算オーバーしたら請求はそっちに行くからな」

「待ちやがれ!」「で、檜山以外はなんだ?」

「あ~俺は下着類やズボンが欲しい。訓練でボロボロなんだよ。いや、訓練で使うのならいいんだが、部屋着に使うのがな……」

「わかった。サイズを教えてくれ。無難な無地の奴を買ってくるが、この世界の技術力では期待するなよ」

「おう」

「あ、俺は彼女」

「女生徒ならいるだろう。好きに声をかけてこい」

「冗談だ。小物を頼む」

 

 流石にバッサリと切ったら、買って来てもらえないと思ったようで普通に要望を告げてきた。余り高い物は請求するので、無難な物を頼んでくる。

 

「見つけたぞ沙条!」

「良い所に来た。勇者、騎士団長から仕事をもらっているんだ。現在、欲しい物を答えろ。明日、買いだしに出るから買ってきてやる」

「そんなことよりも彼女についてだろう!」

「買い出しの方が大事に決まってるだろう。お前個人が喚くことよりも、これは皆の望みを叶えるんだぞ。お前が邪魔をすればそれだけ迷惑がかかるんだ」

「ぐ……いいだろう。欲しい物は訓練道具だ」

「俺は筋トレ道具が欲しいぜ」

「筋トレ道具か……わかった。それなら材料を買ってくるから、ハジメに作ってもらおう。坂上が監修してくれ。俺達はやった事がないからな。どういう構造や道具が欲しいか、出来れば絵をかいてくれ」

「わかった」

 

 色々な奴の場所に移動して、最後に清水と遠藤の所へと移動する。ぶっちゃけ、遠藤はレアキャラだから、声を出してどこにいるか聞かないと駄目だ。

 

「遠藤、どこにいる?」

「俺ならここにいる」

「うおっ!?」

 

 気がつけば背後にいるというホラー。とっても怖いぞ。

 

「じゃあ、欲しい物はなんだ?」

「影の薄さがなおる奴」

「すまん。それは無理だ」

「ちっ。じゃあ、軽くて丈夫な動きやすいコート。ナイフを忍ばせたい」

「わかった。清水はどうだ?」

「……俺は……魔物が欲しい……後……いや、なんでもない」

 

 どうしたんだろうか? まあいい。女生徒は谷口や白崎に頼むか。

 

 

 

 

 ユーリと合流し、白崎と谷口に仕事を投げる。ユーリは俺に引っ付いて離れない。やはり、誰も知らないところでオレから離れるのは怖いようだ。まあ、今のユーリは幼い少女そのものだから仕方がない。それに一部には一方的に自分の事を知られているというのはかなり怖いだろう。そんな訳で、隣で急いで食事をしているユーリの口を拭きながら食事をする。それを羨ましそうに谷口達が見てくるが、無視だ。

 食事が終われば歯磨きをして部屋へと戻り、寝るわけだが……ベッドは一つしかない。必然的にユーリと一緒に寝る事になる。

 

「ユーリ。俺は床で寝てもいいが……」

「一緒で構いませんよ。召喚を解除してもいいのですが、その……凄く不安で怖いので、できれば一緒に寝てください」

 

 INNOCENTがメインとはいえ、別のユーリとしての記憶もあるんだ。だったら闇の書の中で過ごした記憶や、暗いところに閉じ込められた記憶などもあるだろう。召喚待機されている間がどのような事かわからないが、普通の子供として過ごした記憶もあるユーリにとって恐怖でしかないはずだ。俺も考えるだけで怖いしな。

 

「でも、それなら床で俺が寝てもいいが……」

「それは私が嫌です。それにその、寂しいですし、怖いですから……」

「わかった。なら一緒に寝ようか」

「はい♪」

 

 ユーリを抱き枕にして眠れるとはこの世の春である。一緒に水分を取ってから布団に入り、腕枕をしてやりながら眠る。ユーリの匂いと体温でとても暖かくて気持ちが良い。本当、エヒトには感謝しよう。するだけで意思に従うわけではないが。

 

 

 

 

 

 

 

 朝、冷たい感触がして目が覚めるとユーリが顔を真っ赤にしていた。物凄く可愛かったが、ポカポカと殴られてしまった。

 そういえば、昨日は寝る前にトイレに行ってないし、初めてのことや知らないことばかりで緊張していたから仕方ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ユーリと添い寝イベント
無理矢理床で寝ると-1
一緒に寝ると+1

世界地図について
何事なく処理する+1
からかう-1
ご褒美です!0 のちにフラグと選択によって-になる模様

ユーリの好感度がマイナスになると暴走の危険大。メンタルケアは大事にしましょう。
あなたはどれを選ぶ?

アンケート設置。清水君の行く末が決まります。

 クラスメイトの清水が現れた!  仲間になりたそうにこちらをみている。  仲間にしますか?  Yse/Np

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