ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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見ろ、人が塵のようだ

 

 

 

 

 

 

 素材を用意していると、数日が経って霧が晴れた。そのタイミングでレヴィが連れていかれたハウリア族の人達を連れて戻ってきたらしいので、樹海の入口まで迎えに出向いた。そうした方が問題がないからだ。

 ただ、一人で迎えに行くのも問題があるらしいので、国土錬成陣の仕掛けをしにユーリと共に魔導炉を持ってやってきた。

 

「たっだいま~!」

 

 馬車の屋根に乗っていたレヴィがジャンプして俺の下へと飛びついてくる。レヴィを受け止めてくるりと回転し、地面に降ろす。

 

「お帰り」

「お帰りなさい、レヴィ。シュテルとディアーチェがおやつを用意して待ってますよ」

「やった! 王様とシュテるんのお菓子は美味しいから大好き!」

「お菓子は置いておいて、まずは報告を聞こうか」

「えっとね~」

 

 まあ、だいたい聞いているのでわかっている。知りたいのは攫われていったハウリア族の者達の現状だ。精神状態が悪く、自殺しようとする者までいるかもしれないしな。

 

「大丈夫だよ。自分から死のうとする人は居ないよ。ただ、復讐したいって女の子は居たけど……」

「当然だな」

 

 少なからず、家族や友人を殺されているのだから復讐に走る奴がいてもおかしくはない。ただ、それがハウリア族から出るというのは驚きだ。

 

「しかし、そうなると男の俺が行くのも問題か。レヴィ、全員にこれからどうするかを確認とってくれ。カム達の事も話してからな」

「それなら、情報はシュテるん達と共有しているから、もう押してあるよ」

「わかった。だったら、戦う意思のある奴等はオルクス大迷宮へと送る。それ以外はこっちで過ごしてもらおう」

 

 流石に全員を兵士にする必要もない。希望しない奴まで徴兵なんてのはやるつもりはない。そもそも、天使を相手にしない限り、質では俺達が勝っているのだから、戦力の分散さえしなければ問題ないだろう。戦力を分散して各個撃破されたらたまったものではない。

 うたわれるものでは実際にクンネカムンという国が人が剣と槍で戦っている世界に人型汎用生体兵器のアヴ・カムゥを持ちだし、力によって非常に強い軍事力を持っていた。その国は全土平定を目指すことになり、最初の方は連戦連勝していた。だけど、人数と兵器が少なく広がった領地を守るためには分散するしかなかった。そうなれば関節を狙った達人達によって各個撃破されて、最後には敗北した。

 確かに戦力の質を考えれば俺達が圧倒的に勝てるだろうが、支配した土地を守る必要も出てくるので数に押し込められる場合がある。逆に言えば戦力を集中させて守りに入ればそう簡単には負けない。同盟を組むにしろ、侵略するにしろ、質と数の両方を揃えないといけない。ガンダムでも戦いは数だと言われた名言があるのだから、しっかりと準備をしないといけない。理想を言えば相手が国の存在を知った時には手遅れなほど、隔絶した質と数の戦力があることが望ましい。

 

「任せて。すぐに聞いてくるよ」

「頼む。ユーリ、魔導炉と防衛拠点の設置場所に移動する準備をしてくれ」

「わかりました」

 

 戻ってきたレヴィと共に樹海をそれなりに入った場所に魔導炉を設置し、防衛拠点を作成する。ここが樹海の入口に一番近い場所になるので、それなりの防衛システムは必要だ。とりあえず、地面を掘り下げて魔導炉を埋め込み、トーチカのようにして樹海の木々で隠す。

 見張りや、一部の部隊が住めるように地下施設を錬成で作り上げ、そこからぐるりと、大樹が中心になるように円を描いてトンネルを掘り進める予定だ。大樹へは残ったハウリア族に案内してもらえばいいだろう。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 残ったハウリア族の一部に案内してもらって大樹の下へとやってきた。その大樹は事前に聞かされていた通り、枯れていて普通ならなにも起きないように思える。ゲーム的に考えると、どうにかして咲かせる必要があるのだと思う。

 その事が正解だと示すように碑文が配置されていた。そこにオルクスの紋章が刻まれた場所もあったので確実だ。

 実際に指輪を碑文に嵌め込む事はできたが、それだけだ。何かが足りずに普通ならここで終わりだろうが、ここには凄く可愛らしい天才美少女のラスボス系魔法使いユーリが居た。

 故にオルクスの指輪を軛にしてシステムへとハッキングを仕掛け、ハルツィナ樹海の情報を引き出して他の神代魔法と指輪が必要な事が判明した。

 

「現状を考えると、ここは放置して拠点を作った方がいいだろうな」

「何時、天使が現れるかもわからないし、ひょっとしたら人族だけでなく、魔族も神代魔法を狙ってくるかもしれないしな」

「ああ」

 

 ハジメの言葉に俺も同意する。俺としては神代魔法なんて危険な代物は俺達で独占してしまった方が都合がいい。魔族やエヒトの狂信者共に渡すわけにはいかない。言ってしまえばこの世界特有の戦略兵器みたいなものだからだ。

 

「オルクス大迷宮とハルツィナ樹海、それにできればライセン大峡谷。この三つは最低でも押さえておきたい」

「確かにそうだな。じゃあ、さっさと錬成するか」

「ユーリ、シュテルとディアーチェに協力してもらって、解析は進めておいてくれ」

「わかりました」

 

 本格的な拠点を作る事を優先し、ハルツィナ樹海の大迷宮攻略はゆっくりすることにした。拠点を作るのなら徹底的に錬成を使ってさっさと作り上げる。

 素材は集めていたので、枯れた大樹を基準として等間隔に複数の円形をしたトンネルを形成。トンネルの六ヶ所に魔導炉を設置して、拠点と防衛施設を作成。基本的な武装はアハトアハトを設置。対空装備としてアヴェンジャーも設置しておけば地上と空、遠距離と近距離のどちらにも対処ができる。弾薬は魔導炉の魔力を使えば問題ないから平気だ。

 

 魔導炉の設置が終われば国土錬成を発動してデスマーチの開始だ。まずは魔導炉から少し内側に行ったところに壁を作成。最悪、魔導炉は暴走させて爆破するので、そのダメージがギリギリ入らない程度の場所にした。

 こちらは国土錬成陣の内側にある円の頭上に形成し、外部からの侵入を防ぐために周りの木々は切り倒す。壁の材質は土だが、魔法を付与できるので硬化系の魔法をえげつない程付与し、最後には鈴に神獣鏡(シェンショウジン)の結界を壁その物に付与してもらった。これにより、魔法が効かず、物理で突破するしかない防壁の完成だ。ちなみに壁の色は白色だ。

 この防壁の内部に複数の機関銃を設置し、弾丸をいくつも用意しておく。これには一切の魔法を使用しない。防壁に触れていると神獣鏡(シェンショウジン)の力によって魔力は浄化して祓われるから、こちらも純粋な物理能力で対抗するしかない。物理最強である。

 防壁の中はまず農地を作成し、その先に第二防壁を作成する。第二防壁は鉱石をふんだんに使った金属製の物で、防衛力として魔法関係の代物を配置する。こちらは第一防壁とは逆で、物理を徹底的に防ぐ結界にしてもらった。故に魔法が使える。配置する戦力はシュテルやディアーチェ、ルサルカなどを予定している。

 第二防壁の内側は和風の城下町とし、城は大樹をすっぽりと覆うように作り上げた石垣の上に配置する。無茶苦茶高い位置に城があるので、階段の数もとんでもない事になる。もろに山だからだ。なのでリフトを設置する事によって移動の問題を解決することになった。

 これらはうたわれるもの、偽りの仮面で出てくるヤマトの城と同じ構造だ。設計図はともかく、見取り図はオシュトルとネコネが詳しく把握していたし、リムリも自分の国の見取り図を覚えているのでそちらを参考にして基礎的な設計図を作ってもらった。

 その設計図を基にしてユーリ、シュテル、ディアーチェ、ハク、ルサルカの技術者達がそれぞれの技術を持ちあって改造していった。俺とハジメはアニメなどの知識はあっても、建築関係はほとんど知らない。銃とか、興味のある物については調べたが、流石にそちら方面は知らないのだ。なのでそういう事も詳しい……か、どうかはわからないが、技術者である皆に頼んだ。特にユーリ達はそういう連中も一切の区別なく、無差別に蒐集した事もあるのでそちらの知識を利用してくれる。

 ちなみにヤマトでは地下世界があるのだが、こちらは迷宮が存在するので大丈夫だろう。ちゃんと内側に対する防衛システムも用意しないといけないな。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 設計図を基にして国土錬成陣を発動して一週間が経った。本来なら作れるはずのない時間で無茶苦茶高い台座の上にある城が出来た。流石に城下町を作るまでの資材も魔力も人材も時間もたりない。ここまで不眠不休で働いた。

 俺は常に椅子に座らせられ、寝ることも動くことも許されない生活を耐えぬいた。食事は食べさせてもらえたが、排泄に関してはどうしようもないので仕事の終わったネコネとリムリに世話をされるという、奈落での出来事を彷彿とさせる辱しめを受けた。二人の目も死んでいたが、仕方が無い。

 何せ、ユーリ達がやってくる時は俺の近くで仮眠を取るためで、大概が俺の膝に抱き着いて眠ったり、膝の上が取られていたら足に抱き着いて眠ったりするタイミングだ。例外はキスしていちゃついたりしている時ぐらいだな。一応、ユーリ達も世話をしてくれたが、基本的はネコネとリムリの二人になった。ちなみにハジメ達は睡眠時間が三十分を四回の二時間だけだ。食事は肉団子とスープというむちゃぶり。

 そんな感じで俺達はデスマーチを乗り切った。もはや、死屍累々といった感じで、もう疲れたよパトラッシュと言いたいぐらいだ。

 そんな状況で動けているネコネとリムリ、オシュトルとまだ錬成が出来ずに休む事ができたハクにそれぞれが介抱されて数日、燃え尽き症候群のような状態で過ごした。

 

 

 

 

 

 色々として気力が回復したので、寝室がある天守閣の外に出るととてもいい景色が見える。それは雲海のようで、遠くまで綺麗に見える。

 いくら、内部がスカスカだとはいえ、これだけ大きな建物を作りだせば死にかけるのは納得できる。そう、城の部分以外はほぼ空洞だ。後々追加する予定ではあるが、基本的にドックにする予定だ。ドーラとグスタフを配置し、列車などの整備工場とするからだ。石垣の一部を開けばそこからドーラとグスタフを出して長距離砲撃を行えるようにする。

 後は線路を引いてライセン大迷宮とオルクス大迷宮を列車で繋げれば互いの兵力や物資を行き来させることが可能だろう。地上でやればエヒト達に気付かれるだろうが、地下の大迷宮でやればバレることはない。

 

「本当に鈴達が頑張ってくれたお蔭だな」

 

 我等が城は鈴による不可視の結界が展開されており、外からは見えないようにしてある。この結界はユーリやルサルカによる認識阻害の力も使われているので、三種類の世界による合作だ。本当はここに積乱雲などを呼び寄せ、高確率で嵐に会うような場所を作り出すべきだが、それをするには気象の操作ができる衛星アマテラスを衛星軌道に配置しなくてはいけない。

 

「ん?」

 

 何か音がした気がして、スマホを確認すると新しいガチャが始まっていた。そのガチャの名前は拠点ガチャ。ラインナップは戦国時代のお城や館、あばら家などなど……何が言いたいかというと、これで城を引いたらここまで苦労することも、奈落の時みたいな恥辱を味わう事もなかったのだ。

 しかもこのガチャ、何を土地狂ったのか、10連引けばそのうちの一つはSR(☆☆☆☆)以上確定ガチャだ。選べる回数は一回だが、十分に価値がある。

 

「ふふふ」

 

 とりあえず、残っている魂を捧げて引いておく。普通にうたわれるもののガチャをするよりも三倍近いが、拠点が手に入るならいいだろう。そんなわけで、ポチっと押してみる。

 すると目の前に超巨大な魔法陣が展開され、身体の中からまた急激に魔力が吸われていく。

 

『ひゃぁっ!? な、なにごと!?』

 

 魔力が急激になくなったことで美遊が飛び起きたようだ。正直、悪いと思っているが仕方がない。さて、肝心のガチャだ。排出されたのは十枚の光。そこからでてきたのは今にも倒壊しそうなボロボロの家。それはすぐにスマホに吸い込まれた。

 続いて普通の家。こちらもスマホに吸い込まれた。おそらく、スマホから召喚は可能だろう。次はマンションの一室。これは部屋だけのようで、箱がポツンと置かれているようなものだ。

 その次はわらの家、これは言うまでもない。動物に食べられる。鏡の家。全部鏡でできているので、何をしても見られることになる。使い道はわからない。

 五つ目はなんとSR。その名も温泉旅館。湯の効果は美肌効果と疲労回復。女性には嬉しい代物だろう。それに疲労回復というのなら、色々と便利だ。そう、本当に便利だろう。デスマーチの慰安を兼ねて設置するのもありじゃなかろうか? 

 六個目はキャンピングカー。持っているが、幾つかあってもいいものだ。七個目は子供の秘密基地。こちらは子供しか入れない秘密基地を木々に設置することができるというもの。使い道は微妙だ。中身は遊具みたいだが、危険な物はないとのこと。どうやって子供を判定をしているのかはわからない。年齢だって種族によって年齢の基準は色々だ。ああ、そう考えるともしかして清き身体かどうかで判定するのだろうか? まあ、どうでもいいな。

 八個目は水の家。絶えず水が溢れ出し、一定量をつねに湧き出して綺麗な水質を保ち続ける水生生物が過ごしやすい家を作るものらしいが……ぶっちゃけただの水槽だろう。しかし、この湧き出る水が俺達にも飲めるものであればかなり有効だ。水不足に悩む事はない。

 九個目。運命の女神は我等に味方した。いや、ある意味ではありがたいが、もっと早く出ろよ馬鹿野郎! このガチャがデスマーチ前ならどれだけ歓迎できたか……

 10個目は馬屋……確かに一部の異世界では宿に泊まれない駆け出しの冒険者が寝泊まりする場所として使われているから、拠点なのだろう。これは街の方にも設置しておこう。

 

「とりあえず、ハジメに言いに行くか」

 

 そんなわけで、着替えてからハジメの部屋に突撃する。ハジメの部屋の位置はわかっているので気にせず入ると、ベッドの上で素っ裸のハジメが寝ていて、その上に同じく素っ裸のユエが抱き着きながらハジメの首筋に顔を埋めて寝ていた。ちゃんと布団は……一部かぶっているので背中しか見えない。

 

「あ~お邪魔しました」

「待て、プレゼントだ」

「え」

 

 からん、ころんという音が聞こえ、投げられた缶が発光する。当然、それは俺に直撃した。

 

「めがっ、目があぁぁぁぁぁっ!」

 

 のたうち回りながら思うのは、()()()()()()()()()()()()()の呪いなのだろうか? いや、単に気にせず入った俺が悪かっただけだけど、アレが出たんだから仕方が無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、何のようだ? 明らかにやばい事が起きたんだろ?」

 

 服を着たハジメに蹴られながら外に転がされた俺は立ち上がり、ハジメにすがりつく。

 

 

親方! 少女が空から降ってきてないけど、ラピュタは本当にあったんだ! 

 

「オーケー、理解した。お前が俺達に黙ってガチャをしたって事がな」

「あ。いや、ほら、引いたのは拠点限定ガチャだから、やばい奴はでないかな~って」

「原子炉の拠点が出たらどうするんだ?」

 

 そう言ってアイアンクローを決められる。いや、それだけで飽き足らず両の拳でぐりぐりされた。俺の頭じゃなかったら、普通に死んでる威力だ。

 

「ごめん。考えてなかった」

「ともあれ、ラピュタか。空飛ぶ要塞。一晩で国を焼き尽くしたとされる滅びの矢……正直、スターライトブレイカーやルシフェリオンブレイカーを非殺傷で撃てば同じ事はできるだろうが……」

「空飛ぶ拠点ってだけでも充分じゃないか? ぶっちゃけ、ガンダムでいうアプサラスⅢだろう。大気圏や衛星軌道から撃って地表を焼き、地下深くまで破壊する……あれ、アマテラスも同じか」

「同じだな。もっとも、ラピュタは気象を操れない代わりに巨大で人を乗せられ、多数の機動兵器が搭載されているが……宝もか」

「まあ、死蔵するしかないか。ファンとしては行ってみたいが……」

「現状、空洞にスペースは充分にある。そこに展開して調査をして改造をすれば……というか、飛行石がないと駄目じゃないのか?」

「あ」

「無理だな」

「やはりラピュタは幻だったのか……」

 

 飛行石を引けばワンちゃんあるか。どちらにせよ、城では出せないな。出してぶっ壊されたらかなわんし、出すとしたらオルクス大迷宮か。

 

「まあ、ラピュタは置いておけ。まず、俺とユエはシアが戻り次第、ライセン大迷宮に向かう。そっちは食料を効率良く取れるようにしておけ。ユーリの力を使えば可能だろう」

「わかった」

 

 それからしばらくして、アルテナが戻ってきた。甘えてくるアルテナにご褒美は何がいいかと聞いて彼女の望む通りに応えてやった。色々と応えてあげたら……アルテナは少しMに目覚めたようで、お尻叩きを望まれたりもした。

 詳しく聞くと恵里に森人族が失敗を犯した時に責任として何度も叩かれたから、俺にも叩いて上書きして欲しいとのこと。それに誰の入れ知恵か、赤いランドセルまで持っていたので、そういうプレイを楽しませてもらった。その後はお薬を飲んで大人の姿に戻り、そちらでも愛し合った。

 ついでにアルテナ以外にも恵里や優花、詩乃達が戻ってきたのでそのまま嫁達を全員集め、全員と愛し合うことにした。温泉旅館での酒池肉林だ。いや、酒は入ってないけどお城の完成記念としてたっぷりと楽しんだし、楽しませてもらった。

 ハジメ達も温泉旅館を楽しんでからライセン大迷宮へと出かけていった。その間、俺はユーリやアルテナ(ロリ)達、ロリっ子に農地予定地でジブリ作品にでてくるトトロの踊りを教えてやってもらったが、大変可愛かった。

 とりあえず、果樹園と水田などの田畑を作りあげ、ハウリア族の残った者達に農業を教え込んだ。彼等が好きそうなニンジンも品種改良で作り出して育てさせていく。

 問題もなく順調だが……それはハジメから救援要請が届くまでの楽しいひと時だった。

 

 

 

「「「ぶち抜け」」」

 

ハジメ、ユエ、シアの三人からの有無を言わせぬ要求に答えるしかない。

 

了解(ヤー)

 

 ライセン大迷宮。そこはひたすら煽られ、大量のトラップ地獄を乗り越えて進むと入口に戻り、また煽られるという酷い迷宮だった。それにブチギレたハジメ達は魔法少女リリカルなのはStsで主人公高町なのはがやった事を思いだし、俺に依頼してきたというわけだ。AMFという魔力結合を阻害する場所までそっくりなので、これは仕方が無い。

 

なので、サーチャーでしっかりと探索した後は高町なのはのデータを基にして躯体を生成したシュテルを召喚し、彼女と融合して全力でぶっぱして壁抜きをしてやった。

 

疾れ、明星(あかぼし) すべてを焼き消す炎と変われ ルシフェリオンブレイカー

 

 壁や地面を消失させ、巨大な穴を無理矢理開けて道を作る。空間がねじ切られていようが、こちらは結界破壊の能力までついたスターライトブレイカーが元となっているので関係ない。

 

「これでいいですか?」

「ああ、完璧だ。突入する」

「行きますよ! 今までの恨み、晴らしてくれます!」

「ん。行く」

 

 デバイスを使ってバリアで熱を防ぎながら入っていく三人の後をついて進んでいく。身体は念の為に大人版シュテルだ。融合状態だからこうなっている。俺達が入ると、身体の大半が焼失したゴーレムが涙目で三人と戦っていた。

 

「ひどい、ひどすぎるよ! ミレディちゃんが一生懸命に作った迷宮を攻略方法とかガン無視で力尽くで壊してくるなんて汚い! やり直しを要求する!」

「「「嫌だ」」」

 

 まあ、三人の気がすむまで殴られているといいさ。それが終わればどうするか判断しよう。ミレディと名乗ったのなら、彼女がこの大迷宮の主、ミレディ・ライセンなのは間違いないだろう。例えゴーレムに身体を移していようが、彼女の魂は光輝き、強い力を発していて……とても美味そうだ。

 

「ひっ!? 寒気がした!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ミレディちゃん、涙目。

天空の城ラピュタ:原作では宇宙に飛び立ったが、どの状態かは不明。初期からバルス後かもわからない。たぶん、きっとバルス後なのでどんどん宇宙に飛び立っていくでしょう。

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