ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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第57話

 

 

 

 

 さて、ミレディ・ライセンの魂を手に入れた。彼女の歩んできた人生はわからないが、ハジメから教えられただけでも極悪迷宮を作りだした奴だ。それに攻略者を煽りまくってきたらしいから、保険は入れておいた方がいい。エヒトに負けたとはいえ、大迷宮を作りだして神代魔法を他人に配布する事ができる存在なんだ。神の使徒や勇者よりも重要な存在だろう。

 まあ、そちらはシュテル達に任せたらいいだろう。ミレディ・ライセンの命は俺達が握っているのだから問題ない。

 

 

 転移ゲートで城に到着し、廊下を歩いてエレベーターに乗って上に向かう。そうしているとブレインコンピュータの中にあるとある世界で使われていた軍用通信を使ってハジメから連絡を受けた。

 

『やっと繋がったか』

『ライセン大迷宮に通信用の中継器を持っていってないからな』

『やっぱり衛星が欲しいな』

 

 確かに衛星さえあれば基本的にはどこでも電波が届くはずだ。ああ、地球では多数の衛星を飛ばしていたから電波がほぼどこでも届くだけだったか。

 まあ、未来の技術力で作られたうたわれるもののアマテラスなら問題ないかもしれない。なにせ気象だって操れるのだからな。

 

『エヒトが宇宙にまで目を向けていなければ可能かもしれないが……』

『開発の準備だけしておくか。調査は風船とかでも可能だからな。地球なら材質的な問題があったが、錬成を使えば解決はできるはずだ』

『監視装置をいくつか飛ばしてエヒトがこちらに気付くかどうかだな。もしも宇宙に目を向けていないのなら、アマテラスに光学迷彩をつけて宇宙に放てる』

『そもそもユーリ達の技術なら座標さえわかれば転送だって可能なはずだからな』

 

 ハジメの言う通り、アマテラスを運び出すのは意外に簡単かもしれない。やはり、ユーリ達の技術力はチートといえるな。

 

『まあ、そちらは任せる。それよりも今はどこに居るんだ?』

『ブルックの町だ。位置情報は送っておく。合流するかどうかはそっちで決めてくれ』

『了解。俺もすぐにそっちへ行く。ライセン大迷宮はシュテルに任せておけば大丈夫だからな』

『わかった。それと詩乃やアルテナ達を連れてくるなら、しっかりと首輪は嵌めさせておけよ。亜人なんだから襲われる可能性が高い。実際、何人かシアの首輪を見て溜息をついて離れた奴や、怪しい感じの奴を街中で見かけた』

『首輪か。連れていくのならつけさせる。いや、あえて襲わせるのもありか? 襲ってきた奴を返り討ちにして殺せば……』

『やめろ。歯止めが効かなくなって最終的に町一つ、まるごと消す事になるかもしれんぞ』

『まあ、確かにそうなるかもしれないか』

『気を付けろよ。俺が言えたぎりじゃないが、殺人衝動をできる限り抑えろ。発散は別の事でするか、殺しても見つからないようにしろ』

『なら、少しゆっくりしてから向かうとする』

『そうしろ。お休み』

『お休み』

 

 ハジメとの会話を止め、エレベーターから出て俺の居住スペースに向けて移動する。天守閣とその下が俺の所有するフロアだが、その下にある行政用のフロアを通らないといけない。

 というのも、天守閣は寝室と俺の部屋、小さな厨房、衣裳部屋、小さな露天風呂などがある。その下の階に嫁達の部屋と食堂、露天風呂が用意されている。上の階に嫁達の部屋が用意されていないのはそれぞれが俺としている時に見られたくないなどの理由がある。イチャイチャしている時に入ってこられても対応に困る場合があるし、混ざってくるのは俺としてはいいが、女性側からしたら嫌だという事で基本的に生活圏を上と下で別けることで解決をはかった。

 ちなみに俺達の居住スペースの下は行政フロアだが、ここにはオシュトルとハク、カム者達の部屋も用意してある。他にも護衛の者達が過ごすスペースもある。まあ、俺の護衛は嫁達も交代で務めてくれるから問題ないんだけどな。下手をしなくても嫁達の方が桁違いに強い上にユーリ達科学組とルサルカの魔術、鈴の結界、恵里の死霊術による妨害と監視、優花……ヘイゼルによる暗殺者の思考を考査して実際に訓練として突撃してもらった。

 このように嫁達が本気で組み上げた防衛力はえげつないレベルになっているので、俺達が気付かないうちに侵入するのは不可能だ。

 複数の監視カメラと魔物(モンスター)が入った壺、死霊が入った掛け軸などが配置されている廊下を進んでいると、曲がり角に到着した。その先に可愛いらしい先端が黒茶色で白い尻尾が見えた。彼女は複数の木簡(もっかん)*1を持ちながら廊下を歩いている。

 なので、横に並んで彼女の持っている木簡を全て横から奪い取る。流石に小さい彼女では運ぶのが大変だろうし、歩き方もぎこちないので心配だからだ。まあ歩き方が変なのは主に俺のせいだ。本番はしていないが、ネコネとリムリの身体は小さいので耳と尻尾をモフモフするついでに開発はさせてもらっているからだ。

 

「わはっ!?」

「ネコネ、持っていくのはオシュトル達のところでいいか?」

「あ、だ、旦那様!? わ、わたしが持つのです! 帝であらせられる旦那様にお持ちいただくわけにはいかないのですよ!」

 

 慌てて取り返そうとしてくるネコネの手が届かないように上げる。

 

「気にする必要はない。ネコネは俺の妻なんだから、嫁の荷物を持つぐらいは当然の事だ」

「ですが、お立場が……」

「それを言うのならネコネもだろう。それにこうすれば関係ない」

「あっ」

 

 荷物を全て宝物庫の指輪に収納し、両手を空にする。これで何の心配もなくなったので、ネコネの小さな手を掴んで一緒に歩く。ネコネは恥ずかしそうに顔を赤らめているが、それもまた可愛い。

 

「宝物庫の指輪はどうしたんだ?」

「……あれはその、ハクさんの所なのです」

「ハクの?」

「開発事業をしている町の方で使っているのですよ」

「ああ、それもそうか」

 

 錬成を使ってとはいえ、町を一から作るとなるとどうしても資材を運ぶのに時間と労力がかかる。それを軽減できる宝物庫の指輪があればかなり短縮できる。まあ、ほとんどの者が大型重機のような存在ばかりなので色々と人力に比べてかなり楽ではあるのだが。

 

「宝物庫の指輪は量産が難しいからな」

「やっぱりできないのですか?」

「人手と資材が別の物に取られているからな」

 

 空間魔法を使って作る物なので、できなくはない。というか、宝物庫の指輪を作るよりも転送ゲートや城の開発に人手を使っていただけだ。そして今ユーリは食料を得るために植物の改造をしていて、シュテルは諜報とライセン大迷宮の改造と開発。ディアーチェがデバイス製造機器の開発とオルクス大迷宮の管理、運営。レヴィとアストルフォがハルツィナ樹海の護衛。鈴とルサルカは結界と探知用の罠を配置していたりしている。

 詩乃は牧場みたいなのを作るために魔物(モンスター)のテイム中。優花は女性陣に料理を教えているし、アルテナとカムは町の開発をしている森人族達の陣頭指揮。ハクやオシュトル、ネコネ、リムリは全体の指揮。恵里はスケルトンを作成して労働力の確保。普通に考えて人手が足りん。ちなみにマテリアルズの分体達はデバイスの製造に力を入れている。チビット達もだ。

 

「必要なら用意させるが、いるか?」

「いえ、別に問題ないのですよ。町の作成も順調なのです」

「そうなのか?」

「すでに一割が完成しているのです」

「なら、十日ぐらいで町はできるな」

「有り得ない速度なのですが、その通りなのです。そこから都市にするにはまだまだ時間はかかるのですが、一先ずはこれで行く予定らしいのです」

「まあ、都市だけできても無人なら意味がないからな」

「なのです」

 

 ゴーストタウンみたいなのになっても困る。

 

「まあ、人手は確保しに行く予定だ」

「召喚はしないのです? 町の中でなら維持する魔力を補えるはずなのです」

「その通りだが、これからの事を考えるとハクと護衛のレヴィ、アストルフォには万全の状態で居てもらいたいからな」

 

 ぶっちゃけ、魔導炉一つで数人は補えるのでレヴィとアストルフォが全力で戦っても問題ない。それこそ宝具を使っても構わないぐらいだ。結界などで持続的に使っている魔力を除けば六騎のサーヴァントを運用できる。なので、非常事にはルサルカや詩乃達だけでなく、オシュトル、ハク、リムリ、ネコネはもちろんのこと、アルテナをはじめとした森人族とハウリア族にも魔力が供給される予定だ。

 そうなると六機の魔導炉では足りなくなってくるので、そちらの増設も考えているのだが……技術者がたりん。やはり、人手は重要だな。まあ、森人族とハウリア族が育てば彼等を指揮官にして魔物(モンスター)達を扱わせればある程度は回復するだろう。

 

「襲撃を考えているのですね」

「シュテル達から人族だけでなく、魔族も大迷宮の攻略を考えていると聞いたからな。ここに襲撃を仕掛けてくるのは確実だ。それに対処するためにも何時でも戦える用意はしておきたい。あと、ぶっちゃけると触媒が足りない。だから、引きたいが今は諦めている」

「そうなのですね」

 

 ネコネと一緒に話をしながら進むが、小さな身体のネコネでは歩幅が違う。もちろん、俺が合わせるのだが、ネコネがそれに気付いて早足になるのだ。

 

「ネコネ」

「ひゃっ!? な、何をするのです!? ま、まさか……」

 

 ネコネをお姫様抱っこで抱え上げると、顔を赤らめてあたふたしだす。それに気にせずそのまま進んでいく。

 

「このまま運んで行く。この方が早いからな」

「ま、待ってくださいなのです! い、今は町とお城を往復して汗の臭いが……」

「ネコネはいい匂いしかしないから平気だ」

「わ、私は平気じゃないのですよ!」

「そうかそうか。じゃあ、後で一緒に風呂に行くか」

「あっ……」

 

 ガタガタと身体を震わせだすネコネ。ネコネにとって風呂の先へと進む行為は痛みを伴うし、恐怖が色々とあるだろう。

 

「嫌なら止めていいぞ」

「そ、それは駄目なのです……慣れてないだけなので、大丈夫なのです。リムリと一緒に優しくしてくれたら平気なのですよ」

「だが、最初はかなり痛いぞ」

「た、耐えてみせるのです。それにアルテナ様が痛み止めと気持ち良くなるお薬を調合してくれると言ってくれているのです。天国にも昇るような感じらしいです」

「それ、副作用は大丈夫か?」

「私とリムリの身体に合わせた専用薬として作ってくれているらしいので、大丈夫らしいのです。それにいざとなったら、旦那様の体液を貰えば解決するはずなのです」

「なるほど」

 

 状態異常になれば神水で回復は可能か。それにアルテナなら無茶な薬は使わないだろうし、最終手段として美遊に頼んで聖杯の力を使えば大丈夫だ。

 

「そ、それよりも、人手の確保なのです。どうするつもりなのですか?」

「色気のない会話ばかりだな」

「ご、ごめんなさいなのです。な、何を話していいのかわからなくて、どうしても仕事の話しになってしまうのです……」

「いいよ。ネコネと話しているだけで楽しいからな。それで人手だったな。この世界で亜人は奴隷として扱われているのは伝えたよな?」

「はいなのです。だから、ここから少数で絶対に出るなと言われたのですよ」

「ネコネだったら、あっさりと誘拐されるからな」

「子供扱いはしないで欲しいのです」

「大人でも誘拐されるんだから、子供だけじゃないさ。それだけネコネが魅力的だって話だ」

「あぅっ」

 

 照れだしたネコネをしっかりと抱え上げて彼女の顔がすぐ近くに来るように調整する。既に震えはなくなっているようなので良かった。

 

「さて、奴隷として扱われている亜人達だが、彼等は売り買いされている。それを購入してこの国に送る予定だ。俺の神水があれば病気や怪我をしている亜人でも安く買い取れるしな」

「欠損していた場合はどうするのです? 確か、神水ではそこまでの力がないと聞いたのです。兄様が回復したのは、兄様の身体が魔力によって構成されているからのはずなのです」

「そうだな。だから欠損部分は別の物で補う。義足やそれこそ魔物(モンスター)でな」

「うわぁ……」

「引くかもしれないが、魔物(モンスター)の腕は色々と便利だと思うぞ。しっかりと意思疎通ができている前提だがな」

「戦力として考えると、確かにベストなのでしょうが……私は嫌なのです」

「ネコネは俺の嫁だから、受肉したとしても再生させるさ。俺も実際に手足を再生させたからな」

「鈴さん達から聞いたのですが、無茶し過ぎなのです。もう旦那様の身体は一人のものではないのですから、そのようなことをしては駄目なのです」

「嫁達の為なら片腕ぐらい別に構わないのだが、ユーリ達が悲しむからやらない方向で検討している」

「検討、なのですか」

「ああ」

 

 やれやれと言った感じで見られるが、こればかりは仕方がない。俺としては嫁であるユーリ達の方が優先だ。その為なら、ある程度の犠牲は仕方がない。まあ、そうならないように最善を尽くす。うん、ガチャの為にサクリファイスを使う事はない。

 

『だめ、ぜったいです。使おうとすれば私が止めます』

 

 美遊に止められたらどうしようもない。というか、ほぼ俺の身体はユーリ達マテリアルズと美遊に監視されている状態だから、どうしようもない。下手な事をすれば完全に管理される可能性すらある。いや、俺が普通に過ごしていれば恐怖心とかもないし、ユーリ達がそんな事をするはずもないので何の問題もない。俺が精神支配でもされた時の保険だな。ちなみに身体の操作権はユーリ達と美遊の合議制で判断されるらしい。マテリアルズは基本的にユーリに従うので美遊一人の力が大きな感じだ。

 

「どちらにせよ、病人怪我人問わずに連れてくる。人族も連れてくる予定だ」

「人族もですか?」

「ああ。宗教的な事で犯罪者とされている者達ややむにやまれぬ事情で犯罪を犯した者なら問題ないだろうからな。もちろん、しっかりと人選はする。国民にするのだから、その辺りは見極めや保険が必要だ」

「なのです。敵国の者が紛れ込んでいたら大変ですから」

 

 スパイが居たら技術情報とか抜かれたり、防衛システムの穴をつかれたりするだろう。国防上の危険が多分に含まれる。

 

「っと、着いたのです。それで、その……できれば降ろして欲しいのです」

 

 ネコネの言う通り、オシュトルが居るであろう執務室の前に到着したので、ネコネを降ろして一緒に入る。

 部屋の中は広く、壁に埋め込まれた本棚が埋め尽くされている。ここは大人数が仕事をするための部屋になっているので、無数の机と椅子が設置されていて、シュテルとディアーチェの分体が働いている。部屋の奥にある上座のような場所にリムリが座り、その隣にある机にはオシュトルが居て、二人で様々な木簡を処理していた。

 

「兄様、ただいま戻ったのです」

「ネコネか……それに主上ではないですか。お帰りになられたのですね」

「ああ。ライセン大迷宮の攻略と支配は終了した」

「お怪我はありませんか?」

「大丈夫だ」

 

 心配そうに声をかけながら立ち上がり、こちらにトテトテとやってくるリムリにしっかりと返事をする。

 

「それでしたら、色々とお聞きしたいのですな。いきなり居なくなった理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「あ~」

 

 そう言えば伝えていなかったな。オシュトルはまるでお転婆だったヤマトの姫であるアンジュに言っていたような感じで伝えてきている。

 

「ハジメから救援要請が来たから、すぐに出なくてはいけなかった。すまない」

「これからは伝えて頂けると助かります。それに主上が出られなくても──」

「ちなみに明日からまた出るから」

「──主上?」

「現状、俺達の中で外に出ても問題ないのは人と同じ外見である俺達とハジメ達だ。だが、ハジメ達はあくまでも協力者であり、最優先事項は元の世界に帰るための方法を探す事。それの手段が大迷宮を巡って神代魔法を手に入れることだ。逆に俺は国を作り、この世界で生きていく事を目的にしている。そのためには数が必要だ。それはオシュトルもわかっているだろう?」

「ええ、わかっています。ですが、国主である主上が自ら出向く必要はありますまい」

 

 オシュトルとしては国主である俺に万が一のことがあれば困る。ましてや俺が死ねば自分はともかくとして、ネコネやハクがどうなるかわからないからだ。一応、ここの魔導炉で顕現できる可能性が高いし、それこそ受肉してしまえば問題はなくなる。

 

「商人として亜人達を買い取るつもりだ。このような事を妻達に任せるわけにもいかない。ましてや、彼女達の容姿ならば逆に襲われる事もあるだろう。やはり男手も必要だ。かと言って俺以外の男をつけるつもりもない」

「護衛として森人族かハウリア族を数人連れていけば問題ありますまい」

「そうだが、俺自身が大迷宮を巡っていく必要もあるし、魂を集めなくてはいけない。でないと最終的にエヒトに負ける」

「せめて世継ぎを作ってから行かれませぬか?」

「無理だな。それにこの身体が滅んだとしても、魂さえ問題なければ蘇る手段はあるさ。それにこれは決定事項だ。人手が足りない今、ここに居ても余り手伝えない俺が人材確保に動くべきだろう」

「……畏まりました。ですが、護衛はつけさせてください」

「妻達で大丈夫だ。いざとなればこちらに残していく者達を召喚すればいいだけだしな」

「ふむ。確かにその通りですな。では、引き継ぎをせねばなりませぬので、明後日の出発でお願いいたしたい」

「わかった」

 

 まあ、牢屋つきの魔改造馬車と商店用の馬車を作らないといけないからこれでいいだろう。

 

「あの、その旅に私もついていっていいですか?」

「リムリがついてくるのか?」

「はい。イヌイとして一緒に行きたいと思います」

「わ、私も行きたいのです! 見聞を広めてより良い国を作るためにも必要な事なのです!」

「ネコネまでか。二人共、外に出るという事は奴隷扱いする事になるぞ? そうしないと襲われて面倒が増えるからな」

「わかっているのです。旦那様の奴隷としてなら問題ないのです」

「はい。私もそれで問題ありません」

 

 双姫の二人に言われたら仕方がないが、怖いお兄様の方はどうだろうか? 恐る恐るオシュトルの方を見ると、何かを考えていた。

 

「オシュトル、こう言っているが、構わないか?」

「……構いませぬ。ただし、奥方の中で優花様と鈴様は必ず連れていってくださるよう、お願い申し上げます」

「二人を守るためだな。了解。どうせなら全員に伝えないといけないから、集めてくれ。慰労も兼ねて宴会を開くとしよう」

「確かにそれがよろしいでしょう。直に準備させましょう」

「頼む」

「はっ」

 

 オシュトルが指示を出してくれるので、後は任せていい。

 

「さて、俺は馬車の用意をしてくる」

「それは構わないのですが、その前にこちらの計画書に目を通して許可を頂きたい」

「全部任せるが……」

「そういう訳にはいきませぬ。そもそも我々では理解し難い技術も使われておりますので……」

「わかった。確認する」

「助かります。ネコネ、リムリ。二人は主上についてお手伝いを頼む」

「はい、兄様」

「畏まりました」

 

 ネコネとリムリの二人に手を引かれて、リムリが座っていた席に案内される。先程までリムリが座っていたので、少し暖かい。

 

「まずはこちらからなのです」

「では、説明させていただきますね」

「頼む」

 

 ネコネが広げた木簡に書かれた物をリムリが説明してくれる。二人共、小さいので俺が座った状態で同じくらい位置に顔がきているので、距離が近い。

 

「町が完成した後、農地の作成計画です。現在、ユーリさんが作られている実験場がここにありますが、こちらから問題無いと判断された作物を六つの区画に別けて配置します」

「それぞれ違う場所で作るのか?」

「そうなのです。計画では鈴さんの結界を使う事で温度管理と環境を整えられるとの事なので、そちらで年中育成する予定なのです」

「結界を使うから魔導炉の近くにある六つの区画か」

「そうなります。春夏秋冬の気候を再現し、残り二つは四つの季節を順番に回す予定です」

 

 簡単に言ってしまえば結界を使ったビニールハウス計画か。これなら年がら年中、作物を作り出せるし、ユーリが関わっているのだから育成にも魔力を使って問題なくできるようになるだろう。

 

「それとこの回す二つは皇直轄の物となりますので、私達が食べる物と実験用の場所になります。食べたい物があればこちらで作ってもらえますね」

「ここで取れた作物で食べきれない物は基本的に非常事態に備えて備蓄する予定なのです。商売用は他の畑から取れる物を民から買い上げて使う感じにするのですよ」

「なるほど。経済を回すためだな。まあ、その辺りは任せるとして……栄養が偏らないようにピーマンとかもしっかりと作らないとな」

「うぐっ!? ぴ、ピーマンは要らないのです」

「好き嫌いは駄目ですよ。旦那様も残さず食べてくださいね。作ってくれる優花さんに嫌われますよ」

「それは困るな」

「ゆ、ユーリさんに美味しくなるように改造してもらうのです」

「栄養は変わらないようにしてもらえばいいが、忙しいからな」

「諦めましょう」

「うぅ……」

 

 管理人は誰にするかという問題があるが、木簡を見る限りでは担当者はアルラウネと森人族のようだ。植物に関しては彼女達、魔物(モンスター)を運用するのが正しい。協力し合って作ってくれるとありがたい。防衛の為にもトレントを作るのもありか。

 

「見た限りでは問題ないな。水源の方はどうなっている?」

「そちらも問題ないのです。大迷宮から湧き出る水をろ過して使っているのです。水質改善用の施設は最優先でユーリさんとディアーチェさん達が作り上げてくれたので、私達には影響がないどころか、栄養たっぷりのお水なのですよ」

「美容にもいいらしいです。温泉旅館の湯を混ぜたりしていますから……問題は……」

「太る可能性がある事なのです。旦那様も気をつけるのですよ。肥ったら、私達が潰れてしまうのです」

「大丈夫だ。俺には裏技がある」

「裏技、ですか? 教えて欲しいです」

「そうです。ずるいのです! どれだけダイエットが大変か……」

「サクリファイスで脂肪を代償に捧げる」

「「「「ずるい!」」」」

 

 ネコネとリムリだけでなく、他の女性達からも突っ込まれたが、実際に出来るのだから仕方がない。調整をミスったらかなり痩せる事になるがな。

 

「これはガチャをいっぱい引いてもらうしかないのです」

「いえ、解析してもらって私達にもできるようになれば……」

「何故こんな便利な物を解析していないのですか!」

「そもそもユーリやネコネとリムリもそうだが、お前たちの身体は魔力で構成されている。受肉でもしない限り、太る心配はないからじゃないか?」

「「あ」」

 

 必要がなければ解析されて開発はされない。まあ、必要となるのは鈴、恵里、優花、アルテナ達だろう。どこまでやるかはわからないが、今の所は必要ないんじゃないかな。永劫破壊(エイヴィヒカイト)で固定されているだろうし。

 

「こ、この件は後々にしておくのですよ、リムリ」

「そうですね。その、怖いですし……」

 

 二人を睨み付けている森人族とハウリア族の女性達から殺気のようなものが放たれている。彼女達も奈落を経験した者達なので、かかる重圧(プレッシャー)がやばい。魔力が物理的に重圧となって襲い掛かってくるような感じだ。ちなみに二人はそそくさと俺の後ろに隠れて事無きをえた。

 

「何をやっている。仕事をしろ」

「「「はい」」」

「で、では、次に上下水道の工事ですが、こちらはもう完成しているのです。それに伴い、設置された温泉旅館は城に移し、温泉水をパイプで町へと送るようにしたのです」

「我々が管理した方が色々と得ですからね」

 

 町で管理させると利権や派閥が関わってくるので色々と問題が起こるが、俺達が管理すれば国の収入として利用する権利を販売する事で公平に行き渡らせられるし、収入も手に入る。そもそも俺の持ち物なので言ってしまえば王家の個人資産だ。俺も嫁達と使いたいので城に移すのは何も問題ない。

 

「そちらはいいとして、頼んでいた件はできているのか?」

「はい。無料の公衆浴場と旅館を各エリアに設置し、皆が常に綺麗でいられるようにします。法律で二日に一度は身体を清めるように制定し、破れば病気などやむを得ない場合を除いて罰則を与えます」

「財源は? 管理費用がかかるだろう」

「お金は旅館の収益から出すのです。しばらくは旅館としての採算が合わないのですが、女性陣が増えれば絶対に旅館の方にお金を払っていくのです」

「おそらくですが、女性が綺麗になれば男性も女性の気を引くために綺麗にするようになるでしょう。そうなれば収益はあげられます。ただ、人がかなり必要になりますので、現状は赤字になりますね」

「問題ない。利益は別の所から吸い上げるし、福利厚生費用だという事にしておけ」

「畏まりました」

 

 そもそも、サービス業になるわけだが、観光客など居ないのだから身内だけになる。なので、こちらの狙いとしては清潔にして身体を保ち、リフレッシュしてもらうことにある。そして、元気よく働いてもらう。彼等が大迷宮から手に入れてきた素材を人族の領域で不要な物を売却し、利益を出せばそれだけで充分なのだ。

 それに貴金属で貨幣を作っているこの世界では簡単に貨幣を発行できない。その金貨を俺達が大量に得て、様々な物を購入して溜め込めば物価上昇が起こる。そこに俺達が用意する者に炊き出しなどをさせ、それを狂信者共に邪魔をさせる。その時点で教会に禁止されたのでやりませんと言えばいい。こちらを異端者認定してこようが、適当に撃退すればいいだけだ。神の使徒が少数でも連れれば殺し合いをしてその辺りは壊滅する。そこは復興支援でもしてやればマッチポンプの完成だ。

 このような事もできるので、相手側に経済的な打撃を与えたりするのもまたありだ。こちら側に被害はあまりないのもいい。まあ、商売して普通に大きくなれば細工や情報を抜いたりもできるので色々とできる。この世は弱肉強食。勝てばいいのだ。そう奈落で学んできた。

 

「どう考えても大いなる父(オンヴィタイカヤン)におんぶにだっこ状態なのですが……」

「仕方ないのです。何時かはあの人のように自立を考えないといけないとは思うのですが、それは今ではないのです」

 

 ネコネの言うあの人とはライコウの事だろう。言ってしまえばコードギアスのルルーシュみたいな奴だからな。内政役として欲しいが、何時、裏切られるかわからない。帝と同列扱いはされないだろうし、危険だ。

 

「俺達の子供がなしてくれるだろう」

「「はうっ!?」」

 

 そういうと、二人は真っ赤になって俯いてしまう。だが、実際問題として子供は作る。そして問題なく教育できたら後は任せて隠居して好きに過ごす。永劫破壊(エイヴィヒカイト)で不老になっているのだから、好き勝手に楽しませてもらいたい。その為にも愛の結晶である子供は必要だ。

 

「つ、次の案件なのです!」

「そ、そうですね……こ、こちらは警邏隊と警備達の組織が必要ということです」

「警邏隊はパトロールが主で、警備隊は固定された位置に居る部隊だったか」

「はいです。広域警戒をする外部部隊と町を警戒する内部部隊なのですよ」

「樹海にあるもう一つの国、フェアベルゲンを考えて警邏隊は森人族を中心にして、ハウリア族を少人数編成してくれ。警備隊は逆だ」

 

 フェアベルゲンからしたら、ハウリア族は許せないかもしれない。なので、軋轢を生まないためには森人族の方が有効だ。俺としてはどちらでもいいが、義理の父であるアルフレリックの事を考えてこちらにする。ハウリア族を少数とはいえ混ぜるのは、彼等が諜報役としてすぐれているからだ。どちらも戦闘能力は問題なくなっているので、襲わされたらそれ相応の対処は可能だ。

 

「それとその、警邏隊には移動手段としてハイペリアを配属したいのですが、構わないです?」

「ハイペリアって数が居たのか?」

「詩乃さんがライセン大峡谷に移動して増やしてこられましたね」

「確か、兄様の要請でしたのです。ですよね?」

「確かにお頼み申し上げた。航空戦力の重要性はハクから聞いて某も理解しておりますので」

「そうか。しかし、こうなると人手がますます足りんな」

「はいなのです。ですので、戸籍の関係もあって、私達が一緒に行って向こうで処理してからこちらに送る方がいいと思うのです」

「確かにそうだな。だが、さっきも言ったが、危険だぞ」

「私はそれなりに刀が使えますので、ある程度は大丈夫です」

「私も巫術が使えるので問題ないのですよ。それにユーリさんからデバイスを作ってもらっているのです。使いこなせるとは思わないのですが、連絡手段としても便利らしいので、お願いしたのです」

「それなら大丈夫か」

 

 何があっても俺が守ればいい。それにリムリ、イヌイの実力はある程度だろうが、ネコネの実力はゲーム通りなら結構強いはずだ。ゲーム通りなら、レベル30から50ぐらいか。ベヒモスを数人で倒せるぐらいの実力はあるだろう。あれ、こう考えるとネコネも結構強いな。よくよく考えたら、主人公と一緒に戦うパーティーメンバーなのだから、弱いはずがないな。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

「主上、準備が整いました」

 

 ネコネとリムリの二人と共に作業をしていると、時間が来たようだ。必要な分は終了し、更に先の分まであらかた終わっているのでこれで問題はないだろう。あっても明日やればいい。

 

「わかった。行こう」

 

 皆で移動したのは大きな謁見の間だ。日本式の和風な物で、上座は一段高くなっている。そこに横から、入り、前にかかっているすだれのような物が上げられる。

 するとそこには森人族やハウリア族が集まっている。それだけでなく、近くの場所にはユーリ達も座っているので、本当に全員が揃っているようだ。

 

「急に呼び出してすまない。明日からの事について伝える。まず、俺も旅に出る。目的はハジメ達と同じ大迷宮の探索だが、同時に人材の確保を目的として行動する予定だ」

「具体的にはどうするのですか?」

「ハジメ達が冒険者として行動するらしいから、俺達は商人として行動するつもりだ。ここで取れる特産物を売り出すというわけだな」

 

 ユーリの質問にしっかりと答える。

 

「人材の確保という事は亜人を助けて連れてくるのでしょうか?」

「アルテナの言う通り、その予定だ。対外的には奴隷として購入したり、救い出したりする予定だ」

「正当な手段で購入するとなると、亜人の値段が上がってハルツィナ樹海に捕まえに来る連中が増えるでしょうけど、その対策は?」

「何人かに残ってもらって、守ってもらう。つまりだ、ルサルカ。襲ってくる連中は殺して構わない」

「なるほど、ある程度の連中を誘き寄せて殺すのね」

「そうだ。フェアベルゲンは基本的に無視しろ。監視だけして、誘拐された場合はハルツィナ樹海から出た時点で襲撃し、救助するように」

「……掟に従って死んだ扱いにさせるのですね。そうなれば後はこちらで保護ですか?」

「そうだが、一応は帰してやれ。あちらでの境遇次第でこちらに引き入れてもいい」

「そうなると、身代金とは言わないけれど、救助した代金はフェアベルゲンに請求しましょうか。そっちの方が得でしょう」

「検討しよう」

 

 こちらも部隊を動かして救助するのだから、無償というわけにはいかない。怪我を負えば治療費だって、弾薬代だってかかるのだ。

 

「それで主上。護衛はどうなさるのですか?」

「それなんだが、鈴と優花はついて来てもらいたい。いいか?」

「問題ないよ~。まなまなと一緒がいいもん」

「私はご主人様から離れない」

 

 鈴と優花の二人は即座に了承してくれたのでよしとする。優花の方は色々と問題だが、最初と比べて少しはましになっているので大丈夫だろう。それにハジメを助けに行く時に連れていかなったのもあるのかもしれない。

 

「他の者はどうするか相談したい。ユーリはどうする?」

「私も一緒に行きたいですけれど、今回は残りたいと思います。まだ美味しい食材になるように品種改良した物が定着し、人に問題ないかを調べないと駄目ですので……」

「我やシュテルもそうだな。開発で余り手が離せぬ」

「はい。ライセン大迷宮の方は一応、入口を見分けがつかないように破壊して偽装しましたが、何時まで持つかは不明です」

「ボクはハルツィナ樹海で皆を守っていたいかな~」

 

 ユーリとマテリアルズがそれぞれ意見を言ってくれたので、こちらとしては問題ない。開発もかなり重要な事だし、こちらを任せておいた方がいい。

 

「わかった」

「あ、危なくなったら何時でも召喚してくださいね」

「うむ。それと念の為に我等の猫もつけておくとするか」

「そうですね。いざとなればそちらに意識を移して召喚までの時間を稼ぎましょう」

「確かにそちらの方が助かる」

「あ、お土産はよろしくね~!」

「お土産か。何か用意しておく。ユーリ達はこれでいいとして、恵里はどうする?」

「もちろん、一緒に行くよ。詩乃も行くでしょ?」

「うん。牧場の方は任せればいいし」

 

 これでメンバーは鈴、恵里、優花、ネコネ、リムリとなったか。残りはアストルフォとルサルカ、アルテナか。ただ、詩乃達には伝えないといけないな。詩乃は既に理解はしているはずだが、一応な。

 

「それと詩乃達は俺の奴隷扱いになる。もちろん、泊まる時とかの部屋は同じだが、色々と嫌な視線や言葉を受けることになるだろう。それでもいいか?」

「覚悟していたから平気。それに色々と心配だし、ね」

「そうか。アルテナは……」

「行きます。私の役目は主様のお世話です。主様がおられないこの国に居る必要はありません」

「森人族の事はどうするんだ?」

「他の者に任せてありますし、問題ありません。ですよね?」

「はい。むしろ、姫様には重要な事に関しては触れていただいておりません。何時でも主上にお呼び頂いてもよろしいようにしておりますゆえ」

 

 ハブられているのかと少し心配したが、そういう理由なら納得できる。何時でも抜けていいように最初から象徴として扱い、居る時は適度に指揮を任せて本来の指揮官が助言している感じなのだろう。あくまでも名目上のトップはアルテナだが、実務は別と。それに森人族からしたら、俺とアルテナを外す選択肢はほぼないか。

 

「アストルフォとルサルカはどうする?」

「ん~なんとなくこっちに居た方がいい気がするんだよね~。やりたいこともあるし

「そうか。ルサルカは来てくれるとありがたいが……」

「お誘いは嬉しいけれど、今回は遠慮しようかしら」

「え?」

「ほら、私は優花を助けに出る時にデートしたしね。それに現代式の軍事教練ができる人ってこっちに居ないもん。ハクは知識としては知ってるかもしれないけれど、無理でしょ」

「あ~確かに銃器を使った戦いだけじゃなく、機動戦術とか言われてもわからんな」

「それに永劫破壊(エイヴィヒカイト)を使えるのが居なくなるし、私が残るのがベストよ」

 

 確かに恵里まで出ると永劫破壊(エイヴィヒカイト)を使えるのが居ないな。ユーリ達も使えるかもしれないが、問題があるかもしれない。ルサルカなら問題はないだろう。魂の容量はあるはずだが、俺の方へと流し込めばいいだけだしな。

 

「じゃあ、連れていくメンバーは鈴、優花、恵里、ネコネ、リムリ、詩乃、アルテナ、美遊だな」

 

 九人となると、結構な大所帯だが、店をやるとしたらこれぐらいは必要か。見張りの交代とかも必要だろうし。

 

「他に決める事は……そうだ。ハク」

「な、なんだ……? 嫌な予感がするんだが……」

「ある物の調査と改造を命じる。やってくれ」

「おい、まさか……」

「必要になるかもしれないからな。やってもらう事は……」

 

 衛星軌道からの観測とエヒト達がこちらに気付くかどうかを調べラピュタとアマテラスの調査も頼む。人手はルサルカとアストルフォ、レヴィ達が手伝えば問題ないだろう。

 

「サボれると思ったのに!」

「あっはっはっは、諦めてくれ」

「そうだぞ。あんちゃんだけ楽にはさせねえ」

「ハクさん、頑張るのです」

 

 とりあえず、明日は馬車を用意してからラピュタを探索し、次の日に出発だ。ハジメには悪いが、ラピュタの調査を先にさせてもらおう。ひょっとしたら、拠点ガチャなんだから普通に手に入っているだけの可能性もある。それに戦力がある段階で調査すれば最悪、巨人兵は倒す事ができるだろう。どちらにしろ、鈴の結界内で行う。

 

「えっと、本日はもう決める事はないです?」

「そうだな。他に何かあるか?」

「酒を作りたいぐらいだな。酒の作り方は誰か知っているか?」

「お酒か……もちろん、知っている」

「未成年なのになんで知ってるの?」

「それはね、鈴さん。異世界物の小説で鉄板だからさ。ちなみに調べたデータはタブレットやスマホに入っているから、データを転送しておく。そんなに飲みたいのなら、仕事として許可するから作るといい」

「仕事が増えるじゃねえか……いや、生成魔法を覚えたから結構簡単に作れるか。鈴の協力があれば……」

 

 ハクが色々と考えだしたので、あちらは放置する。酒は俺達では飲めないしな。

 

「私にもかませなさい」

「いいぜ。ルサルカは何が好きだ?」

「ワインも好きだけど、ビールもいいわね」

「某も……」

 

 大人組が酒の話で盛り上がってきたので、もうここいらでいいか。皆を見渡しても問題なさそうだ。

 

「ネコネ」

「はいなのです。それでは今回の緊急会議は終わりなのです。続いて宴を行うのです」

 

 ネコネが手を叩くと、外からハウリア族と森人族が入ってきて、複数の箱を皆の前に置いていく。その中には炭が入っていて、箱の上には網が置かれている。

 

「優花」

「はい。今日は肉を自分で焼いて食べてもらいます。この肉は魔物(モンスター)の肉ですが、特殊な技術で作り上げたタレに漬け込んでいるので、たぶん普通の人でも食べれます」

「たぶんなんですね」

「試食はしたけれど、私は大丈夫だった。ただ、普通の人がもう居ないからわからないの」

「まあ、ここに居るのは全員が魔物(モンスター)の肉を食べても問題ない奴だしな」

「そうだね。美味しければいいよ」

 

 ユーリ、俺、恵里の順で発言する。皿に乗った肉が目の前に置かれていく。見る限りでは美味しそうには見える。見る限りでは、だが。

 

「それと白米を用意してみた」

「おお、白米!」

「お兄ちゃんが食べたそうにしていたので、優先して用意してみました。味はお兄ちゃんの味覚データを利用して作ってあるので、日本の物になりますね」

「大好きだぞユーリ!」

「えへへ~」

「おにぎりもいいね! 作ろうよ!」

「確かにそっちもいいかも」

「私も作ってみようかな」

「お水と塩を用意するね」

 

 鈴や恵里、詩乃達、優花の日本組がおにぎりを用意していくので俺も頼もう。他にも野菜が色々と出てきたので、それらを焼いて皆で食事をしていく。肉は普通に美味しかった。筋もしっかりと切られているし、果物の甘みも染み込んでいた。久しぶりの日本で食べられるような食事は大変美味だった。それに肉の下処理はルサルカが手伝っているのだろうし、後でお礼を言っておこう。

 

 

 楽しい食事が終われば臭いの事もあるので、嫁達を連れて大きい方の露天風呂に移動して優花達に身体を洗ってもらう。俺は俺でリムリとネコネの身体を隅々まで洗う。その後は風呂から出て、馬車の改造案を作る。

 こちらはキャンピングカーを代用して作る。馬は奈落産の魔物(モンスター)、ラプトルモドキを使う。本当はティラノサウルスでも持ってきてもいいが、流石に問題があるだろうしな。そもそも重力魔法を使って重量は軽減するので問題はあるまい。

 美遊と一緒に制作の準備をしていると、髪の毛を乾かして髪形などをしっかりと整えた皆が戻ってきた。皆は寝間着にしているラフな恰好で、肌がかなり露出している。しかし、そんな皆の中でネコネとリムリだけがお姫様としての恰好、正装した状態でうっすら香水もつけている。

 

「私達は自分達の部屋で寝るので、今日はこの二人を可愛がってあげてください」

「いいのか?」

「はい。皆で相談して決めましたから。だから、あまり無茶な事はしないであげてくださいね。明日は全員で相手をしますから、その時にいっぱいしてください」

「わかった」

 

 代表してユーリが伝えてきたので、頷いてからネコネとリムリの双姫を見る。

 

「流石に嫁入り衣装は用意できなかったので、こちらになりましたが……駄目でしょうか?」

「その、すぐに脱ぐので許して欲しいのです」

 

 二人が顔を真っ赤にして、身体を微かに震わせながら伝えてきたので、優しく頭を撫でて抱きしめる。それから二人を優しく持ち上げてベッドへと連れていく。

 

「いいんだよな?」

「はいなのです。私達の全てを旦那様に捧げるのです」

「二人一緒に可愛がってください。それとどれだけ泣き叫んでも、最後までしてください。それさえして頂ければ、お好きなようになさっていただいて構いません」

「いいのか?」

「むしろ、一思いに無理矢理にでもやってくれた方がいいのです。早く慣れた方が楽になるのですよ」

「一応、二人には痛み止めと痛みも楽しめるようになるぐらい強い媚薬を処方しているので、問題ないと思います」

「それはそれで問題ありそうだな」

「あまり強い痛み止めは後々に問題を残す可能性が高いので、こればかりは仕方がありません。効いてくるのにまだしばらくはかかりますので、それだけは気をつけてください。危なくなればこちらの薬を飲ませてください。解毒薬です」

「わかった」

「それではお楽しみください」

 

 アルテナがそれだけ言って出て行った。他の皆も気をきかせて既に居なくなっていたので、三人だけだ。

 

「まずはご奉仕から致しましょうか?」

「そ、そうなのです……」

「いや、その前にキスからだな。しっかりと愛してやるから、安心してくれ」

「はいなのです……んっ」

「わ、私も……」

 

 二人を抱きしめて軽いキスをしてから、舌を絡めていく。二人の震えがなくなるまで口付けをしながら頭や背中を撫でていく。次第に耳を口に咥えたり、尻尾を撫でたりする。二人はそれだけで凄く感じているようで、気持ちよさそうに喘ぎだしていく。

 

 

 

 

 

 

 

*1
古代の東アジアで墨で文字を書くために使われた、短冊状の細長い木の板。

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