ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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第69話

 

 街を直している間にハジメ達が壊滅させようとしていた組織は恵里にも協力してもらってキッチリと始末した。死霊として呼び出して使役し、情報を吐かせて構成員と関わっていた奴を問題ない奴と問題ある奴で振り分けてしっかりきっちりと根こそぎ始末した。

 優しい主人に恵まれて充実した生活を過ごしている者達や本人に落ち度がある借金で奴隷になった一部の連中以外、誘拐など強制的に奴隷にされた者達は回収して俺達の国に送っておく。

 最後は殺した魂をしっかりと俺と恵里でもらい、犠牲になった魂達は鈴が浄化して力に変えたので問題ない。街への被害は全てユーリとハジメに直してもらったし、情報抹消によって霧の中で巨人を見たという目撃は夢かなにかだと思われることになる。

 フューレンに店を用意するための資金は用意したし、組織の資産は恵里が全て合法的に奪い取った。後は人員だが、奴隷になった奴等の一部や殺した中でも商人として有能な奴を蘇らせて使う事にした。

 そうする事でここに残る奴隷達に仕事を与えられるし、裏からフューレンの町を経済的に支配もできる。更に放置していたら湧いてくる裏の連中も俺達が管理運営する事で始末して魂を捧げさせることができるし、大々的に亜人奴隷を買い漁れる。誘拐犯とかも売りに来てくれるだろうし、救助と同時に連中の魂を頂く事で一石二鳥となるとのことだ。

 一応、護衛として森人族とハウリア族の男性と女性のペアを奴隷として配置しておく。どちらもレベル100で彼等の護衛として兎を10匹ほど配置しておけば問題ない。普段はモフモフ喫茶としておけば怪しまれないだろう。更に念を入れてシュテルとディアーチェの分体も配置しておいたので後は任せた。

 

 さて、俺達は始末が終わったのでフューレンから即座に移動した。フューレンに居る必要はなくなったからだ。その移動中に一泊して幼女桜……キングプロテアと色々とした。彼女の体内、女体の神秘探検ツアーだ。アブノーマルで色々と凄かったとだけ言っておく。

 そんな日を過ごして俺とハジメ達は無事に宿場町であるホルアドまで戻ってきた。このホルアドはオルクス大迷宮への入口がある場所だ。つまり、俺とハジメ達が落ちた場所に戻ってきた事を意味する。

 

「お兄ちゃん、やっと戻ってこれましたね」

「そうだな。といっても、俺はルサルカと一度戻ってきているんだが……」

「むぅ、ずるいです。デートしたんですよね?」

「ユーリともするよ」

「はい。絶対ですからね!」

 

 ユーリの頭を撫でてから彼女を抱き寄せ肩車する。ユーリは俺の頭に手を置いてぽふぽふと軽く叩いてくる。すると隣に首輪に手枷足枷を嵌め、桃色のワンピースを着た紫色の長い髪の毛を靡かせてキングプロテアが腕に抱き着いてくる。反対側には詩乃がきて俺の腕を抱いてきた。

 

「どうした?」

「視線が鬱陶しい」

「……潰していいのなら……言ってください……ぐちゃってします……」

「しなくていい。ユーリ、バランスを取れるか?」

「大丈夫です」

 

 ユーリは俺の頭を太股でしっかりと挟みながら、手も使って落ちないようにした。キングプロテアは包帯と手枷足枷、首輪を付けた容姿端麗な幼女という事で凄い見られる。詩乃は綺麗な亜人の少女という事でこちらもキングプロテア同様に見られている。ユーリも同じだな。そんなわけで俺にも当然のように視線が集まってくる。更に後ろに居る面々も視線を集めているのは間違いない。

 

「ホルアドよ、鈴は帰ってきた~!」

「色々と大変だったね」

「そうだね」

 

 鈴と恵里、優花も色々と思うところはあるようだ。優花は俺達とは別口だが、思う事は一緒だろう。ハジメの方を見ればミュウを肩車して隣にユエとシアを侍らせている。その後ろにはティオがいた。

 

「そっちはこれからどうするんだ? 俺達はフューレンの支部長から預かった手紙を持ってギルドに行くが……」

「とりあえずこっちは宿の確保だな。安全な寝床の確保はモチベーションにも影響する」

「確かに。ハジメ、私達の分も頼んでおこう」

「ユエの言う通りだな。沙条、頼めるか?」

「わかった。そっちは二部屋か?」

「うん。ハジメと私。シアとティオ」

「嫌です! 私もハジメさんと一緒がいいです!」

「我もじゃ!」

「ミュウも~!」

「なら、五人部屋にしておく。こっちも似たような物だしな」

「あ~まあ、それで頼む」

 

 ハジメ達と落ち合う時間を決めてから、ホルアドで一番高い高級宿を選ぶために移動するのだが、すぐに俺達の前に立ち塞がる奴が居る。ここで悪徳貴族の登場かと思ったら、俺の腹に飛び込んで頭をぐりぐりと擦りつけてくるその相手は八歳くらいの幼い少女だ。

 

「お待ちしておりました。既に歓迎の準備は整っております。どうぞこちらに」

「ありがとうございます。シュテル」

 

 そう、立ち塞がったのはシュテルだ。それも本来の姿であり、高町なのはと瓜二つの姿という事になる。

 

「シュテるんだ~」

「鈴もお久しぶりです」

 

 シュテルをキングプロテアに紹介して、互いに自己紹介させてから移動する。途中で気になった屋台の食べ物を買ったり、小物を買ったりして皆で楽しみながらシュテルの用意した宿に入っていく。

 シュテルの用意した宿は他が二階建てだというのに三階建ての大きな宿だった。一階が店舗を兼ねたフロントとなっており、二階と三階が客室のようだ。

 

「……小さくてかわいいです……」

「え、大きいですよ?」

「私より、小さいです」

「そりゃ、まあな」

 

 キングプロテアは最低で30メートルであり、建物は三階建てでも10メートルはいかない。そんなわけでキングプロテアからしたら小さくて可愛らしいお家となるのだろう。

 

「早く入るわよ。ここに居たくない」

「僕もゆっくりしたいかな」

「鈴は……」

「あ、鈴さんはお店に結界をお願いしますね」

「鈴だけお仕事!?」

「結界師の宿命だな。後でご褒美に何かしてやるから頑張ってくれ」

「うん、それなら頑張るよ~。張り切ってプロプロが殴っても一度は耐えられるようにするね!」

 

 どうやら鈴としては少しは対抗意識を燃やしているみたいだ。すぐに店の周りを移動して結界の基点となる術式を刻んでいく。

 

「ヘイゼル、悪いが鈴の護衛を頼む」

「了解」

 

 流石に一人で居させると心配なので優花、ヘイゼルをつける。詩乃達を部屋に送り届けたら、俺も合流して鈴を見守ればいい。

 

『念の為、美遊は鈴達にサーチャーを飛ばしておいてくれ』

『わかりました。私の方でも警戒はしておきますね』

『頼む』

 

 シュテルの案内で宿の中に入り、チェックインする。部屋は五人部屋を一つと十人部屋を二つ借りる。一つは相談用として会って話す為の部屋だ。それぞれの部屋でそういう行為をするだろうし、他人に入ってこられるのは好ましくない。

 

「食事は一階の食堂かそれぞれの部屋、中庭で取れるようになっております。また岩盤をくり貫いて作った洞窟風呂などもございますのでお楽しみください」

「お風呂! 入ってきていい!」

「先に皆で入ってきてくれ。俺は鈴を見てるから」

「それなら交代で入ろっか。僕は鈴と入るから、ユーリは詩乃と入っておいで」

「プロテアちゃんはどうしますか?」

「……私はマスターと、一緒がいい……」

「私もそうですけど……」

「残念ながら混浴ではありませんので別々ですよ」

「あうっ。それを早く言ってください」

「従業員も居ますから混浴はできません。そっちは自宅でどうぞ」

 

 シュテルの言う通りなので、混浴は諦めてユーリは詩乃と一緒に入る事になった。鈴は恵里と一緒で、優花にキングプロテアを任せる。俺は一人で入ることになるが、まあ脳内に美遊がいるから実質混浴みたいなものだ。

 シュテルがユーリと詩乃を連れて部屋から出る。恵里はベッドにダイブしてゴロゴロしだしたので、俺は外に出る。キングプロテアがてくてくと後ろをついてくるので手を繋いで外に移動し、鈴を見守る事にした。

 しばらく待っていると、ハジメ達がやってきた。そこに遠藤まで連れているのは少し驚いたが、それよりも驚いたのは奈落で魔人族が現れ、更に別の勢力まで現れて三つ巴のような状況になっているらしい。

 

「天之河達だけなら放置してもいいんだが、白崎や八重樫も居るらしいから助けに行く。お前はどうする?」

「あ~ユーリ達は今風呂に行ってるんだよな……」

 

 現在動かせる戦力は俺+美遊と鈴、恵里、キングプロテア。シュテル。それとハジメ達か。余裕じゃねえか。そもそも場所がオルクスならいくらでも手の打ちようはある。

 

「鈴はいくよ! かおりんやしずしずが心配だしね!」

「恵里は……」

「あ~僕はパス」

 

 窓を開けて顔を出している恵里が答えた。どうやら聞いていたみたいだ。

 

「正直過剰戦力だし、僕はここでまったりしながらユーリ達と待ってるよ。連中には興味もないしね」

「じゃあ、皆に伝えといてね、えりえり」

「任せて。それとここの護衛はしっかりとやっておくから心配はいらないよ」

「わかった。じゃあ、俺と鈴、プロテアで行くとして、ヘイゼルは……」

「私は行く」

「お前は止めておけ。檜山がいるらしい」

 

 そう言った瞬間、ヘイゼルの姿が掻き消えた。跡形もなく。

 

「ヤバイぞ!」

「今すぐ追うぞ!」

「え? ちょっと待ってくれ!」

 

 俺達はすぐにオルクスへと向けて走り出す。ヘイゼルが、優花がつく前に到着しないと惨殺現場になる可能性が高い。檜山だけならどうでもいいが、今の優花なら邪魔をしたら白崎達だって殺しかねない。俺達が近くに居たら自制してくれるか、無理矢理にでも止める事はできるだろう。

 

「いってらっしゃい~」

 

 恵里が窓から手を振りながらニヤニヤして見ていた。もしかしたら、優花を焚きつけたのかもしれない。恵里にとって他の連中よりも家族になった優花の方が何倍も大事だろうし、他はどうでもいい存在なのだろう、故に優花の感情を優先しても何も可笑しくはない。

 

 

 

 

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