青色の雷によって作られた数百メートルを超える巨大な剣が振り下ろされる。それに対して俺は更に限界突破を重ねながら対抗として無数の光の剣を生み出て衝突させる。
二つの力が激突した衝撃で巻き起こった爆発を利用して後ろに下がろうとすると嫌な予感がしたので、逆に突っ込む。そのために吹き飛ばされてから地面に足がついた瞬間、足裏を爆発させて前に突き進む。
するとその直後、空から無数の炎弾が降り注ぎ、極大の火柱が現れる。だが、気にせず特攻すると、目の前にアイツが手をこちらにかざしていた。その周りには無数の青色の雷球が浮かんでおり、手を振り下ろすと同時にそこから無数の雷が俺に向かって放たれる。
光の速度であるそれを避ける事はできない。だが、不思議と問題ないと思えるのでそのまま突き進む。雷が命中するが、多少痺れるのと眩しい程度で問題はない。そういえば魔法で受けるダメージがかなり、減っている気もする。これも女神様のお蔭だろう。
「抗魔力が格段に上がっているのか……」
接近して光の剣で斬り裂こうとするが、奴の身体に到達する前に赤い菱形のような壁に防がれる。力を込めて押し込もうとするが、ビクともしない。やはり聖剣が必要だろう。
「俺の聖剣を返すんだ。聖剣はお前では使えないぞ!」
言いながら高速で光の剣を同じ個所に振るって少しでもバリアを破壊するための努力を行うが、弾かれてばかりで傷すらついていない。
「わかっている。だが、返すつもりはない。戦いの場で相手に武器を奪われた物が戻ってくる事はない。バリアバースト」
「っ!?」
鉄壁の防御を誇るバリアが内側から爆発した。それにより発生した爆風と衝撃により互いに吹き飛ばされ、距離を取らされる。しかし、これはチャンスでもある。
「神の慈悲よ。この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!」
光の剣から光弾を発生させて放つが、奴はそれを再展開されたバリアを使って弾き飛ばした。同時に無数の数えるのも馬鹿になるぐらいの魔弾が弾幕として放たれてくる。更に矛先が開いた槍をこちらに向けて魔法を放つ準備をしているのが見えた。
「くそっ!」
どうすればいいのか、判断が付かない。だが、ここで負ける事はできない。だから、更に限界突破を重ねる!
「限界突破!」
ステータスを更に三倍にあげ続ける。五回の限界突破を兼ねる事でステータスを1,944,000まで上昇させる。すると不思議な事が起こった。目の前の世界がゆっくりと流れて自分と同じ姿をした者が弾幕の中を進んでいく姿が見えた。それが自分が理想の動きをしている事が理解できた。
だから、その行動に従って突き進むと無傷で通り抜けられた。しかし、近付いたとしてもバリアによって防がれる。強化に強化を重ねたステータスを使って作り出した光の剣は剣速だけで鎌鼬と突風を発生させる。それほどの一撃を持ってしても奴のバリアはビクともしない。
何度も何度も斬るが、バリアを完全に破壊する前に即座に再生して再展開してくる。そして、爆破によって巻き戻される。それの繰り返しだ。アイツは俺の速度に反応できてないが、全方向を攻撃してくるので関係がないと言いたげだ。ましてや見学者の方にも攻撃が飛んで行っている。だからその攻撃を迎撃するために動き回らないといけない。
「諦めろ。お前の攻撃力ではこの防御を突破できない」
「まだだっ!」
諦めない。諦めるわけにはいかない! 俺は勇者だ。皆を守り、助けて導く者。だからこそなんとしても諦めない!
『その心意気を認めましょう。新たな力を授けます』
声が聞こえると同時に激しい頭痛が襲ってくる。そのため、距離を自分から取って頭を抱える。少しして頭痛が納まると、何をしたらいいのか理解できた。
剣だ。やはり、聖剣が必要だ。それもより強力な奴だ。理想の自分が持つ世界最強の聖剣だ。
『ならば授けましょう』
女神様の言葉と空間が歪むと同時に奪われた聖剣が出現する。俺は聖剣を手にとって女神様に教えられた通りの魔術を行使する。
構成された材質を複製し、製作に及ぶ技術を模倣し、成長に至る経験に共感し、蓄積された年月を再現して聖剣に置換する。
「『
女神様から与えられた知識と技術を使い、より
「行くぞっ!」
「来い」
聖剣を握りしめ、魔力を注ぎ込みながら上段へと構える。そして、頭に浮かんできた聖句を唱えていく。
「───束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。受けるが良い!
天を貫く極光の剣をアイツを切断するべく、振り下ろす。アイツが展開しているバリアと少しの間凌ぎ合う。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「やれ天之河!」
「光輝やっちまえ!」
「お願いっ!」
クラスメイトや皆の応援を受けながら、更に魔力を注ぎ込む。拮抗していたバリアは砕け、そのまま奴を斬り裂く。アイツは体勢を微かに変えて両手で受け止めるが、すぐに身体を動かして射線から身体をずらした。これによって奴の腕を切断してその背後にある岸壁を粉砕して遥か彼方まで穴を開ける。
「まだだぁぁっ!」
同様してバリアが再展開できない間に魔力爆発を使いながら音を置き去りにして突撃し、奴を殴り飛ばす。何度も地面をバウンドしているところを上から馬乗りになり、聖剣を首にあてる。
「俺の勝ちだッ!!」
「そうだな。俺の負けだ」
「勝者。勇者、天之河光輝!」
「「「ウォォォォォォォォッ!」」」
皆が喜ぶ中、俺は奴を見下ろしながら告げる。
「さあ、俺の勝ちだ! 彼女達を解放しろ」
「いいだろう。だが、その前に退け」
「ああ、すまない。治療もしないとな」
言われた通りに退くと、勝った事で気が抜けたのか、フラフラと聖剣を地面に突き刺しながらしゃがみ込む。そこに助けた彼女達が駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん! 大丈夫ですか!」
「問題ない」
ユーリちゃんや彼女達は何故か、俺の方ではなく、アイツの方へと心配そうにいった。いや、そんなはずはない。彼女達は優しいからだ。
「止血しますね」
「必要ない。すでに血は止めたからな」
アイツが立ち上がり、こちらを見ながらニヤリを笑う。それを見て嫌な予感がした。
「契約に従い、この場に居る奴隷を解放する。立会いは教皇イシュタルで問題ないな?」
「もちろんだ」
「ええ、問題ありません」
「隷属契約を解除する。
掌を彼女達に向けて魔法を発動する。すると彼女達に施された首輪が紫色の髪の毛をした幼い少女を除いて解除された。
「これで君達は自由──」
「では、再契約を行う」
「──なっ!?」
アイツは即座に魔法を発動させてから彼女達に首輪を嵌め直しやがった。
「何をしているんだっ!」
「何を怒っている? こちらは契約通りに一度彼女達を奴隷から解放し、再度奴隷にしただけだ。ルール上、何の問題もない」
「ふざけるなっ!」
「困りますな。彼女達はこちらに引き渡してもらわないと」
「そうだ!」
「断る。この子達は俺の女だ。お前達にくれてやる必要はない。まあ、魔人族の首を百人単位で持ってきたら考えてやる。それがエヒト様の教えに従うということだからな」
「イシュタルさん! このような事を認めていいのですか!」
「認める認めないではない。そもそも契約は順守されているのだからな」
「そうそう、つまり無駄な事に馬鹿みたいに熱くなって、無駄に身体をボロボロにしただけってわけだ」
恵里が楽しそうにこちらに向かって言ってくる。その言葉に今回の戦いを振り返る。アレだけ無茶をしたというのに全てが無駄だというのか?
「ゆ、ユーリはこちらに引き渡してもらいます!」
「ふむ。ランデル殿下か。ユーリ、どうしたい?」
「私は大好きなお兄ちゃんと一緒にいます」
「そうか。そういう事なので断る」
「王族としてのめい──」
「駄目ですよ、ランデル」
「──お姉様! なんでですか!」
「いいえ、構いません。ランデル殿下の言う通りです。彼女にはこちらで色々と作ってもらわないといけません」
イシュタルさんの言葉通り、確かに彼女の技術力ならより多くの人を救える。こんな嘘つきの奴にいいように使われるのは絶対に駄目だ。
「物作りなら我々の下でしっかりとやってくれている。この武器も彼女達の作品だからな」
「でしたら、尚更こちらに渡してもらいましょう」
「断ると言っている。お前達の所には必要ないだろう? 何せ前線にも出ない腰抜けや神の啓示を守らん不届き者ばかりだしな?」
「それは我々、聖神教会への侮辱ととりますが?」
「こちらは事実を言っているだけだ。エヒト様は魔人族を滅ぼせとおっしゃっている。だというのに貴様等は前線に出ずに何をやっている?」
「それは……」
「祈りを捧げているとか、治安維持とか言うなよ? 祈りなんて魔族を殺しながらできるし、むしろ必要なのは前線だ。治安維持などこの国の騎士の役目だ。神託はすでに下されているんだ。だったらここでやる事などない。精々、信者の話や施設の管理か? だが、そんなものは神官共にやらせておけばいい。そこの所はどうなのかな?」
「確かにそうだよね。なんでここに居るの?」
「前線で治療したり、防御魔法を使ったり、いっぱい仕事があるよね? 私達の教育だってメルド団長に丸投げだったし」
俺達の視線はイシュタルさんを見る。イシュタルさんはニコニコしながらアイツを見詰めていた。
「ええ、もちろん私共も勇者様達と共に戦場へ出ますとも。ですが、その前に勇者様を育てよとの神託を頂きましたので、これはエヒト様のご意思でございます」
「それを証明できるか?」
「証明は私の発言こそが証明になりましょう。教皇なのですから」
「話にならんな。エヒト様の神託が事実である証拠が一切ないではないか」
「エヒト様のお言葉を疑うと?」
「いいや、アンタの言葉を疑っているだけで、エヒト様のお言葉は疑っていない」
「なるほど、どうやら貴方は異端者のようだ」
「それはこちらの台詞だな。エヒト様の名を騙る大罪人が」
「この私を大罪人とは……」
「信じて欲しければさっさと魔族を滅ぼせ」
「その為に彼女達が必要なのですが?」
「彼女達は前線で働いてもらう。故に後方に必要はない」
言い合いが続いていく中、だんだんと体力が回復してきた。周りを確認すると、一触即発の雰囲気に騎士や神官の人達が武器を構えている。だが、アイツは堂々と片腕のまま言い合っている。まるでなんて事はないかのように。リリアーナだけが、顔色を悪くしているが、何かあったのだろうか? それに随分と人が増えている。
「では、どうあっても彼女達は渡さないと?」
「ああ、そうだ。なんならもう一度決闘でもしてみるか? 言っておくが、今度は勇者の物じゃないから問題ないという抜け道を用意なんてしないぞ。アレを許したのはこちらも再契約できるからだ。それを潰すのであれば互いに同じ条件だ。そうだな。この場に居る全ての女を賭けてやり合うか?」
「先程勇者様に負けておきながらそうおっしゃるのですか?」
「ああ、もちろんだ。遊びは終わりだ」
「待て! さっきの戦いが遊びだと!」
「お兄ちゃんは全力で戦っていませんでしたね」
「流石に勇者様の顔を立てるぐらいの事はしてやったという事だ」
「ふざけるなっ! いいだろう! だったらもう一度だ! 俺は何度だって勝ってやる!」
「いいでしょう。では、もう一度決闘といきましょう。異端者を滅ぼすのにはすぎた事かもしれませんが」
「大罪人が何をほざく」
「それこそ間違いです。
「……ばれたか。流石は年の功か。ああ、そうだな。俺が信仰している神は別だ。だが、エヒトには感謝している。これは事実だ。何せこの世界でユーリ達と出会う機会を与えてくれたんだからな。その点は大いに感謝している。ありがとう!」
堂々と宣言するという事は、本当にエヒトを信じていないという事なのか? だったら、あの時に自害していった彼等はどうして死ななくてはいけなかったんだ?
「何故、あの時……彼等を死ぬように誘導した……?」
「決まっている。鬱陶しくて邪魔だったからだ。お前が要らない事をしなければ彼等は死ななくて済んだ。俺達の目的はあくまでも奴隷や人材を会得する事だからな」
「なんだそれは! 人の命をなんだと思ってるんだ!」
「「食い物/リソース」」
恵里とアイツの言葉に俺達は信じられない者を見るような視線を向ける。
「恵里、食い物はないだろう?」
「いやいや、食い物だって。生きとし生ける者は等しく僕達の食い物だろう?」
「まあ、間違ってはいないがな」
「マスター、私達を食べるのですか?」
「ああ、性的になら食べる」
「きゃ~」
本当に人の事をなんとも思っていないだと分かった。何故こんなにも恵里は変わってしまったんだ。
「何故だ。恵里はこんな事を言う子じゃなかった……」
「恵里、いったいどうしたの……?」
「どうやら、洗脳されているのかもしれませんね。異端者として滅ぼしましょう」
「へえ、そちらがお望みなのは決闘ではなく、全面戦争か? 今一度問うぞ。ルール有りの決闘かルール無用の全面戦争か?」
「決闘です!」
リリアーナの声が響き、俺達は全員がそちらを見る。どういうつもりか。彼女は雫と共にこちらへとやってきた。
「どういうつもりですかな?」
「そちらこそどういうつもりですか? 先程の戦いを見れば彼が広域殲滅に優れている事がわかるはずです。ホルアドと王都が近い所で戦うなど民間人に多数の被害がでます。断じてそれは認められません」
「民も聖戦の必要な犠牲となるのなら本望でしょう」
「それで帝国とも戦争するのですか? それこそ本末転倒でしょう。彼は魔人族と戦うとは言ってくれているのです。でしたら、その通り戦ってもらえばいいのです。王族として無用な被害を出すような事は認められません」
「……魔人族を排除した後でなら、構わないと?」
「場所さえ選んでいただければ問題ありません」
「なるほど。ですが、姫様のお言葉といえども認められませんね」
「そうですお姉様! コイツを殺してユーリを取り返す……いえ、救うのです」
「私は救われていますよ? 何を言っているんですか?」
「洗脳されているんですね。必ず僕が救ってみせます!」
「……えっと、お兄ちゃん……」
「無視しろ。で、どっちだ? 決闘なら俺が相手をしよう。だが、全面戦争なら全員で戦う事になる」
「……なら、決闘だ!」
「勇者様?」
「イシュタルさん。流石にコイツと戦うとなると被害が出過ぎます。だから、決闘でお願いします!」
「皆様はそれでよろしいのですか?」
イシュタルさんが俺達を見る。俺は頷くが他のクラスメイト達は頷いてくれない。
「どうしたんだみんな!」
「ねえ、決闘するとなると景品はどうなるの? また私達が賭けられるの?」
「そういう事だな。こちらも女性を全員賭けるから、そちらも全員を賭けてもらうことになる」
「い、いやよ!」
「そ、そうよ!」
「では、勝利した方が四人選ぶということでどうだ? それなら高確率で助かるだろうよ。何せ神官や騎士の中にも女は居るのだからな」
それからの話し合いで俺達は改めて決闘をする事になった。だが、先も勝てたのだからもう一度勝つ事は可能だろう──
「始め!」
「行くぞ!」
「殺れ、キングプロテア」
「は~い!」
──そう思っていたら横合いから思いっきり殴られた。すぐに身構えてそちらを見ると紫色の髪の毛をした小さな少女が立っていた。彼女がつけられた枷が全て解除されていてその身体がどんどん膨れ上がっていく。その肩にアイツが飛びのる。
「さあ、ここからは天職ありでお相手しよう。なに、そちらが勇者としての力を使っているのだから卑怯とは言うまいな?」
「いや、卑怯だろ! 一対一じゃないのか!」
「一対一だろう? 彼女は俺が召喚した使い魔だ。故に俺の力だ。お前が魔法を使うのと同じだ」
「ふざけるなっ! こんな事認められるか!」
「この程度認めろよ。勇者だろ? 本当に人としてもちっちぇな。器が知れるぞ」
「いや、アンタも大概でしょうが」
「というか、絶対に言いたいだけだよね?」
「だね~」
「えっとどっかで聞いた台詞とシチュエーション……あ、シャーマンキングだったかな?」
「知ってるの、真央?」
「うん……多分だけど……もしかして……生きてたんだ」
くそっ! 何が小さいだ! 二人で来た時点でそっちの方が問題だろう!
「これは我々も参戦します!」
「決闘だぞ?」
「義によって助太刀いたしますぞ!」
「ああ、それがあったな。よろしい。ならば遊んでやる。精々、我を楽しませよ、塵共」
「えい♪」
振り上げられた拳が振り下ろされる。それだけで地面は数十メートルのクレーターが生まれて数十人が消し飛んだ。同時にどんどん巨大化していく。俺は全力で抗い必ず勝利を掴む!
『いや、無理だから逃げなさい。相手は複数の女神を合成した神格持ちなの』
そんな女神様! 俺にもっと力をください!
『これ以上の力は現状だと身体が崩壊するから無理です。今は逃げて力を溜めるのです。まあ、殺されないとは思うので戦うのもありですが……力の追加はなしです』
くっ、俺は諦めない! 絶対に勝利を掴む!
「義によって助太刀か。なら、私も参加していいよね?」
「もちろんそうだね。僕も楽しもうか」
「なら、私も殺る」
「いや、アンタが参加するのは駄目じゃない? いや、檜山を殺さないならいいけど?」
「とりあえず手足を斬ってくる」
「それぐらいならまあ、いいかも?」
「いいんじゃないかな~? 鈴はここでのんびりしてるよ」
「私はお兄ちゃんを守ってきますね」
「いってらっしゃい~というわけで、戦わない人は鈴の近くにおいでね~じゃないと死ぬから~」
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォッ!!」
プチッ
本気モード
ユーリ入り、キングプロテア。上空から詩乃の援護射撃。普通に勝てる奴はすくないの。
地上ではヘイゼルと恵里による虐殺がなくてもね?
エクスカリバーは偽物です。愛歌様が作ったなんちゃってエクスカリバー。本物よりランクは劣ります騎士王の記憶や技術などを利用して聖剣に投影と置換を行い、聖剣に宿る精霊(?)に愛歌様の一部を付与して再現。FateでいうAかBはある聖剣。聖剣? 魔剣? むしろ邪剣?