ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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第76話

 

 

 

 

 

「え~いっ! プロテア~パ~ンチ!」

 

 キングプロテアが四つん這いになりながら地面に拳を叩き込む。それによって陥没し、数百メートルのクレーターが作成される。着弾した地面から吹き飛ばされた土砂は周りに散弾として広がり、爆心地以外に居た連中を強打していく。

 

「がはぁっ!?」

「あぎぃっ!?」

「ひぎぃっ!?」

 

 吹き飛ばされただけで大怪我や死んだ者達も居る。そのはずだったのだが、天之河が高速で動き回って散弾となった土砂を防ぎながら吹き飛ばされた神官や騎士団の者達を救助した。

 しかし、それでも直接攻撃を受けた場所に居た者達はただの赤い染みへと変化している。キングプロテアが拳を退けた場所には生命は存在せず、ただ地面から水が出てきただけだ。

 

「彼等を殺したのか!」

「これは決闘だ。死にたくなければ降伏するのだな」

 

 天之河と話している間もキングプロテアは止まらない。恐怖に震えながらも「エヒト様の為に!」と声を上げながら攻撃魔法を放ってくる神官達や武器を片手に突撃してくる騎士達。

 

「待て!」

「待つんだ!」

 

 メルド団長と天之河の言葉を無視して突撃した者達の一人をキングプロテアは掴んで握り潰す。もう片方の地面についていた手を攻撃した奴等の攻撃では傷一つつかない。手が空いたキングプロテアは一人を掴んで持ち上げて口を開けながら指を離す。当然のように口の中に落ちた騎士は鎧ごと食べられた。

 

「プロテア、拾い食いは止めよ」

「は~い! じゃあ、潰すね。えいっ! えいっ!」

 

 やってる事は子供が蟻とかを無邪気に殺して遊んでいるのと同じだ。巨人であるキングプロテアにとって只人などそのような存在でしかないだろう。そもそも複合女神である彼女にとってはそれが普通の事であるのかもしれない。

 

「マジかよ……」

「こ、殺される……」

「こんなの勝てるわけないだろ!」

「む、無理よ」

「いや、まだだ! 行くぞっ! 龍太郎!」

「ああ、やってやる!」

 

 クラスメイト達の中から、天之河が龍太郎と共に突撃してくる。俺はそれを見ながらユーリと美遊の二人と共にキングプロテアの頭の横に浮かびながら見上げる。

 

『我が軍は圧倒的ですね』

『無理もないよ。だって、女神様が相手なんだから……』

『神格持ちには普通は敵わないからな』

『私は勝てますよ?』

『ユーリは別だ。大天使だからな』

『えへへ~』

 

 話している最中、ふと神官達の方を見ると彼等の間を高速で動く影があり、その影が通った後にはポンポンと首が飛んでいた。そう、首。生首である。血柱が立ち上り、神官達が恐怖に戦慄する中、その影はどんどん殺していく。

 

『アレは優花さんですね』

『私にも見えました。刀と短剣で戦っていますね』

『解体しまくってるな』

 

 彼女に抵抗しようと魔法を放つも、すでに内部に入り込んでいるので単体攻撃しかできない。しかし、命中する前には既にその場所には居らず、代わりにその攻撃に周りの神官を蹴り飛ばしたり、投げ飛ばしたりして同士討ちをさせてもいる。更に連中にとって最悪なのは優花は恵里と組んで行動している事だ。

 

「なんとしても止めるのです! 範囲攻撃で一掃しなさい!」

「ですが、それでは味方ごと……」

「構いません! 彼等も納得してくれます! 全てはエヒト様の為に!」

「エヒト様の為に!」

 

 イシュタルの命令によって味方を気にせず範囲攻撃を放つ。優花は即座に後退してその場から離脱する。そこで気を良くしたイシュタル達は優花を狙って攻撃魔法を乱射していく。しかし、そこに生首だけになった物が突如動きだして神官の首に噛みついてくる。

 

「ひぃぃぃっ!」

「アンデットっ! 死霊術師ですか! 浄化魔法を使いなさい! 聖なる光よ、不浄なる者達を……」

 

 ターンアンデットなど死者に効果がある魔法攻撃を行って浄化していくが、そこら中に死体が存在している。ソイツ等も起き上がって生きる者達を襲い掛かっていく。もちろん、噛まれらたら感染して即座にゾンビ化するようだ。

 

「助太刀するぞ!」

「はっ!」

 

 騎士団が横から突入してアンデット達を攻撃していくが、殺せないので即座にイシュタル達が騎士団に支援魔法を飛ばして殺せるようにしていく。

 

「全ての邪悪をここに! これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮──―吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)!」

 

 恵里が黒い竜の紋章が刻まれた旗を地面に突き刺しながらジャンヌ・ダルク・オルタの宝具を発動させる。敵全体に地獄の業火をお見舞いし、呪いと共に強化無効を付与する。これは自身と周囲の怨念を魔力変換して焚きつけ、相手の不正や汚濁、独善を骨の髄まで燃やし尽くす怖い宝具だ。神官達の一部は良く燃えている。

 

「神敵を通さず! 聖絶!」

 

 神官達が聖絶を展開して防ぐが、その中に優花が入り込んでいて虐殺パーティーが開催された。外は地獄の業火で中は殺人鬼と暗殺者のハイブリッドによる惨殺。外も内も地獄だ。

 

「龍太郎ぉぉぉぉぉっ!」

 

 天之河の避け声にそちらを向くと、龍太郎がキングプロテアに捕まれて腕を折られていた。よくよく見ればキングプロテアの周りには手足がなかったり、ありえない方向にねじ曲がっていたりする騎士や神官達が居た。天之河は全力で攻撃しているが、微かに傷がつく程度だ。それすらも瞬時に回復しているので意味がない。

 

「マスターを悪く言ったいけない人にはお仕置きです。貴方は他人が傷つけられた方が辛いんですよね?」

「やめろぉぉぉぉぉっ!」

「くそっ、なんて怪力だっ!」

『人形遊びですか……?』

『惨いね……』

「ストップだ」

 

 確かに惨いのでキングプロテアの頬に触れながら止めると、ピタリと止まってくれた。ただ、にぎにぎは止めていないので、龍太郎の身体が軋んで全身の骨に罅などは入っているだろう。

 

「降参するか?」

「それはできない!」

「なら、彼は死ぬ事になるが?」

「ぐっ……しかし、そうなれば彼女達がお前の犠牲になる!」

「そうだな。だから選べ。彼か彼女達か」

「できるわけないだろう! それに俺は負けない! 卑怯だぞ! 正々堂々と一対一で勝負しろ!」

「一対一か。召喚士である俺が勇者と一対一? そんなの受ける訳ないだろう……いや、そうだな。いいだろう。だが、掛金は増やしてもらおう! 貰う人数の撤廃だ。それで勝負しようじゃないか!」

「ふざけるなっ! これだけ被害を出していて……」

「そうだ。お前の我儘で出した被害だ。こちらはそもそも決闘などする気がなかったのだからな?」

『嘘です。途中からノリノリになりましたよね』

『です』

 

 色々と言われているが、天之河を見ながら決断を迫る。

 

「いいでしょう。その勝負、受けます」

 

 天之河以外の声が聞こえて、そちらに振り向くとそこには金髪碧眼の美少年であるランデル殿下が居た。彼は周りの制止を振り切って普通にこちらにやってきていた。その表情に一切の感情が存在していない。

 

「勇者ではなく、私が受けましょう」

「何を言っているんだ! 君に勝てるはずがないだろう!」

「いいえ、私なら勝てます。どうですか? 私が勝てば貴方とユーリ・エーベルヴァインを頂きます。そちらが勝てば先程の条件通りで構いませんよ」

「……」

『お兄ちゃん、このランデル殿下は変です。まるで別人です』

『操られているのかもしれない。これは私と同じ? いえ、後天的に無理矢理した……?』

 

 美遊と同じとなると、巫女という事なのかもしれない。いや、違うか。器として同じという事なのかもしれない。そうなると相手が誰なのか見えてくる。それにユーリを狙っている理由もなんとなく検討もついてきた。

 

『大穴で愛歌が関わっているという事もありえるが……』

『私じゃないわよ。だって、もう予定の値は過ぎたもの。戦うなって言ってるのに聞かないし、ここでは関わらないから好きになさい。殺すのは駄目だからね。それと受けてから召喚するタイミングは13分54秒25にしなさい。触媒は貴方の斬られた腕とその辺にうようよしている怨霊と死体。これで貴方は私に感謝するでしょう』

『了解。そのお礼は確かに受け取っておく。美遊とユーリはサポートを頼む』

『『了解(です)』』

 

 愛歌の方からも許可とお礼を得るために受けよう。そう、お礼だ。時間と触媒まで指定してきたのだから何か俺が嬉しい物が召喚されるのだろう。ボーナスステージ(ガチャ)の予感がする! 

 

「いいだろう。その勝負を受けよう」

「待て! 待つんだ!」

「ランデル! 何を考えているのですか!」

「お姉様、邪魔をしないでくれないかな? これはエヒト様の導きなんだから」

「っ!? ど、どうしたの? 一体何が……」

「姉であるリリアーナになんて事を言うんだ!」

 

 天之河がランデルの腕を掴むが、その次の瞬間には吹き飛ばされた。彼の背中には天使の翼が現れており、身体中に幾何学模様のような物が浮かび出してきていた。

 

「では、始めようか」

「いいだろう。だが、その前にプロテア、邪魔な奴等を退けよう。準備は必要だろう?」

「ああ、そうですね。ですが、私は気にしませんので景品を守るつもりなら急いでくださいね?」

「もちろんだ」

 

 指示して急いで生きている連中を全て鈴の結界へと入れる。俺自身は召喚用の魔法陣を作り、触媒を用意していく。相手のランデルも同じで、彼は空に広大な魔法陣を展開する。彼の身体からは負荷によって血飛沫が出ているが気にもしていない。

 

「神により与えられし聖名、フュンフの真名により、聖戦を宣言する。時、来たれり。開け、天国への門(ヘブンズゲート)

 

 巨大な門が魔法陣から現れて門が開かれる。そこから大量の天使が出てきた。

 

『これは神の使徒で確定』

『そもそもキングプロテアを地上で展開したら気付かれてもおかしくないですよね……』

『神格持ちだもんな……情報隠蔽があったとしても誤魔化しきれなかったか』

『怪しいとは感じていたのかもしれませんね』

『調査するために権力者を利用したら、鴨が葱を背負って来たってところかな、うん』

『まあ、こちらにとっても同じなんだがな』

『だね。よし、マスター。全力で刈り取ろう。お兄ちゃんを召喚するための素材取りの時間だよ』

 

 かなりハイテンションになったのか、敬語が完全に抜け落ちている。まあ、これはこれでいい。美遊の言う通り、素材取りの時間だ。

 

「ユーリ、美遊。やるぞ」

「私達はどうする?」

 

 詩乃が空を飛びながらこちらにやってきた。

 

「ルール上は召喚獣なら問題ないはずだ。だから、恵里と鈴、ヘイゼルは無理でも詩乃は参加できる。援護射撃をしてくれ」

「わかった」

「マスター、私はどうしますか?」

「プロテアは好きなだけ食べていいぞ。入れ食い状態だからな」

「任せてください!」

 

 あちらも布陣が完了したのか、こちらにやってきた。

 

「準備はよろしいですか? 降伏するのなら今の内ですが……」

「そちらこそ、いいのか?」

「ええ、構いません。エヒト様以外の神など異界の者とはいえ認められませんから」

「いいだろう。では開始はそちらが戻ってから開始だ」

「了解しました。では、良き闘争を」

「そちらこそ」

 

 あちらが移動してから、こちらも神喰を出してチャージしておく。地上の事など気にしない全力の殺し合いだ。互いの召喚獣同士のぶつかり合いになるが、どうなるかはわからない。だが、天之河よりも強いだろう。

 

「「攻撃開始!」」

 

 数百を超える天使から一斉に攻撃魔法が放たれる。こちらは神喰からスターライトブレイカーを放って相殺する。その直後にキングプロテアが巨大な地面を固めた物を放り投げる。相手は即座に破壊してこちらへと突っ込んで来る。それを詩乃が弓で撃ち落としていくので、俺は魔法陣に魔力を注ぎ込んでおく。おそらく、勝つには愛歌の指示通りにしないといけないだろうしな。

 

「降りてこないならっ!」

 

 キングプロテアに対して相手は近付かずに遠くから遠距離攻撃をしてくる。だからか、周りの大地をどんどん吸収して巨大化していくキングプロテア。それだけじゃない。当然巨大化すると同時に天使たちも吸収範囲に捕らえてリソースへと変換して更に巨大化していく。正に世界を喰らうと言えるほどになっていく。BB(キングプロテアの産みの親)が封印したのもわかるというものだ。

 

「対空迎撃を開始します。ドーラ、グスタフ、装填開始」

 

 ユーリは神喰を使いながら地上では列車砲などを宝物庫から取り出して展開し、それらからどんどん魔法が込められた砲弾を空へと放っていく。こちらは着弾すると同時にジャガーノートやルシフェリオンブレイカーが発動して盛大に破壊の嵐を巻き起こして大量の天使を虐殺している。お蔭で魂の回収はとても順調だ。

 

『聖杯が満たされる。もっともっと集めないと。あ、これのデータがあった。とりあえず使って強化しておこうかな。ご主人様、今なら出来る』

「まあ、これをしておいた方がいいか」

 

 美遊と一緒に唱える。

 

「『Yetzirah(イェツラー)。聖餐杯は壊れない』」

 

 唱えたと同時に手元に聖杯が出現する。同時に()聖杯(美遊)の霊的融合が成され、五感及び霊感も格段に上昇した。それに伴い身体能力も更に上昇。ユーリの身体に聖杯との完全接続による更なる強化を施して戦っていく。

 馬鹿みたいに現れる天使を迎撃していくが、本当に無限に湧いてくるようにすら感じる。数百ではなく数千へと数が増え、虐殺を繰り返しているというのに途切れる気配が一切ない。

 

「無駄です。確かに皆さんはイレギュラーのようですが、それでも人である事に、有限である事に代わりはありません。ここまで数年と経たずに戦力を集めた事は驚嘆に値します。ですが、それだけです。月日が違います。我々は数百年を費やして量産を測ってきました。負けはありません」

 

 確かにランデル……いや、フュンフの言う通りか。普通ならそうだな。だが、その量産した物がお前達の首を絞める事になる。

 

『規定数に魂の質と量が達したよ。やろうか、ご主人様』

「ああ、そうだな。我が愛しき子よ」

『「親愛なる我が女神達よ。この聖杯とこの鍵と指輪を彼に与えたまえ。この聖杯は危険に際して救いをもたらし、この鍵は恐怖の修羅場で勝利と破滅を与える羅針盤となる。この指輪はかつての繋がりを取り戻すものであり、永遠の誓いを果たすためのものでもある。

 Briah(創造)―数多の世界より来たれ、愛しき者達よ」』

 

 天使数百体の魂を生贄にして形成段階から永劫破壊(エイヴィヒカイト)を創造段階へと上昇させる。聖杯の能力により魔力と触媒を生み出し、召喚の魔法で世界と世界の間に扉を生み出して鍵を開ける。そして指輪を与える事でこの世界で活動できるようにする。平行世界の運用により魔力も供給して魂を物質化させる文字通りの魔法へと昇華させる。これが俺と美遊が求めて止まない必殺技。つまり、ガチャである。

 

「何をしようと無駄……は?」

 

 こちらが形成しておいた魔法陣の上に巨大な門が現れる。その門へと鍵の形へと変化した聖杯を突き刺して開ける。すると中から物凄くヤバイ気配がしてきた。

 

『黒猫とパンケーキ作るっ みゃお! 

 パンケーキに黒猫のせるっ みゃー! 

 黒猫のパンケーキ 出来上がりっ! 

 黒猫パンケーキ! みゃんみゃん! 

 え?』

 

 黒猫をパンケーキに乗せた可愛らしい金髪碧眼の水着姿の美少女がこちらに気付いたようで、顔を真っ赤にした後、すぐに銀髪の姿へと変えた。頭には黒色の魔女のような三角帽子をかぶり、黒いビキニのようなエロエロな服を着ている。そしてなにより瞳が赤くなり、額に鍵穴がある。そこにも第三の瞳が存在していた。その背後にやばい触手を持つ化け物もおり、全員がSANチェックをする事になった。

 そう彼女こそ、水着に着替えた外なる神に仕える巫女、アビゲイル・ウィリアムズである。愛歌様、ありがとうございます! 

 

「がじがじがじがじ」

 

 

 

 




 黒猫とパンケーキ作るっ みゃお! 
 パンケーキに黒猫のせるっ みゃー! 
 黒猫のパンケーキ 出来上がりっ! 
 黒猫パンケーキ! みゃんみゃん!




いざ尋常に勝負! 





勝利! 無事に我がカルデアにやってきてくれました。キャストリアもきてくれたし、良い夏です。何故か狙った水着イリヤに拒否されて人類悪さんが宝具3になってますが、見なかったことにしますとも、ええ。ナニモミナカッタ。だから、リリィになっていてください。なんでもしますから。後、不覚にも後日談で可愛いと思ってしまいました。オチも含めて。
ところで、上の歌詞……お菓子の黒猫を乗せるのなら可愛い。アビーちゃんが連れている本物を乗せるなら……がくがくぶるぶる。
アビーちゃんは可愛いから問題なし!
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