ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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残虐な描写があります。苦手な方は後半を飛ばしてください。ただの魂を狩るためのお散歩ですから。


第80話

 

 

 会議が終わり、ネコネとリムリの二人は残って決まった事などを清書して皆に通達をしないといけないのでここで別れる。そんな訳で俺はアビーと手を繋いで外に出る。

 

「待って待って! ミレディちゃんも行くから! オー君を蘇らせるんでしょ?」

「私も行くわよ」

 

 外に出るとすぐにミレディとルサルカがやってきた。彼女達二人は儀式には必要なので問題はない。後は恵里が居たらできるだろう。

 ルサルカはアビーが居ない反対の腕を掴んで自分の胸元に抱き寄せてきた。それに対抗したのか、アビーも同じようにしてくる。

 

「これからすぐにするのよね?」

「ああ、そうだ。恵里の居場所はわかるか?」

「恵里なら鈴と一緒にリリアーナや雫の所じゃないかしら?」

「なら恵里に連絡だけ入れてオルクスの最下層へと向かうか」

「主上。少しよろしいでしょうか?」

 

 四人で進んでいるとオシュトルが後ろから走ってやってきた。

 

「さっき言わずに今言うという事はなにかあるのか?」

「はい。リリアーナ殿についてです」

「リリアーナ?」

 

 彼女は確か、恵里と鈴の二人と共に居るはずだ。二人の身に何かあったのだろうか? 

 

「某も詳しくは知りませぬが、一部の森人族や兎人族を含めた奴隷にされていた亜人達を中心に襲撃計画とはいかないまでも、嫌がらせなどをしようという動きがあります」

「それは……」

「拷問などをされていた方からしたら、彼女は拷問していた者達の親玉とも言える王族です。恨まれていてもおかしくはありません。幸い、主上の嫁にするという事で直接的な手出しはされないでしょうが」

「確かにそれはあるか」

『恨まれるのは無理ない。でも、それはリリアーナが直接した事でも指示した事でもないけど』

 

 美遊の言う通り、そうなのだが、彼女達からしたらそれは関係ないのだろう。それに同じ奴隷という立場になったというのにリリアーナの待遇が良いと感じられるのだろう。

 

「それなら私に任せてくれないかしら?」

「アビー?」

「私に考えがあるわ。きっと皆も納得してくれるはずよ」

 

 アビーが何をするかはわからないが、危険な事に変わりはないだろう。何をやるのかしっかりと聞いておかないと不味いだろう。

 

「何をする気なのかしら?」

「簡単よ。夢を使って彼女にその子達が受けた物を追体験してもらうの。これなら彼女の身体は傷つかないし、他の人達も納得すると思うの」

 

 ルサルカがアビーに聞くと彼女はなんでもない事のように答えたが、それってつまりリリアーナを精神的に拷問するって事だよな? 

 

「リリアーナの精神は持つのか?」

「その辺りは私の匙加減よ。ええ、でも大丈夫。マスターが彼女をお望みなら助けてあげる」

「それなら頼む」

「本当に?」

「ああ、本当に頼む」

「じゃあ愉快な事にするわね!」

「いや、普通に頼む」

 

 アビーが楽しそうに笑いながら消えてしまったので、最後の言葉が届いたかはわからないがリリアーナが大変な事になるのは確定だろう。

 

「とりあえず、そちらの事はよろしくお願い致します」

「わかった。ありがとう。それと何時も助かる。今日はこれでハクと一杯でもやってくれ」

 

 そう言いながら宝物庫から購入してきたお酒を複数渡すと、オシュトルは一瞬だけウコンのような嬉しそうな顔になった。

 

「ありがたく頂戴します」

「ねえねえ、もういいでしょ! はやく行きましょう!」

「それもそうだな。じゃあ、後はよろしく頼む」

「はっ」

 

 待ちきれないと言った感じのミレディの言葉に俺達はオシュトルと別れてオルクスへと向かう。途中で恵里と合流し、それから地下に建設された列車に乗って移動する。ユーリ達も誘いたかったが、ユーリはユーリで手に入れた天使の死体を解析しないといけないので不参加だ。レヴィはシュテルによってお仕置き部屋に連れていかれたのでいない。ディアーチェはプロテア達がぶち壊した部分の修理をしている。あの時の戦いで迷宮までダメージを食らっていたらしい。流石は女神の複合体、アルターエゴだ。

 

 

 

 ハルツィナ樹海の地下からライセン大峡谷を経由してオルクス大迷宮へと到着。謎の金属で出来た通路を取ってオルクス大迷宮の最深部へと入る。

 最初とは違い、すでにここはディアーチェの手が入ってかなり改造されている。まず館と庭園を中心に研究所が複数乱立しており、それぞれが特殊な技術を使って開発している。例えを上げるとデバイスとかだな。

 そんな場所の中にある特別な場所。それが庭園の真ん中にある噴水近くに作られたオスカー・オルクスの墓だ。

 

「ここにオー君が眠っているのね……」

「そうだ」

「ちゃっちゃと起こしましょう」

「……確かにそっちの方がいいかもね」

 

 ミレディと恵里、ルサルカの三人と話ながら墓の一部を開いてオスカー・オルクスの遺骨を取り出す。続いて研究所から採取したオスカー・オルクスのDNAを使って生成した肉体を用意。といっても、細部まで同じというわけではないので、これはあくまでも依代でしかない。

 

「恵里、ルサルカ」

「任せて」

「私と恵里なら余裕ね」

「美遊」

「うん。こちらも準備はでてきているよ」

 

 何時の間にか背後に現れていた美遊が俺の前に出てきて手を差し出してくるので、それを握りながら聖杯の力を引き出して魔法陣を生成する。これからやるのは召喚術と死霊術、魔術と科学を利用した再誕。

 魔法陣の中央に遺灰と肉体を配置し、三角形になるように俺と美遊、恵里、ルサルカがそれぞれの場所に立ち、魔法を発動する。

 遺灰が依代とした身体の中へと吸収されていき、依代の身体が変化していく。そして複数の光の柱が発生して視界を塗りつぶす。その後、光が晴れると魔法陣の中央には人影が立っていた。

 

「オー君ッ!」

 

 ミレディが名前を呼びながら突撃していくが、オスカー・オルクスが片手を差し出してミレディの頭を押さえて抱きつくのを防止した。

 

「なんでっ!? ここは感動に打ち震えてミレディちゃんと抱きつく場面でしょ!」

「ミレディ。僕達は確か、未来に託したはずなんだが?」

「それは……その……てへぺろ」

「ふんっ!」

「痛っ!?」

 

 持っていた杖でミレディの頭を叩いた彼は俺達に視線をやってから、頭を押さえて蹲るミレディを無視してこちらに向き直った。

 

「はじめまして。僕はオスカー・オルクス。オルクス大迷宮を作った者だ。君達が僕を蘇生した者達だね」

「ああ、そうだ」

「感謝してね。君達が直接エヒトに復讐できる機会をあげるんだから」

「残念だが、それは要らない。僕達は敗北し、次代に託したんだ。今更死人である僕達が関与するわけにはいかない。エヒトの事は今を生きる君達がどうにかするべき問題だ。問題を残して死んだ僕達が悪いとは思うが、こればかりは仕方がない」

 

 オスカー・オルクスの言い分もわかる。死者に頼るべきではないと言っているのだろう。確かに別に人類の危機というわけでは……あるだろう。エヒトはまかり間違っても神なのだから地表を焼き尽くす程度はできるかもしれないしな。

 

「ふ~ん。協力はしてくれないっていうんだ」

「ああ。僕が君達に協力する事はない」

「オー君? それ、本気で言ってる? 私達は蘇ったんだよ?」

「それが本来、間違いなんだ。僕達は干渉すべきではない。だが、それはあくまでも僕の意見だ。ミレディは考えを変えたのなら協力してあげるといい」

「そっか」

「なら、死んでもらう事になるかしら?」

 

 ルサルカがそう言いながら攻撃用の魔術を用意する。恵里もジャンヌ・ダルク・オルタの力を身に宿しながら死霊秘宝やネクロノミコン、アル・アジフと呼ばれる魔導書と旗を持つ。

 

「待って待って! 戦うのは駄目だって! オー君も言葉が足りないって!」

「とりあえず、攻撃は待て。どういう事だ?」

「オー君は多分、直接的に戦うのは嫌なんだよ。そうだよね?」

「ああ、そうだ。僕はもう見学だけで関わるつもりはない。好きな()()()()()()()()()()()()()だ」

 

 この言い方はもしかして、作るだけ作って後はこちらに全て引き渡すとかいうアレか? 

 

「そのアーティファクトをエヒトとの戦いに使ってもいいよね? ここにいっぱい残してたわけだし」

「ああ、それは構わない。僕は作りたい物と必要な物を作るだけだ。それをどうするかは現在を生きる者達へと任せよう」

「えっと、つまりコイツは裏方志望って事ね?」

「そういうことなのかな?」

「まあ、それならそれで問題はない。ミレディが協力してくれればな」

「ミレディちゃんは最後まで責任を持って見届けるよ。ただ、オー君の言い分も理解はできるから、最終決戦でエヒトを殴る時ぐらいしか参加しないと思って欲しいかな。それにエヒト以外は過剰戦力でしょ」

「それもそうだな。じゃあ、そっちはエヒト戦まで自由に過ごしてくれ。エヒトとの戦いが終われば世界を旅するのもいいだろう」

「ありがとう。その時は考えさせてもらうよ」

 

 とりあえず、オスカー・オルクスには館を返してここにミレディと共に住んでもらおう。研究所が乱立しているが、その点は諦めてもらうしかない。

 

「さて、話は終わりだね。君達の技術を見せてくれ。先程から興味が引かれてしかたがない。ここまで好き勝手に改造してくれているんだ。色々とあるのだろう?」

「じゃあ、担当の者を呼ぶからソイツと最初は行動してくれ。デカイ仕事をしているから、それを手伝えばこちらの技術もある程度はわかるはずだ」

「わかった」

 

 ハクにぶん投げておけばいいようにしてくれるだろう。大人組として色々と頑張ってもらえばいいしな。

 

「よし、それじゃあ早くお出掛けしましょう……」

「ルサルカ?」

「なんか嫌な感じがするのよね。誰かに見られているような……」

 

 若干涙目になっているルサルカを見て、不思議に思いながらも先にアビーの方へと移動する。リリアーナの事が心配だからだ。ちゃんと何をするか監視をしないといけない。

 

『駄目。先に魂の回収が優先。お兄ちゃんを召喚してもらわないと困る』

「そうよ。絶対に魂の回収が先。はやくもっと強くならないといけないわ」

「うん。僕もそう思う。だから強制的にやっちゃえ!」

「ちょっ!?」

 

 ルサルカが美遊と恵里の二人と結託して憑依してきた。瞬時に身体の支配権が奪い取られ、姿が親衛隊の軍服姿のルサルカへと変わっていく。しかも、恵里が抱き着くと同時に美遊によってアビーと同質の転移門が形成されて転移させられた。

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 気が付くと周りは荒野であり、俺の左から馬鹿みたいな数の魔物(モンスター)が押し寄せてくる。右を見れば巨大な壁が建設されており、その上から無数の矢や魔法が放たれている。

 当然、両軍の中央に現れた俺達も攻撃対象に間違いはない。目の前に迫ってくる無数の四足歩行の魔物(モンスター)は飛び上がりながら口を大きく開けて噛みつこうとしてくる。それに対してルサルカは唇をペロリと舐めながら聖遺物を起動する。

 

Yetzirah(形成)

 

 襲ってきた魔物(モンスター)の背後に現れたアイアンメイデンが内部に取り込んで串刺しにして血液を周りにまき散らかす。その血液を浴びながら恍惚な表情を浮かべるルサルカはすぐに嗜虐的な笑みに変えて魔物(モンスター)達を見る。

 

「「「■■■ッ!!」」」

 

 恐怖に襲われたのか、魔物(モンスター)達が急ブレーキをかけながら停止するが、ルサルカには関係がない。

 

「やっぱり、食べるのは生じゃ駄目ね。焼いちゃいましょう。ファラリスの雄牛」

 

 巨大な炎に燃える雄牛が召喚されて突撃していく。雄牛から無数の影でできた触手が生えて激突したり、近づいた魔物(モンスター)達に絡みついて燃やしながら雄牛の体内に取り込んでいく。魔物(モンスター)達の断末魔が響く中、空から大量の矢と魔法。それにブレスが放たれてくる。

 

星天を照らせ地の朔月(ほしにねがいを)

 

 FGOでは自身に〔朔月の加護〕状態を付与して「毎ターン味方全体のNPを10%増やす&HPを回復+スターを獲得<OCで効果アップ>」を付与&HPを3000減らすのだが、ガチの複合聖杯となっている美遊はそんなちゃちのものじゃない。デメリットを無くして五倍程度は軽くこなす。

 

「うふふふ、あはははははっ!」

 

 両端にローラーが取り付けられた長方形型の装置が複数現れ、魔物(モンスター)達を捕らえていく。上部のローラーに腕、下部のローラーに足が縛り付けられ、中央のハンドルが回されて上下から徐々に体を引っ張ることで骨の脱臼し、最後には体を引き裂く。

 

「ブモォォォォォォッ!」

 

 三メートルを超えるミノタウロスが大斧をルサルカに振り下ろすが、到達する前に魔力の壁と霊的装甲、俺自身の防御力に阻まれてダメージを与えることはない。それは降り注ぐ魔法と矢も同じだ。

 

「あなたはこれかしら?」

 

 ミノタウロスを蹴り飛ばし、無数の針がある拷問椅子に強制的に座らせて身体を固定する。そして苦悶の梨を取り出してそれを突っ込む。螺子が回転して膨れ上がり、内部から破裂していく。

 

「さあ、どんどん狩るわよ! ギロチンに血を捧げましょう!」

 

 両手にギロチンの刃をそれぞれ召喚してその場で回転しながら防壁の上へと投擲する。投擲したら次を召喚してまた投擲していく。ギロチンの刃は十メートルを超える防壁の上に飛び、そこにあったバリスタを破壊し、周りに居た兵士達の首を刎ねていく。

 

「派手にやってるね。僕も負けてられないかな。そうだよね、ジャンヌ」

 

 恵里は近付いてくる魔物(モンスター)達を槍で串刺しにしてから燃やしたり、死体を集めて巨大な動くダンゴムシ……王蟲(オウム)のような物を作り出して襲わせる。

 

「新手の化け物か!」

「ま、魔人族なのか!?」

 

 防壁も魔人族もどちらもいきなりの乱入に混乱しているが、気にしていない。美遊が神喰を起動してスターライトブレイカーを空の魔物(モンスター)達に放って文字通り消滅させる。恵里が空を飛んで魔人族の本陣へと強襲をかけていく。ルサルカは魔物(モンスター)に飽きたのか、踊り出した。

 

In der Nacht, wo alles schläft(ものみな眠るさ夜中に)Wie schön, den Meeresboden zu verlassen.(水底を離るることぞうれしけれ)

 

 楽しそうにリズムに乗って歌って踊りながら防壁へと近付いていく。放たれてくる矢は矢避けの魔術を使い、魔法は気にせずに接近する。わざわざゆっくりと見せつけるように進みながら恐怖を煽りつつ周りの魔物(モンスター)や防壁の上に居る人を円形のノコギリを投げて煽っていく。

 

Ich hebe den Kopf über das Wasser,(水のおもてを頭もて)Welch Freude, das Spiel der Wasserwellen(波立て遊ぶぞたのしけれ)

 

 ルサルカが歩み、殺して吸収してきた数百、数千の人の魂が物理的な壁と。無数の髑髏を彼女の後ろへと現れる。さながら百鬼夜行とすら言える。

 

Durch die nun zerbrochene Stille,(澄める大気をふるわせて)Rufen wir unsere Namen(互に高く呼びかわし)

 

 空気の魔術を使い、階段でも上がるように防壁の上へと移動するルサルカ。当然、上に居た者達は必死に抵抗する。上から熱した油をかけたり、火を放ったり、上級魔法を連打したりしてくる。だが、それらは全て無意味だ。

 

「絶対に上がらせるな! 岩を落とせ!」

「「「はいっ!」」」

 

 巨大な岩が投石器によって放たれるが、ルサルカはそれを片手で払うようにして風の魔術で相手に跳ね返すと同時に燃やしやがった。帰ってきた大岩に投石器は破壊されて周りの人間が炎に焼かれて死に絶える。

 

「詠唱を止めろ! 絶対に止めろぉぉぉぉぉっ!」

「くそっ! 死ねっ! しねぇぇぇぇぇっ! 死んでくれぇぇぇぇぇっ!」

 

 防壁の上に到着したルサルカを包囲して槍で突き刺してくるが、到達する前に壁に阻まれてビクともしない。

 

Pechschwarzes Haar wirbelt im Wind(緑なす濡れ髪うちふるい)Welch Freude, sie trocknen zu sehen.(乾かし遊ぶぞ たのしけれ!)

「させるかァァァァァッ!!」

「うぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 叫び声を上げながら必死に攻撃するが、全てが弾かれる。そして、絶望が始まる。

 

Briah(創造)Csejte Ungarn Nachatzehrer(拷問城の食人影)

 

 詠唱が完了すると同時にルサルカの創造が発動し、世界が塗り変えられる。昼から夜へ。金色の月から紅い月へと変化し、無数の拷問器具が宙に浮かぶ。それだけでなく、ルサルカの影から無数の影で出来た人が現れて襲い掛かっていく。

 剣や槍などで攻撃される影は気にせずに無視して相手に触れる。触れられた者達はその体内に取り込まれていき、次第に背中から人の形をした影が出てくる。それは取り込まれた人と背丈が同じで、同じ武器を持っている。それが共に同じ釜の飯を食べ、共に死地を潜り抜けてきた戦友達に襲い掛かり、仲間に作り変えていく。

 

「にっ、逃げろぉぉぉぉぉっ!」

「待て! ここを死守せねば終わりぞ! 奮い立て!」

「くそがぁぁぁぁぁっ!」

「へぇ……」

 

 逃げようとした者達は指揮官の言葉で即座に反転して攻撃しようとするが、拷問城の食人影(チェイテ・ハンガリア・ナハツェーラー)が影を掴んだ事で停止して喰われていく。

 

「逃げないのはいいけれど、その程度じゃ私は止まらないかなぁ~」

「悪魔めっ!」

「悪魔かぁ。なら、悪魔らしいやり方でやりましょうか」

 

 ルサルカが指を鳴らすと影に取り込まれていた者達の頭が浮かび上がり、必死に助けを乞うていく。中には気にせずに殺してくれというほどの高潔な魂もある。

 

「さあさあ、味方同士で殺し合いなさい! ()()()()()()()()()()()()

「ふざけるなっ! 我等はエヒト様に使える戦士である! 断じて魔人族の軍門には下らぬ! 者共! これは聖戦である! 我等が例え死んだとしてもエヒト様の身元へ導かれ、幸せが約束される! ここが命の賭け時であるぞ!」

「ああ、残念。アンタ達の魂は永遠に私の所有物になるのよ。エヒトなんかにあげないわ」

 

 唇に指をあてながら楽しそうに笑うルサルカの言葉に絶望した者達は武器を捨てて項垂れる。中には狂信して突撃してくる者達も居るが、美遊から操作権を返してもらった神喰で貫いてキッチリと殺す。

 

『投降した奴等は殺すなよ』

「わかってるわ。ちゃんと殺す奴と殺さない奴は別けてるもの。まあ、大雑把にだけどね」

 

 ルサルカが嬉しそうにお腹を撫でながら喜んでいると空が真っ赤に燃えた。空を支配していた魔物(モンスター)の大半はスターライトブレイカーで消されたので、その光ではない。見ると魔人族の陣地が盛大に燃えており、中から巨大な物が立ち上がってくる。それは死体で構成された物で、口であろう物から黒い光線のような物を放ち、周りを粉砕していた。

 

「確か、焼き払え! 腐ってやがる。早過ぎたんだ。だったかしら?」

『えっと、アンデットなので腐ってるのでは?』

「美遊。これはアニメの台詞だ。何故ルサルカが知ってるかは知らないが……」

「そりゃ、ダーリンの記憶を見たもの。暇な時に丁度いい娯楽なのよね」

「プライバシーとはいったい……」

「そんなのあるわけないでしょ。ダーリンの全部は私達の物。私達の全部はダーリンの物なんだから」

 

 重い。重いけれど嫌じゃない。こんな美少女たちに思われるのならば良しとしよう。戦場で他愛ない話をしながら制圧するまで待つ。

 

「よし、五千人くらい殺して食べたし、帰りましょうか。召喚用はこれでいいでしょう」

『ん……大丈夫。千人くらい使えばお兄ちゃんは呼べると……思う。ううん、呼ぶ』

「私も欲しい聖遺物があるから、二千人分を使うとして、三千人分はプールしておきましょう。いいわよね?」

「ガチャが出来るのなら構わない。自己強化も必要だしな」

 

 目的が達したので、撤退を開始する。恵里も()()()きたので丁度いい。作った巨神兵モドキたちに暴れさせながら俺達は転移の準備をする。準備が完了する直後に空から降ってきた無数の爆弾が巨神兵モドキや大地を焼け野原のクレーター地帯へと変化させた。ついでに光線も飛んできた。

 

「ひゃぁっ!? かすった! 今かすったわよ!」

「うん。その身体だと大丈夫だから盾になってね」

「ちょっ! 隠れないでよ! 受け止めるけど!」

『神喰で盾を展開して防ぎますね』

「「お願い!」」

 

 ルサルカの可愛い声を聞きながら転移を発動する。最後に見たのは巨神兵モドキが穴だらけにされた後で小さなミトンの手によって空へと高く吹き飛ばされ、更に光の奔流によって跡形もなく消滅されるのも見えた。

 

 

 

 

 

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