ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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FGOのBOXガチャが忙しいです。お蔭でキャストリアが100のスキマになりました。林檎あと160個・・・・使い切れるかな?

雫さんまでいけなかったです。申し訳ございません・・・・


第82話

 

 

 

「んんっ……」

 

 身体が重くて怠くて、身動ぎしように動けずに目を開けます。するとそこには沙条さんの、ご主人様の顔がすぐ横にありました。どうやら、ご主人様が私の上に乗りながら眠っているようです。

 

「あ……」

 

 そこで昨日の事を思いだしました。夢の世界から現実世界へと戻り、湯浴をしてから眠りました。起きたら既に夜になっており、食事をしてから身を清めて透明なネグリジェと言われる服を着て寝室に移動しました。そこでご主人様がお待ちしておられ、一緒にお風呂に入る事になりました。

 お風呂ではご主人様に洗ってもらってからは身体を使ってご主人様のお身体を綺麗にして、抱きしめられながら湯船に浸かりました。膝の上に乗せられて、好き勝手に身体を弄られたり、キスをされたりしたのを覚えています。物凄く恥ずかしかったです。

 お風呂で身体を清めたらベッドに連れていかれました。ご主人様がベッドに座り、脱げと言われたので、恥ずかしいですが、身に纏っていたタオルを脱いでご主人様の前の床に正座します。奴隷としての教育は散々に受けたのでご主人様の前で頭を下げて足に口付けをして舐めていきます。

 お風呂で綺麗にしておいたので、そこまで嫌ではありませんが……やはり嫌です。でも、これが奴隷としての作法なのでしっかりと舐めてご奉仕します。足を両手で揉みながら指を一本一本、丁寧に舐めて落とし切れていなかった汚れを取り除きます。

 

「足を舐めるのが好きなのか?」

「ふぁい。ご主人様の全身を舐めて綺麗にさせていただきます……」

 

 嫌悪感を感じながらも無視して長い時間をかけてご主人様の全てを舐めました。息も絶え絶えで舌が痛くなりましたが、それでもなんとか完遂できました。

 

「次は俺の番だな」

「お、お願いいたします……その、抵抗するかもしれないので縛ってください……」

「いいのか?」

「はい。そちらの方が慣れていますから」

「わかった。縛らずに最初はやってみるか」

「はい。頑張ってみます」

 

 キスされ、舌が唇をなぞってきて口内まで入ってきます。そのまま舐め合って唾液を交換してからご主人様の舌が肌を這う気持ち悪い感触に襲われて身体が勝手に抵抗していきます。なのでご主人様にお願いして両手を頭の上で縛ってもらいました。夢でした時はこちらも一杯一杯で死ぬのが嫌だったのでとても恥ずかしい事を自分からしました。でも、今回は冷静なので顔が赤くなってきます。

 それから身体中を舌が這い回り、私の身体に唾液が塗り込まれ、キスマークがマーキングのように全身が目の前でつけられていきます。顔から火が出そうなほど、羞恥心でいっぱいになって泣き叫びましたが止めてはもらえません。

 本番は夢と違って凄く痛くて身体の中を掻き回される感触が気持ち悪くて吐き気までしましたが、そのまま何度も、何度もされました。だんだんと感覚が曖昧になってきたところで、ユーリちゃんとアビーちゃん、ルサルカさん、ヘイゼルさんがやってきて、ご主人様は皆様の相手をしだしたので助かりました。そう思っていたのですが、その後も交代交代でされて全身に男性のアレを塗り込まれて意識を失うまでやられ続けました。

 

 これが昨日の事です。ですので、私もご主人様も裸なままです。大切な役目とはいえ、思っていたよりも辛いです。ですが、あんなにしてくれたので、私の身体には満足していただけたと思えるのでそれだけは良かったです。お情けでもいいので、子供を授けていただかないと王女としての存在価値がありませんし。

 

「ん~お兄ちゃん……」

「……パンケーキ、みゃぁ……」

 

 私の左右に視線をやれば私の腕を枕にして寝ているユーリちゃんとアビーちゃんの姿が見えます。既に縛られた両手は解かれていて大の字に身体をベッドに横たわっています。回数をすれば体力も力も失ってただのお人形さんみたいになったので暴れる心配はないという事でしょう。

 どちらにせよ、二人と纏めてご主人様に抱きしめられながら寝ていたわけです。二人は幸せそうに寝ていますが、昨日は私よりもかなり激しくされて、気持ちよさそうに喘いでいました。それが少し信じられません。

 

「おっはよ~」

「あ、おはようございます……」

 

 ご主人様の後ろから顔を出して覗き込んできたルサルカさんに挨拶をします。彼女も裸ですが、つやつやした表情をしています。唇に指をあてながらルサルカさんは嫌らしい笑みで聞いてきました。

 

「昨日はお楽しみだったけれど、どうだった?」

「……気持ちよかった、です……」

「嘘ね。嫌悪感バリバリだったわよ」

「そ、そんな事は……」

「別に怒らないから素直になりなさい。別に嫌なら抱かれなくてもいいんだから」

「いいんですか?」

「もちろんよ。こちらとしても人数が減るのは助かるもの」

 

 ルサルカさんはご主人様を持ち上げて、横にある綺麗に整えられた方のベッドへと移しました。そこには他の人達が待っていて、すぐにご奉仕を開始しました。私は起き上がって二人の頭を膝に乗せてから周りを確認するとご主人様のお嫁さん達が何人も入ってきていました。

 

「それと参加したいなら参加してきていいわよ。夜勤組は今からだし」

「夜勤……」

 

 夜の警備担当者ということでしょうか? どちらにせよ。そんな体力はありませんのでお断りしたいです。

 

「ご主人様の命令がなければ休みたいです……」

「なら、待ってるしかないわね」

「痛っ!」

 

 気が付けば後ろに誰かが居て胸を思いっきり捕まれました。掌の跡が残るぐらいかなり力が強いです。

 

「答えて」

「えっと……」

「答えないと握り潰す」

「こ、答えるので止めてください」

「ん。リリアーナは私の件に関わっていた?」

「えっと……」

 

 後ろを振り向くと驚いた事に死んだと聞いていた優花さんが居ました。彼女も裸で、私が漂わせている臭いと同じ物を身体中から漂わせています。

 

「生きておられたんですね。本当に良かったです……私達が身勝手な願いで召喚して戦ってもらったというのに亡くなられて、とても申し訳なく……っ!?」

 

 胸に力だけでなく、爪が食い込んできて血が流れます。

 

「優花、彼女は奴隷よ。()()()()()()

「……貴女は何?」

「王女であると同時に今はご主人様の奴隷、です」

「ルサルカ、私と同じって? 返答によっては……殺す……のは不味いから、痛めつける」

「それは止めろ」

 

 ご主人様が起きたのか、こちらにやってきました。その後ろには鈴さんや恵里さんが両手にくっついています。ベッドの方ではキングプロテアさんや拘束されたレヴィちゃんもいます。彼女は首に看板をつけていて、そこにはお仕置き中とかかれて延々と玩具で遊ばれていました。

 

「リリアーナは優花と同じく拷問されている。お前よりも酷いかもな」

「王女様なのに?」

「王女様だからだ」

「はい……私は……」

「その前に優花の事から教えておくか」

 

 優花さんの話を聞くと信じられないものでした。貴族と教会が共謀してそのような横暴な働きをするなど信じられません。そう、前の私なら断じて調査を命じるくらいでした。でも、今の私には貴族も教会も信じられません。彼等に散々嬲り者にされた記憶があるからです。

 

「申し訳ございません! 私に出来る事ならなんなりと致します。どうか、お許しくださいませ! 今の私に出来るのは身体を使う事ぐらいですが、気が晴れるのであればどのような事でも耐えます」

「貴女に出来る事なんてない」

「そもそもリリアーナの全てはオレの物だ。それを勝手に持ち出すな」

「あっ……ごめんなさい」

 

 ご主人様に後ろから抱きしめられ、無遠慮に胸を揉まれて無理矢理、顔を向けさせられてキスされます。昨日、散々自分の身体はご主人様の物だと教え込まれたのに勝手に身体を差し出そうとしてしまいました。

 

「優花、リリアーナは俺の妻だ。仲良くしろ」

「でも……」

「アビーの夢を使ってリリアーナは亜人達が受けた拷問を追体験している。優花よりも酷い事を何人も見て体験してきている。だから、受け入れろ。と、言ってもそう簡単には無理だろう。だから、優花がリリアーナを攻めて、リリアーナも交代で優花を攻めればいい。もちろん、俺も混ぜてもらうが」

「ゆ、夢の中でされたような事をするんですか!?」

「そうだ」

「それなら私が引き受けますから、優花さんには止めてさしあげてください!」

「む」

「言っておくが、拷問じゃない。ただのSMプレイだ」

 

 概要がわからずに聞くと性的に身体を激しく虐めるだけでした。叩いたり、器具を使ったりといった感じで拷問までの酷い事にはならないようで良かったです。

 

「優花もそれでいいだろ。リリアーナは良い奴だしな」

「わかってる。それで納得してあげる。でも、裏切ったら殺すから」

 

 ご主人様が私を胸に抱きしめながら頭を撫でてくれたお蔭で優花さんも納得してくれたようで、まるで見えなくなるかのように消えていきました。被害者の方々に何か出来るだけの事をしてあげたいです。ですが、私の全てはもうご主人様の物で、私に好きに出来るものはありません。

 

「ねえねえ、お話は終わった? それなら鈴達としようよ~」

「ボク達はまだしてないんだから」

「わかった。リリアーナ、昼まで自宅の中でゆっくりしていろ。昼から一緒に出掛けるぞ」

「わかりました。それでヘリーナと一緒に居ても構いませんか?」

「ああ、大丈夫だ。身の回りの世話、自分じゃできないだろうしな。それとメイドを一人つける。教えてやってくれ」

「畏まりました」

 

 皆さんが去って残ったのはユーリちゃんとアビーちゃんだけです。二人をどうしようかと考えるのですが、まずはお風呂に行きたいです。身体中がべとべとで、髪の毛は固まっている場所まであります。本当に全身にかけられていますから。

 二人の頭を撫でていると、部屋の扉が開いてワゴンを押しながらメイド服姿のヘリーナと雫が入室してきました。二人は部屋中に漂う臭いに顔を顰め、ベッドの上に居る私に気付いてこちらへやってきました。

 

「姫様……おいたわしや……このような無残な姿に……」

「リリアーナ……その、ごめんなさい。光輝が無謀にも賭けに乗ったばかりにこんなことに……やっぱり、直談判してでも止めてもらうべきよ……」

 

 辛そうな二人が私の横に来てお湯に濡れたタオルで優しく拭いてくれます。それがとても気持ちが良くて思わず笑顔がでます。

 

「どちらも心配しなくても大丈夫ですよ」

「大丈夫なわけないじゃない! 女の子にとって大切な事なのよ! 好きでもない相手に身体を好き勝手されるなんて……」

「雫。私は奴隷になりました。奴隷は全てを主人が所有するのです。これは法律として認められております。その国の王族である私がどうして反故に出来ましょうか?」

「でも、アレは賭けでしょ!」

「はい。ですが、勇者様が二回目の賭けを悩んでいた時に操られていたのかはわかりませんが、ランデルが受けました。つまり、王族が正式に受けた決闘になります。私がその結果を不服として反故にすれば誰も法律を守らなくなります。また、あの場でもしも私がランデル達の助命を望まなければ全員が殺され、女性陣だけ回収された可能性もありました。少なくとも最悪の事態だけは回避できました。本当は帝国に連れていかれると思っていたのもあります。帝国ならば皇帝陛下に嫁入りする事で他の人達の身の安全と帰還ぐらいはどうにかする予定でしたが……」

 

 想定が崩れてしまいました。まさか、自分達の所属が帝国だと誤認させるだけさせて、本来の所属は別にあるなんて思ってもいませんでした。亜人の国どころか、この短時間で自分達の国まで作るとは流石はエヒト様に選ばれた使徒の方々です。

 

「痛っ!?」

「どうしましたか!」

「大丈夫? 目から血が流れているけど……治療法を……」

「いえ、大丈夫です」

 

 そう言うしかありませんでした。何故なら、私の周りに不機嫌そうな風と冷たい結晶が浮かんでいたのです。これはおそらく、無言の抗議ですね。エヒト様、エヒトを神様と同列に扱うなという意思表示でしょう。それか、私がエヒトさ……様をつけた事が駄目だと判断したのでしょう。嫉妬深い神様達のようです。

 

「大丈夫ですから、話を戻しますが……雫の価値観では聞いた限り、そちらの世界は恋愛して結ばれるのが基本的なのですよね?」

「そうよ」

「確かに平民の方々で余裕があればそれも良いでしょう。ですが、村の存続や家の存続の為に望まぬ結婚をする事もあります」

「それって政略結婚ってこと?」

「そうですね。商人もそうでしょうが、際立って貴族や王族に生まれてくる子女は他家に嫁いで繋がりを強くする目的があります。第二夫人や第三婦人なんて当たり前ですからね」

「一対一じゃ駄目なの? 男の人が複数の女性を娶るのはなんでなの?」

「一対一では産める子供の数に限界があります。私達、貴種に生まれた子女の役目は子供を孕み、家を存続させる事です。ですから、幼少期より、徹底的に男性に好まれるように知識と身体を磨き上げます。私は王族なので特にそうですね。夫となる方を立て、尽くしていくように育てられました。そのようにしても、欠陥を持つ方はいます。子供が産めない体質の方や死産、生まれた子供が成人前に死んでしまったなどですね。このような事態に対処するために複数の家から女性を娶る必要があるわけです。簡単に言えば跡継ぎである子供を産み、育てる事が私達の存在意義なのです」

「そんな……」

「姫様はそれ以外にも国民を愛するように教育を受けております。その方が人気も出て王家が民を利用しやすくなるからです。反乱防止にもなりますし、姫様の商品価値を上げる事も可能です」

「腹黒いわね!」

「黒くないとやっていけませんよ。王宮なんて魑魅魍魎の巣窟ですからね。ですが、国民を愛する事は既に私の根幹となっています。だって、私は彼等が収めてくれる税金で生活させて頂いているのです。その恩返しをするのは当然の事です」

「いい子……いや、どこか狂ってるのかしら?」

「王女様は狂っておられません。狂っているのは王宮の方です」

「それって……つまり、そういうことなの?」

「私からはお答えできません」

 

 撫でながらお話をしていると、アビーちゃんとユーリちゃんが起きてきました。二人は目を擦りながら私を見上げてくると、そのまま抱き着いて甘えてきました。ですので、慈しむように撫でてあげます。

 

「おはようございます」

「おふぁよう、ございます……」

「おはよう!」

 

 ユーリちゃんは眠そうにしていますが、アビーちゃんはすぐに意識が覚醒したようで元気に挨拶をしてくれました。少し怖いですが、この対応は間違っていないと思います。

 

「お姉ちゃん……もっと……」

「ユーリにとってリリアーナはお姉ちゃんなのかしら? 確かに同じ髪の色だものね! それにマスターの嫁という事なら、確かにお姉ちゃんね。何も間違ってはいないわ」

「そうですね。はい、お姉ちゃんです。ユーリちゃんは可愛い私の妹です」

「えへへ~もっと撫でてください~」

「お姉ちゃん、私も撫でて!」

 

 アビーちゃんもきたので、二人を甘やかしていきます。特にユーリちゃんの庇護が手に入るのはかなり助かります。ご主人様はユーリちゃんを本当に大切にしているので、彼女の言う事は大抵は聞いてくれるそうです。ですから、彼女を盾にしてご主人様からの暴虐を防げれば言う事なしです。それに可愛い妹は欲しかったので嬉しいです。アビーちゃんは正直、かなり怖いですが、寂しがり屋のところもあるみたいなのでしっかりと可愛がってあげればどうにかなりそうです。敵対せずに相手の懐に入り、仲良くする事こそが一番の安全対策でしょう。希望としては私のお願いで止まってくれる事ですね。それがヘリーナや雫、国民を助けることになりますから、頑張りましょう。

 

「遊んでないで、お風呂に行かない? 臭いが凄いし、こびりついて取れないんじゃない?」

「マスターの匂いだからいいのよ」

「でも、他の人も居ますし、それはちょっと嫌です」

 

 アビーちゃんはこのままでもいいみたいですけれど、ユーリちゃんは他人の目も気にして綺麗にする事に賛成みたいです。

 

「あの、アビーちゃん。ご主人様なら綺麗にしていた方が喜ばれると思いますよ。それに男性は綺麗な物を汚すのが好きだとも聞きました」

「なるほど。確かにマスターにまた汚されるのもいいかもしれない」

「はい。お風呂に行きましょう」

 

 二人の手を取って昨日、案内された室内から直接行ける大きなお風呂へと移動します。ヘリーナや雫も着いてきてくれて、そこで身体を綺麗にしてもらいます。

 

「魔法を併用しながら肌を綺麗に整えていくのです」

「マッサージもするんだ……」

「もちろんです」

 

 ヘリーナが雫さんに教えながら私達を綺麗にしてくれます。私は自分で洗った事なんてありません。他人の身体を洗うのでだって昨日が初めてです。奴隷の時に体験した記憶も水をかけられたり、川や井戸に落とされたりしただけなのであてにはなりません。

 

「姫様、腕に……」

「ああ、拘束の跡ですね。消しておきます」

 

 再生の魔術を使用し、身体全体から老廃物を排除して綺麗な細胞に入れ替えさせます。肌も常に綺麗なようにして、不足した細胞も分裂させて増殖させます。仕様したエネルギーは魔力で代用して綺麗な生まれたままの肌を維持します。髪の毛も綺麗な光り輝くような金糸のようになりました。

 

「姫様、異端の魔法はできる限りお控えください」

「ここでは異端ではありませんから大丈夫ですよ」

「リリアーナは私と同じ系統の魔術を使うから、大丈夫よ。仲間だもの!」

「ありがとうねございます。アビーちゃんも綺麗にしてあげますね」

「ユーリは私が洗うわね」

「お願いします」

 

 雫さんがユーリちゃんに教えてもらいながら綺麗にしていきました。私の魔術で身体を綺麗にするのもわすれません。それから湯船に浸かってゆっくりとお湯を楽しみます。このお湯は木々から出ているようで、いい匂いもします。

 

「えい♪」

 

 ユーリちゃんがスイッチを押すと周りの景色が一変しました。天井が開き、大きな桃色の綺麗な大樹から花びらが降ってきたのです。

 

「あれって桜?」

「そうです。頑張って作ってみました。桜餅、美味しいですし」

「そっちなのね」

 

 どうやら、桜という木のようですね。綺麗なのでお花見をしながら疲れを抜きます。雫やヘリーナも一緒に入ってお話をします。

 

「雫の方は大丈夫ですか? 一応、雫達には酷い事をしないようにお願いはしておきましたが……」

「こっちはルサルカさんに捕まって、色々と聞かれただけよ。それでとりあえずメイドをする事になったの。私が戦っても意味ないし、無駄だったから……」

「剣を置いて魔法を習得するんですか?」

「それについても話してみたの。強くなるにはどうしたらいいのかって。そうしたら私に日常に、日本での生活に戻らない覚悟があるのなら、強くしてくれるって言ってたわ」

「それは……」

「わかってるの。これからやるのは殺し合い。それも魔物(モンスター)が相手じゃない。人間を殺すの。そんなの、もう普通の生活に戻れる訳がないわ。普通ならここで大人しく待っているのでしょうね。相川君達みたいにお店を出すのもいいし……でも、私の中には八重樫流でどこまで強くなれるか試したいっていう気持ちもあるの。そもそもが私が習ってきた剣術って人を殺す為に磨き上げられてきた剣術だから……」

「どちらの選択にしろ、私は雫の事を歓迎いたします。ここで生活するのも、戦いに身を置くのも、自分自身の意思で決められるなら、その方がいいです。雫はまだ自由なのですから」

「私も奴隷なんだけど?」

「雫さんは何時でも解放してくれますよ。お兄ちゃんにとっても雫さんは大切なお友達ですからね。対外的に保護するための理由としているだけです。ですので、基本的に自由に行動していいと言われていると思います」

「確かにユーリの言う通り、自由に動きまわれるわね。武器も持ったままだし」

 

 他のクラスメイトの人達と比べても待遇が全然違います。私もある意味では特別扱いです。やりましたね。全然嬉しくはありませんでしたが。

 

「っと、姫様。お着替えの用意が整っております」

「わかりました」

 

 ゆっくりとしたので、湯から外に出て身体を拭いてから着替えさせてもらいます。今回、用意されたのは女性の神官が着ている法衣のようなものです。色は緑色がメインで皮のベルトが所々にあります。首元は白色で覆われ、聖印が首輪に取り付けられていました。帽子もベールのようで、こちらも聖印のマークが付けられています。鏡を確認しますと、神官服ですが、聖教教会の物と違ってかなりシンプルです。

 

「似合っておりますよ」

「いい感じだと思います」

「確かにそうね」

 

 ヘリーナやユーリちゃん、アビーちゃんも認めてくれました。でも、問題はあります。

 

「スリット開きすぎでしょ」

「ですね……」

 

 いくら下に黒いアンダースコートを履いているとはいえ、腰の辺りから大きく開くようになっています。また、ガーターベルトを使って靴下も持ち上げているので、太股の一部が見えています。

 

「手を入れて撫でやすくしているのね!」

「やっぱり、そういう目的ですよね……」

「お兄ちゃんの趣味に合わせて用意しましたが、嫌なら変えますか?」

「いえ、問題ありません。ありがとうございます」

 

 私ではご主人様の趣味はわかりませんし、気に入ってもらえる服があるのならそれを着た方がいいです。夫となられる方に気に入ってもらわなければ幸せになれず、悲惨な生活を送る事になるとは散々言い聞かされてきました。実際にそういう方ともお会いしましたが、その人達はほぼ軟禁に近い状態でたまに主人が訪ねてくるだけらしいです。そんな生活はやはり嫌ですから、気に入ってもらえるような努力を怠る事はできません。

 

「そういえば、これからの予定はお聞きになられていますか?」

「お昼からご主人様と一緒にお出かけするらしいです。詳しい行き先は聞いていません」

「でしたら、化粧もした方がいいですね」

「お願いします」

「その前に軽く朝食を食べましょう。ユーリちゃん達はどうするの?」

「私はこれからラボで研究です。作らないといけない物がいっぱいありますからね。アビーも手伝ってください」

「何を作るのかしら?」

「転移ゲートです」

「それは確かに私とマスターの領分ね」

「一応、アマテラスにも転移ゲートがあるので、そちらも参考にして科学的に作っていますが、魔術的にも一緒に作れば更なる発展が可能です」

「ええ、そうね。一緒にマスターを驚かせましょう!」

「はい!」

 

 仲が良い二人はそのままラボに向かいそうでしたので、二人の両手を掴んで止めます。

 

「まずは朝御飯を食べてからです。お腹が空いては力が出ませんからね」

「「は~い!」」

 

 五人で朝食を食べてから、それぞれ別れました。私はヘリーナと一緒に生活に必要な物を書き出しておきます。後でお願いして用意しないといけません。流石に着る物や小物などは不足していますから。それとあの子達がどうなったのかも気になりますので、それも聞かないといけません。

 

 色々とやっていると、時間になりました。お昼前にご主人様が迎えにきてくれて、それから手を繋がれて二人でお出掛けとなりました。ご主人様と一緒に移動していると、視線が集まってきます。私に向けられた敵意もありますが、隣にご主人様が居る事でほとんどありませんでした。

 そんな快適な状態で初めて買い食いや自分でお店に向かって選んで買い物をするなどを経験しました。最後には私が私であった子達の所へと案内してもらい、彼等が元気になっている姿を見せてもらいました。まだ治療中のようですが、それでも楽しそうに笑い合っている姿は無理をしてでも記憶を受け止めた価値があると思えます。

 

 

 

 

 

 

 

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