目の前で傘を指しながら笑っていると、150㎝ぐらいの年端も行かないような少女のような姿をしている。実際の年齢は確か、24歳。内閣情報調査室に所属していて、アストルムにスパイとして入っている人だ。 そう、彼女の姿はアバターだ。アストルムと呼ばれるVRMMOを開発し、その中で世界最強クラスの存在として存在する
まあ、このアストルムは超高性能AIによって管理され、最初にゲームをクリアした人の願いを叶えると言われて多数の女性がプリンセスを目指して参加した。男性はなんだった忘れた。プリンセスナイトは七冠しかできないはずだし。
そんなゲームを攻略した一人の女の子がもっと続けたいという願いを受け、色々な妨害を受けた状態のせいで曲解して叶えた。接続している数千、数万の人達を巻き込んで彼等の記憶を消し、ログアウトできないデスゲームかガチもの異世界となったとさ。ヤバイ☆
「色々教えてくれるとのことだけど、何を教えてくれるんだ?」
「そうですね。私の知っている知識などです。お姉さんとしてしっかりと教えてさしあげます。私が知っている彼とは同じようで違うようですが、その辺りはおいおい調べていけばいいでしょう」
「要求は?」
「異世界の知識をください。私の知的好奇心を満たすために」
ネネカの視線は俺の周りに居る者達とその場に存在する破壊の跡を一瞥した後、こちらをしっかりと見詰めてきている。最初はプリンセスコネクトの主人公であるキシクンとして、こちらを判断して別に混ざっていると判断したんだろう。
「全部は無理だ。国の国主として極秘としなければならない情報が多々ある。教えられるのは一部のみとなる」
「それはそうでしょうね。それにしても、国ですか……」
「こちらで作った。戦力は女神をはじめとしてかなりある」
「女神ですか……いささか信じられませんが……貴方がそういうのであれば事実なのでしょうね」
どうやら、信じてくれたようで良かった。プロテアが力を出そうとしていたので、大惨事が防げた。それとネネカのことだから、変身能力を使って紛れ込んで調べようとしてくるだろう。だけど、それは無理なので釘を刺しておこう。
「変身能力を使って侵入してもすぐわかる」
「どうしてですか?」
小首を傾げる彼女にしっかりと伝えておく。セキュリティーに関してはユーリとハクの科学組とルサルカ、鈴、恵理の魔術組で徹底的にやっている。両方を突破するには現状のネネカが持つ技術では不可能だろう。未来の科学技術をどうにかできても、完全な魔術系統は不可能に近い。アバターの力があったとしてもだ。
「俺がネネカを召喚した関係で魂が繋がっているからだ。それに姿はまねられても魂までは無理だ。無理、だよな?」
「ええ、無理です。しかし、魂の繋がりですか……これは厄介ですね。さて、全部を教えてもらうには……」
「ネネカだったかしら? 簡単よ。貴女も真名の女になればいいのよ」
「そうそう。そうなれば僕達と一緒で家族だから、全部教えられるよ?」
「……なるほど。家族ならば現時点の全てを教えてもらえるのですね。加えて未来で得られる異世界の技術もですか」
ルサルカと恵理が説明して説得してくれる。
「確かに魂に関する技術は蒐集できていません。まったく未知の分野です。それに異世界の技術は……大変興味があります。いいでしょう。身体を捧げる価値は十分にあると判断します。ですが、私は……情報を……」
頭を押さえて痛そうにしたネネカ。どうやら、記憶の障害がこちらでもあるらしい。まあ、ユーリに治療してもらえば大丈夫だろう。
「大丈夫か?」
「……大丈夫です。それよりも、一つだけ言っておきます。祖国を相手にやりすぎるのであればそれ相応の事を覚悟してもらいますよ」
「それこそ親密になって教え導けばいいじゃない。違う?」
「そうですね。お姉さんとしてしっかりと教えてあげましょう」
「じゃあ、契約魔術を使いましょう。これで絶対に裏切れないから♪」
「……いいでしょう。最低限の条件を……」
女性陣の方で話し合いをしてもらっておく。ネネカの要求は技術の開示と習得。日本への対応についての権限を一部認める事と虐殺などの禁止といった基本的なこと。日本側から戦争などを仕掛けられた場合はもちろん、交戦するのは問題ないとのこと。それらに加えて愛する女性として扱うことぐらいだった。この愛する部分には別の男にあてがわないなどそういう部分がある。
こちらはむしろ、ルサルカ達から追加して、ありえないかもしれないがネネカが他の男と身体を重ねるなどを禁止している。あっさり、こちらの提案に乗ってきたのと、内閣情報調査室ということでハニートラップとか別の男にされたら叶わないからだ。まあ、心配しすぎだとは思うけれど、精神支配系の方法がないわけではないので、そちらの対策として先に縛っておく。
「しかし、これは助かるな」
「どうしたんだよ?」
「某が教えようにも強くは言えぬ。ネコネ達に任せても同じだ。だが、国を思う彼女であればしっかりと聖上を皇としてムネチカ殿のように教育してくれるであろう」
「ああ、なるほどな。まあ、確かに皇としては随分と好き勝手にしているからなぁ。自分も流石に国庫でガチャをされたらかなわん」
「面白い事を言っていますね。どういう事か、説明していただきましょう」
オシュトルとハクの言葉を聞いてネネカさんがこちらに詰め寄ってくる。俺は汗をダラダラさせて視線をやると、残りの八ツの門が見えた。これだ!
「い、今は置いておいて残りの召喚をするぞー! ルサルカ!」
「はいはい」
「確かにそちらの方が重要ですね。後でしっかりとお話します。そちらの仮面をしている貴方、色々と教えてください。教育カリキュラムを作ります」
「うむ。承った。カリキュラムというのはわからぬが、必要な事であればしっかりと協力させていただく」
ネネカとオシュトルがしっかりと握手をしたのを横目にして、アビーの隣に移動して続きをする。美遊は兄である士郎と話しているので、こちらは置いておいていい。残りの召喚は聖杯の力が入っているので、基本的にこちらの願いが叶えられるからだ。
「雫にあげるのだから、剣よりも刀がいいのよね?」
「そうだな」
「じゃあ、強い聖遺物たりえる最強で最恐な刀よ来なさい!」
「にゃぁっ!」
ルサルカの言葉に門が開いて、中から炎が溢れ出してくる。そんな中から金属が擦れるような足音が響いてきた。それも濃密な殺気と共にだ。
「全員、戦闘準備!」
ルサルカの声と共に全員が戦闘準備を整える。支援魔法をかけて戦闘能力を高め、盾になる召喚獣を召喚して待ち構えていると、赤色の鎧を着た武者が歩いてくる姿が見えた。そいつが手に持つのは大太刀だ。その大太刀は炎を纏っていた。
「おいおい、コイツは……」
「お兄ちゃん?」
「村正がヤバイというぐらいの代物だぞ、あの大太刀は……」
草薙の剣や天叢雲剣か、とも思ったが、違うような感じもする。というか、鎧武者とセットで炎を出してる奴なんて一つしかない。
「我、求めるは強者なり」
そう、コイツの名前は天目一個。史上最悪のミステスなどと呼ばれ恐れられる伝説の怪物であり、大太刀型宝具『贄殿遮那』を核として顕現している。うん、灼眼のシャナという作品のヒロインが使っていたヤバイ大太刀だ。確かにこれなら聖遺物として申し分なく、ルサルカの願った最強で最恐だろう。精霊のような連中を何十体も何百年にわたって斬り殺していたぐらいだし、天罰神の力を持つシャナが使っていたのでひょっとしたら強化されているかもしれない。
「ふ。これなら雫の聖遺物として申し分ないわね!」
「過剰すぎるわ!」
とりあえず、交渉してしばらく大人しくしてもらう。天目一個は士郎やオシュトルをターゲットにしているような感じだが、使い手は別にいるからな。
「使い手候補は現在、準備をしているのでもう数日待ってもらえないだろうか?」
「それが無理であれば某がお相手仕ろう」
「兄様はまだ駄目です!」
「俺もまだ身体に慣れていない」
「と、いうわけで準備期間をいただけないだろうか? その代わり、使い手に相応しいものを用意することを約束する」
「……良かろう。我、求めるは強者のみ」
天目一個の姿が光となって俺の中に入っていった。これ、何時でも現れるレイドボスかもしれない。愛歌と同じような感じかもしれないし、さっさと雫に渡そう。無理かもしれないが、雫ならやってくれるだろう。最悪、というか、保険としてユーリとユニゾンして挑んでもらえばなんとかなる! はずだ。
ネネカ プリンセスコネクト!Re:Dive
天目一個 灼眼のシャナ