ありふれた職業の召喚(ガチャ)士で世界最弱   作:ヴィヴィオ

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第86話

 

 アーサー・ペンドラゴン、士郎、ネネカ、天目一個と四回の召喚を行った。残りは七回。なので、他に願いがある者達の望みを叶えた方がいい。

 

「詩乃はどうする?」

 

 近くで武器をてにもっている詩乃に声をかける。鈴と恵理はこれと言って願いはないと思う。いや、向こうの世界に俺と一緒に戻るぐらいだろう。

 

「私はいい。今、お母さんを召喚しても困る」

「確かに安全が確保されてからの方がいいな」

「うん。それでお願い」

 

 身体を寄せてきた詩乃の頭を撫でながら、ケットシーの耳を楽しみつつ次に視線をやる。ワクワクした表情でこちらを見詰めているピンク色の暴走っ子を無視する。

 

「他に誰か欲しい物はあるか? アストルフォ以外で」

「そんなっ!?」

「あの……私、欲しい物があるんだけど……いい?」

「優花か。いいぞ」

「ありがとう。それじゃあ……何処でもどんな環境でも使えて、食材が無くならない最高級のキッチンとお風呂がついている屋敷……ううん、最高級のホテルが欲しい」

 

 優花が願いを声に出したところで、俺とアビーが一緒に力を込めて召喚用の門を作動させる。召喚されたのはスキル書のディメンション・ホテルと呼ばれる物だった。

 

「なんでホテルなんだ?」

「これで何処でも皆に美味しいご飯を食べてもらえるし、お風呂も個室も完備」

「ありがとうゆかゆか!」

「確かにあると便利だしね」

「汗を流せるけど、やっぱりこっちの方がいいかも」

 

 緊急避難的なこともできるし、優花の店として土地を手に入れてから出すのもありだろう。まあ、ホテルなので料理屋と比べると規模がヤバイが。

 

「あっ、ごめんなさい。主様、もう限界です……」

「マスター、ごめんなさい。私も限界だわ」

 

 美遊とアビーの二人がそう言うと、門が崩れていく。どうやら、聖杯の力が限界を迎えたようだ。まあ、無理もないだろう。今回、召喚したのはどれもこれも聖杯で確率を弄って無理矢理呼び出した物だからな。

 

「ありがとう。助かった」

 

 近づいてきた二人の頭を撫でた後、スマホを確認する。残っている天使の魂は全て無くなっているが、それ以外の魔物や人、魔族の魂はまだある。つまり、ガチャは実行可能だ。

 オルクス大迷宮ピックアップガチャは無くなっている。まあ、オスカーも仲間に入れたし当然だな。他に現在、開催されているガチャは……スキルガチャ、武器ガチャ、進化素材ガチャだ。

 

「どれがいいか……?」

「ボクは進化素材ガチャがいいと思うな~」

 

 アストルフォが後ろから首に手を回して抱き着いてきた。その状態でスマホを見てきているわけだ。匂いも柔らかさも本当に女の子のようで、色々とアレだ。

 

「ね~ね~これでいいでしょう! ボク、進化したいな~」

「わかったよ。じゃあ、これでいいか」

「と、いうか、まだやるのね」

「もちろんだ。皆も十回ずつ引いていくか。本人がやった方が出るかもしれないしな」

 

 進化素材ガチャをアビーと俺で協力しながら、それぞれにスマホのボタンを押してもらう。全部で1000回回した結果、☆1素材が580個。☆2素材が310個。☆3素材が66個。☆4素材が38。☆5素材が6個。全くもって酷い割合である。

 

「爆死? 爆死よね?」

「いやいや、そんなことは……」

「まごうことなく爆死なのです」

「残念ですが、現実です」

 

 ルサルカの言葉に続いてネコネとリムリも同じように言ってくる。しかし、大丈夫だ。アルテナは俺の頭をよしよしと撫でてくれる。アビーの方は俺と同じく項垂れてしまっていた。

 

「次こそは引けるはずだ!」

「そうよね、マスター! 次引きましょう!」

「あ~」

「典型的な駄目駄目な奴だよ、まなまな……」

「聖上。残念ながらこの度はこれで終わりです。これから入用なのですから、貨幣まで使われては困ります」

「また稼いでくればいいじゃん!」

「駄目です。金貨を消費しているのですよ。消えた分の補充をどうするのですか」

「ぐっ……経済的に駄目か」

「そもそも、本来の目的である美遊殿の兄君と雫殿の聖遺物は手に入れております。追加でネネカ殿の召喚と優花殿のホテルに成功したのですから、この辺りが撤退しどころかと」

 

 オシュトルの言う通りなんだが、もっと引きたい。

 

「どうやら、わたしでは満足していただけないようですね?」

「いや、そんなことは……」

「でしたら構いませんね。さっさとこれから住むことになる拠点に案内してください」

 

 ネネカにこう言われたらどうしようもないので、ここで泣く泣く撤退することにする。まあ、美遊の笑顔も見れたし、天使共を殺してまたやればいい。

 

「お兄ちゃん、あとで……その、たっぷりと慰めてあげますから、帰りましょう?」

 

 ユーリにまでそう言われたので、大人しく帰ろう。俺から出たユーリを抱き上げて肩車する。ユーリは俺の頭を撫でてくれる。アルテナは離れて付き添ってくれた。

 

「全員、魔族か帝国が来る前に撤収する。指示はオシュトルに任せる」

「はっ」

 

 全員がオシュトルの指示に従って即座に撤収していく。移動は魔改造トラックに全員が乗ったあと、女神や一部の精神的に問題ない者達が運転する。それからアビーの開いた門を通って帰ることで、素早く戻れた。本当にアビーには頭が上がらない。

 

 そんなわけで、居残り組のシュテル達と雫の様子を確認するために研究所にやってきた。そこでは雫が培養槽の中で浮かんでいるが、改造のためなので問題はない。

 雫には複製した竜の心臓とユーリの持つリンカーコアを移植し、骨に魔術を仕込んで神結晶と同質の物質でコーティングして全体的に強化されているようだ。脳の部分には手を出さないが、それ以外の部分には徹底的に強化しているとのこと。

 特に再生能力は高くされていて、お肌の感触など常に生まれたてのような状況に維持されるらしい。美容関係が凄まじいレベルで施されている。染みや皺なんてものも無縁らしい。胸も垂れることもなくしっかりと維持されるらしい。施されているのがほとんど戦闘に見せかけた美容系という恐ろしさ。こんなのやってるから竜の心臓とリンカーコアが必要なんだと思う。

 

「美容に関する強化が戦力の向上にも繋がるということですか……いいですね。これは私も欲しいです」

「女性なら誰でも欲しいわよね。例外はすごく若い子だけかしら。ユーリちゃんみたいな」

「むぎゅ」

 

 座って雫の様子を確認していたユーリが、ルサルカに後ろから抱き着かれて頭に顎を乗せられる。その隣に立って表示されたデータを確認していくネネカ。彼女は色々と質問していく。それを答えるユーリ。二人共、とても楽しそうだ。

 

「お兄様、あったかい物、どうぞ」

「ありがとう」

 

 シュテルが持ってきてくれたホットココアを受け取って室内にあるソファーに座る。シュテルはユーリやルサルカ、ネネカ達にも渡していく。

 

「「ありがとうございます」」

「ありがとう」

 

 両手で抱えてフーフーしながら飲んでいく姿が、とても可愛らしい。口の中に広がる甘味を楽しみながら、ユーリとネネカが技術について話していく。流石にルサルカは科学分野はわからないようだが、ネネカに魔術に関して質問されると答えていっている。あちらは邪魔をしないようにして、俺はシュテルに尋ねる。

 

「シュテル、雫の状態はどうだ?」

 

 隣に座ってきたシュテルに聞いてみる。彼女はココアの上に書かれたラテアートの猫を壊さないように飲んでいる。

 

「問題ありません。もうまもなく適合して完成します。経過は順調ですので、拒絶反応もありません」

「それは良かった。だが、本当に大丈夫なのか?」

「はい。私達の世界に存在した古代ベルカでは人体改造はかなり行われておりましたからね。その技術もしっかりと蒐集してあるので、それを基にしてこちらにある生成魔法やルサルカさんの魔術に加え、鈴さんの結界などによる細菌の排除。そして、ハクさんより頂いた仮面の力や彼の解析能力を借りて私達では理解できなかったものも理解できました。もちろん、恵理さんの死霊術も問題なく定着させるのに役立ちました」

 

 つまり、雫の身体は俺と同じく、彼女達異世界の技術者たちによる合作となっているわけだ。

 

「姿形が雫というだけじゃないよな?」

「もちろんです。DNAもちゃんと雫さんの物を基礎としてあります。あくまでも身体を改造しただけですよ」

「それにしても雫で人体実験をしたような感じじゃないか?」

「実験はすでに終えていますので、問題ありません。安全面は確保してあります。後、実験をするというのなら、プロテアの女神の神核を複製して投入するぐらいでしょうか?」

「流石にそれは……」

「はい。人を完全に止めることになりますし、何が起こるかわかりません。下手に実験もできないのでやっていません」

 

 ちゃんとその辺りは考えてくれているようだ。何重にも安全策を講じて確実に問題ないという技術しか使われていないようだ。俺には一切、そんな気がしないが。

 

「ところで見たことがあるような身体が複数、作られているようなんだが……」

「ああ、恵理さんとアストルフォさんの物ですね」

 

 シュテルが頭を俺の肩に預けながら答えてくれた。その内容はちょっと聞き逃せないことも入っている。

 

「恵理とアストルフォか?」

「恵理さんは魂の強化だけでは何れ限界が来ると思っているようで、肉体面の強化も行っています。ただ、問題は完成されていない欠陥兵器を身体の機能として取り入れられています。私達も詳しい技術はなく、ほとんど聞いただけの概要に近い物だったのですが……」

「嫌な予感しかしないが、それはなんなんだ?」

「死体を動く爆弾に変える技術です。古代ベルカにあったガリアの王が施された技術で、名は……」

「マリアージュか」

「そうです。やはりご存知でしたか」

「まあな……」

 

 マリアージュ。ガリアの王、イクスヴェリアの能力だ。彼女が体内に自動生成されたコアが近くにある死体に勝手に取り込まれ、死体を浸食して身体を作り変える。機械化された兵士となり、敵を排除する。やられかけたり、捕獲される場合は自らを可燃性の液体……ナパームのような物に変化させて敵ごと周囲を焼き払う欠陥兵器だ。欠陥なのは命令がイクスヴェリアの意思に関係なく、生み出されたマリアージュが事前に登録された行動によって自国以外の相手を殺し、マリアージュに作り替えていくからだ。

 

「身体を作り変えるのは錬成で、操るのは死霊術を使えばいいか」

「変化させる自爆用の液体はジャンヌ・ダルク(オルタ)さんの憎悪が込められた地獄の業火を閉じ込めた物を錬成して解き放つとのことで、この世に地獄を顕現させるそうです」

「なんでそれに協力したんだ?」

「取引しました。私も地獄の業火を使いたかったので」

 

 眼鏡の中心部をクイッと人差し指で上げてドヤ顔をするシュテル。炎熱系としては欲しかったようだ。

 

「それにお兄様は知らないかもしれないですが、白夜の方々は狂信者と言える方々です」

「それがなんだ?」

「死後も助けてくれたこの国を守るために戦いたいそうです。その手段を求められ、開発したのがコレです」

「マリアージュとして死体を完全な兵士へと作り変えて、死霊を宿らすことで疑似的な転生を行って強くてニューゲームか」

「はい。肉体はともかく、経験値は蓄積されます。もちろん、永劫破壊(エイヴィヒカイト)も仕込んであるとのことで、死体が持っていたレアスキルも蒐集出来る優れものですよ」

「大変興味深い技術ですね。倫理観を無視すれば、ですが……」

 

 ネネカもこちらにやってきた。どうやら、話し合いは終わったようだ。いや、ユーリ達の方を見ると、あちらにもネネカが居る。つまり、分身を置いてきたというわけだな。

 

「シュテル。改めてネネカだ」

「はい。私はシュテル・スタークスです。よろしくお願いいたします」

「ええ、こちらこそよろしくお願いします。それで先程の話ですが、コントロールはしっかりと効くのですよね? 勝手に死体を作り替えられては管理が大変ですよ」

「もちろんです。恵理さんが契約した死した英霊達だけになります。生前に契約を交わすことで、運用を簡単にして恵理さんが居なくてもある程度は運用できるようにするとのことです」

「しかし、浄化された時の対策は……」

「問題ありません。これらの戦力はあくまでも恵理さん個人が持つ運用する戦力です。本来の国軍は別にあります」

 

 現在、天津が抱える軍は国防軍、遠征軍、親衛隊に別れる予定だ。シュテルは国防軍と遠征軍の兵器開発も行っている。技術開発部にはミレディやオスカー、ハク、ユーリ達も所属している。ネネカや士郎義兄さんもここの所属になるだろう。

 

「反乱されても鎮圧するだけの戦力もありますし、マリアージュには自壊コードも仕込みます。それに最悪、鈴さんの神獣鏡(シェンショウジン)で浄化しますので問題はないかと」

「鎮圧できるのであれば問題ありません。しかし、色々と研究したい技術が目白押しですね」

「研究するのは構わないが、秘匿は一切無しだ。互いに技術を公開して協力し合うのがルールだ」

「本来なら有り得ないことですが……」

「研究者は皆、家族ですからね。優劣はほぼありません。成果を出せばご褒美がもらえるだけで、それこそ研究をしてもいいですし、しなくてもいいです」

「そういうことだ。研究費とかはちゃんと国庫から出す。それ以上は成果を上げて稼いでくれ」

「ふむ……だいたいわかりました。技術特異点は異世界の技術が集まるのであるならば当然、起こりますから、技術は飛躍的に進歩します。彼女の技術を追い越すこともここであれば容易い。いいでしょう。魔術、魔法と科学の融合……魔科学と言ったところの技術を極めましょう」

「じゃあ、条件についても問題ないか?」

「ええ、身体を差し出すなど、このような技術を得られるのであれば些末な事と言えるでしょう。もちろん、安く売るつもりは一切ありませんし、おひとり限定ですが」

「それは良かった。それで、研究はしばらくしてから……」

「いえ、今すぐ行います。ああ、安心してください。ちゃんと本体は真名のところに居ますから。ですので、シュテル。貴女のところにも一人、置かせてください」

「そういうことならわかった。シュテル、頼めるか」

「わかりました。研究施設を案内して空いているスペースを使ってもらいます。幸い、急ピッチで開発しているので、場所は余っていますし」

 

 ハルツィナ樹海からライセン大渓谷までの広大な地下が開発範囲だ。現在も錬成と生成魔法を利用した拡張工事が進行していて、詳しい計画(プラン)は知らされていない。全部、シュテル達、技術者に任せてある。利便性だけは優先するように言ってあるし、メインで図面を引いたのはハクやディアーチェ達だ。

 ハクは面倒な事はしたがらないので、移動に関しても出来る限り余分な物を省いて効率を優先する。これはディアーチェ達も同じだ。まあ、アレだ。ガンダムで言うジャブローのような堅牢な地下要塞といった感じに作られていっている。

 

「ネネカさん。ちょっとスケジュールを決めたいので、いいですか?」

「スケジュールですか?」

「はい。お兄ちゃんと一緒に寝る順番とかです」

「ああ、なるほど。人数が多いようですからね」

「それで……」

「わかりました。ですが、できれば時間が欲しいですね。勉強にも利用したいので……」

「勉強……」

「ええ。そういうことがしたければ課題を達成すればしてあげる。そういった感じにしようかと思っています」

「それは……ちょっと困ります」

「わかっています。そこで提案があります。彼女の力を借りましょう。先程、教えてもらった彼女の力であれば問題なく、嫁である全員が満足できるでしょう」

「えっと……?」

「マナを分身させましょう」

 

 この言葉が発端となり、俺は色々とやばい状況になることになった。

 

 ユーリ達により、嫁達が集められ、彼女に話を通す。彼女達はすぐに了承してくれたので、お願いしてみたら二つ返事でやってくれることになった。

 そんなわけですごく長い夜が開けた。というのも、美遊を除いた全員で一つのベッドに何もせずに眠り、俺の意識は大量に別れた。

 

「ワクワク、ドキドキのドリームランドへようこそ! それぞれの要望に従って私がちゃんとエスコートするわ! だから、楽しんでいってね!」

 

 そう、彼女とはアビゲイル・ウィリアムズ。空間を操り、夢すらも操る事が可能な彼女であれば夢の中限定で俺の意識を分身させて嫁、一人一人や一対複数も可能だ。ハーレムも逆ハーレムも可能なわけだ。

 実際にデートした後に数人の俺とやっている子や、一緒に並んで互いの俺としている子なんかもいる。

 そんな中、ネネカに当たった俺はというと──

 

「では、勉強を始めましょう。国を導く者にとって最低限の事を覚えていただきます」

 

 ──机の上に大量の参考書が置かれている前で、足と身体を拘束されて椅子に座らせられている。逃げることはできない。

 

「ゆ、夢の中で勉強しても意味は……」

「記憶は共有されますし、覚めてからも覚えていられるようにしていただけるよう話はついています。ですので、気にせず覚えるまで延々と、それこそ何ヶ月でも時間を引き伸ばせるので、付き合ってあげます」

「そんなっ!?」

「ご褒美は本体の初めてです。私の身体を好き勝手に使っていただいて構いません」

「やりたいことであればなんでもしてあげます」

 

 いつの間にか分身していたのか、複数のネネカが現れていた。彼女達は俺の肩に手を置いて耳に口を近づけてきた。

 

「「ですのでどうか、頑張ってください。期待していますよ」」

「はい……」

 

 耳元でささやかれ、俺の地獄は始まった。ネネカの方は交代でもらった資料を読みながら研究をしていっている。この空間は研究者にとって理論を構築するにはもってこいなのだろう。

 美遊は士郎の所に泊まるので、今日は居ない。アビーは別の俺が相手しているのでこちらに助けもこない。俺のためになると言われているので、助けを呼んでも意味がないとのこと。無理矢理呼び出すわけにもいかないし、不甲斐ない姿をみせるわけにもいかないので頑張るしかない。

 

「まずは学力テストからです」

 

 学力テストの結果は当然、悪かった。呆れたような表情になったネネカがため息をつきながら、新しい資料、参考書などを呼び出してくる。

 

「復習も兼ねて小学生の問題からやっていきましょうか」

「社会とか忘れたって……」

「問題ありません。全て、やればいいだけです」

「ひぃっ!?」

 

 スーツ姿になって教鞭を持ったネネカと楽しい楽しいお勉強のはじまり、はじまり。ロリっ子女教師と個人授業とか、ある意味では最高では? その後のご褒美も待っているし……難易度はヘルのクソゲーだけど。

 

「痛っ!?」

「誰がロリっ子ですか。私は24歳です」

「叩くことない……って、心の声を読んだ?」

「ここは夢の世界ですから。貴方が思っていることを読むことなど、観察眼を磨いていなくても容易いです。プラカードを出すことだってできるのですよ。もちろん、黒板だって出せます。そういう風に設定してもらいましたから」

「くっ、さすがはママ……」

「誰がママですか。いえ、まあそれでも構いません。一応、大人扱いですし、いいとしましょう。では、勉強を開始します。間違えれば容赦なく魔法を撃ちますから、そのつもりで」

「鬼、悪魔! 可愛い!」

「ありがとうございます。と、言っていいのか、怒ればいいのかわかりませんね。本当に手のかかる子供に感じてきました。ほら、やりますよ」

「はい、は~い」

「”はい”は一回」

 

 勉強をしっかりとやっていく。ネネカママの教え方は大変わかりやすく、覚えやすかった。わからないところもしっかりと噛み砕いて教えてくれる。何度も間違ったら、魔法を叩き込まれるが、多少痛い程度で、容赦なく口による攻撃が飛んでくる。

 それでも根気よく教えてくれるので解けたときは嬉しくなるし、遠回しに褒めてくれるので嬉しくなる。

 三ヶ月ほど勉強を頑張って、ようやくネネカママの求める高校生レベルを最低限はクリアできた。そう、ネネカママが求めるだ。決して一般的なレベルではない。受験戦争で勝てるレベルが最低限だ。

 

「次回は帝王学や経済に関してですね。帝王学はともかく、マナの場合は経済を本格的に教えましょう。国庫を召喚で空にされてはかないません。ましてや、これから国庫に入るのは税金です。税金は国のためにこそ使われるべきものです。決して私利私欲のために使ってはなりません。いいですね?」

「はい!」

「よろしい。では、ここに召喚用の魔法陣があります。しかし、国庫のお金以外、使えるものがありません。どうしますか?」

「回します!」

「よろしい」

「あ、待って。その周りに浮かべている水晶を止めて!」

「お仕置きの前に聞いてあげましょう。なんですか?」

「ありがとうございます! ちゃんと使った分は後で補填す……」

「アウトです」

「あぎゃぁあああああああああぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 身体中に風穴を開けられて激痛にのたうち回った。少しすると回復した後、正座させられて説教された。でも、ガチャは回すしかない。

 

 

 

 

 三年の論争の後、どうにか互いに妥協点を見つけ合った。国庫とは別に貯金を用意し、そこから支払うことにする。ただ、この貯金には毎月貯めて残しておくのが条件だ。

 そんな話し合いをした後、ようやく現実に戻った俺は他の俺達の記憶を統合したことで頭がかなり痛くなったが、すぐに処理して小分けしたファイルをブレインコンピュータに作って、ちょっとずつ処理していく。それが終わったら、ご褒美タイムだ! 

 

 

 

 

 

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