織田3大軍師と恐れられた男〜女性ばっかの戦国時代で種子島で成り上がる   作:焼肉定食

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正徳寺にて

「どうしてあたしがお前の面倒をみなきゃいけないんだ、まったく」

「てか俺がもう侍大将まで出世したのは少しおかしいと思わざるをえないんだけど。」

「……姫様は使えると思ったらすぐ様官位を与える方だ。……お前は認められたと言っていいだろう。」

「ふ〜ん。まぁ給金が増えるのは嬉しいんだけど。こりゃ家臣団が納得しないだろうよ。今日会った身元不明の男を急に侍大将にしたって。」

 

俺は少し胃が痛く感じる

 

「……まぁ成果をあげまくれば関係ないか。」

「お前な。」

「知将が少ない織田家であれば俺でも手柄を挙げられることは結構あるぞ。今の織田家に足りないのは兵の質と知将や内政要員だ。それに内戦も未だに終わっていないはず。……とりあえずそれをまず纏めるのが俺の仕事だろうしな。」

 

俺は本質を理解して一番の利益になることが優先だろう

 

「なあ勝家。信奈のやつ、蝮がどうこう言ってたけど何しにいくんだ?」

「あたしを呼び捨てするな! まったく、馴れ馴れしいサルだな。われらは今より美濃の蝮に会いに行くんだ」

「龍の次は蝮か……どういう妖怪変化なんだ?」

「違う。美濃の斎藤道三のことだろ?油売りの商人での武将で稲葉山城の城主。戦略に優れているからなぁ。信奈と相性が悪いだろうなぁ。」

 

相良が聞くと勝家と俺が答える。

そういうと俺たちは少しずつ進んでいき

 

「そろそろ正徳寺に着くぞ。サルと浩介は信奈さまのもとへ行け。片時も目を離すなよっ」

 

 

この対面の儀の結果次第で、信奈が道三の娘を義理の妹として迎えることができるかどうかが決まる

もしも信奈が相変わらずのうつけっぷりを見せれば、道三は失望して娘を渡すことを渋るどころか、この場で信奈を暗殺するかもしれない

しかし正徳寺の門前に到着したばかりの信奈は、相変わらずのうつけ姿だった

 

「あれ。あんた、まだいたの?」

「いたよ。なんでいきなり存在忘れられてんだよ」

「ついでに浩介もいるわね。あなたも正装に着替えてきなさい。先に行って購入しておいたわ。」

「あぁ。助かる。」

 

一応和服の着方は屋台でバイトをした時にならったのでなんとかなるだろう

 


「よっしゃー! 気合い入ってきたわよ!」


何で? バカなの? 死ぬの?


「……姫さま、道三どのはすでに本堂へと到着されているとの由」

 

小姓らしき小柄な女の子が、信奈に拝礼しながら報告した

 


「デアルカ。わたしも着替えなくちゃね」

「ん、着替えるのか?」


「なんであんたが意外そうな顔をするのよ、サル?」

「無駄だと思うけどな。馬子にも衣装いうしな。」

「お前本当に失礼すぎるだろうが。」

「足軽のあんたは本堂にあがってきちゃダメよ。犬千代と一緒に庭で侍ってなさい。あっ。浩介は本堂に上がって。あなたの意見も聞きたいから。」

「御意。」

 


犬千代と呼ばれた小姓の女の子は、コクリと無言で頷き俺も一言入れる

 


「犬千代。蝮が妙なことをしようとしたら、即座に斬るのよ!」

「……御意」

「いざという時は、そのサルを『猿の盾』にしていいわ」

「せめて『人間の盾』って言ってくれよ」

「……御意」

 


あっさり御意って言ったなあいつ

 

 

すぱーん!

すると今度はいきなり、信奈が脱いだわらじが相良の顔面に飛んでいった

 


「それ、持っておきなさい!」

 


うーむ、足軽ってこんな辛い仕事だったのかー。織田家に仕官したの間違いだったかもと顔に出ている相良はほっといて俺は着替えに控えの部屋に向かった

 

 

「……失礼します。」

 

俺が入るとすぐに空気がかわったように感じる。

なんか見られているな

俺はそうしながら勝家の隣に座ると勝家は驚いたように俺の耳に呟く

 

「お前その髪どうしたんだ?」

「あっ?癖毛なんだよ。昔から。水でふやけたらすぐ癖毛に戻るからちゃんと伸ばしただけ。似合ってないか?」

「いや。似合っていないことはないんだけど。むしろ似合っている。」

「えっ?」

「あ、いや。なんでもない。」

 

すると顔を真っ赤にして目を伏せる

 

「……」

 

面倒くさいけど、癖毛を整えようかなぁ

そう思っていると

 

「信奈とやら、遅いのう」

 

道三が退屈そうに大あくびをした、その時だった

 


「美濃の蝮! 待たせたわね!」

 

最高級の京友禅の着物を艶やかに着こなしつやつやと輝く茶色がかった長髪をハラリと下ろした織田信奈がでてきた

その姿を見た道三は、口にしていたお茶を噴き出す

 

元々正徳寺の会談は有名である。

織田信長がうつけの格好をしているのには理由があり、それは理論的にも正しいことが分かっている

うつけ。

変わり者

しかし、信奈には自分をよく見える方法をよく分かっている

 

「う……うおおおおおおっ? な、な、な……なんという……美少女っ!?」

 

声に出すのかよっと思っていたのだが俺は声を出さなかった

 

「わたしが織田上総介信奈よ」

「あ、う、うむ。ワシが斎藤道三じゃ……」


道三は完全に度肝抜かれているようだった


「デアルカ」

「お、お、おう……」


「蝮! 今のわたしには、あんたの力が必要なの。わたしに妹をくれるわね?」

 


だが、さすがは「美濃の蝮」と恐れられる戦国大名・斎藤道三

 

「さて、それはどうかのう。織田信奈どの」

 

にやりと微笑む道三は、迫力満点の悪人面だった

 


「あんたほどの器なら、わたしの実力のほどはひと目見れば分かると思ったんだけど、こちらとの同盟は組めない……ということかしら?」

「ふふ、なに。いくつか尋ねたいことがあるのでな。もっとも……」

 

道三が鋭い眼光で信奈を睨みつけながら、ドスのきいた低い声で続ける

 


「場合によっては、この場でそなたのお命を頂戴するやもしれぬ。くっ、くっ、くっ」

 


言いやがったよ。平然と、笑いながらの暗殺宣言

しかしそれは面白そうにしている道三はどこか子供のようにはしゃいでいるようにみえた

 


「まず一つ目の質問じゃ。種子島なる南蛮渡来の武器を仕入れているらしいが、それは何故じゃ?」

「種子島はね、武士が撃とうが農民が撃とうがその威力は同じなの。これがどういうことか蝮、あなたなら分かるわよね?」

 


信奈は不敵に微笑んで

 

「つまり、種子島を揃えれば農民上がりばかりの我が織田軍もたちまち最強になるのよ!」

 

そう言い放った

 

「なるほど。じゃが、鉄砲も一挺二挺では役にたつまいて。高額で希少品の種子島を、はたして何挺集めたのかな? 十挺か、それとも二十挺かな?」

「五百挺よ!」

「五百挺!? 我が軍の何倍じゃ!?」

 

と道三が呻く

 


「はたして、それだけの種子島をどうやって調達したというのか? 尾張には、それほどの収入があるというのかの?」

「浩介。」

「はっ。確かに織田家の石高は低いです。しかし、貿易港の津島を押さえている。津島の商人に納入させた矢銭(軍用金)で買い揃えました。」

「なるほど。そなた、ただの大名ではないな。まるで商人じゃの」

 


こいつちゃっかり俺を試しやがったな。勝家に聞いていたのが正解だった

 


「では最後に一つだけ尋ねたいのじゃがな」

「なに?」

「なぜ、そなたの父君……亡き織田信秀公は戦ではワシにかなわぬと知りながら、美濃に何度も攻めて来おったのかのう?」

 


信奈は、胸を張って答えた

 


「父上の考えは知らないわよ。でも、わたしが攻めるとしたら東にはいっさい手をつけずに、ひたすら美濃だけを攻めるわ!」

「ほほう、それはなぜかのう?」

「それは蝮、あんたが最初に美濃を狙ったのと同じ理由だわ」

「むっ?」

「蝮!世間のバカな連中はあんたのことを『美濃を奪った蝮』と呼んでいるけれど、あんたは本当は『天下』を盗りたかったんでしょ?」

 

ぴくり、と道三の眉が動く

 


「信奈どの。なぜ、ワシが天下盗りを目論んでいたと断言できるのじゃな」

「浩介。」

「はっ。美濃を制する者こそが、天下を制する足がかりができます。 美濃こそが日本の中心とされていて。西は京の都に連なり、東は肥沃な関東の平野へと繋がっている。この美濃に難攻不落の山城を築いて兵を養い、天下を窺う。そしてときが来れば一気に戦乱の世を平定し、日本を平和な国にする。商人が自由に商いに精をだせる、そんな豊かな国にする。それがあんたの野望だったと考えられます。」

 

道三は、震えながらも、なんとか頷いていた

そして、カラリと道三の表情が陽気なものに変わる

 

「参った……参ったわい、信奈どの!それと浩介どの!誰にも話したことの無かったこのジジイの戦略をすべてお見通しだったのじゃな?いや、参った!しかし織田家に浩介という名前の武将いなかったはずじゃが。」

「今日戦場で浪人だった浩介を拾ったのよ。優秀な武将だから待遇もよくしてね。」

「……伊藤浩介と申します。以後宜しゅうお願いいたします。」

「ほう。信奈殿いい買い物したのう。こやつは将来有望な知将になるぞ。」

 

と高笑いしながら俺を見る斎藤道三


 

「蝮、わたしは美濃をいずれ併呑する。あんたの生涯の夢、天下統一の野望を、わたしが叶えてあげるわ!」

「商人が自由に商いに行える国を、そなたが?」

「商人だけじゃないわ。農民だって侍だって同じよ。日本をこんな風に乱れさせた古い制度なんか全部叩き壊して、南蛮にだって対抗できる新しい国に生まれ変わらせてみせるわ! わたしが見ているのは日本だけじゃない。『世界』よ!」

 

道三が、大きな笑い声をたてた

 


「そなたが尾張でうつけ者と呼ばれる理由が、やっと分かったわ」

「蝮、今のはここだけの話よ。あんたとわたしにしか分かり得ない話だもの。余人に聞かせれば、うつけどころか気が触れていると言われるわよ?」


「いえ! ここに理解できる者が一人おりまする!」

 

と庭先から少女の声が響いてきた

おでこの広い、道三の小姓だ


 

「おう十兵衛、そちも思わず熱くなったのじゃな。しかしまだ早い。今は、黙っておれ」

「……ぎょ、御意」

 


礼儀正しい奴だな

十兵衛ってことは明智光秀の確か幼名だったはず

 

「いいんじゃないですか?夢や野望を理解する同士がいれば、とことん表に出るべきだと思います。私達が目指すは農民や商人。侍や南蛮の者でさえ対等な世の中を目指すことです。そういった者が一人いるだけでも理解者として。同じ野望を抱くものとして協力関係を気づけるものだと思います。わずかながらその野望私も信奈様の頭脳として支えていく所存でございます。」

「……ふむ。」

 

すると何か考えるようにして少し笑う

 


「……さて、天下盗りのために美濃が欲しいという話じゃったな、信奈どの」

「そうよ。美濃が、わたしにもらわれたがっているのよ」

 


さすがに噴き出しそうになった

なんでそんな傲慢なんだ?

遠慮ってものを知らないのかよ

 

「ふ、ふ、ふ。老いたとはいえど、ワシは蝮と呼ばれた男。それは出来ぬ相談よ」

「でしょうね。そう言うと思っていたわ。わたしも、タダでくれとは言わないわ」

「ふふふ。そなたが一代の英傑であると分かってしまった以上、一度は戦場で相まみえて戦ってみたいのう……」

 

まぁ武将ならそういうよな

 

「……ふん。そうなの、そう来るの。あんたがそう言うなら、戦ってあげてもいいわよ」

 


それに応える方も方だけど

 

俺は少しため息を吐き言葉を発しようとした時だった


 

「思い出したぜ。爺さん。そこの斎藤道三!お前が考えていることが俺には分かる。どうせ美濃の行く末が分かっているくせに頑固ジジイみたいにひねくれているんじゃねぇ。」

 

……ちょっと面白くなってきたな

 

「無礼ね。黙っていなさい猿。」

「いいじゃねーか。外れていたら斬ればいい話だしな。」

「そうじゃのう。座興じゃ。言わせてみようぞ。わしの考えていることが分かるのか坊主

「このイベントはわりと有名だし、さっき全部思い出した」

 

恐らく戦国ゲームマニアなのだろうか。俺みたいに歴史がただ好きなのかはわからないが

 


「ふむ。南蛮語を喋るサル小僧か……しかし、デタラメを抜かせば、小僧であろうが我が小姓・十兵衛がそなたを斬るぞ」

 


スッと、首筋に刃が当てられる

 


「道三、あんたはこの後、家臣にこう言うんだ。『ワシの子供たちは、尾張の大うつけの門前に馬をつなぐことになる』ってな」

「ちょっ、サル! なんて失礼なことを言うのよッ? あんたわたしより口が悪いわよッ?」

 


さすがの信奈も顔色を変えていた。しかし

 


「なんと?」

 


道三の表情が、驚きに凍りついていた

図星だった。自分が美濃を譲らずとも、いずれ自分亡き後に信奈は実力で美濃を併呑するだろう、と道三は確信していたのだ

 


「こ、小僧! 貴様、我が心を読んだかッ? いかなる術を使ったッ?」

「術なんて大層なもんじゃねぇよ。信じてもらえねぇだろうけど、俺は未来から来た。だからあんたのことをいくらか知っていた、それだけの話だ」

「未来……そのようなことが……」

 

道三も信奈も信じられないものを見るような目で良晴に視線を向ける

 


「じいさん、あんたは自分の息子たちが信奈の器量に遠く及ばないと気づいているんだ。だから今は迷ってるが、あんたは必ず信奈宛に『美濃譲り状』を書く」

「しかし、美濃の蝮として、信奈どのと潔く一戦交えたいと願うのも我が本心!」

「いや、それも武将としてはあるかもしれないが。本当は信奈様との戦なんて望んでいないんだろう。『天下統一』というあんたの夢を継いでくれるのは、信奈様だろうしな。」

 

俺は良晴の意見に追撃する。

 


「信奈に美濃を譲れなきゃ、あんたの人生は無駄になっちまう。だから譲りたい。しかし美濃の蝮ともあろう者が、そんなお人好しぶりを見せるなんて沽券に関わる。世間から老いたと笑われる。だから信奈と一戦交えるという筋書きが必要だと考えた。どうだ図星だろ?」

 


しばらく道三は刀の柄に手をかけてわなないていたが、「ふはっ」と息を漏らした

 


「信奈どの。織田家に侍なしとは、謀られたのう。足軽風情の中にも、そしてそこの坊主もこれほどの者がおるとは……老いぼれたワシが勝てる相手ではないわい」

「えっ? 蝮?」

 

何もかもお見通しか小僧。そうよ、その通りよ、と道三が苦笑いを零した

 


「小僧!貴様のおかげで、この蝮、最後の最後に素直になることができたわ! ワシの夢を信奈どのに……いや、我が義娘に受け継いでもらうことにするわい」

 

信奈は道三と俺の顔を交互に睨みながら、唇をへの字に曲げていた

 


「信奈ちゃんのためじゃ。この場で『譲り状』をしたためよう。ワシはそなたに……我が義娘に美濃一国を譲って、隠居するぞい」

「蝮!?」

 


信奈の瞳が一瞬潤んだように見えた

斎藤道三ならば、自分の志を理解してもらえると信じてはいたのだろうが、これほどの無防備な好意を寄せられるとは思ってなかったのだろう

 


「これより信奈ちゃんは、我が娘じゃ。娘に国を譲るのは、父として当然のこと」

「本当に、いいの?」

「蝮と憎まれたワシの国盗りにも、かような意義があったのじゃと思わせてくれ」

 


道三は筆を取り出すと、「美濃譲り状」を書き始めた

 

「それと十兵衛よ。」

「はっ。」

「お主はそこの浩介という坊主に仕えろ。」

「えっ?」

「……いいのか?」

「あぁお主であれば我が後と継いでくれるであろうからな。」

 

恐らく気づいているな。この爺さん

……自分がこの後どうなるかを

 

「ちょっと待ってください。何で。」

「多分ワシよりも頭が回るやつじゃ。戦場の経験は浅いものの恐らく信奈ちゃんに使える最高の軍師になり得る存在じゃ。それに恐らくわしの行く末もお主には見えているのじゃろう。」

「……えぇ。」

 

俺は苦々しく答える。おそらくあの事件はこのままだったら必ず起こるだろう

 

「信奈ちゃんには発言を禁ずるぞい。十兵衛よ。頼む。」

「……分かりました。」

 

不満そうだけど頷く十兵衛に俺は少し苦笑する

 

「信奈ちゃん。いずれ我が一人娘をそなたの妹として尾張へ送るぞい」

 

全人生を賭して奪い取った美濃を、道三は笑いながらアッサリと信奈に譲った


「……というわけで、ちょっとだけお尻を触らせてくれんかの。我が娘よ」

 

台無しだった


「なんであんたなんかにお尻触らせなきゃならないのよ、エロジジイ!」

 

セクハラを働こうとした道三に回し蹴りを入れる信奈

道三って、やっぱただのエロジジイだったのか? と頭が痛くなった

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