「ごめん、俺は美咲の思いには答えられない。」
これがあたしの初恋の終止符だった。
私はある男の子に恋をした。生真面目で、優しくて、不器用で、友達思いで……彼はその友達の為なら自分が傷ついても構わないというような人だった。
その結果、逆に大切な人に辛い思いをさせたこともあった。
そしてあたしは彼の力になりたくて、彼と同じように手を差しのべた。
それからも振り向いて欲しくてずっとどうしたら良いのか考えていた。普段着なれていないスカートを着てみたり、女の子に人気のファッションを調べたり、彼がどういったものが好きなのかさりげなく聞いてみたりした。
そしてあたしは彼に告白した。
自分の全ての思いを込めて彼に思いを伝えた。その時は気持ちに整理がつかなかったのか「時間をくれないか?」と言われた。突然告白をされたのだからそうなるのも仕方ないのだろう。
暫くして、彼から「話がある」と呼び出された。そして先程の答えを告げられたのだ。
彼には好きな子がいた。マイペースでパンが大好きで、興味を持ったことはとことんやり抜く女の子が。罰が悪そうな彼の顔を見てるとずいぶん悩んでくれてたのが直ぐにわかった。人一倍優しくて、不器用な人だからあたしを傷つけないように伝えたかったのだろう。
そんな彼を見ていると失恋の悲しさよりも、これからの彼の恋を応援してあげたくなった。
だからあたしは…
「青葉さんのこと、絶対幸せにしてあげてよ?」
彼の背中を押した。
もちろん、その後彼がいなくなって少し泣いていた。どれだけこうなることがわかっていてもやっぱり辛いものだ。それでもやっぱり彼のことは嫌いにはなれなかった。恋人とはいかなかったけど…これからは親友として彼を支えたい。そう思った。
これが……私の初恋の結末。悲しくも、彼の幸せを望んだ少ししょっぱい恋だった。
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あれから半年がたった。季節も変わり、もうすぐ冬が訪れようとしている。
中庭のベンチに座って1人遠くを見ているあたしの頭に橙色の紅葉がひらりと落ちてきた。
「もう秋も終わりか…。」
季節って普通に生活してると変わってることに気付かないのに、こういったことがあると「変わった」と感じるの何故だろう?
そういえば秋って他の季節に比べるとちょっと寂しい気がする。冬から春とか、春から夏って時はなんだか「いよいよ」って感じだけど秋の場合は夏から変わるにしても冬へ移るにしても少し寂しさが募る頃合いではないだろうか。
まあそうは言うものの全てかそう言う訳じゃない。秋にも色々とイベントがある。ハロウィンがその代表じゃないかな?仮装してパーティーとかよく聞くけど。
「美咲~!ここにいたのね!」
色々と思いに更けていると破天荒なお嬢様…「弦巻こころ」がこちらにやって来た。
「こころ?どしたのこんなところまで。」
「教室に行ったら美咲の姿が見えないから探しに来たのよ!」
「あ、そうなんだ。で、何の要件?」
「そうだったわ!今度文化祭があるじゃない?その時のステージでライブをやろうと思うの!」
「ねえこころ…文化祭っていつだかわかってる?」
「えーっと…1週間後だったかしら?」
「そーだよ。ステージ使用の申請とかしたの?」
「それはこれからやるのよ!」
「またこのパターンか…。」と思いながらあたしはため息をついた。
「こころ…前から言ってるけどさ、そういう大切なことはもっと早く言ってよ…。準備しようにも今からじゃ間に合うかどうか危ういところだし…」
「大丈夫よ!ちゃんと間に合うわ!」
「そんな根拠もなく…」
「じゃあ何で美咲は間に合わないと思うのかしら?」
当然こころがあたしに問いかけた。それを聞かれたときのあたしは「は?」という表情をしていた。
「あたしたちはハロー、ハッピーワールド!よ?出来ないことなんて無いわよ!」
「そー簡単に言ってくれるけどね…。日にちが日にちだし…」
「美咲、何でもやる前から出来ないって決めるつけるのは良くないと思うわ!私たちは世界を笑顔にするバンドよ?やってみないとわからないわよ!」
そう力説するこころに対して美咲は「やれやれ」と頭を掻いた。こころの無茶ぶりは今に今始まったわけではないが、やはりどれも唐突に始まるため、その準備や処理に一苦労となる。しかも大半が自分がやらなきゃいけないものだから出来ることならもっと余裕をもって計画を教えてほしいと思うくらいだ。
「……じゃあとりあえず生徒会の方に当日の利用申請しに行くよ…。」
「あたしも行くわ!」
「いやいいよ。こころはやること考えててよ。」
そう言ってあたしはその場を離れ、生徒会室まで申請の紙を貰いに向かう。突然アポを取りに行くため、また苦い顔をされるのかなと思いながら足を進める。
こころの思い付きには毎回振り回されて少し疲れることはあるけれど意外と悪い気はしない。そう思ってるあたしはだいぶこころに毒されているのだろうか…?
「(そーいえば…この話、遼ともしたことあったけ?)」
あたしはいつかのことを思い出した。
確か遼がAfterglow関係で大きな問題を抱えている時だった。その時のあたしは疲れきってるというか押し潰されそうな遼をなんとか助けたかった。だからあたしは彼に寄り添った。
端からみると少し計画的な女とか思われそうだけど実際のところそうなのかもしれない。心の何処かであたしの黒い部分がそう考えていたのかも…
「(あーもうやめやめ。もうけじめはつけたんだから。)」
首を横に降りそのまま文化祭でのステージ使用の申請をするために歩き出した。
そんなあたしの歩いたところに1枚の紅葉が落ちた。そろそろ秋も終わりに近づいている中で、あたしの気持ちは常に宙ぶらりんの状態だった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
文化祭でのステージ使用の申請書を提出した美咲は職員室から出て教室に戻っていた。時計を見ると既に5時を越えており、ソフトボール部などの運動部の掛け声が窓の外から聞こえてきた。因みにあたしが所属しているテニス部は今日明日は先生が出張でいないため練習はお休みらしい。
そういえば次のハロハピの練習日っていつだったかなと考えながら歩いているとこちらに走って来てる人影が見えた。
「美咲!ここにいたのね!」
とても楽しそうに話しかけてくるこころに対してあたしはため息をついた。
「こころ…廊下は走っちゃいけないってこと知ってる…?」
「ん~、そうだったかしら?」
「あのね…。」
相変わらずマイペースと言うか抜けてるというか……そんな彼女に再びあたしは頭を抱えた。
「あ、そう言えばステージ使用の申請しといたよ。」
「本当!?」
「うん。多分通るとは思うけど結果は明日言われるらしいから…。あ、それともう1つ先生から言われたんだけど……これからは急に言うのはなるべく止めてくれってさ。」
「わかったわ!ありがとう美咲!」
「……ホントにわかってんのかな…。」
と苦笑いをしながら呟いていると、こころはなにかを思い出したかのように「そうだったわ!」と言った。
「美咲!今から商店街に行くわよ!」
「うん、さっきの今でまた突然だね。それにしても何でまた商店街に?」
「はぐみが言ってたのだけど……白いミッシェルがいるみたいなの!」
「……は?」
あたしにはこころが何を言っているのかよくわからなかった。そもそもミッシェルと言うのはあたしがライブで着用している熊のキグルミのこと。最近は諦めてるけどこころを初めとしたウチのバンドの3バカにはミッシェルがキグルミだということを知らない……というかミッシェルは本当にいて、それがキグルミだという考えに至ってない。この3人……この先大丈夫かなとは思っているがまあ言ったところでどうにもならないので敢えて言わないでいる。
「それで、白いミッシェルって何?」
「それを今から見に行くのよ!」
「え…」
これはまた面倒なことになりそうな…と思っているとこころに腕を捕まれてそのまま引っ張られる形でついていく羽目に。
やれやれ…これからどうなるのかわかったもんじゃないな…。と思いながら今日もあたしは振り回されるのだった…。
「待ってこころ。鞄は?」
「ん~…教室に忘れてきたかしら?」
「うん、今すぐ取りに行こう。白いミッシェルはそれからね。」
……ホント少しは勘弁してください。
そう思いながらあたしはこころと教室に戻って行った。
どうもキズカナです。
この度は私の新作を読んでくださりありがとうございます!
今作はモカ小説の続編ということで前作でも深く関わって来た美咲がヒロインとなりました!
前作を読んでくださった方ならより楽しめるような作品を目指します!モカ小説を読んでない方は是非読んでほしい←願望
それでは今後とも応援よろしくお願いいたします!