32番目の騎士   作:ミアキス

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それでは2話目!書いていきます!!


2話「もう一つの現実」

 

 

「 プロジェクト・アリシゼーション? 」 

 

 

 思わずその言葉が口から出てしまった。

 

父は自分の間抜けな顔に微笑しながら口を開いた

 

 

「プロジェクトアリシゼーション、…簡単に説明すれば、目的は2つだ、(ボトムアップ型凡用人工知能開発)と、(その軍事利用)さ、」

 

 

どういうことだ?人工知能を造ってそれを軍事利用、つまり人工知能を兵器に利用しようってことか?確かに父は現役陸上自衛隊二等陸佐、人の代わりとなる兵器は国も欲しいのかもしれないが、人の道に反している気がし、胸が少し痛む。AIに人権は認められていないので文句も言えないが。

 

 

「驚くのも無理はないさ、けどこれは必要事項なんだ、俺達にとっても、国にとっても」

 

 

すると、会議室の奥から小柄な体型の無骨なデザインの丸眼鏡を掛けた金髪の男が近づいてきた。この人は_

 

 

「比嘉、さん? 」

 

 

 

「お〜そうッスよ、比嘉健ッス、小さい頃に一回会ったぐらいなのに良く覚えてるッスね!」

 

 

やはりそうか、…この分かりやすい見た目、どうも記憶に焼き付いていたのだ。にしても着ているのはアニメのTシャツだろうか?

この人は本当に研究者なのか、…?

 

 

 

「ともかく! 話しの続きは自分がするッス、適当に座ってくれないスカ? 」

 

 

「は、はい」

 

自分は1番近い横並びの椅子に腰を下ろした。立ちっぱなしだったので

足が痛む。隣に比嘉さんが座る。父は会議室の入り口横にある別の部屋に繋がるであろうドアの向こうに消えた。

 

 

「じゃあ始めるッスよ、時間の関係上一回しか話せないからよく聞くッス」

 

 

なんだよ、…時間の関係上て、忙しいのか?

 

 

「俺達ラースはSTLによって、人間の魂、通称フラクトライトを捉えることに成功したッス、それで、人間の脳とほぼ同容量のデータを保存できるメディアとして、ライトキューブっていう結晶体を開発したッス、

だけど、そこで問題が発生したンスよ、人の魂を複製すると己がコピーである認識に耐えられず、崩壊しちゃったんス、てことで、魂のコピーは諦めて、新生児の魂を仮想世界内で成長させる事にしたッス、十数人の赤ん坊からフラクトライトをコピーし、そこから精神原型を創り、

ザ・シードのパッケージを使って、仮想世界を創りあげたんスよ、これを自分達は、[アンダーワールド]て呼んでるッス」

 

 

 

「アンダー、…ワールド、もう一つの世界を仮想現実内に創ったってことか」

 

 

 

比嘉さんは頷き、続きを話す

 

 

 

「んで、4人のラーススタッフが仮想世界で夫婦を演じ、16のフラクトライトを18歳まで育てたッス、やがてそこから赤ん坊が生まれ、内部世界の時間を5000倍に加速して、300年が経過した時には人口8万という一大社会が形成されたッス、だけどそこでまた問題発生スよ、

フラクトライト達が公理教会と呼ぶ行政機関が禁忌目録という法律を創りあげたッス、フラクトライト達は法をちゃんと守ったッス、守りすぎるほどに」

 

 

 

「その結果どうなるか分かるッスか? 」

 

 

 

「人を殺せないAIは軍事利用できない、、? 」

 

 

 

「その通りっス、んで、俺達は原因を突き止めようと、本物の人間の記憶をブロックし、彼が禁忌目録に背けるのかどうか実験したッス」

 

 

「それってもしかして? 」

 

 

「そうっス、勘がいいッスね〜誠也くんの事ッス」

 

つまり、俺自身を使ったのは俺がVR MMO歴が長いからだろう。

他にも色々と理由があるとは思うが、、、

 

 

「それで、結果は?…記憶が無いんで分かんないんですけど」

 

 

俺が少し嫌味ったらしく言うと、気づいたのか比嘉さんが苦笑いした。

 

 

「見事に違反したッスよ、君と、いつも一緒に遊んでいた女の子が」

 

 

俺もかよ!?んで、まぁ一緒に遊んでいた女の子が禁忌目録を破る事に成功したと、ね

 

 

「全く、君まで公理教会に連行されるところだったんスよ? はぁ、まぁいいッス、んで、その女の子なんスけど自分達が気付いた時には内部では2日経っていて、公理教会によってフラクトライトは修正されてたんスよ、んでその女の子の名前なんスけどね? 」

 

比嘉さんが側に置いてあったリモコンを操作すると、先程まで海に浮かぶ三角形の建物が映っていたモニターがパッと移り変わり、大きくALICE《アリス》と言う文字が浮かび出た。

 

 

 

 

「アリ、…ス? 」

 

 

 

 

初めてではないこの感じ、妙な胸騒ぎがする。

俺は、自分はこの『名前』を知っている。

 

 

「そう、それを知った時、自分らは驚愕したッスよ、それは全ての計画の元にもなった概念の名称なんスよ人工適応型知的自立存在、

英語だとアーティフィシャルレイビルインテリジェントサイバネーテッドイグジスタンス、頭文字を取って、A.L.I.C.E、自分達の目的は、人工フラクトライトを《アリス》に変化させる事っスね」

 

 

話が壮大すぎて、頭がついていかない部分もあるが、大体は認識できた。この計画には自然と惹かれる気さえもした。

自分で言うのもなんだが流石父と同じ血が流れているだけある。

 

 

「あと、最後になるッスけど、トランスレーターの被験体は、誠也君だけじゃないッスよ? 誠也君が良く知る人物っス、隣の部屋に行けば分かるッスよ? 」

 

 

 

そう言って比嘉さんは先程、父が入って行った部屋を指差した。

比嘉さんに軽く会釈をし、少し緊張しながらも部屋のドアを開けた。

部屋はこじんまりとした病室のような部屋で、奥に父が佇んでいた。

アルコールの匂いが鼻をつんとつく

父は俺に気がつき、手招きをした。見ると奥のベッドに誰か寝ているようだ。

そこに寝ている人物の腕や胸部に数台の医療用機械らしきものからのびる医療用チューブが繋がっているのが分かった。俺はそっと近づき、寝ている者の顔を覗き込む

 

 

 

 

 

          俺は言葉を失った

 

 

 

 

  そこに人工呼吸器をつけ寝息を苦しそうにたてていたのは彼。

 

 

 

 

  

 

  かつてのSAOという名の正真正銘命をかけた《デスゲーム》で常に最前線に立って戦っていた英雄の1人。

 

 

 

 

 

         黒の剣士(キリト)であった。

 

 

 

間違いはない、彼はあのデスゲームで《共に》戦った旧友だったからだ

実際リアルで会うのはこれが初めてだった。しかしすぐに彼と分かった何故ならあちらの世界でのアバターフェイスとほぼ同じ顔だからである。

        なのに、なんでこんな、…?

 

現実での彼との再会は最悪なものだった。

 

 

 

「彼は、例の死銃《デス・ガン》事件の実行犯の最後の1人に襲撃され、薬剤を注射されたことにより、昏睡状態に陥ってしまった。その結果、現代医療では治療不可能なダメージを脳に負ってしまった。が、しかし僕達ならば、STLを使って治療する事ができる、彼をアンダーワールドにダイブさせる事でだ。」

 

 

「、…そして、悪いがまた誠也の力を借りたいんだ。計画の事を黙っていたのは本当にすまないと思っている、そしてアンダーワールドは決して安全ではない、ましてや自分の大切な1人息子だ、無理にとは言わないが、誠也にもアンダーワールドにダイブして欲しい、その目的の内容は、…」

 

 

     「キリトの観察と、アリスの回収」

 

 

俺は父の話を遮り答える。とっくに俺の答えはきまっていたのだから

アリスの回収もそうだが、キリトを、かつての友人を放っておける訳がなかったのだ。俺は一度彼に救われている。

 

 

「それでどこからフルダイブすれば良いんだ? 」

 

 

俺は辺りを見渡し、フルダイブ用トランスレーターを探す

 

 

 

「ありがとう、そしてすまない、この父親を許してくれ」

 

 

「当たり前の事だよ、それに父さんの頼み事だろ?許すさ」

 

 

俺は父が今までどれだけの努力と葛藤を続けていたかを1番近くで見てきた自信がある。だからこそ誇れるたった1人の父親なのだ。

 

父は涙ながら頷き

 

「トランスレーターは、…ここには無いんだ。さっきモニターで海上の建物を見たろう? あれは、(オーシャン・タートル)という施設だ、あそこでアンダーワールドの管理をしている。キリト君の為にも時間が無い、今から行けるか? 」

 

 

「もちろん、持っていく物なんて何もない」

 

 

あの時、彼が居なかったら全てを失っていたかもしれない。

 

 

------伊豆諸島沖--オーシャン・タートル------

 

オーシャン・タートル、実はラースの直接管轄ではなく、防衛省の管理下における人工島らしい。見た目は巨大な亀にも見えるが、正面から見るとブタにも見える。表向きは、海洋調査施設らしい、表向きは、だが、その本来の目的は勿論人工知能の開発。

施設内に入るのに3回程のセキュリティチェック(顔認証など)を受けた。到着後は軽めの食事をし、ダイブまでの時間を過ごした。どうやらキリトは先にダイブさせられた様だ。

 

   (ここに来るため乗ったヘリコプターで酔ったのは別の話)

 

 

次に上野に帰れるのはいつになるだろう、心残りがないと言ったら嘘になるが、別に後悔はしてない。

学校にも父がしっかりと連絡してくれるらしい。

どうやってアンダーワールドにダイブするかというと、スーパーアカウント[seiya]を使うという。どちらかというとコンバートの方が正しいが、これはSAO時代のものだ。せめてもの、父及び、ラースからの特典らしい。

 

俺は比較的楽である病院で着るような患者服に着替え、ソウル・トランスレーターの傍に座る。後5分後にはアンダーワールドだろう。

 

 

「セキュリティロック問題なし! いつでもOKっスよ! 」

 

 

   比嘉さんが遠隔モニターから合図をくれた。

   どうやら比嘉さんはメインルーム制御室にいるらしい。

   あそこからアンダーワールドの監視をしているのか。

 

 

 

「本当にいいのか? 」

 

 

横に佇んでいた父が俺の顔を覗き込む。

 

 

「あぁ、」

 

 

 

「分かった、頼んだぞ、独立ギルド赤鬼団団長『紅蓮の剣士殿』」

 

 

「その名前で呼ぶなって! てかなんで知ってんだよ!? 」

 

 

「キリト君から聞いたのさ」

 

 

部屋中に2人の笑い声が響いた。思えば親子でこんなに笑ったのは久しぶりかもしれない。それだけでも充分だった。

 

 

父と短い会話を終え固く握手をした。

 

 

「必ず戻ってくるんだ、いいな? 」

 

 

コクリと頷き、俺はトランスレーターに体を横にした。

 

《アンダーワールド》、…父親から聞く話だと、果ての山脈というところを越えると、暗黒界(ダークテリトリー)なるものが存在し、そこには魔物達が住んでいるらしい。かなりファンタジックな世界だ。と言って

も今までSAOや、ALOをプレイしてきたので、別に驚く事もない。

しかし、その2つのVRMMOとは異なる点が一つだけ存在する。

 

それは、 【痛覚の有無】

 

そう、アンダーワールドはゲームの世界ではない、一つの立派な完成された世界だ。腕を斬られれば激痛が走るだろう。そして二度と腕は生えてこない。当たり前の事だ。

 そして、アンダーワールドからログアウトする方法は、死、そして_

 

 

_いや、そんな事を考えるのはよそう、俺は必ずキリトを助け、アリスをここに連れ帰る。

 

 

 

 

 

頭上で機械音がする、アンダーワールドへのダイブが始まったようだ。

 

 

 

 

 

 

  

 

    何度でも何度だってやってみせる

 

 

     

 

 

    瞳を閉じて、懐かしいこの言葉を口にする

 

 

 

 

 

 

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