32番目の騎士   作:ミアキス

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新年初投稿になります。皆様お待たせ致しまして大変申し訳ありません。さて、お気に入り登録者様が164人を突破し並びにUA数が9700を突破致しました。ありがとうございます!
楽しみにして頂いている方に満足頂けるようこれからも執筆致します。

それではどうぞ


6話「再会」

            〜saoの記憶〜

 

 

 

 

目と鼻の先に悠々と立つその少年はまるで夜空の様に黒いロングコートを纏う。

 

右手には彼が纏う黒衣のロングコートと同色の真っ黒な直剣

 

左手にはまるでクリスタルの様な色と輝きを放つ直剣

 

 

有り得ないはずの光景だった。

 

 

剣を2本握るということ

 

 

 

周りの人間が驚きの表情を浮かべるのも無理はない

 

 

 

 

              ・・

しかし俺は知っていた彼がなぜそれを使えるのか

 

 

 

それは『同じ』『ユニークスキル』の使い手だから

 

 

 

現在SAO内で確認されている『ユニークスキル』は3つである

 

 

 

血盟騎士団団長ヒースクリフの『神聖剣』、俺の『呼吸』

 

 

そして、

 

 

 

 

「二刀流」

 

 

 

 

俺の言葉に反応し、周りを囲んでいた団員達がこちらを振り返る。

彼に着いてきたのかボス部屋の入り口付近に佇んでいたアスナさんやクラインも此方を驚きの表情で見ていた。

当の本人、彼、改め『黒の剣士』キリトは一瞬此方を振り返り小さく笑みをつくった。

 

 

全くいつも美味しい所ばっか持っていくなお前は、なぁ

 

 

 

 

        英雄  《ヒーロー》

 

 

 

 

キリトはボス、『ザ・グリーム・アイズ』に振り返ると

目にも留まらぬ速さで間合いにまで入り

上位16連撃『スターバーストストリーム』を発動させた

まるで閃光の様な速さを誇る剣撃は一撃一撃着実に相手を深く切り裂いていく。薄青い斬撃の軌跡を引きながら。そして両手をクロスさせ打ち出した2本の直剣はただ真っ直ぐに振り下ろされ人の何倍もの体格を誇る青い悪魔の巨体を仰け反らせる。しかしさらにキリトは身体を激しく捻る

 

 

 

 

「速く、もっと速く」

 

 

 

彼《キリト》はまだ速さを求めていたSAO内で随一の反応速度を持つ彼が

 

 

それもその筈であり奴《ザ・グリーム・アイズ》も流石74層のボスというべきかキリトの剣の速度に反応しているのである。

 

そんなことを考えているうちに奴は剣を持たない方の腕、つまり左手を振り上げた

 

それが何を意味するか経験済みの俺は思わず叫ぶ。

 

 

 

「キリトッ_!!  」

 

 

しかしモーションを止められる訳もなく彼の右手の直剣は奴の左手に刀身を掴まれる。

 

 

考えるよりも先に足が動いていた。自分のHPがレッドに突入していることさえも忘れて。

 

 

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ」

  

 

 

しかしキリトはお構いなしにもう一つの左手に握っていた直剣を奴の懐に全力で突き立てた。

 

 

 

直後真っ青のエフェクトフラッシュが部屋中を満たし《ザ・グリーム・アイズ》はその巨体を大小無数の塊に姿を変えた。

 

 

少し遅れて重低音と高周波が入り混じったエフェクトサウンドが荒れ狂い硬質の金属音を高く引きながら薄れ、消えた。

 

押し寄せた風圧が俺の髪を揺らす。

 

 

目に入ったのはそこにラストアタックモーションのまま硬直しているキリトと

 

 

『Congratulations!!』の文字

 

 

 

 

 

 

〜アンダーワールド内公理教会セントラル・カセドラル最上階〜

 

 

 

 

 

 

 

 

暖かい光に刺激され重い目蓋をそっと開ける

視界に映るのはアーチ上に造られた天井全面に広がる壁画

眩い様な青空の中央には白い弓矢を今にも引こうかという少女が描かれていた。思わずその壁画には吸い込まれそうになる、と同時に強烈な違和感に襲われた。

 

はっと我に返り辺りを見渡す

アーチ上に出来ているこの空間の天井には巨大な壁画、壁周りに並ぶ天井から伸びる柱には、1本ずつ剣などの武器がはめ込まれている。

 

 

そして空間の中央には中世ヨーロッパの王族が使った様な紫色の天蓋付きベッド

 

 

続いて記憶を辿る

俺は確かイーディスという整合騎士を倒した後意識を失って、、

 

左腕!?、、、、、傷痕すらもない!?

 

彼女の剣を受け止め重症であった筈の左腕は何事もなかったかの様に完治していた。

 

 

一体誰が治療を?しかしあの傷を一瞬で治すなどと、、、?

俺の推測が正しければ俺はセントラル・カセドラルに連行された筈。

つまりここはセントラル・カセドラル内のどこかになる訳なのだが

罪人、しかも整合騎士にすら反逆した者を治療する意図が分からない。

 

 

 

 

「目を覚ましたのね、坊や」

 

 

 

 

「誰だ!? 」

 

 

 

 

ふと天蓋付きベッドの中から美しく包容力のある優しい声がしその声に反応してしまう。

俺以外の人がこの空間に居るなど先程まで気づきもしなかった。身体中が妙な寒気に襲われる。まるで本能が危険だと警告を鳴らすように

 

 

 

「此方にいらっしゃい」

 

 

 

警戒以外にする事もなく腰の剣の柄に手を伸ばす

しかし俺の手は何も掴むことは無かった。

 

 

 

「ふふふ、残念ね坊や、剣は預かってあるわよ? さぁ此方にいらっしゃい? 」

 

 

 

薄い天蓋の中の影がくすりと笑う

 

同時にこの声に為すがままにしなければならないと判断し

ゴクリと唾を呑み込みゆっくりとベッドに近づく。         ベッドの手前まで来ると片膝をつき紫色の天蓋を右手でそっと確かめる様に上げる

 

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁあああああ!? 」

 

 

 

自分でもびっくりする程の大胆な叫び声を上げ俺は天蓋の端を掴んでいた右手を勢いよく離す。

その反動で思わず尻餅をついてしまった。

それもその筈、真っ白のシーツがひかれたベッドの中央に肩肘を付いて寝転んでいた裸体の少女と目が合ってしまったからだ。

 

、、、健全な男子高校生にそれは不味いのではなかろうか

 

 

  ・・・・

直後彼女自身によって天蓋が開けられた

 

あたふたと俺がたじろいでいると

 

 

 

「あらあら、そんな動揺しちゃって、、この姿に抵抗があるなら慣れてもらうしかないわね、、貴方私のお気に入りだし、そんなに気になるなら、この身体を貴方にあげてもいいわよ? 」

 

 

と紫色の足のかかとまであるかという髪をさっと右手でかき上げる。

 

 

俺の困惑した表情と意思を汲み取ったのか、少し不満気な顔になる。

 

 

 

「冗談よ、改めまして私は公理教会最高司祭アドミニストレータよ、ようこそ『私の世界』へ、向こう側の坊や」

 

 

 

俺はその言葉を聞いた瞬間、反射的に目付きを敵を見るような鋭い物に変える。

理由は2つ、1つ目、最高司祭ということはカセドラルを、この世界を統べる強者を意味する。そして、恐らくアリスを整合騎士へと変貌させた張本人という事になる。

 

そして2つ目、彼女は俺がリアルワールド《向こう側》から来た事を知っている

 

 

恐らく彼女も向こう側来たという線はないだろう

となると、彼女自身はこの世界で絶対的システム権限を与えられている者?それはラースがプログラムした正式な物なのだろうか?

それとも、、、、いやそんな事は有り得ないプログラムが、NPCが自らシステムにアクセスし権限を剥奪するなど。いや、あり得るかこの世界の人間はNPCでは無かったな。いわばAIといったところか。

 

 

 

「坊や、恐らく今貴方が考えている事は間違いではないわよ、それより提案があるのだけど? 」

 

 

 

「、、、内容は? 」

 

 

 

その時俺は初めて彼女の両眼をまじまじと見た

先程は気づかなかったが彼女の眼はいつも、何かに怯えている様な眼をしていた。肉食動物を恐れる草食動物のソレだ。

これ程の強者が何に怯えるのだろうか。

 

 

「貴方にシンセサイズは通用しないみたいだけど、整合騎士としてここで働きなさい」

 

 

 

提案というより命令ではないか、、、しかしシンセサイズという言葉はなんなのだろうか、アリス、そしてイーディス、彼女の名前にも共通して入っていた言葉だ。どこか引っかかる。

 

 

 

「貴方がこの世界に来た理由は分からないし、正直不安ね、でも貴方を整合騎士として使う事である利益は得る事ができるのよ、さぁ貴方なら今のこの状況が分かるのではないかしら? どちらにするの? この場で消し炭になるか、絶対服従を誓うか」

 

 

 

勿論、今すぐ彼女を消し炭にしたい所ではあるが、彼女の言う通り今の状況では此方が消し炭にされるだろう、俺は《特典》は持っているが、

《システム権限》は持ち合わせていない、彼女は実質この世界の神に近いもの、人間は神に勝てない

 

 

 

 

 

「絶対服従を誓う」

 

 

 

彼女はゆっくりとベッドの縁から立ち上がる

 

 

 

「ふふ、良い返事ねじゃあ、貴方は今日からセイヤ・シンセシス・サーティツーよ、そこの鎧、使って頂戴。後はチュデルキンに任せるとしましょう、、聞いていたわね? 」

 

 

 

 

「はィィィィィィ最高司祭猊下ぁぁぁぁぁあああ」

 

 

 

 

どこからともなく道化師姿の小太りの男性が現れた。

 

 

 

 

「後は頼むわね」

 

 

 

 

「全身全霊を持って仕りまするぅぅぅ」

 

 

 

最高司祭アドミニストレータ、彼女はベッドの中に戻る、、前に足を止め此方を振り返る。

 

 

 

「あぁ、1つ忘れてたわ、整合騎士は貴方の他にもいるわ、貴方を合わせて全部で32ね。後他の整合騎士は自分達の事を天界から召されたと思っているわ、まぁ私がそう仕向けたのだけど。そこら辺理解しておいて、もしも他言しようものなら、、、」

 

 

 

彼女はそう言い残し狂気的な笑みを俺に向けベッドの中へと消えた。

 

彼女の背を眼に俺は拳を握り締める事しか出来なかった。手の平に爪痕が残る程強く。許さない、人の記憶を改竄し利用しようなどと

例えどんな理由があったとしても許される事ではない。

まさに冷徹、非人道的すぎる。いや、彼女は既に人ではないかもしれないが。

 

 

「おい、貴様ァ! 聞いているのですかァ!? 32号!! 」 

 

 

 

「貴方は?」

 

 

 

「私は誇りあるセントリア公理教会元老長チュデルキンであるゥ! 元老長閣下とお呼びなさィ! 」

 

 

 

 

「さいですか、老長」

 

 

 

「なんですかァァその呼び方ァァァァぶち殺しますヨゥ!? 」

 

 

俺はその言葉を無視し、ベッドの傍に置いてあったアドミニストレータが用意したであろう黒い光沢を輝かせる全身をすっかりと覆うサイズの鎧を身につける。まるで中世ヨーロッパの騎士が身につけていたようながっしりとした鎧。両肩当てからは黒いマントが垂れ下がっている。手甲から胴、脛当てまで一色単に黒い。そして首元には白字で書かれた十字のマーク。

兜はついていないようだ。

 

身体中にずしりと重みが伝わるがこの重みもすぐに慣れるだろう。

剣道のおかげか鎧を着て動くという事にさほど違和感は無かった。

そして小手をはめた右手をぎゅっと握る

 

 

 

俺はこの世界でセイヤ・シンセシス・サーティツーとして生きる

待っていろ、アドミニストレータ、いつか、お前をいつか

 

 

 

人界の平和は俺が守る

 

 

 

その後、セントラル・カセドラル最上階であろう場所を去り、下層に直接階段を使い降りとある大扉の前に来ていた。

ここまで人に会わなかった事からこの扉の先に他の整合騎士が俺の《召喚》を待っていると予測する。最上階を去る際元老長がそんな事を呟いていた気がする。

 

 

 

 

満を辞して大扉を右手でそっと押し開ける。

 

 

この瞬間整合騎士セイヤ・シンセシス・サーティツーが誕生した

 

 

 

視界に入ったのはアーチ状の天井と壁際の窓を色とりどりのステンドグラスで覆ってある大きな部屋、そしてその中央に3人

 

 

 

右から青髪の青い浴衣を纏った中年くらいの大柄の男性、そして、先程戦ったばかりのイーディス・シンセシス・テン、最後は、、、、

 

特徴的な後ろ結びの三つ編み、金色の光沢を放つ鎧を纏った整った顔立ちの少女。

 

 

アリス・ツーベルク改めアリス・シンセシス・サーティ彼女だ

 

 

 

 

すると3人が此方に近づいてくる

 

 

 

「よう、話は聞いてるぜ、お前さんが新しい整合騎士だってな、名前は? 」

 

 

 

 

「セイヤ・シンセシス・サーティツーです。」

 

 

 

 

「へぇ〜セイヤ君かぁ〜私イーディス・シンセシス・テンっていうの! よろしくね!! 」

 

 

 

とイーディスさんが自己紹介する。やはり彼女は俺と戦闘した際の記憶を消されていた様だ。そりゃ都合が悪いだろうしな、奴らにとって。

 

 

 

「おいおいイーディス、俺の自己紹介中だぞ、、、」

 

 

 

「えへへ、ごめんね騎士長」

 

 

 

「あー改めて整合騎士長のベルクーリ・シンセシス・ワンだ、分からない事があったらなんでも聞いてくれ」

 

 

 

「はい、お願いします、騎士長」

 

 

 

 

 

「おうよ、こちらこそな、セイヤ。んで、お前さんの剣を最高司祭殿に預かっていたぞ、後で武器庫っーとこに行ってくれ、」

 

 

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

 

「あぁ、で、自己紹介の続きだ、左が、」

 

 

「アリス・シンセシス・サーティです。よろしくお願い致します。」

 

 

とアリスが軽く会釈する

 

 

俺はここまでの感情が入り混じりアリスをじっと見つめてしまう。やっと会えたのだ、夢にまで見た彼女に。

 

 

 

「あ、あのそんなに見つめないで下さい。恥ずかしいではありませんか、それとも私の顔に何かついていますか? 」

 

 

とアリスは赤くなりたじろいでいる。

 

 

 

この初めてではない感覚。とても懐かしいような感覚。

それもそうだろう、比嘉さんの話だとアリスは俺の幼なじみなのだから。勿論俺にも彼女にもその記憶はないが。

 

 

「ん? もしかしてもうアリスに惚れたのか? 」

 

 

 

そんな俺を見かねたのか騎士長がにやにやと笑みを浮かべ俺の顔を覗き込んできた。

 

 

 

 

「ち、違いますっ? 」

 

 

 

咄嗟の事に俺も顔を赤くする。

 

 

 

 

「あ、アリスは私のだよセイヤ!!? 」

 

 

 

 

「よくわかりませんけど取りませんって、イーディスさん」

 

 

 

そう俺が答えると何か納得いかなかったのかイーディスさんが「んー」と唸り頭を抱え考え込んでいる。

 

 

 

 

「イーディスさん、、かぁなんか違うんだよなぁ」

 

 

 

 

、、、呼び方かよ!? 俺は心の中でイーディスさんが衝撃で吹っ飛ぶ程のツッコミをいれた。

 

 

 

 

「イーディスちゃん?「んー」イーディスっち?「んー」イーちゃん?「んー」

 

 

 

「って真面目に考えてる!? 」

 

 

 

なんか、イーディスさんはからかいがいがありそうだなこれは。

おっと危ない、からかい癖が出るところだった

 

 

 

 

「じゃあ、イーディス先輩でどうですか? 」

 

 

 

「先輩、先輩かぁ〜」

 

 

 

イーディスさんは何やらうんうんと頷きながら先輩という言葉の余韻に浸っているようだ

 

 

 

 

「うん、凄く良いよ!それ! じゃあ先輩でよろしく! 」

 

 

 

 

「はい、先輩! 」

 

 

 

 

「話は済んだようだな、んじゃぁこの塔の案内についてだが、」

 

 

 

「はいはい! 私やる! 」

 

 

 

「て事だ、セイヤ、イーディスに着いて行ってくれ 」

 

 

 

「勿論、アリスも来るよね? 」

 

 

 

 

「いや、私は、、、」

 

 

 

 

「いーから♪いーから♪」

 

 

 

こうして先輩がアリスの手を無理やり引き、俺のセントラル・カセドラル巡りがスタートしたのだった。

 

 

 

永遠という程に続く赤いカーペットが敷かれた長い廊下。等間隔に部屋が用意されているようだ。

 

 

 

「じゃあじゃあまずセイヤのお部屋にいこっか♪あ、でねでね、ここって〜」

 

 

 

先輩は無我夢中でセントラル・カセドラルの魅力について語っている。足と耳が痛い。開始5分程なのにもう疲れが出始めている。

 

 

 

「あ、でねここおっきい大浴場があるんだけど、、、後で一緒に入ろっか? 」

 

 

、、、、、、、、は?

 

 

 

先輩が恥ずかしそうに身体をくねらせながらそう話す。

 

ここの住人はもしかしてそういう恥じらいがないのかと心配になる。

まさかアリスもではなかろうかと思いアリスの方を向くと

 

 

 

「は、破廉恥です!! 」

 

 

 

安心した。どうやらアリスは正常らしい。

 

 

 

 

テンションが上がっている先輩とそれを引き止めようとするアリスを横目に物思いにふけることにしよう。今の俺は何故か笑っている気がする。

 

父さん、此方の世界で友達ができたよ、帰れるのはいつになるか分からないけど、しっかりやるべき事を果たすよ。この仲間と一緒に。

 

この世界と一緒に。

 

 

 

 

 

〜to be continued〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまでお読み頂きありがとうございます!元老長の扱いが、、、
元老長ファンの方申し訳ありません!ご感想等お待ち申しております!



次回「呼吸」
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