さて、当作品のヒロインについてなのですが、まずは皆様沢山のご意見ありがとうございました!私本人悩んだ結果どのルートでも続きを書ける見通しがつきましたので、今回後書きにて《アンケート》の実施を致します。大変お手数ですがどうぞ宜しくお願い申し上げます。
これからも少しでも皆様に楽しんで頂けるように執筆していきたいと思います。
それでは、8話「ヒノカミ」どうぞ!
〜 アンダーワールド セントラル・カセドラル80階 雲上庭園 〜
『その場の空気が凍る』という言葉があるがそれは正に今この状況の事を指すだろう。
勿論今までにその場面には数えきれない程遭遇してきた。
リアル《現実》では、ある剣道の試合で相手の小手を打った瞬間そのままかなりの勢いで竹刀を床に叩きつけてしまい竹刀の先が折れてしまったのだ。うちの顧問のモットーは『 道具こそ命! 』である。案の定顧問の方を見ると辺りからドス黒いオーラが漂っていた。ブチギレである。審判さんや、相手も少しびびっていた程である。その後の事は思い出したくも無い。
普通竹刀が折れるなどなかなか無い事なのだが何故かそれだけ力が入っていたのだろう。(当時好きな子が応援に来てくれていたから緊張していたとは口が裂けても言えない!! )
男というものは好きな子、いや女子の前では異常に張り切る癖がある生き物なのだ!(偏見)
と、こんな馬鹿げた事を考えていないと冷静さを失う程緊張している訳である。
目の前には凛々しい顔付きをしたイーディス先輩。
しかしその右手には鞘から抜き放たれた神器《闇斬剣》がしっかりと握られている。
「それじゃ、始めよっか、セイヤ」
「容赦はしませんからね? 模擬戦ですけど」
「勿論! 全力でかかってきなさい! 」
ドンッと自身の拳を左胸に当てフンス、と何やら誇らしげにする先輩。
先輩のその様子を見て少し緊張が解ける。先程まで何故そんなに緊張し
ていたか詳しくは分からないが恐らく先輩から発せられた『オーラ』に圧倒されていたのだろう。
普段のほほんとしている彼女ではあるが根は真面目であり数々の死線を潜り抜けた立派な《整合騎士》なのである。(多分)
前に刃を交えた際には既にゴブリンの相手を終え何より急いでいて余裕が無かった自分には感じる事が出来なかったようだ。
最もあの時は恐らく彼女の目的は俺の捕縛。つまり本気では無かったというのも理由の一つだ。むしろそれが大きい。だからこそ、その隙をつけたが今回はそう簡単にはいかない。
彼女が本気だから。これは模擬戦といっても実剣、しかも神器での立ち会いだ。
ルールは簡単、相手に「参った」と言わせるか審判の判定で決まる。
彼女がもし自分の強さを確かめるつもりで勝負を挑んだなら全力で立ち会うというのが筋だろう。その中で色々確かめていけばいい。
俺もこの世界の自分の力をもっと知るために。
そして俺も剣の鞘を払う
「それでは始め」
審判を務めるアリスが右手を上げる。
と同時に先輩と俺の間合いは零距離近くまでに縮まる。
ッ速い!?
回避不可能な距離である眼前まで迫った横なぎの斬撃を剣の腹で受け流すが全ては受け流す事が出来ず弾き飛ばされてしまう。
必死に両足に力を込め4、5メートル程後方で砂埃を巻き上げながらようやく止まる事ができた。
速いだけじゃ無い、意外とその剣には力が篭っていた。
となると保身気味になり消極的になるのは不味い。
なら此方から_ッ
「全集中、霞の呼吸、肆ノ型、移流斬り」
真っ赤な刀身は瞬く間に真っ白に染まり、白いエフェクトを放つ。
そのまま先輩に向かってスライディングのように滑り込みながら横薙ぎに剣を振る。
少し驚いた表情を見せた先輩は左横に身を捻る。そしてこの技はかわされてしまう。
しかし、同時に俺も身体を左に思い切り捻る。
「参ノ型、霞散の飛沫」
左に避けた先輩の背に向かってラ・ヴィーナは霞を払うかのように大きな弧を描く
「へぇ、本命はこっちだったんだね」
「なっ!? 」
先輩が言う通り大本命だった横薙ぎに振るった剣はしっかりと闇斬剣の腹で受け止められていた。
先輩のドヤ顔がむかつく。
そのまま体勢を持ち直した俺達は鍔迫り合いへと突入する。
互いに譲らず組み合ったまま数歩前に出たり下がったりする。
先輩は意外と力があると思っていたがそうではない。単純に力だけなら俺の方が上だろう。ならなぜ力勝負の鍔迫りで引けを取らないのか。
恐らく力の入れどころが分かっている。身体の扱いが上手いのだ。
それは技術うんぬんではなく、実戦で得たソレだろう。
場数の差ってやつか
しかしそんな泣き事は言ってられない。こちらも使命がある。意志がある。こんなところで負けているようでは、、この世界を守っていくなど到底無理だ。
右足を強く前へと踏み込む。恐らく先輩相手に引き技を繰り出してもかわされるだけだ。なら前にひたすら踏み込む、《中心》は譲らない。
その行動に先輩は驚いた表情を見せた。
「へぇ、やっぱり強いよ、セイヤ。」
「ありがとうございますッ、、でも先輩はまだ全力には見えませんよ? 」
そう、俺は一度目にしてしまっている。彼女の《武装完全支配術》を。
真剣な立ち会いと言えども俺はあの時の彼女の力すら引き出せていない。
「よく分かったね、セイヤ、でもまだまだこれからでしょっ」
彼女は後ろへと飛び退く形で剣を振るってきた。
幸い避ける事はできたが俺の顔の右数センチ横を斬撃が空気を斬るスパン、という音を立てて消え去った。
鍔迫りから解き放たれ体制を整える事ができた。
更に呼吸を水の呼吸へと切り替える、今更、出し惜しみはしない。
「全集中、水の呼吸、弍ノ型、改・横水車」
刀身は青いエフェクトを放つ。
間合いを再び詰め身体を全力で地面と並行になるように捻る。
広範囲に斬撃を繰り出す事ができるこの技なら、、、そんなに上手くはいかないようだ、これも先輩は斬撃の下を潜る事で避ける。
そうなるとこちらが危ない。先輩はその状態から俺の首元目掛けて突きを放ってきた。それをこちらも同じく突き技、漆ノ型、雫波紋突きで迎撃する。
一進一退の攻防、どちらも譲らない、しかし圧倒的に優勢は先輩で余裕の笑みすら垣間見える。
一方俺はというと既に肩で息をしている状態。限界に近い。
それでも無理矢理笑みを作り先輩を見る。
負ける訳にはいかないからだ。プライドがそうさせたのだろう。
勝つには残り数撃でかたをつけるしかない。
「玖ノ型、水流飛沫・乱」
ひたすらに地面を蹴るしかし、着地する時の接地面を最小、最短にする様に。より素早く、縦横無尽に駆ける。この空間を我が物とせんと。
先輩の剣の癖が大分読めてきたようだ。一度踏み出した足は元に戻らない。彼女は非常に細やかなステップを踏み剣を振っている。それは相手に剣筋を見切られないようにする為だろう。こちらも素早さに意識して初めて気づく事ができた。
ならその間を抜けるまで。先輩の斬撃をすんでの所で避けながら一撃、一撃速さを上げ正確に突いていく。
そしてついに。
「なッ_!!」
俺の斜め横から肩口に向けて繰り出した斬撃は先輩の肩当てにほんの僅かに掠った。
先輩はあからさまに驚いているが、まだだ
この機を逃すわけにはいかない。
「拾ノ型、生生流転」
俺が持つ最大、最強の威力を誇る《奥の手》。
一撃目より二撃目、二撃目より三撃目と技の威力が上がる。
その姿、まるでうねる青龍の如く。
これで決まる、と思っていた自分が浅はかだった。
一時的にだが忘れていたのだ。《奥の手》は自分だけが持っているものでは無いという事。彼女にも《奥の手》が存在するという事。
「エンハンス・アーマメント」
先輩がそう高らかに叫ぶと闇斬剣はそれに応えるように紫色のエフェクトを輝かせる。
彼女の《奥の手》の一つでもある武装完全支配術は屈強な鎧だろうが高い優先度を持つ刃だろうが相手にならない。
全てを突き通す。
前回は腕を盾にしてまで防いだが今回はそうはいかないようだ。
今の先輩は隙がない。更に分身でも出されたら不味い。
《生生流転》のアタックモーションを急停止させても今更意味は無い。そこは完全に先輩の間合いだからだ。ならばせめてッ_
《生生流転》の流れるような足運びで眼前まで迫る先輩の突きを右に避ける。
ッ_
辛うじて避ける事は出来たが、肩口から垂れ下がる黒のマントは切り裂かれ切れ端が宙を舞った。
「ありゃ、避けられちゃったかぁ、首元に寸止めで勝ったと思ったのに」
「そんな簡単にはいきませんよ、先輩」
嘘である。もう何も方法が無く万策尽きた状態だ。《奥の手》も、もう通用しない。
いつもこうだ。何かと『決め手』に欠ける。SAO時代の74層で《ザ・グリーム・アイズ》に追い詰められた時も、ヒースクリフと死闘を繰り広げた時も結局は彼とその仲間、自らの団の団員に助けられた。
なら何故自分は茅場《ヒースクリフ》に異常に期待されていたのだろう。
才も彼《キリト》に劣るというのに。
「君だけのスキル、君だけの現実」
茅場が俺に残したその言葉を呪文のように頭の中で繰り返す。
考えろ、茅場は自分に何を伝えたかった、何を残したかった。
「自分だけ、の?」
、、、そうか、何を迷ってたんだ、このスキル《呼吸》は世界でたった一つ。
俺だけのものではないか。自分で『考え』、それを『現実』に移す。
《決め手》が無いなら創ればいい。
SAOでは基本黒一色の装備を見に纏うキリトと対照的に自らは赤一色の装備を好んだ。その結果ついた二つ名は「紅蓮の剣士」
「エンハンス、、、アーマメント」
先程まで薄青く輝いていたラ・ヴィーナは刀身を赤く燃やす。そして赤黒く染め上げる。なによりも熱く、強く、ただ真っ直ぐに。
そうして俺は頭の中に浮かび出た言葉を口にする。
「舞え、ヒノカミ」
眩い程の炎を灯すその刀身は火柱を上げ不死鳥の様に高く、高く天を貫き、羽ばたく。
「え、ちょっとなにそれ!? そんな事したら雲上庭園が_」
先輩が何やら叫んでいるが聞こえない、この広範囲攻撃なら勝った筈。
あとは先輩の前で寸止めして、_
「き、聞いてるの? 燃えちゃうわよ! バカー!? 」
「あっ」
先輩の必死に張り上げた声で今自分がいる場所が雲上庭園だと思い出し
振り下ろすその手を急いで止める。
やがて纏っていた炎は鎮まり、刀身は赤色へと色を戻した。
「すいません、先輩、自分周りが見えてな_「隙あり」 」
「え? 」
自分の喉元を見ると先輩の闇斬剣が突きつけられていた。
「勝負あり、この戦いイーディス殿の勝利とします。」
アリスは少しムスっとした顔でこの模擬戦の終わりを告げる。
「えっ、えぇ!? せこっ!?」
「整合騎士たるもの、いかなる場面でも油断は命取りよ、覚えておいてね」
俺の首元から剣を離し、鞘に収めた先輩が真剣な目つきでこちらを見つめる。
「は、はい、肝に銘じときます、、。」
と、こちらもラ・ヴィーナを鞘に収めると先輩がこちらの頭を二回ポンポンっと軽く撫でた。
「よし、えらいえらい、にしてもびっくりしたよ? 本当に雲上庭園が燃えちゃうかと_「お前は何を考えているのですか!!」おぅ」
「雲上庭園を燃やす気ですか!! ここは私の大切な場所なのです! もし大切では無いとしてもここで大技を使うなど、ありえませ_ 」
アリスの説教を聞いていると急に視界がぐらついた。
そっか、呼吸をいくつも使ったし武装完全支配術まで試したからその反動で_
俺の意識はそこで完全に途絶えた。
〜to be continued〜
ここまでお読み頂きありがとうございました!
今回は武装完全支配術を試すという所まででした!
次回もお願いします!!
次回 「迷わないで」
ヒロインについて投票是非お願いします!!
投票、ありがとうございました