魔法少女リリカルなのは~邪神転生したので原作崩壊させます~   作:croto

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第四話

「突然管理外世界から救難信号を送られたと思ったら、こんなことになっているとは」

 

ため息をつきながらそう呟くのは黒髪の少年、名をクロノ・ハラオウン。

管理局と呼ばれる魔法を使う世界を管理する世界の警備員のような役職に就く彼はL型次元航空艦『アースラ』の切り札と呼ばれている若干10才ながら執務官になった人である。

そんな『アースラ』に次元犯罪者であるはずのプレシア・テスタロッサから管理外世界であるはずの『地球』から救難信号を送られてきたのだから彼としてはため息もつきたくなるものだった。

 

「クロノ執務官、とりあえずは様子見ということでここで待機になりますがもしものことがあれば」

「はい、武力介入にあたります」

 

そして、その艦の提督であり、クロノの実母のリンディ・ハラオウン。

救難信号を送られたとしても実際に魔法の痕跡、使用を見ないといけないので今はまだ待機となっている。

 

「こんにちは、管理局の皆さん」

「!?」

「!?」

「!?」

 

突然、後ろから知らない声を掛けられた為その場にいたクロノ、リンディ、そして監視していたエイミィはそれぞれその声の方向を向く。

クロノは瞬時にバリアジャケットを着て警戒体制に入っている。

そこにいたのは黒いとしか言い様のない程に黒い女性(?)がいた。

 

「君は一体誰だ!何故ここを知っていてここにいる!」

「うーん。何でって私がプレシアに連絡するように頼んだから、かしら?」

「つまり、君はプレシアの仲間だと?」

「いや、仲間というよりは協力者?」

 

クロノが執務官として質問する度に黒い彼女(?)は答える。

そして協力者と言う言葉に今度はリンディが質問する。

 

「協力者。というけれど、貴女の名前を教えてくれないかしら?」

「名前?そうだねぇ、ここではアル・ルフクゥトと名乗っているよ」

「ここでは?ということは本名は違うわけ?本当の名前は?」

「そうね。別に教える義理も無いけれど、面白いから教えてあげる。貴女たちにはこう言った方がいいかしら?"流々家 鮮華"此方では"アザカ・ルルイエ"としていたわ。もしくは、"ナコト・セラエノ"とか"ミ=ゴ"とか"ナルラトテッフ"だったり。まぁ、多分、有名なのは"H・P・ラヴクラフト"かな?」

「その、名前は……」

 

黒い彼女が名前を出していくに連れてその場にいる全員はそれぞれの事件のある人物にたどり着く。

 

それは、十数年前の事件や数年前に起きている事件の犯罪者候補の名前だった。

そしてそのいずれも、行方を眩ませていたりで未だに捕まっていない人物の名前だった。

 

「アル、さん。貴女はその事件の何なんですか?」

「全部私が犯人よ」

「「「な!?」」」

 

黒い彼女は簡潔に、簡単に、当たり前のように、淡々と答えた。

 

 

"流々家 鮮華"または"アザカ・ルルイエ"

十数年前に起きた一家殺人事件で唯一の行方不明者にして犯人に連れ去られたとして捜索されていたが、後に犯人であると判明した黒髪の少女。

 

"ナコト・セラエノ"

数年前に起こった爆発事故の犯人として次元犯罪者指定になっていた黒髪の女性。

 

"ミ=ゴ"

人間の脳を集めるという人外行為を長期に渡り行っていたが捕まえる直前に転移で逃げられてしまった黒髪の少女のような女性。

 

そして

 

"ナルラトテッフ"と"H・P・ラヴクラフト"

前者は時空管理局が設立されて以来の大犯罪者にしてその正体が全くの不明で次元世界をいくつも破壊した犯人。だったが後者が同時期に行方不明になった管理局員で管理局最強の『無敵の執務官』とまで呼ばれていた黒髪の地球出身者ではと同じ管理外世界から来た"ラヴクラフト"が推測し、犯人が判明した。

 

 

そうして頭で整理していくと真実にたどり着く。

全ての人物が黒髪の女であることが分かる。

 

「うっ!?、ウェェェェェェェェッッッ!!!!」

 

そして、その人が目の前にいる人物なのではと気づいた彼らの内、エイミィ・リミエッタは恐怖とその事件の内容を思い出しその場で吐いてしまう。

それ以外もクロノ・ハラオウンはガタガタと震え、リンディ・ハラオウンは『あり得ない、そんなことはない、嘘よ、嘘、嘘、うそ、うそうそうそうそ』とぶつぶつと呟き続けた。

 

それを狂気的な眼で見ているアル・ルフクゥトは無感情に《エイミィは3、クロノは1、リンディは5、かな?》等と考えていた。

そのまま、詰まらなさそうにその場から消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景を影からみていた人がいた。

 

名前はハルカ・シノノメ

 

四人目の転生者で主人公として神に転生された私はクロノと一緒に管理局に入った天才の一人で特典に魔法の才能とサードアイの能力を貰った。

そして、私はその特典により多くの貢献をし、『アースラ』に乗ることになった。

 

しかし、それは私にとって不幸の始まりだった。

『アースラ』に乗れたまでは良かったものの、プレシア・テスタロッサが救難信号を送るというイレギュラーから始まり、地球に着くもユーノ・スクライアの痕跡は無く、結界魔法の痕跡も無く、密かに飛ばしたサーチャーは翠屋を見つけた途端にナニかに破壊された。更には高町なのはがフェレットといる場面はなく、何故かお菓子作りの話をしている三人娘がいて、そこで漸く気づいた。

 

この世界はアニメのリリカルなのはの世界とは違う。と

 

更に不幸は続いた。

情報を得ようとクロノたちのいる場所に向かうと話し声が聞こえてきた。

 

『こんにちは、管理局の皆さん』

 

その声は明らかに局員の声ではなく、少女のようにも大人の女性のようにも聞こえるような奇妙な声だった。

普通ではない状況を踏まえてとりあえず隠れて会話を聞こうと扉に背中を預け会話を聞いた。

 

後悔した。

 

声の主は自分が次元犯罪者であると言い、数年前や十数年前の多くの未解決事件の犯人だと答えた。その正体を知りたくなった私は独自に開発した透視魔法を使いその正体を後ろから、見てしまった。

 

そう、見たのではなく、見てしまった。

 

黒い女性と表現するのが正しい程の見た目、不気味な雰囲気とその声の為に襲いかかる嫌悪感、そしてその話した内容。

私が管理局に入る切っ掛けになった原作キャラを殺した爆発事件や防げなかった事故。そんな事件の犯人が目の前にいた。そこで更に深く知ろうとサードアイで彼女を観た。

 

後悔しかなかった。

 

あれは人ではない。

 

前世の記憶にある一つの事柄、彼女の複数の名前、中身。

 

発狂するには十分過ぎた。

 

しかし、私は意識を保っていた。保ってしまった。

 

必死に声を圧し殺し、嘔吐感を無理矢理押さえつけ、震える体は力が抜けて、それでも何とか立ち止まり、下半身が濡れるのにも意識せずに、その結果座り込むことになっても、出来るだけ音を立てず、気配を消し、必死にアレが消えるのを待った。

 

名前を聞いた時に逃げれば良かったと後悔する。

 

アル、ルルイエ、ナコト、ミゴ、ナルラトテップ、そして、ラヴクラフト。聞けば聞くほどある一つの真実にたどり着いてしまう。

 

考えたくないのに前世の記憶のせいで答えを出してしまう。

 

彼女は、彼女の正体は、邪神であると。

 

サードアイなんかで観るんじゃなかった。

 

アレの中身が複雑怪奇で、思考は狂気染みていて、それなのにその大元が私、転生者と同じであると知ってしまった。

 

上も下も液体を垂れ流し、口を両手で押さえつけ、アレが過ぎ去るのを待った。それでいて、頭のどこかで『アイデアロールに成功した』なんて考えてしまっている。

 

思考が定まらない。

 

後ろからエイミィの嘔吐する声やリンディさんの多弁症が聞こえてくる。

 

それが羨ましかった。私も発狂したかったと叫びたかった。

 

それでも彼女に気付かれないように抑えた。

 

怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。

 

目を閉じ、顔を伏せ、ガタガタと震える体を必死に抑え、待ち続ける。

 

そして突然、その狂気的な空気が無くなった。

 

後ろからクロノの荒い呼吸と正気に戻ったであろうリンディさんの声が響く。

 

それを期に、私は口を開き、嘔吐した。

 

今はもう慣れてしまった近未来的な鉄の床に吐瀉物をぶち撒け、下の液体と混ざる。

 

言葉にならない声を轟かせ、その恐怖を無くすように感情を爆発させる。

 

僅かに聞こえた自動ドアの開くような音を聞きながら私は喚く。

 

ふと、後ろから包み込むような感覚を感じると同時に声が聞こえた。

 

「大丈夫よ、彼女は居なくなったわ。よく、耐えたわね」

 

鼻声でしか返事ができなかったが何とか頷くくらいは出来た。精神年齢が大人になったと思っていたがどうやらそんな事は私は勘違いをしていたようだ。

 

リンディ・ハラオウンという本物の大人に抱き締められるだけで安心してしまっている。

 

その安心感のまま、私は意識を手放し深い眠りに着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い少女は嗤っていなかった。

 

何故ならアースラの誰もを発狂させられなかったからだ。

 

クロノ・ハラオウンは震えるだけだった。

 

エイミィ・リミエッタはただ嘔吐しただけだった。

 

 

そしてリンディ・ハラオウンは発狂した、フリだった。

 

つまらない。

 

全くもってつまらない。

 

そんな事を考えながら夜道を通る。

 

もういっそこの世界を壊してしまおうか。

 

そんな事すら考えるまでになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、別角度からそれを見る白い少女がいた。

 

『邪神め、彼女を壊しよってからに。これは早急に何とか対策を立てねばならん』

 

天使か神か、その存在は黒い少女以外を転生させ対処しようとし、その悉くを黒い少女に壊された。

 

金の少年には煽るようにジュエルシードを回収させようとしたが失敗。闇の少女に元夜天の書を破壊させようとするが大元は成功するも彼女の干渉により、実質失敗。

新たに加えた眼の少女はもう使えない。

 

これ以上の過干渉は世界を崩壊させかねない。

 

後は未来の原作組という不確定要素に頼るしかなくなってしまった。

 

世界が一つ壊れてしまえばそれが連鎖してしまう。

 

そうならないように白い少女は干渉した。

 

しかし、気付かない。

 

既に最重要な次元世界がいくつか消えてしまっていることに。

 

原作キャラ、キャロ・ル・ルシエの世界は消滅。

 

ティアナ・ランスターは爆発事故で死亡。

 

エルトラントは犬により消滅。

 

 

 

 

 

 

 

物語は邪神の予定通り進んでいる。

 

 

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