巷の流行りに乗っかってみた。というよりもこっちの方がいいかもと思いました。
読む前の注意を。原作は序盤だけで2023年より、本来はSAOにはいないキャラが出ています。生き残る時点でご都合主義ですが、そこはご了承を。当面はSAOのヒースクリフ討伐によるゲームクリアまで。インフィニティ・モーメントは一つの選択肢として用意してますがどうかわかりません。
11/06
茅場晶彦死ぬべし。慈悲はない。朽ち果てて死ね。腐り落ちて死ね。何でもいいから死ね。茅場晶彦への恨みを忘れないように日記を書こうと思う。
今日は待ちに待ったSAO、ソードアート・オンラインの正式サービス開始日。発売日は皆が並んですぐに売り切れになったが妹が俺のために買ってくれたようで無事にプレイできた。妹に愛情表現を示して抱き着いたら殴られたがSAOが手に入ったので痛みは無かった。
天国から地獄とはまさにこのこと。妹に夕食を奢る約束をしていたので一時休憩がてらログアウトをしようとすればできない。設計者の茅場晶彦に苦情を申し出ようとすれば一生忘れられない地獄の釜が開くチュートリアルが茅場晶彦を名乗るラスボスがこのソードアート・オンラインをデスゲームにすると宣言してから記憶はない。無我夢中ではじまりの街の広場を立ち去ったような気がする。
誰もが茅場晶彦に殺意を持った瞬間だ。その中の一人である俺も茅場晶彦の恨みを忘れないようにこの日を胸に刻み付ける。
11/07
カヤバアキヒコ、ユルサナイ。
11/08
※解読不可能 茅場晶彦への恨み言が延々と続いていると思われる。
11/09
オワタ。人生オワタ。まさにオワタ式デスゲームではないか。何で俺がこんな目に遭わないとならないのだ。茅場晶彦は俺に恨みでもあるのか。今なら茅場晶彦への恨みでチートコード不正使用ができそうだ。
普通は有り得ない。こんなバッドステータスは。趣味や遊びでやるのならまだしも命懸けのデスゲームでオワタ式とは茅場晶彦は悪魔か。神を気取っているようだが性格は悪魔も真っ青な事をしている。βテスターじゃないからこんな仕打ちをしても構わないと思っているのだろうか。一度、茅場晶彦の頭を切り開いて脳を調べてみたいものだ。
HP、生命線となるヒットポイントが初期から1のままなのは悪ふざけのレベルを通り越して悪意ある行為ではないか。幸いなのは、という言葉は使わない。他のステータスも普通と変わらない。スキルも平凡そのもの。まるでバグを全て俺のアバターに押し付けられているように思える。
ソードアート・オンラインのβ版はプレイしていないのでわからないがこれはハッキリ言って正式サービス版にあってはならぬ事だ。普通ならGMにクレームをふっかけるがもう今は無意味だ。デスゲームと化してから外部に連絡もできない今、泣き言を言うしかない。言えても泣き寝入りするしかないのだ。妹のためにも死ぬわけにはいかない。なんとしても生き抜いく必要がある。
文章からはわからないがタイピングする手も恐怖で震えている。他のプレイヤーも死の恐怖に脅えているが、俺は一層怖い。カスリ傷ですら死に至れるなんて誰が想像できようか。我が妹よ、約束を守れなくてすまない。兄ちゃん、死ぬかもしれないけど絶対に生きてまた会えるように努力するよ。
――三日目
11/11
――五日目
SAOはRPGの一種だ。今作以前の偉大なるゲームと同じようにシステムが似ている。故に何よりも重要になるのがレベルだ。醍醐味であるレベル上げによるアバターの強化。これが最も大事だ。通称、レベリングと呼ばれる作業が全ての準備の始まり。
だがしかし。しかし、だ。オワタ式の俺だとレベリングですらも緊張感が凄まじい最終決戦と同等だ。スライムですら命懸けで戦わなければならない。スライムではなくイノシシだが、ラスボス同然の恐怖が出る。
手が震える。仮想世界にいるのに喉がどうしようもなく乾く。死を前に感じる走馬灯らしきものも見えた。怖い、今まで感じた事がない恐怖が蝕んで体が竦む。
たった一体のモンスターですら狩れず、今日は無様に逃げ回るだけだった。安全地帯に来てもずっと泣いていたと思う。誰にも見せられない姿だっただろう。
こうして日記を書いていてもメソメソ泣いている。死にたくない。また妹に会いたい。
11/12
今日一日は何もしなかった。何もできなかった。死を目前にすると人はこんなにも無力になるのか。フィクションだが物語の、特に勇者が魔王を倒す旅に出る物語で勇者パーティーもこんな風に死の恐怖に覚えていたのだろうか。耐えろと言われても戦争も経験した事がない俺は乗り越える事ができない。どうすればいいんだ。
噂、はじまりの街の掲示板でも死にたくないから外のフィールドには出ないで引き篭る者がいると罵倒されているが俺は彼等を決して責めたりはしない。彼等の恐怖は最も俺がわかっているのだから。
俺も彼等のようにはじまりの街にいるべきなのか。もう何もわからなくなってきた。死の恐怖を目前にすれば人はこんなにもネガティブになるのだと思い知らされた。モンスターを前に立ち向かえと言われてももう嫌だ。
11/24
こうして日記を書くのも久し振りだ。自分でも言うのもだが、少し心境の変化があって書く事を忘れ、ちょっとだけ死の恐怖を克服する事ができた気がする。まだ恐怖を感じるが前のように動けなくなる事はない。
今日、久し振りにフィールドに出れた。モンスターが蔓延る場所にも足が震えてもなんとか立ち向かえた。人によってはそれがどうした、と思うだろうが俺にとっては大きな一歩だ。モンスターを何体か狩れたのも大きな前進の一歩になるだろう。
今はもういないあの子にお礼を言いたい。本当は怖いはずなのに弱虫の年上の俺に勇気を与えてくれてありがとう。どこまでやれるかわからないけど兄ちゃん、君のために生きているプレイヤーを無事に現実世界に帰してやるからな。
だけど茅場晶彦、俺はお前だけを決して許さない。必ずこの償いだけは受けさせる。
11/26
アドレナリンが分泌しすぎるとこうも時間を忘れるものなのか。時間も忘れ、レベリングをしているといつの間にか一日を過ぎていた。
あの時に感じた死の恐怖とは何だったのだろうか。今は何もかもが明確にクリアに見える。モンスターを容易く狩れる、殺せる。経験値というメリットを得られ、少しずつ強くなれてる気がする。相変わらずHPの数値だけは変動しない1のままだが。
だけど当たったら駄目なら当たらなければいいだけのこと。何であの時、すぐに気付けなかったのだろう。もう少し早く気付けたら未来は少しでも変われただろうか。
そして、SAO開始から初めてのフレンドができた。レベリングを終え、宿屋を借りようとすればアルゴと名乗る情報屋と知り合った。情報の等価交換でアルゴと手を組んでSAO攻略に貢献する関係を築いた。俺よりも年下なのに頑張っているんだ。彼女よりも年上の俺が頑張らないと。
11/27
アルゴから教えてもらった情報を基に自分の強化を計った。限定クエストの情報、受けられるタイミングと条件を教わって第一層では強い部類の武器を入手する事に成功した。
アニールブレード。レベリングの際にいくつかドロップしたアイテムを交換すれば得られた。それぞれの武器にある耐久度も従来の安物よりも高く、与えられる攻撃力も高いので一撃でモンスターを葬れる手段を得られた事になるわけだ。
明日からもレベリングを効率よく行えるだろう。アルゴの依頼もレベリングで同時処理すれば一石二鳥だ。目指すはSAOクリア。百層攻略、頑張ろう。
11/28
ソードスキル。このSAOの最大の特徴と言えるシステム。システムが定めた動きをする事で発動する必殺技と言えばいいのだろうか。アルゴの助言でソードスキルの成長を試みる事にした。
スキルの熟練度の上昇に伴って開示されるとの事で、アルゴの依頼で実験台を引き受けた。片手直剣を使うので基礎技から繰り返してアルゴがデータを取る、慣れない武器も使って……をすればあっという間に一日が過ぎた。仮想世界だからか、疲れはあまりない。寝る必要もないので俺は夜限定に出没するモンスターを狩る事にする。
日記はここで終わり。少しずつでも前に進んでいる。そう思ってもう少し頑張ろう。
11/29
ふと、思った。レベリングをしているわけだが他のプレイヤーはどうしているのだろう? アルゴ曰く十人十色らしく他を気遣うのならまずは自分を気遣えとのこと。俺はそんなに無茶をしているのだろうか。
それは置いておいて。今日、直剣の熟練度がグンと上昇した。それに伴って新たなソードスキルが使えるようになった。その中の一つが全体に及ぶ効果を持っていたので更にレベリングができるようになる。これは嬉しい。最近はレベル上げよりもスキルや熟練度の上昇をメインにしている気もするが、ソードスキルが欲しい俺としてはそっちが肌に合っている。次はどんなスキルが使えるか、楽しみだ。
今回から経過報告、自分の軌跡を思い出すために自分のステータスの移り変わりをできるだけメモしようと思う。他人には見られない日記にしているので誰にも見れないはずだ。
レベル 9
筋力 47
敏捷度 76
片手直剣スキル/98
???スキル/134
索敵スキル/46
武器防御スキル/0
識別スキル/34
投擲スキル/42
12/01
正直、死ぬかと思いました。こんな冒頭だと俺以外の人間が読めば何事かと思うだろうが今の感想を簡潔に言うのなら死ぬかと思いました(棒)だ。
またもやアルゴの依頼で第一層の迷宮区の第一層ボスの調査を頼まれた。戦う事でデータを採取する事だが、死ぬかと思った。ボスともなれば雑魚よりも威圧感が半端なかった。偵察戦闘のつもりが無我夢中でHPバーを残る一本まで減らしていた。何だろう。恐怖で正気を失うとボスと互角に渡り合えるのか? 残念ながら悪足掻きとも言えるボスの最終手段を前に撤退を余儀なくされたが本当に死ぬかと思いました(小並感)
アー、なんか最近は死ぬって何だろうねーと戦いながら思うよ。こんな状況だからかもしれないけど心が壊れるんだろうか。自覚はないけど俺はまだ正常な心を保てているのか疑問に感じたが、今はあの子との約束を果たすのが先だ。ウダウダと何かを考える前に動けだ。
12/02
何かアホらしい。トールバーナで昨日偵察戦をしたイルファング・ザ・コボルト・ロードを討伐するために会議が行われ、俺も参加したがアホらしいというのが感想だ。
トサカ頭で関西弁を使う奴がβテスターを貶す発言をした上に謝罪の証としてアイテムを差し出せと言うがそれはただの自分の怠惰を誤魔化し、楽して強力なアイテムを得るための茶番に過ぎない。馬鹿馬鹿しくなって途中退場してしまったが最後まで五月蝿いトサカだったなあの野郎。ちょっと睨めば大人しくなったのはラッキーだった。自分の事を棚に上げるようだがもう少し努力をしろよと思った。
このデスゲームは最早βテスターだのというレベルではない。誰もがスタートラインは一緒なのだと考えている。知識に偏りはあっても自分の命を天秤に置くのは誰もが同じ。それにβテスターは他のプレイヤーを助けるためにβ版の情報を惜しみなくアルゴに提供したとアルゴ本人から聞いているから真の意味でスタートラインは同じではないだろうか。
ボス攻略は明日だ。本番前にアルゴに紹介された鍛冶屋へアニールブレードの強化を済ませておこう。装備も新調しておいた方がいいだろう。偵察戦でいい加減にガタが来ているようにも感じていたからな。
さて。明日は色々な意味でもはじめの第一歩だ。SAO攻略の最初の一歩。心して臨もうと決心をしよう。
SAOの中で書いたものを誰かが読んでいる形で編集されたものを読んでいると思ってください。