10/1
アスナから齎された情報からすると、今はまだ救援は必要なさそうだ。死傷者はおらず、負傷者はいれども問題なく勧めている様子である。
それからといえば、レベリングとスキル上げの作業を再開する事になった。血盟騎士団からのエネミーレポートで情報は確保してあるので後はレベリング穴場を探し、ひたすら狩って狩って狩りまくる作業をするだけ。ユウキとサチの訓練も忘れずに。
ユウキは天に愛された才能があるが、それを代償にリアルでは難病に掛かっている。それを置いても、ユウキは戦えば戦うほどその腕をどこまでも伸ばす。天才とはまさにユウキの事だと俺は思う。他の皆からはおま言うとか言われたが気にしない。
対するサチは凡人。普通の人で何か人間やめましたグループの癒しポジションなのだろうか。戦いの才はなくとも、キリトより弱い彼女が生き残れたおかげである「逃げる才能」と「見極める才能」が彼女の味なんだと考えている。逃げるのは何も、悪い事ではない。ヒット、アンド、アウェイを忠実に守れるアタッカーとなれる可能性があるのだ。悪く言えば囮のような役割になるだろうが、俺の負担が減ればそれだけ重い一撃をキリトと共に繰り出せるのでその方向で鍛えるのもいい。
要求値が最低値の装備は訓練、スキル熟練度上げに活用しているので一通りの初期武器はホームのアイテムボックスにある。一番向いてると考えるのは、ユウキは片手直剣でキリトの上位置換タイプ。サチは重量の低い手数が多い槍、ランサータイプなのではと鍛えさせている。本人がこれ! というのがあればそれに任せるつもりだ。
彼女等を見れば器用貧乏な自分が駄目に思えてくる。片手直剣、片手細剣、両手直剣こと大剣。マスターしているとはいえ、色々なものに手を出している気がしてならない。アヴェンジャー装備を目指しているのでその条件を満たすスキルを育てる為なんだと自分に言い聞かせておく。
暫くは最前線の手前で自衛できるだけの力を身に着けさせるのが当分の目標だな。ユウキは必要ないだろうが、サチだけはトラウマ克服の為にも頑張ってもらおう。
荒療治だねぇ。
10/5
ユウキ卒業。もう一人前プレイヤーどころかトッププレイヤー手前の腕前である。ワザマエ!
たった四日。されど四日。この短い時間でユウキは凄まじい成長を見せ、普通のプレイヤーよりも強くなった。ボス戦も安心して背中を任せられる頼りがいっぷりにサチが思いっきり引き攣っていた。そりゃ、同じ期間でそれだけ強くなるのを見れば誰でもそうなるさ。
キリトも大概だが、最も恐ろしいのは俺だと皆が口を揃えて言う。無傷ボーナスによるステータスブースト、スキルマスターの恩恵、開示されないスキル欄によって強化されているからな。レベルが低くても多分、実力は俺が上になるだろう。
ステータスはどれだけ上げても損にはならん。上げれば上げるほどそれだけ戦力は増えてクリアへの時間が短くなる。一騎当千が一人いようとも、万が一の事を考えると高レベルの仲間は多い方がいい。だからこそ、ギルドにコミュニティで話し合って決めた。
育ち具合ではパワーレベリング、レベルの高いプレイヤーに引っ張られる形でレベルを乱暴に上げるように攻略をレベルと実力に物を言わせて進める頭の悪い作戦が実行される可能性もありえそうだ。
何よりも大事なのは情報だ。情報と実力が噛み合ってこそ、順調な攻略ができるというもの。それは忘れないようにすること。
10/9
攻略で忙しく、書く暇がなかった。休める時間はあったが、書くよりも休みたい気持ちが一杯でそっちのけにしていた。
先に報告だけを記すと、高レベルプレイヤーが集まってパーティーを結成し、レベルに物を言わせて四十三層から四十七層までのダンジョンと迷宮をマッピングし、突破した。安全に安全を重ねて行動したので時間は些か掛かったが犠牲者ゼロなのでよし、だ。
明日からもまた、四十八層目の迷宮から交代形式でマッピングをし、突破するお仕事が始まる。人間、死ぬ気になれば何でもできるんだと思い知らされた瞬間でもあった。
取り敢えずここまで。鋭気を養う為にももう寝る事にする。
10/11
四十八層、完全制覇。マッピングデータは共有し、完成された物をアルゴに渡して公開してもらう手筈を整えた。段々、迷宮の広さが広がっている気がするな。
敵の強さは少しずつ、といったところが幸いか。クォーターポイントのような地獄とは違って何段も踏み飛ばして、という事がないからだ。ハーフポイント、五十層が近付いているので覚悟はしておいた方がいいだろう。
クォーターの事を考えるとハーフも今まで以上の地獄になるのは考えればわかる事だからだ。そろそろ敏捷値が上がる新しい装備来てくれ。
10/13
攻略は順調。メキメキとレベルの低いユウキが追い付き始めて危機感を覚えるのはアスナ。一番レベルが低い彼女は迫り来るユウキにどんな反応をすればいいか迷っている様子。姉妹のように仲がいい二人ではあるが、妹に抜かれるのは複雑な気分だそう。
ギルドの仕事が忙しくてレベリングの時間が足りない事はわかるが、もう少しレベリングぐらいはした方がいいぞと言えば逆ギレされてレベリングスポットを教えろと怒鳴られた。成程。血盟騎士団はブラックギルドだったのか。ストレスが溜まって可哀想に。
やめればいいのに。と言えば俺がギルドを作ったらね! と指摘された。やってらんねーよ。管理職なんざやりたかねーんだよ。
まあ、今日はアスナの愚痴を聞いた。あんな可愛い子もストレスは溜まるもんなんだねぇ。
10/14
アスナの愚痴の中には放送禁句用語も含まれているので愚痴を吐き出した後はかなり悶絶していた。あんなに謝り倒されるとこっちの方が申し訳なく思うんだが。気にしてないからまた吐き出しなさい、と言えばかなり恐縮して縮こまっていた。
年下の悩みを解決するのは年上、大人の役目。どうってことはない。俺は別のストレス発散方法があります故に。かなり危険な発散だけど病み付きになるほど狂ってるんだろうね、俺は。
迷宮でモンスター相手に狩りを仕掛けるのがマイブームだったり。レベリングとかスキルマスターも兼ねているから誰かと一緒に行ってるんだが自殺行為じゃないはず。一人で行こうとすれば皆が止めるもんよ。特にエクレールさんが彼氏に縋り付くかのように引き止めるものだから行きたくとも行けん。
死ぬ気はないんだが皆、最近心配性過ぎるのではないだろうか? HPが一という事はリアルで冒険していると思えば何ともないんだが。掠り傷も致命傷になる事以外は日々、危険に晒されている命の危険と変わらん気がする。誰かに話せば病院にぶち込まれそうなのでここだけの秘密にしておく。
こういったオンラインゲームのマナーにリアル事情を聞かない、という暗黙の了解があるが一年もここで暮らしているとそこら辺も麻痺し始めて暴露する者もいるようである。アルゴが情報が集まって大変だと嘆いていた。情報屋のリアルを知られると脅迫されそうで怖いとも。アルゴがそんなタマかよ。逆に脅迫しそうだぞアイツ。それよかSAOが出会い系みたいになってる気がしてならない。
いくらバーチャルでも簡単に体を許すのはどうかと思うぞマジ。ビッチと聞くとあのクソビッチを思い出すのでやめておこう。
10/21
最近のSAOの話題は血盟騎士団でもちきりだ。
や。前から有名だったがSAO最強のギルドとしての立場を不動のものにした、というのが正しい。前のクォーターポイントで軍が壊滅してからメキメキと実力を付けて安心感を与えたからこその不動の最強なのだろうと思うがヒースクリフが原因だろう、多分。
ユニークかエクストラかわからんが特殊スキル、神聖剣を持つただ一人の男でクォーターポイントでも大活躍していた経歴が今になって大きく影響しているのだろう。聖騎士とも言われるから憧れの的にもなる。そういったものに憧れる年代が多く参加しているのだから。
笑いを堪えるのに必死だったが閃光さんも有名になっているようで。仕事も増える。やったね、アスナちゃん!
フォークで目を刺されそうになった。遊び過ぎたようだ。
聖騎士のヒースクリフ、閃光のアスナ。血盟騎士団と聞かれればこう答える者がほとんどだろう。それくらい今は有名になって実質、全てのプレイヤーとギルドを仕切る連盟の上に立つ権力と力を手に入れたと言ってもいいだろう。それはいい、それはいいんだ。
な ん で 俺 を ま た 誘 う ! ?
俺は入らねぇっつってんだろーが! あのスマシオヤジ、ニコニコうぜぇ! アスナは副団長を押し付けて楽をしようとするし! 俺はギルドには入らないとあれほど言ったのにしつこすぎるぞ! 今からステマでもして血盟騎士団の名をケツ命騎士団にしてやろうかぁ! アルゴの姉御、出番です!
スッキリした。今日は誰が添い寝当番なのだろうか。勝手に決めるのだけはやめてほしいんだがね。
10/23
添い寝当番でユウキはまだいい。まだいいんだ。エクレールさんのワガママボディだけはけしからんけしからん。ここがバーチャルで服がはだけない仕様で本当に良かった。はだけていたら野獣と化していただろう。おはよう、と夜を共にした(意味深)女性に挨拶されると凄まじく萌える。一線を越えたわけでもないのにドキドキが止まらない。
エクレールさんに腕を組まれながら皆が集まるリビングに来るとユウキが絶望した顔をしていたのが一番目を引いた。後は何だ、普通におはようと挨拶された。今まではユウキと朝一緒に起きるのが当たり前だったからな。エクレールさん、大人の女性と寝起きを共に見せるとあらぬ想像をするのも仕方がない。激しかった、とか言われなくても良かった。
それなりに料理スキルが高いサチが作った朝飯を食べながら雑談をするのだが、ギシギシした雰囲気でキリトとサチが居心地悪そうにしてた。まあ、原因はエクレールさんにユウキに俺なんだけどね。睨んでくるユウキの不機嫌さに胃が痛くなる。
機嫌を直す為にユウキと
アヴェンジャーを振り回しながらユウキと共に経験値稼ぎならぬレベリングをしている間に雑談をしたのだが朝の出来事を引き摺っているのか、どうもいつも以上に口が走る。気を引こうとしているのがよくわかる喋り方で捲し立てるから申し訳ない気分になりそうでならないのか? ユウキには悪いが愉悦。頑張ろうとしているから俺の加虐心を擽るんだが。マジ可愛い。
前門の虎、後門の狼。前門のエクレールさん、後門のユウキみたいな。エクレールさんには依存されているしユウキも同様みたいなものだ。何とも修羅場ルートだろうか。ギャルゲみたいに好感度システムが隠れステータスが存在してるのかと疑るしかない現状だ。
10/25
剣を二刀流で使う事で、最強に見える。何ともオトコノコゴコロを擽る響きだろうか。
何か出た。二刀流って出た。一日のお仕事を終えた後でステータスを確認すると、スキル欄に二刀流という見慣れないスキルが出ていたのだ。それはもう、驚いた。思わず夜中にアルゴに突撃したものだ。反省反省。叩き起されたアルゴはアルゴだから大丈夫だ。
そんなアルゴからは二刀流とはユニークスキルではないか、との考察を語られた。SAOの情報屋の頂点に立つとも言ってもいいアルゴは二刀流というスキルの話は聞いた事がないらしい。つまり現状、ユニークスキル扱いになるわけだ。もし、他にも二刀流を持っているプレイヤーが現れればエクストラになるだろうとのこと。
根掘り葉掘り。今夜は寝かせないとアルゴに心当たりがないのか聞かれ、今までの行動を聞かれた。何のスキルを熟練マスターしたのか、日夜の行動で何か特別な事をしたのか、クエストは何をこなしたのか。それはもう根掘り葉掘り。覚えている範囲とこの日記が役に立った。~をやった、~をクリアした。日記とは別にWikiに載せるデータ集めに活用してくれたメモ帳のようなものが。レベルとかステータスもこっちにメモしてきたから最近はこっちに書いていないな。後でコピペしとこう。
皆には後で説明をしておいて、二刀流がどんなものかを調べてみるとしよう。
レベル 72
筋力 502
敏捷度 672
片手直剣スキル/完全習得
体術スキル/877
索敵スキル/完全習得
???スキル/完全習得
???スキル2nd/完全習得
軽業スキル/324
隠密行動スキル/234
両手直剣スキル/221
片手細剣スキル/完全習得
投剣スキル/120
識別スキル/421
料理スキル/280
鍛冶スキル/13
武器防御スキル/13
二刀流/0
我ながら酷いステータスだ。