12/03
結果だけ言おう。ボス討伐は無事終えた。犠牲者は無謀に突っ込んだ一名と戦闘中に巻き込まれた四名。アルゴの予想とほぼ同じなのは喜ぶべきか。
冷酷だと蔑む者もいるだろう。だが、それが現実。生きたくとも生きられないのが現状。死んだ者には悪いがこれは彼等の力不足だった。HPが1の俺でさえも生き残れたのだから生き残れる確率は俺よりもあったはずだ。誰かを盾にする事もしていないはずなのに何故死んだのか理解に苦しむ。アイテム欲しさなのか? 自分の力量も考えずに突っ込んだのだとしたら責任は死んだ者にあるという事になるのか。
死んだ者に冥福を。
ボスを倒せたのはよしとしよう。第一層の攻略が完了し、第二層への扉は開かれた。ラストアタックを達成したプレイヤーと何故か一緒に第二層に足を踏み入れたが、特に喧嘩もせずに共に近くの安全地帯、村か町のある場所まで共に行く事になった事も記しておく。
ボスへのダメージ量が一定を超える事で得られる経験値が増える事も知れたのでアルゴに報告をしておこう。依頼達成という事で報酬を貰えた。武器強化に必要なレアインゴットを手に入れられた。アニールブレードは限界強化したので次の有力な武器を得た時に使うとしよう。
こういう事も初めに書くべきだろうが、少しの間同行したプレイヤーとフレンド登録をした。名前はキリトというらしい。何故だか俺は俺よりも年下の彼に気に入られているようだ。
12/04
第二層が開かれ、新たなフィールドも解放された。アルゴからの依頼もないので暫くは好きに動く事にした。
まずはRPG定番、新しい町の武器屋と防具屋だ。あるあるだと次のダンジョンで売られている武器が宝箱に入っていたりドロップするわけだが、このSAOはそんな現象はないと願いたい。金の無駄使いで金を失えばモチベーションが下がる。そうなれば死への直結。もう少しアニールブレードで頑張る事にした。足りない威力は技で補う。どっかの達人もそう言っていた気がする。
高橋名人、俺に力を! 連打よりも連撃だ!
12/08
アルゴの依頼を受けた。第二層のモンスターレポート。第一層の時と変わらない依頼をこなす事になって日記を書けなかった。
エネミーレポートと名付けた敵の情報を得るには敵モンスターのMobを倒す事でMobが砕けて欠片となる。そのミリ単位の欠片は自然とメニューウィンドウのストレージに保存されるそうだ。つまるところ、同じモンスターだけを狩り続けていると小さかったMobも何れはモンスターの形を作ってエネミーレポートを作れる、というのがアルゴの考察だ。情報屋だからか、頭も良いんだな。頭を撫でておいた。顔を赤くして可愛かった。
それと第一層と比べると経験値の取得量と熟練度の上昇率が変化しているようだ。モンスターが強くなると得られる恩恵も増えるのは変わらないらしい。安全にレベリングができるスポットを探す事からまた始まる。
いつしか、死の恐怖は少しずつ薄れ始めていた。
12/15
また日が空いた。茅場晶彦への恨みを忘れないために書いているが最近はもしもの時のために書き残している遺書にも感じられる。
久し振りなので茅場晶彦への恨み言を書いておこう。取り敢えず死【膨大な量なのでカット】
ふぅ。少しスッキリした。これも日課、いや、月に一度だけやって茅場晶彦を呪い殺す作業をしよう。うん、そうしよう。
レベリングも順調に進んでいるので久し振りにステータスを載せる。日記を見直せば凄い立派になったので自分でも驚いた。まる。
レベル 16
筋力 86
敏捷度 167
片手直剣スキル/201
索敵スキル/145
???スキル/397
投擲スキル/100
識別スキル/87
武器防御スキル/0
???は何が入るのだろうか。システムには無いスキルなのだろうか。これだけ数値が高いのは不思議だ。
12/17
今日は初ではないが、パーティープレイをした。今までソロプレイをしていたので少し新鮮な気分だった。
フレンドのキリト。第一層のラストアタックを決めた女顔にも見える少年と組んでパーティー限定のクエストに臨んだ。パーティー限定というからには難しかったり敵が強くなるのだろうかと思えば拍子抜けした。普通のモンスターと同じ姿をしていたが色違いのレアモンスターがボスだったが、特に苦戦はする事なく倒せた。俺とキリトが強いのかクエストが優しかったのか。
報酬はこれまた武器強化一式と言わんばかりにレアなインゴットや鉱石が大量に手に入った。思わずキリトとハイタッチした。更に更にボスドロップで敏捷度を上げる装備が手に入ったので満足できる内容だった。ソロプレイもいいけど同レベルのプレイヤーと組むのもいいもんだ。今度、面白そうなクエストがあれば誘うとキリトと約束をした。
敏捷度を上げるとスピードが上がるだけではなくほんの少しだけ反応速度も上がる事にボス討伐に気付いた。初めは塵でも積もれば山となる。新たな課題、頑張れる課題ができたような気がした。
12/19
祝☆モンスター討伐500体!
200とか250とか飛ばしたけど嬉しい。何気なくステータスを確認すれば500達成していたので達成感が湧いた。嬉しくなってキリトと宴会を開いた。嫌そうにしていたがレアアイテムによる料理が食べられると知ればすっ飛んできた。現金な奴である。
あー、そういえば来週辺りはクリスマスかー。毎年サンタコスして従兄弟にプレゼントをあげていたんだが今年は無理かなー。クリスマスを話題にすれば突発性難聴に陥るキリト。お前はクリスマスを妬む非リア充か何かか。顔はいいんだから彼女は見つかるだろう……え? コミュ症? ま、まあ頑張れ。嫁さんは顔が良ければ見つかるって。
久々に半日を休息に割り当てた日だった。キリトとの親密度が上がった気がした。
12/22
今日はキリトに誘われ、キリトが欲しいというアイテムの収集を手伝った。レアアイテムに該当するものだからほぼ五時間は迷宮区で戦闘をしていた。成果は上々、キリトは鍛冶屋で新しいアクセサリーを作って手に入れていた。
二度目の共闘。少し強い敵だったのでスイッチの動作のタイミングを極める必要があった。元々俺達はソロプレイヤーなのでスイッチを使う事はなかったが、これを期に努力をしてみた。とはいってもキリトの方はスイッチは慣れていたが。
必然と俺が教わる形になったがβテスターだというキリトのアドバイスは的確で意外と早くスイッチをマスターできた。ソロプレイよりも的確に早く、避ける動作も少なくて効率良くダメージを与えられるので便利だと感じた。
今回のスイッチを学んだ上で少し閃いた戦い方がある。今度のレベリングで少し試してみようと思う。
12/24
待ちに待ったクリスマスイブ。待っていない者がいるが。キリトとかキリトとかキリトとか。
めでたい日ということでクリスマス限定イベントが二日間限定で行われた。GMの茅場晶彦の趣味なのかは知らないが死ね。
キリトを誘ったが非リア充(笑)なのでパス、だそうだ。カップル限定というクエストも存在しているようでその日限定カップルもちらほら見られている。俺もアスナという女性プレイヤーとレアアイテム狙いでクエストに参加する事にした。聖なる夜のサンタからの贈り物。指輪を形どったそれは女性なら欲しい一品らしくやけにアスナは気合が入っていた。
遅れないようにすれば、意外と俺が彼女に合わせる事が多かった。細剣の使い手の彼女は敏捷度も俺に並ぶかと思われる素早さで攻撃を出す前に倒している事が多い。知らないソードスキルも使っていてまた新鮮な気分になれた。
今日、受けられるクリスマス限定イベントはカップル全体で俺と彼女のグループが早く終わったようだ。明日も同じようにクエストをするという事でフレンド登録をする事になった。
これでフレンドは三人。いつの間にかフレンドの数も増え始めているようだ。喜んでいいものかどうか。
12/25
クリスマスイベント二日目。昨日の女性プレイヤー、アスナと待ち合わせをしてクエストに臨む事になった。二日目という事で昨日の続きをする事になり、中断した場所へワープして共に攻略する事になった。
早く終わった。あっけねーというのが感想だ。
難しいと思いきや分岐点で無茶ぶりを要求されるだけでモンスターは少なく、モンスターもあまりいなかった。その場凌ぎのカップルではまず、女性側が嫌がる事を要求するので恐らくはやりたがらないだろうと思う。キスしろ、愛の言葉を囁け、お姫様抱っこをしろ。もし茅場晶彦の趣味ならば更に殺意が湧くだろう。実際に殺したくなった。
今回、アスナは迷いはしたものの課題の抜け穴を狙った達成条件を満たした。キスならば手の甲、愛の言葉を囁けならば彼女にありきたりの言葉を囁く、お姫様抱っこなら嫌がっても無理矢理すれば終われる。ふははは。ザマーミロ……ハァ。何か疲れたわぁ……。
クリスマスイベント達成。アイテムも幾つか得られたが割に合わないものだった。
それはそうとアスナは何故俺を選んだのかと気になったので聞いてみた。意外や意外。奇妙な接点があったらしい。実は第一層のボス攻略の時の大規模パーティー連合の一員だったようだ。視界の端にいたローブ姿の人物がアスナだったらしい。
これまたまあ、本当に奇妙な縁もあったモンだ。世界は意外と狭いという事か。
今回のクリスマスイベントでアスナと仲良くなれた。キリトに次ぐ心強い仲間ができた事に喜びを心の底で感じられた。やはり一人は違うと思っても寂しかったのだろうか。
12/28
クリスマスから三日。やる事は変わらずにレベリング。
というかレベリングをしている間にどうやら第二層のボスを誰かが討伐していたようだ。キリトも参加していたらしく、ボスドロップに喜んでいた。初めは俺も誘ったそうだがレベリングに夢中でメールが来ていた事も知らなかった。今回は完全に俺が悪い。
詳細は教えてもらえなかった。アルゴからのボス調査も依頼されていないため、完全に見逃していた。というか除け者にしてないよなアルゴ。
聞いたら第一層の功績を讃えて今回はお休み。だそうだ。アルゴに惚れそうになった俺は悪くないだろう。これが理想の妻というものなのか……!? ま、色恋沙汰に興味はありませんがね。
そう言えばアルゴに殴られた。子供のくせして色恋沙汰に興味があるという事なのか。
12/30
もう少しで年も変わる。変わらない年を過ごせると思ったが今年はとんだ年になってしまったものだ。地獄の始まりの年だった。
SAOも正式サービスが始まってそろそろ二ヶ月。死人も増えているようで掲示板にも何人が亡くなったと書かれるトピックが注目されている。レベリングをしている最中に意外と増えたものだと他人事のように思う。
殺されるのなら悔やむ。だが自殺なら悔やむ事も馬鹿らしく思ってしまう。生きる事を諦めた人間に気を掛けてやるほど俺はお人好しではない。
自殺はまだしも、殺された者には冥福を。皆の無念は、SAOをクリアして茅場晶彦を殴り飛ばす事で晴らす。
12/31
ついに今年は終わりを告げる。それでもやる事は変わらず少しでも強くなるために努力は惜しまない。レベリング、スキルマスターを目指して。
レベルを上げ、スキルをマスターしてソードスキルを極める。早くも直剣スキルは半分を超えて使えるスキルも少しずつ増えていった。新しくスキルも増え、色々とやる事も増えて現実世界と変わらぬ暮らしをしているような気がする。
ちょっといいかな? と思い始めた自分に鞭を打って茅場晶彦へ恨み言を綴ろう。恨みを忘れるな。元凶を許すな。奴を恨め。