「埋め合わせ付き合うって言った手前、文句は言わないが」
一般的な、街中そこかしこに存在するファミレスのひとつ。中央の四角形に隔離されたスペースの席に、良悟、恵美とエレナは座っていた。ソファ側が恵美とエレナ、椅子の方に良悟が座る形だ。
それぞれがドリンクサーバーから注いだドリンクを片手に。
良悟はそんな中、妙に周囲に視線を走らせながら、ギリギリ彼女たちに聞こえる小さな声で口にした。
「アイドルが変装なしに男と一緒って、いいのか?」
良悟の対面に座る恵美とエレナは、やけに堂々とした様子でドリンクに手を付けている。変装といった概念はなく、おしゃれのために帽子は被っているものの、伊達眼鏡やサングラス、マスクも着用していない。
「あー、いいのいいの。堂々としてれば全然バレないからさー」
神経質な良悟に比べて、恵美は声を抑えるでもなくいつもの調子だ。あまりにも無警戒な様子に、良悟は念を押すように口を開く。
「声かけられたリしないの?」
「今までほとんどないかナ」
「だねー。アタシたちがアイドルになってまだまだ日が浅いってのもあるけど、そんな神経質になるほどじゃないって」
ほらリラックスリラックス、と良悟とは対照的に恵美が促すように言ってくる。そんなお気楽な様子の二人を見たせいもあり、良悟は肩を落として息を吐いた。
「俺はもう知らねえから」
「それくらいで良いんだって。いっつも気張ってたら疲れるっしょ?」
「そりゃそうだけど。……てか、それ美味いの?」
恵美のコップの中に入っている茶色い液体。数種類のジュースを掛け合わせて作られた謎の液体を、良悟は眉をひそめながら見る。
色が汚いのだ。見た目だけ見ればあまりにも不味そうに見える。
「イイ感じだよ? なんならほら、飲んでみて!」
ぐいっ、とコップを差し出してきた恵美に、良悟は仏頂面をしてそれを突き返した。
「何混ぜたか教えてくれるだけでいい」
「んー? そっちの方が面倒だと思うけどなー」
「リョーゴは照れてるだけだヨ。気にしすぎだと思うナー」
何が楽しいのか、ニコニコとスマイルを浮かべたエレナを見て、良悟は思わず天を仰いだ。わかっているなら言葉にしなくていいだろう、と。
「あっ、もしかして間接キス、とか考えてたの? わー、エレナの話の通りほんとにウブなんだ」
「うっせ」
恵美の言葉にそう吐き捨てると、さっさと自分のコップを空にして立ち上がる。
「で、何混ぜたんだ?」
「コーラと乳酸菌とぶどうの炭酸のやつだよ」
「……ほんとに美味いのか? それ」
「そんな心配しないでいいって」
釈然としないのか眉間にしわを寄せながら、良悟はドリンクサーバーの方に向かっていった。二人がその様子を観察しているとも知らずに、彼は教えられた通り、まずは少しだけ三つを混ぜて試飲した。
ドリンクサーバーの前でコップの中を空にすると、彼は静かにコーラだけを注いで席に戻って来る。
「不味くはなかった」
「てことは、気に入らなかったかー。うーん、アタシはこれ美味しいと思うけど」
「単体で飲んだ方が美味い」
そっかぁ、と残念そうに眉を下げて言いながら、恵美は「そうだ」と新しい話題に切り込んだ。
「リョーゴくんってさ、エレナといつからの付き合いなの?」
「藪から棒になんだ」
「だってさー、親友の男友達なわけじゃん? なんか、気になるなーって」
「そんなもんか? まぁいいけど」
良悟はそう言いながら、チラリとエレナとアイコンタクトを図った。エレナはそれを受けてパチン、とウィンクを返すだけで自分から口を開くことは無い。
「確か、6歳の時からだな。エレナのやつ、その時は日本語喋れなかったから、周りに溶け込めてなかったんだよ」
「えー!? エレナが? 誰とでも友達になれるくらい人懐っこいのに!」
「エヘヘっ、そんなに褒められると照れちゃうヨ」
ほにゃっ、と柔らかく表情を崩したエレナに、恵美も良悟も苦笑を漏らした。
「それでさ、どうやって友達になったわけ?」
「まぁ、最初は親同士の付き合いから。家がすぐ隣なんだよ」
「うっそ、アニメみたいじゃん! それでそれで?」
興味津々、といった様子で机から前のめりになって聞く恵美に、良悟は思わず椅子に深く座り直して「あー」と言葉を詰まらせる。瞳をキラキラさせてこちらを見つめてくる恵美。その顔の下に、ふと良悟は何かを見つけて――慌てて視線を上げた。
「わ、わかった。わかったから、座れ。ちゃんと座れ!」
「……? そんなに慌ててどったの?」
「――ッ! 自分の服の特徴くらい気にしろよっ」
良悟は吐き捨てるようにそう言うと、机に突っ伏して動かなくなってしまった。
未だに首をかしげる恵美は、何がどうなっているのか理解していない。
エレナはそんな様子を受けて、少しだけ立ち上がって恵美の方を見ると「あっ」と小さく声を上げた。
「え、なに? 何かわかったの?」
「リョーゴ、多分メグミの下着が見えちゃって照れてるみたいだネ」
「へっ?」
エレナの言葉に、恵美の視線は突っ伏した良悟から、徐々に下に下がっていき――その視線がほぼ真下に向いたところで、慌ててソファの上に腰を落ち着けた。
「あっ、ははは……」
やっちゃったー! と心の中で悲鳴をあげながら、両手で顔を覆った。
片やテーブルに突っ伏して視界を塞いでいる男子。
片や両手で顔を覆って視界を塞いでいる少女。
現実逃避した二人に、エレナは首をかしげてどうしようかと考えるが、とりあえずとばかりに良悟に声を掛けた。
「リョーゴ、もう見てもダイジョーブだヨ?」
「……あぁ。うん。――なんか、わりぃ」
「うっ、いや、アタシの不注意だから……」
良悟は顔を上げて、恵美は顔から手を降ろしてお互いの顔を見るが、恥ずかしさばかりが先行してつい視線を逸らしてしまう。そんな様子を見て「仲良しだネ」とエレナは相変わらずの笑顔を浮かべてひとり呟いた。
「お待たせいたしました。こちら――」
と、固まった雰囲気を打ち壊したのは、図ったかのように現れた店員さんであった。営業スマイルに明るい声音で料理名を呼びながら配膳していき、それが終わると「ご注文は以上でお揃いですか?」と確認のお決まり文句。
固まった雰囲気から抜け出すチャンス、と目を光らせて反射的に声を上げた。
「はい、大丈夫です」
「大丈夫でーす!」
ピキッ、とその場の空気が凍り付いた。凍り付いたと思っているのは声を上げた恵美と良悟の二人だけだが、この二人の時間だけは確かに止まった。
「はい。それでは、ごゆっくり」
そして時は――動き出さない。
店員さんがその場から去った後も、二人は料理を前に呆然とするだけだった。唯一、エレナが「わっ、美味しそうだネ!」と嬉しそうに声をあげながらドリアを食べるためのスプーンを手に取った。
「メグミー? リョーゴ? 食べないノ?」
「あっ、う、うん! 食べる、食べるよ!」
「あー……食べるか」
エレナに促されて、恵美も良悟も互いに食べ始めようと、食器に手を伸ばし――
――こつん、とお互いの指が食器を入れた深緑のケースの上でぶつかった。
咄嗟に反応したのは良悟だ。当たった瞬間、柔らかい指先を認識してすぐに手を引っ込めた。背中にだらだらと冷や汗をかきながら、恐る恐る恵美の方に視線を向けて。
「――ッ!」
顔を真っ赤にして、手を膝の上に戻し、俯いて目をキョロキョロと泳がせて焦っている恵美の姿が視界に入る。
「っ!」
恥ずかしがって俯いている美少女の姿に、今度こそ良悟は右手で顔を覆って歯を食いしばる。彼にとっては、不意打ちに次ぐ不意打ちだった。顔が真っ赤になるのを自覚しながら、ただ時が過ぎるのをジッと待ち続ける。
(えっ、手当たった!? なにこれラブコメ!? 漫画だってこんなベタな展開もうみないのにー! えっ、恥ずかしいっ! 何か知らないけどすっごい恥ずかしい!?)
対する恵美の心の中は混乱の真っただ中であった。いらない思考が、恥ずかしさを隠そうとして溢れるように浮かんでは消えていくが、それが余計に身体中に熱を走らせる。それは暴走機関車のような有様だった。
「二人ともすっかり仲良しだネ。でも――」
そんな中、エレナはスプーンを置くと、ギューッと恵美にいきなり抱き着いた。
「へっ!?」
「リョーゴにだって、メグミはあげないヨー?」
恵美とほぺったをピタッとくっ付けながらエレナは言った。
エレナの突然の行動に、恵美は少し取り乱しながら「もう、エレナってば急にビックリするじゃん」と言うと、エレナをギュっと抱きしめ返した。
むふー、と緩んだエレナの笑顔を見て、すっかり良悟の緊張も解れてしまった。今まで変に意識していたのが馬鹿らしくなってきた。
場の空気が、一気に弛緩していく。居心地が良くなっていき、肩の荷が下りる感覚を覚えた。知らず知らず、良悟は息を吐いて「しょうがないな」と言いたそうに柔らかい苦笑を浮かべた。
「おう、もってけもってけ。ついでに、スプーンもってけ」
言いながら、良悟はスプーンの真ん中を持って柄の方を向けて恵美に差し出した。
「サンキュ!」
恵美ももう気恥ずかしいという思いは吹き飛んでいた。エレナに抱き着いたまま片手でそれを受け取ると、花が咲いた様な、はつらつとした笑顔を浮かべてお礼を口にする。
ぽかん、と良悟は一瞬呆けたように固まった。しかし硬直もすぐにとけて、自分のスプーンを取ってから手を合わせた。
「いただきます」
誰よりも早く食前の挨拶をした良悟の言葉が合図となった。
恵美もエレナも手を合わせて、彼の後に続いて言葉を口にする。
『いただきまーす!』
楽しい食事会は、始まったばかりだった。
「あっ、そう言えば話が途中になっちゃったけどさ」
食事の最中、ドリンクサーバーから新しく、得体のしれない濃い茶色の液体の入ったコップを持って戻ってきたときのことだ。
恵美は席に座り直すと気が付いたように口にしたのだ。
「エレナとリョーゴくんって、どうやって友達になったの? 家が隣同士、ってのは聞いたんだけど」
「ん? あー、そこまでしか話してなかったっけ」
良悟は思い出したように少しだけ過去を掘り起こすように視線を上げて――すぐに考えるのをやめた。墓穴を掘って埋まりたくはなかった。
「家が隣同士だから、引っ越し初日からエレナの親がうちに挨拶に来たんだけど。親同士の話し合いの間に、子ども同士で遊んでなさい、って言われたんだっけ」
「ウンウン。懐かしいナー。どんな会話したか覚えてないけどネ」
「いや、会話が成立してないだろ、多分。とりあえず遊び道具……オセロとか人生のゲームとか取り出したけど、エレナが遊び方わからないし、言葉も通じないで遊べなかった」
「へー……あれ、じゃあどうやって遊んだの?」
「エレナが興味持ったのが、サッカーボールだった。庭先で一緒にボール蹴って遊んだよ」
「そっか。スポーツは万国共通だもんねー」
なるほどねー、と恵美は頷きながら「続きは?」と話を促した。
「で、それが始まり。俺はサッカー好きで、エレナもサッカー好き。家同士で付き合いもあって、両親互いにサッカー大好き。そんなのが重なって、お互いの家に気軽にお邪魔する仲になれば、まぁ自然と溶け込むもんだった」
「サッカー観るときはリョーゴの家で、ホームパーティーはワタシの家だネ。リョーゴの家のテレビは大きいからネ!」
「エレナの家は調理器具が充実してるからなぁ」
「はえー……お互いに家の事情とか知ってるんだ」
「かれこれ十年以上の付き合いだし」
話が一区切りした。そのタイミングで良悟は自分のコップに手を付けて喉を潤した。
「じゃあさ、学校の話は?」
「ん? そりゃ、日本語が不便で、うまく会話に溶け込めなかった。まぁでも、それもほんとに最初だけだけど」
「最初だけ?」
あぁ、と良悟はひとつ頷くと、はっきりとした声音で言った。
「サッカーだよ」
「へ?」
サッカーってなんで? と恵美の頭の中は混乱するが、すぐに良悟から補足が入る。
「学校の休み時間にサッカー誘って、それですぐに人気者になったよ。よく動くし、他の奴より上手いし、ガッツあるし。何より根っこが明るいだろ? だからきっかけさえあれば、すぐに溶け込めた」
「なんだー、変に心配しちゃったよー! エレナが長い間、溶け込めてないのかと思っちゃったよー!」
「いや、そんな本気で心配しなくても。過去の話だろ」
「それでも心配なものは心配だよ!」
本当に良かったよー! と目尻に涙をためて言う恵美の姿に、良悟は小さく喉を鳴らしてエレナの方を見た。
「いい友達だな」
「メグミはベストフレンドだからネ!」
「エレナ―!」
ガバッ、と感極まった様子で笑顔を咲かせて彼女はエレナに抱き着いた。エレナもそれに対してはしゃいだ様子で「メグミー!」とハグを返している。
「仲良しだな、ほんと」
そんな様子を見て、良悟の口元は自然とほころんでいく。それを自覚して、彼は中身がほとんど入っていないコップに手を付けて、口元で傾ける。当然、口の中には何も入ってこないが、今はそれでよかった。
「あっ、リョーゴがまた照れてるヨ!」
「えっ、そーなの? アタシにはわかんないけど」
「だってほら、中身のないコップを口に付けてるからネ!」
「いや、お前。お前ぇ……そこ、流せよ。指摘するなよ。照れ発見器かよ」
「ほんとに照れてるんだ―? にゃはは! リョーゴくんって可愛いところあるんだねー!」
「俺が可愛かったら、アイドルのお前たちは何だよ。まったく」
姦しい二人の遣り取りの合間にからかわれて。良悟はコップを置くと、呆れたように、作ったように目を据わらせて、テーブルに肘をついて掌に顎を乗せて仏頂面を表現する。しかし、その口元は未だに綻んだままだった。
「ワタシはエンジェル? プロデューサーも属性でそう分けてたよネ!」
「じゃ、アタシがフェアリー、なんちゃって!」
「ここぞとばかりに……」
ねー、と顔を合わせるエレナと恵美の様子を、良悟は静かに見守った。何か横やりを入れてはいけないような、ずっとこのまま見ていたいような、心地のよさを覚えていた。
「楽しいなら、よかった」
ぽつりと、消えてしまいそうなほど小さな呟きを、恵美は聞き逃さなかった。
思わず良悟の方に視線を向けると――
――父親のように遠目から優しく、それでいて心の底から幸せそうに微笑んでいる、男の子の笑顔があった。
小僧のように愛嬌がある癖に、親のように包容力のあるその表情に。
(――あっ)
恵美は大きく、その心臓を跳ねさせた。
時間が止まったかのように、彼女は彼のその表情を見つめ続けた。吸い込まれるような魅力が、見ているだけで心が満たされ、温かくなるような力がその顔にはあった。
大きく高鳴る心に、動かない視線。頭の中は真っ白に染まって、言葉なんて出てこない。ただ鮮烈に、その表情だけが目の前に映し出されている。
ずっと、ずっと。その顔を見つめる時間が続くかのように、無意識にそんな気になっていって――
「メグミ? ボーっとしてるヨ?」
親友の声と共に、瞬き一つ。時が動き出す。
「あ、あれっ?」
ジッと良悟の方を見てみるが、あの表情は夢だったかのように消えている。代わりに、眉をひそめて小首をかしげる彼の顔がある。
そして、今までの自分の行動が全て逆流するように頭の中にフラッシュバックされた途端、顔が爆発しそうなほどの熱をもった。
「あっ、にゃはは! な、なんでもない! なんでもないよ!? ただ、ほら。こんな時間が幸せだなぁ、ってさ!」
顔から熱を逃がすように、熱い息を早口にまくしたてて言葉にする。そうすれば熱が逃げると思っていたが、むしろ焦るばかりで熱がどんどん強くなっていく。
そんな、目が回りそうなほど焦っている恵美の様子を見て、良悟とエレナは互いに顔を見合わせて首をかしげた。
「なんか、今の言葉は臭くね?」
「役者さんみたいな言葉だネ!」
「わぁぁぁ!? なし! やっぱ今のなしぃぃぃ!」
とうとう顔を真っ赤にして手を顔の前でぶんぶんと振り回して悲鳴を上げる恵美に、二人は噴き出すように声を上げて笑うのであった。
「エレナ―、ちょっといい?」
「どうしたノ? メグミ」
帰り道。恵美はエレナと二人で話があるといい、良悟とは先に別れていた。
二人が今いるのは、小さな公園の中だ。夕焼けに染まり、ブランコに乗る自分の影を漠然と見ながら、恵美はエレナに話を切り出した。
「リョーゴくんってさ、彼女とかいたりするの?」
「リョーゴに? うーん、聞いたことないかナ。告白されたことなら、何回もあるみたいだヨ?」
「わー、やっぱりモテるんだねー」
思い出すのは、目に焼き付いてしまった男の子の笑顔だ。それを思い出す度に、恵美は頬に熱が帯びるのを感じていた。
「あのね、エレナ。よかったら、なんだけどさ」
思わずしり込みして、歯切れが悪くなる。このまま言うべきか、言わないべきか。分水嶺に立たされた恵美は、あと一歩が踏み出せないでいた。
本当にこの提案をしていいのだろうか。これがきっかけで、何か悪いことが起きるんじゃないか。胸の内に隠した方がいいのだろうか。
わけのわからない考えが、まとまりなく頭の中をグルグルと暴れまわる。それが余計に彼女にたたらを踏ませて。
恵美は一度、深呼吸をした。ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと吐き出して。
細い息と共に、自然と質問が滑り出た。
「エレナは、さ。リョーゴくんのこと、パートナーって思ってるんだっけ」
「うん! サッカーボールと一緒だヨ! ずっと一緒だったからネ!」
「彼氏じゃ、ないんだよね?」
「うん。メグミー、それこの前も聞いてきたネ」
「大切なことだから、確認したかった」
そっか、と恵美はもう一度、深く、深く息を吐き出した。太く、長く吐き出した後、彼女は勢いよく息を吸ってブランコから飛び降りた。
「エレナ、お願い!」
そしてエレナの方に振り返ると、パン、と手を合わせて頭を下げた。
「アタシとリョーゴくんが仲良くなるの、協力して!」
ひゅう、と春風が恵美の髪を持ち上げて揺らした。
恵美は頭を下げて、祈るように目を瞑っていた。
「……もちろん!」
エレナの言葉に、恵美はパッと顔を上げて「ほんとに!?」と声を上げた。それにエレナは笑顔で「うん」と頷いて見せた。
「やった! ありがとうエレナ―!」
「わっ、メグミ、くすぐったいヨ」
喜びのあまり恵美はブランコに座っているエレナに抱き着いた。エレナはそれを受け止めながら、にへら、と表情を緩めて「えいっ」とハグを返した。
所恵美は、分水嶺を超えて一方通行を迎えた。
それがどんな影響を及ぼすか、それはもう少し、先の話。
夕日は落ちていき、抱きしめ合う二人は徐々に影を落として、その姿を曖昧にしていくのであった。
この物語は、間違いなく純愛です
それだけはお伝えして、あとは結末を見届けていただければと思います
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※サブタイトルと最後の一部文章変更
一方通行の分水嶺ておま、どっちやねん。分かれてるの一方通行なの、っていう意味不明な言葉になってることに気付き急いで修正
今後このようなミスが無いように努めていきますので、どうかこれからもご愛読いただければ幸いです