ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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お待たせしましたぁ!!!!!


真の目的

 東京湾内。

 陸とそう遠くないところ。

 海面が揺れ、盛り上がり……巨大な刃のような背鰭が露出した。

 やがて、背鰭の持ち主の身体が浮かび上がり、水上へとその巨大な体躯を世界に見せつけた。

 黒い身体。 

 白い三列に備わった巨大な背鰭。

 その風格は正に怪獣王のそれ。

 遂に、現人類達の前に姿を現したゴジラだった。

 海から上陸し、工業地帯を突き進むゴジラ。

 その先は、五体の護国聖獣が荒れ狂い、ガイガンとレッドアローンがぶつかり合い、世界を分解せんとする錬金術師とシンフォギア装者達が争う戦場。

 

「おいあれ!!!」

 

 クリスがゴジラの姿を見つけ、翼と響に伝えた。

 今正にこちらに向かってくる黒い巨体。

 これ以上怪獣が増えてたまるかとクリスは愚痴を溢さずにはいられなかった。

 そして、怪獣王の登場に怪獣達が反応しないわけがない。

 まず魏怒羅が稲妻のような光線でゴジラを出迎えた。

 無秩序な光は周囲のビルを破壊しながらゴジラの胸に直撃する。

 だが、そんなもの痛くも痒くもないと言わんばかりにゴジラは直進する。

 ゴジラはこの中で最大の脅威であると認識した護国聖獣達はゴジラに向かっていく。

 闇魏羅珠、婆羅護吽、婆羅吽が駆ける。

 闇魏羅珠の冷気と婆羅護吽の熱気がぶつかり合い、暴風が巻き起こる。

 飛膜を広げ風に乗り、更に風を起こす婆羅吽。

 三位一体の攻撃が迫る。

 ミサイルのように放たれる氷柱。

 砲弾のように迫る火球。

 風となり吹き荒ぶ婆羅吽。

 

 氷柱はゴジラに命中すると爆ぜ、白い煙がゴジラを隠す。更に火球が都市を巻き込みながら炸裂する。

 黒い煙と赤い炎が一帯を覆う。

 そしてトドメの婆羅吽の特攻。

 風を纏い、突撃槍の如く黒煙の中のゴジラに向かう婆羅吽。

 だが……。

 直撃の寸前、ゴジラの腕が婆羅吽を受け止めた。

 衝撃で、アスファルトの欠片が舞う。

 受け止めた婆羅吽を闇魏羅珠、婆羅護吽に向かって投げ飛ばすゴジラ。

 どうすることも出来ず投げ飛ばされた婆羅吽は闇魏羅珠達と衝突し、破壊されたビルの下敷きとなった。

 

 続いて最珠羅が巨大な羽根を羽ばたかせ風圧でゴジラの進行を食い止める。

 鱗粉が舞い、金色の風のよう。

 その金色の風の中を黄金の竜が突き進む。

 風を背に受け勢いづいた魏怒羅がゴジラに体当たりを仕掛けた。

 風と魏怒羅の質量によって倒れたゴジラであったがその背は蒼白い光を放っていた。

 そして、放たれる放射熱線。

 魏怒羅の胸を焼き、押し返す熱線の威力は凄まじい。

 こうしてゴジラは体勢を立て直した。

 ほぼ同じタイミングでビルの下敷きとなっていた三体も復帰して、護国聖獣に囲まれるゴジラ。

 睨み合い……再び、ゴジラ達はぶつかり合った。

 

 

 

 

 

「見ろ、ゴジラだ。ゴジラが来たぞ」

 

 朧気な意識の中でそんな声を聞いた。

 ゴジラ……。

 霞む視界の中に見える、黒い物体。

 少しずつ、少しずつ焦点が合うとそれが確かに怪獣王であると気が付いた。

 

「やはり、やって来たか怪獣王」

 

 やはり……?

 

「どういう、ことだ……」

「我が創造主五千年の目的……。怪獣の絶滅!」

 

 我が、創造主……!

 エム・ゴ……!

 

「お前達怪獣という生き物はこの星の力……星命力によって生きている。かつては満ち満ちていた星命力も年月と共に減少し今ではほとんどの怪獣が地底へと潜り少ない星命力を吸い、休眠することで命を繋いでいる。だが、その星命力が失われたら、どうなる?」

 

 星命力……?

 星の力……。

 レイライン……!

 

「キャロルに与したのはそのためか……!」

「ご明察だなガイガン! 意外と察しが良くて上出来だ。一応言っておくが今の主にも感謝し忠誠を誓っている。暗い水底より私を引き上げてくれた」

 

 こいつ……!

 最初から狙いはそれだったのか!

 

「万象黙示録……。キャロルはこの世界を分解、解析しようとしている。それもこの星全てをだ! そんな錬金術の行使にどれだけのエネルギーが必要だと思う? 怪獣共が得る分など存在せんよ。そして今や満足に活動出来る怪獣はお前だけだ。私と同じエム・ゴ様により造られた存在だからだ。見ろ、あのゴジラの姿を。熱線の一発であの有り様だ。月の欠片を撃ち落とした時の消耗はまだ響いているらしい」

 

 確かに、ゴジラはどこか辛そうに戦っている。

 本調子ではなさそうだ……。

 

「そして残りの怪獣達も少ない力であれだけ暴れているのだ。いたずらに命を削っているに過ぎない。馬鹿な奴等だ。所詮は獣畜生だな」

 

 このままではこいつの思うつぼだ。

 なんとか、反撃の手立てを……。

 ッ!?

 

「反撃などさせるものか。お前はこのまま、このまま死ぬ。ようやく、ようやくだ。エム・ゴ様の理想を果たす時が来た。そして、私の優秀さの証明にも繋がる……」

 

 首を絞める力が増す。

 これ以上は、流石に……!

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」

 

 突然響いた声は敵の首魁キャロルのものだった。

 レッドアローンも現マスターの裂けるような声に反応せずにはいられなかった。

 一瞬、俺を掴み上げる手の力が弱まったのでその隙にレッドアローンを蹴りつけ拘束から逃れた。

 呼吸を整えつつ、レッドアローンと向かい合う。

 が、レッドアローンはキャロルの方に気を取られているようだった。

 闘いの最中に何を……と思わずにいられなかったがキャロルの奴は何を血迷ったか自身の城に向かって攻撃を放とうとしているではないか。

 レッドアローンは城をやらせまいと先程の防御装置を向かわせるが千載一遇。

 自分の城を自分で壊そうってんなら壊させてやるのが俺なりの敵への情けってことで邪魔させてもらうぜレッドアローンさんよぉ!

 背後から思い切りチェーンソーで頭から斬りつける。

 ド派手に火花が舞って切り裂かれたレッドアローンは防御装置の制御に失敗。

 キャロルの城が極太の光線に貫かれる。

 そして、内部から爆発の炎があがり、魔の城は真下にあった巨大なビルを押し潰しながら地に墜ちた。

 

「何を馬鹿なことを……ッ!」

「はっは~ん。やっぱり機械ってのは予測外のことに弱いなぁ! お前、自分で思ってるよりポンコツだぜ」

「貴様……半端者の分際でッ!」

 

 さて、怒らせて冷静さを欠かせるのは十八番ではあるが流石にヤバいな……。

 というかこいつロボットだよな、俺と違って。

 生身なんてないと思うがその割には感情的というかなんというか……。

 

「ぬぅん!!!」

 

 そんなこと考えている場合ではなかった。

 迫るナノメタルの鞭。

 チェーンソーでは腕が重いと鎌へと変化させて払うがどこまでも追跡してくるこいつはしつこくて仕方ない。

 鞭から逃れながら時折ギガリューム・クラスターで牽制するがまるで効き目はない。

 さて、こいつをどう攻略するか……。

 ゴジラさん達に援護……は無理だ。

 全員絶賛ダウン中の現在、戦えるのは俺一匹。

 ここはよく漫画である地味なダメージでも積もれば大ダメージ作戦でチマチマ削っていくか……。

 世の中一発逆転なんて存在しない。

 一発逆転を信じる輩はカルト宗教にハマるってばあちゃんも言ってたしな。

 ここは堅実に……。

 

「終わりだ」

 

 試合終了を告げるホイッスルの如き台詞が耳をつんざいた。

 終わり、とは。

 目の前にはリングロープ代わりの電流。

 そして、ここはリングの角である。

 堅実に攻めていたのは向こうの方だったか……!

 電流に触れるのはまずい。

 しかし鞭も迫っている。

 上空に逃げるか?

 いや、それも無理だ。

 上も電流のバリアーで囲われている。

 まさに……詰み、か……。

 身体中あちこちを貫かれた感触。

 あぁ、俺の、敗北、か……。

 

 

 

 敗者には天の剣がその首を断つというシステムが備わっていた。

 全身を貫かれたガイガンは断頭台に立ってしまった。

 曇天の空に浮かぶ剣が敗者を定めた。

 そして、剣が勢いよく放たれると同時に虹色の光がガイガンを照らして─────。

 

 

 

 

 

 マリア達は自身を犠牲にしてキャロルの計画を阻止した。

 それでも尚、世界を分解しようというキャロルの前に響、翼、クリスは歯が立たなかった。

 ただの一人で七十億の絶唱を凌駕するフォニックゲインの前に最早これまでと思わずにいられない。

 何度目か分からないアスファルトの感触。

 だが、どれだけ地面に伏せようと……。

 

「たとえ万策尽きたとしても……。一万と一つ目の手立てがきっと……」

 

 そうだ、諦めてはならない。

 立ち上がると共に響く、三つの絶唱(歌声)──────。

 

「マリアさん!!!」

 

 土煙が晴れ、現れるマリア、調、切歌。

 三人では届かなかった相手でも、六人ならば……。

 いや……。

 

「ピー助!」

 

 翼が地面に倒れ込んだピー助に向かって呼び掛ける。

 

「立てピー助! お前はこんなところで死ぬようなものではないでしょう! だから私も……私達もッ!」

 

 紡がれる、六重奏。

 それぞれ支え合い、響く歌声。

 優しく、美しい歌。

 

「オレを止められるなどと自惚れるなぁ!!!!」

 

 絶唱()絶唱()がぶつかり合う。

 その余波で嵐の如き風が吹き荒ぶ。

 

「S2CAヘキサコンバージョンッ!!!!!!」

 

 六人の絶唱による大技。

 そこへ更にキャロルの絶唱も織り込み、束ね、放つ。

 

「今度こそガングニールで束ねッ!」

「アガートラームで制御! 再配置するッ!」

 

 響が受け止め、束ね。

 マリアが制御し、六人に負荷を配置する。

 これは、フロンティア事変の奇跡を再び顕現させる────。

 

「まさか、オレのぶっぱなしたフォニックゲインを使って……」

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

「ジェネレイトッ!!!」

「エクスッ!ドラァァァァァァイブッ!!!!!!」

 

 虹色の嵐が曇天の空を突き破る。

 その光景に驚愕を隠せないキャロルは失意の表情を浮かべていた。

 そして嵐が収束していき、戦姫達が晴天を背に舞い降りた。

 

 

 

 

 

 その剣は確かにガイガンの首を落とすはずであった。

 それが、なぜ……。

 金属と金属のぶつかり合う甲高い音。

 

「なぜだ……。なぜ、立っているッ! ガイガンッ!?!?」

「さあな……ただ、歌が聞こえただけだ……!」




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