ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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翼さん誕生日記念
滑り込みです本当に申し訳ありません。
あとTwitterでも言ったんですが今日家庭教師のバイトで小6に歴史教えてたら都や九州を守る兵士と教科書に書いてあったのでこれは防人というんだよと教えました。
なにはともあれ祝え!!!
あ、今回の話は時系列とか特に関係ない感じでよろしく!


番外編 翼ちゃんの誕生日

 走る、走る、走る。

 本部の廊下を駆け回る。

 どうする…もう時間がない。

 なんとか急いで考えて、準備しないと…。

 

「どうしたのピー助。そんなに慌てて」

 

 マリアさん…。

 あと三日で翼ちゃんの誕生日なんだけどプレゼントなにをあげたらいいか迷ってるんだ。

 

「なるほど誕生日プレゼントねぇ…。ピー助があげられるものも限られるでしょうし…というか今までプレゼントしてたの!?」

 

 うむ!

 

「ペットからプレゼント貰うってあの子は…羨まげふんげふん!そうね…参考までにこれまで何をプレゼントしたの?」

 

 花と綺麗な石。

 

「…まあ、そうなるわよね」

 

 うーん…あ、前にマリアさんのグッズを買ってもらった時みたいに藤尭さんに頼んで…そういえば封印されたマリアさんグッズまだあそこに置いてるよな。

 封印解いたろ!

 

「何かいい案思い付いた?」

 

 プレゼントはまだ…。

 

「そうね…こういう時は皆に相談するのがいいかもしれない。一人よりも二人。二人よりも三人ってね」

 

 得意気にウインクするマリアさん。

 はえ~やっぱり頼りになるんすね~。

 

 

 

 

 というわけで休憩室。

 翼ちゃんを除く装者が全員集合。あと未来ちゃんも。円卓を囲んでの翼ちゃん誕生日パーティーの会議が執り行われていた。

 既に三回目の会議らしく…俺も参加させてくれればよかったのに。

 

「お前からバレちまうかもしんねえからギリギリまでお前にも隠してたんだよ」

 

 なるほど。

 確かにサプライズならバレてはまずい。

 

「で、ピー助から翼さんへの誕生日プレゼントデスか…」

 

「ピー助からプレゼントされたものなら翼さんはなんでも喜ぶと思うけど…」

 

 けど渡すほうも渡すほうでこう…出来る限りいいものを渡したいと思うのだ。

 それがプレゼントというものだと思うし…。

 

「いい心がけだねピー助。よしよし」

 

 おっふ!未来ちゃん頭だけじゃなく顎の下まで撫でられると…あっ///しょこ、らめぇ!

 

「…あ!いいこと思い付いた!」

 

 ぽんと手のひらを叩いた響ちゃん。

 一体なにを思い付いたのだろうか?

 あ、そこだけは!未来ちゃん!そこだけはダメぇ!

 

「とりあえずピー助君は翼さんの誕生日まで待ってて。大丈夫!わたしに任せて!最高のピー助君からのプレゼントを翼さんに渡そう!」

 

 …そう言ってくれるなら待つけど。一体なにをするつもりなんだろう?

 頼もしいような不安なような…。

 それに誕生日当日まで待てとは。

 うーん…。

 

 

 

 とりあえずあの後は解散となりその場は終了。

 そして当日。

 前日、響ちゃんからいつもより早めに出勤すること!と言い付けられたので集合場所である本部の食堂に行くと皆揃って…うわぁ!なんだこのデカイケーキは!

 

「あ!ピー助君来た!こっちこっち!準備するからおいで~!」

 

 響ちゃんに呼ばれて皆のところに行くと早速響ちゃんに抱き抱えられテーブルの上に乗せられた。

 

「それで、なにをするの?」

 

 マリアさんが俺の気持ちを代弁する。

 本当になにをする気なのか。

 

「ふふ~んまあ見てれば分かりますって」

 

 そう言いながら響ちゃんはリボンを取り出して俺に巻き付けて…。

 

「あとこれつけて…はい完成!」

 

 …なにこれ。

 胸元につけられたカードを開いてみると…。

 

「ハッピーバースデー!プレゼントはワ・タ・シ♥」

 

 読んだ瞬間、恐ろしい寒気が背筋を駆けた。

 文章にではない。この文章を読んだ翼ちゃんを想像してしまったからである。

 

「お~これはナイスアイデアデス!」

 

「でしょ~!昼間はピー助君がプレゼントとして翼さんの気を引いて、その間にケーキとパーティー会場の準備!ピー助君、大事な仕事だから頼んだよ!」

 

 てめえ!

 完全に俺を囮にする気だろ!

 響ちゃんは純真だと思ってたのに!

 

「こらピー助暴れないの。折角結んでもらったんだから。あ、あと私の誕生日もこれでよろしくね?」

 

 マリアさん…。

 そんなことより今は、かの邪智暴虐の立花響を打ち倒さんとして云々。

 そんなこんなで翼ちゃんがやって来る時間まで待たされることとなる。

 

 

 

 

 

「まったくピー助め。朝早くに起き出してすぐどこかに出かけて…」

 

 本部を歩き回る翼。もちろんピー助を探してである。今日はピー助共々非番。二人でゆっくり過ごすつもりだったのだがと少し腹立たし気にピー助を探し歩き、よくピー助がご飯をねだりに行く食堂へ向かう。

 食堂へ着いたが…暗い?

 閉まっているのか。

 それではピー助もいないだろうと別の場所を探そうと歩き出した瞬間、背後に気配を感じた。

 

「何奴ッ!」

 

 振り向くとそこにいたのは…。

 

「ピー…」

 

「ピー助?どうしたのその格好は?」

 

 身体中にリボンを巻かれたピー助がなんとも言えぬ顔で立っていた。一体誰がこんな悪戯をピー助に…?

 胸元のリボンにくくりつけられたカードを見つけた。てっきり値札のようなものかと思ったが…開いて見るとそこには、  

 

「ハッピーバースデー!プレゼントはワ・タ・シ♥」

 

 ハッピー、バースデー…。

 そうか、今日は私の誕生日か。

 プレゼントはピー助…。

 プレゼントはピー助!?

 いや、そもそもピー助は私のものなのだからプレゼントされるようなものではない。

 だが…悪くない。

 

「折角だ。今日は久しぶりにピー助を連れて歩くか」

 

「ピー」

 

 ピー助も賛成のようだ。

 ここ最近二人で何かするということはなかったのでちょうどいい。

 そうと決まれば早速出かけるとしよう。

 

 

 

「こちらファルコン1。対象はピー助と接触。二人で出かけるようだ」

 

『ファルコン2了解。引き続き二人のデートをバックアップするように以上』

 

『なあ、ファルコン1とか2とかなに言ってんだ?』

 

『こういうのは雰囲気だよ雰囲気!クリスちゃんは分かってないな~え、ちょー!?バカになんてしてな…』

 

 …今日の任務。私に与えられたのは翼とピー助のデートのバックアップ。

 ピー助は怪獣だから基本的に翼に連れ回されてしまうことになる。それを上手いこと影からコントロールするのが私、マリア・カデンツァヴナ・イヴの。いや、ファルコン1の使命だッ!<サングラスキラーン

 

 

 

 

 まずひとつ言っておく。

 俺は怪獣である。

 故に人前に出るのはあまりよろしくない。

 なので翼ちゃんと出かけるとなっても街に繰り出そうぜ!なんてことにはならない。

 というわけで絶賛、森林浴中である。

 旧二課が保有していた(現在はS.O.N.G.の管轄)土地である。

 前はここで奏ちゃんとランニングしたりしてたな…。

 昔の思い出に浸りながら春の陽気を羽で吸収する。

 あ~背中がぽかぽかするんじゃ~。

 

「気持ち良さそうね」

 

 気持ちいいんじゃ~。

 やっぱり俺は爬虫類に近いのかもしれない。体温上がると調子いいし。それはみんなそうか。

 ん…この音は。

 

「あ、ピー助!どこ行くの!」

 

 とてとてと駆け出して藪を抜けると…おおこんなところに川が。

 前は気がつかなかった。

 

「ピー助、勝手に走っちゃ駄目でしょう。こんなところに、川が…」

 

 あ、魚。

 獲ったろ!

 勢いよく飛び込んで…魚を咥えた。

 ぷはぁ!

 見て見て翼ちゃん!獲ったどー!

 

「ピー助が野生に帰ってる…」

 

 んご…っくん!

 生きた魚丸飲み結構いける。

 ガイガンは水棲恐竜のようって書かれてたからやっぱり水辺に棲んでたのかな。羽もあるから空も飛べる…あれ、結構ハイスペックじゃね。

 陸海空いけるとか餌に困らないやんけ!

 

「…久々に、生き生きしてるピー助を見た気がする」

 

 そうかな?

 

「やっぱり、自然が一番なのかもしれない…」

 

 いやいやそんな俺はこれでもシティハンター…じゃない。シティーボーイやで。

 …嘘ですごめんなさいド田舎出身です。久しぶりの自然に心が躍ってます。

 どうしよう、翼ちゃん気分が沈んじゃった…。

 折角の誕生日なのに…。

 こうなったら。

 薪を集め、鉤爪を打って火を起こして魚をもう一匹獲ってガイガン隠し道具の串を突き刺して塩振って…。

 例のBGM~♪

 上手に焼けました~!

 はい、どうぞ!

 

「私に?…ふふ、ありがとう。ピー助」

 

 どういたしまして。

 熱いから気をつけるのだ。

 

「ふーふー……うん、美味しいわ。今日一番のご馳走ね」

 

 そりゃあ俺が手塩にかけて作りましたから!(焼いただけ)

 うるせー!焼くというシンプルな調理法だからいいんだよ!

 素材の味ってやつだこのやろう!

 

「まったく、魚を焼くなんてどこで覚えたの?本当に不思議なんだから」

 

 いやいやそれほどでも。

 ちなみにサバイバル術はほぼDISC○VERYチャンネルで学びました。

 実践する日なんて来ないと思います。

 それよりも…翼ちゃんが笑ってくれた。

 よかったよかった。

 …よし。

 また川に入って…えい!

 

「こ、こらピー助!水をかけないの!…ふふ」

 

 ばしゃばしゃと水をかけて遊ぶ。

 水遊びなんて久しぶりだな~…ぐほぉ!?

 と、特大の波が俺を襲った。

 

「さっきの仕返しよ。えいっ」

 

 いやー!翼ちゃんそんなアグレッシブに外遊びなんてするタイプでしたっけ!? 

 裸足になってごふっ!川に入って水をかけてうわぁ!めちゃくちゃ水をかけられ…ごはぁ!?

 翼ちゃん、育て方が違えばめちゃくちゃアウトドア系のアグレッシブな子になってたと思う。

 

「こういうのも楽しいわね…」

 

 うーんこの。

 なにかに目覚めさせてしまったかもしれない。

 だがいいだろう。

 生まれも育ちもド田舎!山、川、海の大自然が遊び場だった俺が外遊びを教えてやろう!

 

 

 

 

 

 

 ひとしきり遊び終えて帰路につく。

 もう夕日が傾いて世界がオレンジ色に…。

 オレンジジュース飲みたくなってきた。

 誕生日会の会場に行けばあるか。

 というわけで行こう!

 というわけで井上ワープ。

 もう本部の食堂前の廊下です。

 

「どうしたんだピー助?食堂なんかに来て…ご飯なら家で…」

 

 食堂に入った瞬間、クラッカーの弾ける音が。

 

「翼さん!お誕生日おめでとうございまーす!!!!!」

 

 みんなでおめでとうと翼ちゃんの誕生日を祝う。

 おめでとう~ってなんだあのケーキ!?今朝よりでかくなってやがる!?天井ギリギリやんけ!どうやって切るつもりなんや!?

 

「あ…ありがとう、みんな。私は幸せ者だな」

 

 よかったよかった。

 翼ちゃん喜んでくれた。

 これからもあの笑顔を俺は守る。

 そして最後に…

 

 

 祝え!!!

 風鳴翼生誕祭2020!




オマケ

マリア「いいな…私もまたピー助とデートしたいな…」

次回マリア生誕祭2020!
………続く?

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