ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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ギリギリセーフ!
ヨシ!
それはそれとしてタイトルジオウっぽくない?


翼ちゃんの誕生日2021

 どっかの公園

 

 来る5月25日は全世界的に翼ちゃんの誕生日なわけだが……。

 全然なんにも思い付かねえ……!

 何かしてあげたいけれどもなんにも思い付かない。

 ケーキ食べてプレゼント渡すだけじゃ駄目なんだよ!

 ちくしょおー!(高音)

 あー去年は何したんだっけなぁ……。

 二人で遊びに行ったんだったぁ(白目)

 流石にネタ的にも被ってるから同じことは出来んぞ。

  

「けど誕生日なんてそんなもんだろ。やること自体は毎年変わらないし」

 

 クリスちゃんの言うとおりなんだけどさぁ……。

 漢ピー助、去年と同じことなどしないッ!

 去年を越えてこそ、シンの怪獣であるという証明になるというわけだよクリスちゃん。  

 シン・ガイガンだよクリスちゃん。

 

「それ、誕生日関係あるか?」

 

 ……これぐらいの心持ちで何事もやるのが漢という生き物。

 常に死と向き合い、今日という日を生きるのだ。

 

「なんなんだよそのキャラは……」

 

 迷走してる証拠です()

 けど立ち止まってるよりかはええよね?

 迷走とはいえ走ってるんだから!

 ゴールに向かって!

 

「ゴールに向かってるとは限らないだろ。迷走してんだから。ゴールとは真逆の方に走っててもおかしくねえな」

 

 うわぁぁぁぁ!!!!

 立ち止まってる方がマシやんけぇぇぇ!!!!

 

「ま、まあ何かしようってのはいい事だと思うから泣くなよ……」

 

 ぐすっ。

 ありがとうクリスちゃん。

 ところでクリスちゃんは翼ちゃんの誕生日はどうするか決めた?

 

「プレゼント贈るに決まってるだろ。あと、パーティーもするしな」

 

 プレゼントは決まった?

 

「……なあ、ピー助」

 

 なんでせう。

 訊ねるとクリスちゃんは深呼吸をしてから青空を眺めた。

 しばらく、遠くを見つめるクリスちゃん。

 やがて、何かを悟ったかのような表情を浮かべながら俺にこう言ったのだ。

 

「先輩、何が欲しいとか言ってたか?」

 

 ……その時のクリスちゃんの顔は少し大人びて見えた。

 駄目な方の、大人に。

 

 

 

 

 

 

 

 いやー久々にクリスちゃんがボケやってるところ見たわ。

 てかあれクリスちゃんっていうか中の人じゃね?

 漏れ出てね?

 てか俺の悩みは一切解決しなかったんだけど。

 翼ちゃんの誕生日どうしようか悩んでる奴等が二人で駄弁ってただけだったよあれ。なにあれ。コントやってんじゃないんだぞ。こちとら真剣にやってるんですぅ!

 しかしクリスちゃんのあの一言は俺にとってはヒントになってくれた。

 そう、探りを入れればいいのだ。

 そこで俺は誕生日プレゼント何がいいか探ってきてるわねもうピー助ったら可愛いんだから。みたいなことにならないようにしなければいけない。

 というわけで緒川さんに頼んで翼ちゃんの楽屋にプレゼントとして何が欲しいかを調査するため色々雑誌やらなにやらを置いたんだぜ。

 本番までに読んでくれると嬉しいんだぜ。

 

「読みますかね翼さん」

 

 別室にて緒川さんと待機し(隠し)カメラの映像を見て調査。

 果たして、翼ちゃんは何に興味を持つのか。

 それはマネージャーである緒川さんとしても気になるところのようだ。

 

『む。今日はやけに雑誌が多いな……』

 

 お!

 早速興味を示したぞ!

 手にとったのは……グルメ系か。

 

「翼さんが食べ物に興味を……」

 

 ふむ。

 確かに意外なところである。

 カメラを拡大。

 更に俺の視力もズームして見ると、翼ちゃんが眺めているページは肉ッ!

 肉だとぉ!?

 

「これは意外ですね……」

 

 確かにいが……。

 

『ピー助のご飯にしよう』

 

 意外ではなかったわ……。

 うん、なんか、読めてたこの展開。

 このあとも何かと理由をつけて(俺に)結局翼ちゃんの欲しいものがなんなのかは分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうなんなのあの娘全然欲しいものが分からないわ(もきゅもきゅ)

 もう全くなんにも分からない(もきゅもきゅ)

 俺の腹の足しにはなったんだけどー。

 そもそも、あの娘あれなのよ。

 俺のご飯の余り食ってるような感じだからさー(ごくり)

 爬虫類飼ってる人あるあるよね。

 小松菜を餌用に買って自分も食べる的な。

 爬虫類飼ってるといえば○ッ○ー結婚おめでとう!!!!!!!

 二人合わせて弦楽器だねはセンス有りすぎるんよ……。

 それはさておき。

 マジで決まらないんだけどどうしよう。

 ねえどうすればいい?

 ゼロは俺に何も言ってはくれないの。

 翼繋がりで力お貸ししてくれませんかね?

 

「無理です」(特別出演:ウイングゼロ)

  

 マジかぁ。

 ちょっとどうしようかなぁこれ。

 プレゼント選びは本当に毎年頭を悩ませるよなぁ。

 

「お困りのようねッ!!!」

 

 バーンッ!

 とまあ私なりの優しさで効果音をつけてあげましたがね、なんですかマリアさん。

 いまちょっと頭使ってるところなのでまた後にしてくれませんか。

 

「ぴ、ピー助の当たりが強い……。ってそれどころじゃないわ。翼の誕生日で悩んでるんでしょう。私にいい考えがあるわ」

 

 さいですか。

 

「直接聞けばいいのよ!」

 

 はあ。

 それじゃあプレゼントの意味ないやろ!

 

「違うわピー助! 必ずしもサプライズである必要はないのよ!」

 

 ……というと?

 

「直接聞くことによって、ちゃんと私の誕生日を祝ってくれるのねってなるのよ! 愛を感じるのよッ!!! ともすればこうよ!」

 

 以下、マリアさんの脳内映像です。

 

『そろそろ私の誕生日。だけどピー助は祝ってくれるだろうか……』

『おい、翼』(イケボ ちょっと強めの語気で 壁ドンもあると尚良い)

『ぴ、ピー助……』

『誕生日、何が欲しい?』(あごクイ しっかり相手の目を見ながら)

『ピー助……!』

 

 妄想終了。

 

「これで完璧よ!」

 

 どこがや!

 こんなん上手くいくか!

 

「まあ、大抵の場合は無理よ。ピー助が翼にやるからいけるのであって」

 

 貴女は翼ちゃんをなんだと思ってるんですか()

 

「ピー助狂い」

 

 ひどいなぁ……。

 けどそれを否定出来ないのもひどいなぁ……。

 

「まあ、毎回サプライズってのもあれだし、たまには翼本人の希望を聞いてみるのもありじゃないかしら?」

 

 うーむ……。

 一理あるなぁ。

 さっきまでの発言を全て棚に上げて言うけど一理あるわぁ。

 ちょっとその案採用するわ! 

 というわけでセンキュー!

 

 

 

 

 

 

「もうそろそろ6月ねピー助」

 

 せやなぁ。

 梅雨やで翼ちゃん。

 てかもう5月とは思えない暑さなんだけどなんなんですかねぇ……。

 

「もう夏って感じの気温だものね。ピー助も熱中症とか夏バテに気を付けること。いい?」

 

 へーい。

 

「ちゃんと返事しなさい」 

 

 ほーい。

 

「もう……。ふふっ」

 

 なんてことない家での会話である。

 しかしそのなんというかプレゼントについて直接聞き出すというのはなかなかに難しい。

 どう切り出せばいいんだろうか。

 やべーコミュ障には無理だってこれー!

 どうすればいいのさ!

 さらっとプレゼント何がいい?

 なんてそんなん彼氏とかじゃないと聞き出せないってマジで!

 俺は彼氏じゃないもん!

 ペットだもん!

 ペットがそんなさらっと、「誕生日プレゼント、何がいい?」とか聞いてきたらやべーだろそんなんマジで。

 一理あるとか言ったけどやっぱりあのポンコツマリアさんの意見採用するんじゃなかった。

 しかしもう翼ちゃんの誕生日まで時間がない。

 ……ええい、ここはポンコツとかそんなことは最早いいだろう。  

 今年一年ぐらいはペットから誕生日プレゼントの希望を聞かれたっていいだろう。

 というわけで……。

 

 つ、翼ちゃ~ん……。

 

「なんだ?」

 

 その、えーと、あー、そろそろ翼ちゃんの誕生日なわけですが……。  

 そのーお祝いの方をですね~……。

 

「お祝いしてくれるの? ありがとう、嬉しいわ」

 

 う、うん……。

 それで、あのプレゼント欲しいものとかなんかないかな~って……。

 

「プレゼント? ピー助から?」

 

 ええ、はい、そうなんです、はい……。

 

「ピー助から欲しいもの……」

  

 考え込む翼ちゃん。

 さて、どうなるのか……。

 なんでも叶えてあげる所存なので高価なものとかはもう盗……。いや、俺の給料(正確には給料ではない)から払って買うぜ!

 さあどうとでもなれ!

 

「……それじゃあ」

 

 それじゃあ?

 

「また去年みたいに二人で遊びましょう」

 

 え、そんなんでいいの?

 

「ええ。最近はまた少し忙しかったから、ね?」

 

 まあ、それでいいならそれで……。

 

「それじゃあ、デートプランはピー助に任せるから」

 

 ()

 

 こうして、ピー助は再び頭を悩ませることになる。

 デートプランを考えること、結局去年と変わらねえじゃねえかという葛藤、投稿がギリギリになったこと、本編が進んでいないこと、仕事が忙しいこと等々色々な事がピー助にのし掛かった。

 それでも……翼ちゃん、誕生日おめでとう。

 そう祝う気持ちだけは、確かなものであると……。

 

 

 

 

 

 誕生日当日。

 

「ピー助君どうしたのオシャレなんかしちゃって。翼さんの誕生日だから?」

  

 まあそうなんだけど。

 そうなんだけど。

 翼ちゃんがデートって言うからさぁ!!!

 なんかこうなっちゃったんだよ!(白スーツ、赤い薔薇の花束装備)

 

「うーんなんかこう前時代的」

「響……」

 

 やめろよそういうこと言うの!

 

「似合ってるデスよピー助!」

「可愛いよ。よしよし」

 

 うみゃうみゃ……。

 とにかく今から駅前で集合!

 それまでにみんなパーティー会場の準備を頼んだぞ!

 

「バッチコイデスよ!」

「パーティーまでのエスコート頼んだよピー助」

 

 見送る仲間達を背にして歩きだす。

 戦場へ。

 適合者の諸君は当然これを「せんじょう」ではなく「いくさば」と読んだことだろう。

 

「……ピー助」

 

 ……マリアさんか。

 

「決めてきなさい」

 

 キリッとした顔でそう告げる。

 ……なにを、決めればええんや……。

 

 

 

 

 

 

 

 どっかの駅前。

 

 俺は行き交う人々の注目の的になっていた。

 よせやい俺がナイスガイだからってそんなにじろじろ見るもんじゃないぜ。

 それはそれとして約束の時間まではあと十分か。

 これならよゆ……。

 

「あ、ピー助今来たのか」

 

 い つ か ら い た の。

 えっ、いきなり背後から現れたよこの人怖い。

 

「楽しみ過ぎて二時間前から待っていたんだ。さあ行こう」

 

 二時間前。

 いやそこはよくある重い女パターンでも一時間前だよその倍を行くのはまずいですよ!

 しかもライブかってぐらいおめかししてるし!

 絶対バレるよこれ!

 週刊誌にやられちゃうよ!

 うんたら砲撃たれちゃうよ!

 てか待って俺がエスコートするのに引っ張らないでくれー!!!

 

 

 

 

 

 ちょっとお高いレストランでランチをしようと思った。

 駄目だった。

 その前にショッピングでもしようと色々行ったけどそれも駄目だった。

 なんでや!

 ドレスコードはちゃんと守ってるやろ!

 

「いやその怪獣のお客様はちょっと……」

 

 ぐうの音も出なかった。

 他にも行こうと思ってたところはどこも駄目だった。

 理由は怪獣だから。

 ウルトラ怪獣散歩かよちくしょう。

 

 

 

 

 なんたかの見えるなんたか公園。 

 

 俺は項垂れていた。

 今日一日を振り返ったらもう項垂れることしか出来ないのだ。

 

「ピー助」

 

 なんですか翼ちゃん。

 俺はもう自分の不甲斐なさに自決も辞さない覚悟だよもう……。

 

「ピー助。今日はとっても楽しかったわ」

 

 楽しかったってそりゃそうだよ……ええぇぇぇ!?

 翼ちゃん!?

 どこが!?

 

「レストランも水族館も動物園も神社もお寺もプラネタリウムもショッピングも怪獣だからって言われて入れなかったけどピー助と一緒にいれただけで私は楽しかったわ。だから、ありがとう」

 

 翼ちゃん……。

 翼ちゃんがなんだかカッコよく見えるわ。

 マジ抱いてください。

 というか普段からそういう感じならいいんだけどな……。

 

「ピー助?」

 

 おっとハイライトは消さないでくれたまえ、心は硝子なんだこう見えて。

 

「とにかく今日はピー助と二人でいろんなところに行けて楽しかった」

 

 そう言っていただけると幸いです……。

 あ、それじゃあこの後はパーティー会場の方へご案内致しますので……。

 

「ちゃんとエスコート出来る?」

 

 しますよそりゃあ!

 やってやりますよ!

 めっちゃ勉強したもん!

 

「それじゃあ、お願いね」

 

 はいよ。

 ひとまず駅に……。

 いや、いいや。

 

「ピー助? ……きゃっ!」

 

 翼ちゃんをお姫様抱っこする。

 飛んで行こう。

 なんか、駅に行っても怪獣だからって理由で電車乗せてくれなさそうだし。

 

「ピ、ピー助? その……」

 

 なんで頬を赤くしてるんやこの人は()

 やめろよ勘違いするだろそういう免疫ねえんだからこちとらよぉ自慢じゃないけどよぉ()

 あーもういいわ飛ぶ。

 シュゥゥゥワッチ!

 このまま恥ずかしさを振り切って飛ぶぞ~。

 あ、夕日綺麗だな~。

 

「……これが、ピー助からのプレゼント?」

 

 え?

 

「この景色が、プレゼントなんでしょう?」

 

 この景色。

 沈む夕日を眺めながらのフライト……。

 いやそんなオシャレなものを俺が用意するとでも?

 しかし翼ちゃんはなんか乙女モードなのかてっきりこれがプレゼントなのかと思い込んでいる。

 それなら、まあ……。

 

 せ、せやで()

 美しい地球の夕日が俺からのプレゼントさ。

 メトロン星人も欲しがったものだぜ(それっぽいことを言おうとしてオタクの部分が出てきた)

 

「ピー助……」

 

 やめろぉそういう「うっとり」みたいな顔はよぉ。

 さっきも言ったけどマジ免疫ないんだから。

 これ人間だったらマジで気持ち悪い笑みを浮かべてるからね俺。

 ガイガンだからポーカーフェイスでいられるけれどもね。

 けどまあ……怪我の巧妙だけど、なかなかいいものをプレゼント出来たということで許してほしい。

 今年の反省を活かし、来年の翼ちゃんの誕生日をもっとちゃんとした形で祝おう。

 

 翼ちゃんの誕生日2022に続く────。




オマケ

翼「ピー助。なんだか今年はたくさん除湿剤をもらったのだけど何か知らない?」

ピ「シットリテイオーが今流行っててうちの翼ちゃんもしっとりしてるよねってことで各方面からプレゼントが……(いや~なにも知らないですわ~)」

翼「ピー助?」

ピ「やっべ()」

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