だからなんだ。
六月と言えば梅雨、紫陽花、カタツムリ、祝日がない、湿気、じめじめ、ウェット、そして…。
どうぶつの森で虫捕り、釣りが楽しくなってくる月だぜ、ふうぅぅぅぅぅ!!!!!!
早速背鰭が出ている…大物だ!
集中しろ、俺。
絶対に釣り上げるんだ。
釣り人としての矜持のために…。
獲物はエサをつつく。
今か、今かと俺の手は震えている。
もし、こいつがサメだったらポチャンと音が鳴ってからでは遅い。浮きが沈んだ時にはもうボタンを押さなくてはいけない。
くっ…それにしてもこいつ、焦らし過ぎじゃないか?いや、そうやって集中力を削るのが目的か。
だが、俺の集中力を見くびってもらっては困る。
人間だった時から集中力は人並み外れていたからな。一瞬でトランス状態に入れるから。
マジだから。
というわけでトランスしまーす。
…
……
………
…………
……………
………………
…………………
浮きが僅かに沈んだ瞬間を俺は見逃さなかった。
完璧なタイミングで俺はボタンを押し…
「ピー助遊ぼうデーーースッ!!!!!」抱きッ
!?!??!?!??!!!
ポチャン、スゥ-…
あああああああああああ!?!!?!!!
逃げられたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
「お!これは最近流行りの『防人れどうぶつの森』通称
…
「?どうしたデスかピー助?」
てんめぇ!!!!!
このデス娘がぁぁぁぁぁ!!!!!
確実に釣れた大物が逃げたじゃねえかこんちくしょう!
逃がした魚は大きいってのはマジな言葉だよ!
「こらこらそんなにアタシと遊ぶのが楽しみだからって興奮するじゃないデスよ~」
なんでこういう時に限って俺の思いは伝わんねえのかな。
都合の悪い時は完璧に読み取られるのにな、俺の思考。
「さあ今日は天気がいいデスから外で遊ぶデスよ」
…まあ、子供の遊び相手にはなってやるか。
あれ?今日は調ちゃんと一緒じゃないの?
「調とは現地集合デス」
なるほどなるほど。
…今のは通じるのか。
通じる基準が大体分かってきたぞ。
「それじゃあレッツゴーデェス!!!」
意気揚々とそう宣言した切歌ちゃんは俺を頭の上に乗せて…。
おいおいどうなってんだこの娘。
俺はティッピーじゃないんだぞ。
どこぞの喫茶店のウサギじゃないんだぞ。
俺はピー助だから。
ピーしかあってないから。
頭なんかに乗せたら俺が危な…意外とバランスが取れている!?
おっふ…なんだこの安定感。
なんだろう…こう…鳥が自分の巣でくつろぐ的な安心感がある。
あ~…しばらくここでぬくぬくっとしてよう…。
…
……
………
…………!?
気が付くと、俺は宙に浮いていた。
切歌ちゃんは!?
え!?なに!?どういうこと!?
「ピー助」
ひえっ…。
暗闇の中から現れたのは翼ちゃん…。
というか俺はいつの間にか翼ちゃんの手の中にいた。
切歌ちゃんは?切歌ちゃんはどうなったんだ!?
「暁がお前を頭に乗せていたからここで待ち伏せて、通り過ぎる寸前にお前を強奪したんだ。暁は取られたことも気付かないで走っていったぞ」
切歌ちゃん!?
普通気付くよね!?
いや、しかし…切歌ちゃんならあり得る…。
「それじゃあピー助、行きましょうか」
行くってどこへ…。
「着いてからのお楽しみよ」
ニコッと笑った翼ちゃん。
…特に邪悪さを感じないから多分大丈夫だろう。
切歌ちゃんには悪いけど今日は翼ちゃんについていこう。
緒川さんの運転する車に揺られることおよそ三十分。
この間ずっと翼ちゃんの膝の上で弄ばれていました。
やっぱり邪悪だった()
さてここは…どこかのスタジオのようだが。
これ普通に仕事やろ。
俺ついてきたらアカンやつ。
てか隠れなきゃ。
翼ちゃんのバッグの中に忍び込んで…これでよし。
あとはガイガン忍法火の鳥…じゃなくて普通に気配を消す。
…
……
………
…………
「ピー助さん。もういいですよ」
おっ、もういいんか。
それじゃあバッグの中から呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。
ふむ、控室か。
あれ、翼ちゃんは?
「もう衣装合わせに行ってます」
ほーんそっか。
それにしてもなんで俺を仕事に連れてきたんだろう?
「それはお楽しみということで」
お楽しみ…?
まさかモデルさん達に会わしてくれるとか…!
「えーこの子がピー助君~?かーわーいーいー!」
「かーわーうぃ~うぃ~」
ふへへ…ジュルリ。
翼ちゃんも優しいな~ようし早速俺も撮影現場にッ!
トオッ!
「駄目ですよ。控室から出たら」
ジャンプした瞬間、緒川さんにナイスキャッチされてしまった…。
えー駄目なん?
「駄目です」
Are you ready ?
「駄目です」
俺は出来てるよ…が好きやで。
って、ビルドの話がしたいんじゃないんや。
ふむ…まあいいや。
お楽しみということは待ってればそのお楽しみが来るということ。
大人しく防森でもしてるか…。
一時間後くらい。
緒川さんいまイシダイ何匹釣った?
「七匹釣りましたよ。…あ、いま八匹になりました」
むっ…二匹リードされてしまっている。
制限時間は…あと五分。
くっ…この間にイシダイを三匹かサメなどの大物を釣らなければ負けてしまう。
負けたら…どうってことはないけど悔しい。
悔しい。
悔しい。
だが、それでい…いぃぃぃぃ!!!!
背鰭発見!
ピー助!目標を釣り上げる!
アッアッアアッアアッアッアッアアッアアッアーーーー(川井節)
かかったッ!!!
うおぉぉぉぉぉ釣れぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
サメを 釣り上げちゃった!
ダイナマイトだね!!
…シャアッ!!!
見たか緒川さん!
これで俺の勝ちだ!
「はい。ピー助さんの勝利です」
勝った勝った~!
緒川さんに勝った~!(手加減されていた)
「そろそろ翼さんが来る頃だと…」
緒川さんが言いかけると翼ちゃんが近付いてくる気配が。
ドアの曇りガラスに翼ちゃんのシルエットが浮かぶ。
しかし、なかなかドアを開けて入ってこない。
一体どうしたというのか。
ちょっと待つと、業を煮やした…って感じでもないけど緒川さんがドアを開けてしまった。
するとそこにいたのは…。
「緒川さんッ!?何故勝手に開けたのですかッ!?」
「いや、この調子だと日が暮れてしまいそうでしたので。それに、仕事の時間もありますし」
…ウェディングドレス姿の翼ちゃんが、いた。
は~…。
「ピー助、その…似合ってるかしら…?」
…似合ってる、よ。
ほえ~…。
「私がこんなもの着れるとは思えないから、ピー助に見てほしかったのよ」
確かに結婚前に着たら婚期逃すって言うから気を付けるんや、で…。
ここで、ピー助は前世のあることを思い出してしまったッ!
それはピー助の中学、高校時代。
そういえば、自分が出会ってきた国語教師の9割は女性、独身、40代以上、そして…ペット(主に猫)を飼っていた…。
翼ちゃん、婚期逃す、ペット(俺)を飼っている…。
これは…まずいッ!
このままじゃおばさんになっても翼ちゃんはピー助、ピー助と独身のまま…。
家事も出来ない翼ちゃんでは…かなりまずいのでは。
昨今は結婚だけが人生じゃないというが、俺の考えだとやはりいい夫婦というのはとても幸せそうに見えるのでいい人と巡り会ってほしいのだ。
というわけでその呪われた装束を脱ぐんだッ!
まだ翼ちゃんが着るべきでないッ!
これを着るのは人生で一度でいいんだッ!
「ピー助!暴れたら駄目でしょう?どうしたの?」
翼ちゃん…それは…その衣装は駄目なんだ…。
緒川さんに取り押さえられて衣装破壊はならなかったが必ず…必ず翼ちゃんを結婚させるんや!
「見慣れない衣装だから興奮しちゃったのかもしれませんね」
「それはいつもの私が良いということでしょうか…?」
む…!
なんて簡単なことに気付かなかったんや!
緒川さんと翼ちゃんをくっつければええんや!
俺が来るまでは翼ちゃんの部屋片付けてたから家事も問題ないし、マネージャーとくっつくとか割りとよくある…のかな?
そこら辺あまり詳しくないのであれだが。
今日から俺は…おがつばを推していくッ!
決意したピー助。
しかし、この道はとても険しく、前途多難…どころではなかった。
最早、無理とかに近い道なのであった。
「切ちゃん、ピー助は?」
「ピー助なら頭に乗っけて…デェス!?いないデス!どこに行ったデスかピー助!?」
オマケ
「これは…」
等身大(ちっちゃい方)ピー助人形。
「手紙もある」
『改めて結婚おめでとうございますbyピー助』
「ふむ…それでこれがプレゼントか。…おお、なかなかいいモフリ具合」
気に入ったので仕事で息詰まった時とかにモフればいい気分転換になりそうだ。
…よし、モフろう。
花嫁シリーズはこれでとりあえず書いたぞって感じで。
本編とグレ編(最近お気に入り)書いてくぞ~!