ハッピーバースデー!!!
奏さん!!!
晴天の下、俺は広い草原にいた。
「ほらピー助、取ってこい!」
奏ちゃんがそう言ってフリスビーを投げた。
回転しながら飛ぶフリスビーに飛んで追い付いて口でキャッチ。奏ちゃんのところへと戻ってきて、フリスビーを返す。
「よしよし。ピー助も芸達者になったな!」
褒められて、頭を撫でられる。
ご褒美のカルパスを貰って食べる。
うん、美味しい。
「奏はもうピー助のトレーナーね」
「このままピー助と一緒に水族館で働くか~」
…俺、ペンギン達と一緒に飼育されるの?
寒そう(小並感)
まあ、寒いとこのペンギン達と一緒にされなきゃいいか。
…平和になったら、俺はどうなるんだろう?
本当に水族館なり動物園なりで展示されてパンダ扱いされてしまうのだろうか…。不安になってきた。
「そろそろ帰るか。ピー助、行くぞ」
奏ちゃんに抱えられて帰路につく。
今日の運動終わり!
昼飯が俺を待っている。
お昼のアジは絶品だった…。
やっぱり鮮度って大事だね、うんうん。
さて、午後は何をするか…。
奏ちゃんは検診だからいないし…翼ちゃんは居合いとかしてるだろうか?
前々から興味あったし俺もこの鉤爪で…。
斬ッ!!!
とかしたいよね、うん。
そうと決まれば、ほぼ翼ちゃん専用の和室へGO!
「ピー助、どこへ行くの?」
勢いよく走り出した途端に後ろから目当ての人物である翼ちゃんに声をかけられて驚きのあまりコケてしまった。
そんなギャグみたいな展開あるぅ?
「大丈夫?結構勢いよく転んだけど…。あ、床に傷が…」
だ、大丈夫…。
床の傷は気にしない…。ちょっと腹のノコギリで擦っちゃっただけだから…。
それより翼ちゃんは何してるの?
私服着て…どこかへお出かけ?
「ピー助にも関係あることだし、少し手伝ってもらいましょうか」
?
俺にも関係あること?
頭に疑問符を浮かべていると、是非も問わずに翼ちゃんは俺を持ち上げてどこかへと連行する。
前はおっかながって触ることも出来なかった子が成長したねぇ…。
そうして運ばれた先は特に使われていない部屋。
折角あるんだから使えよと思うけれど、この二課の基地はやけに広いしなにやらまだ拡張するとかなんとかで更に広くなるとか。
なんのためにそんなでかく、地下へ掘り進めようというのか…。これは地底に眠る怪獣が目覚めるフラグと見た。
それで俺をこんな部屋に連れてきて何の用?
まさか…奏ちゃんがいないのをいいことに乱暴する気なんでしょ!エロ同人みたいに!
「今日は奏の誕生日プレゼントを選ぼうと思って連れてきたのよ」
はえ~。
奏ちゃんの誕生日か~。
めでたいめでたい。
それで俺にも関係あるということか。よし、祝おう。
祝え!!!
「それは何のポーズ?」
もちろん、祝え!!!のポーズですよ、ン我が防人。
「ふふ、ピー助はいつも人間みたいな動きして…中に人が入ってるみたい」
ええ、はい、そうです。
中に人がいます()
夢を壊すようでごめんね!
あ、言葉通じないから分かんないか。
「それで、奏にあげるプレゼントなんだけど…二つにまで候補は絞ったんだけど、ピー助的にはどっちがいい?」
通信端末の画面を見せてきた翼ちゃん。
んー?どれどれ拝見してみましょ、う…。
俺は、翼ちゃんのことをシンフォギア装者であり、ツヴァイウイングとしても活動する以外は普通の女の子だと思っていた。
しかし、それは違ったのである。
あのねぇ…。
「?」
どこの世界に常在戦場なんて書かれた掛け軸か盆栽を誕生日プレゼントに貰って喜ぶ女子高生がいますか!!!
「ピ、ピー助?なにを怒って…」
翼ちゃんの誕生日プレゼント選びのセンスに怒ってんですよ!!!
まったく…はい!それ貸して!
「…?」
もう!言葉が通じないって不便!
勝手に取ってきます!
「あ!ピー助!」
ふむふむ…。
翼ちゃんらしく和風のものがメインのところか…。
普通にこれとかいいじゃん。
「ピッピッ」
「ん?これがいいの?」
そう。
「あ…今、なんとなくピー助がなに話してるか分かった気がする」
そんなことはどうでもいいから。
あ、あくまでもこれは参考だから。
翼ちゃん的に駄目なら他の選んでいいから。
まあ、掛け軸とか盆栽よりはマシではあると自負している。
「それじゃあこれはピー助からのプレゼントということにしましょう」
え…。
でも俺、金払えないし…。
「奏もピー助からプレゼント貰ったら嬉しいだろうからそれがいいわね。この分はあとでピー助からお触り自由ということで返してもらうことにして…」
お触り自由だなんてそんな///
うちはそういうお店じゃありませんよ///
なんて…。
「よし、それじゃあ私はこの二つの内からどちらを選ぶか決めないと…」
だーかーらー…。
掛け軸と盆栽は駄目だって言ってるでしょうがぁぁぁぁぁぁ!!!!!
誕生日当日。
二課食堂…貸し切り!
ハッピーバースデーディアー奏ちゃーん。
ハッピーバースデートゥーユー…。
わー!
おめでとう!!!
「あはは…やっぱり照れるな。こうやって祝われるって」
いやいや~幸せやね~。
俺なんて誕生日が四月初め頃だから、基本的に家族以外から祝われたことないんだ…。
学校の友達とかはケーキ買ってきて、顔面にケーキやられたりするのに…。
ちくせう!
…いかん。
折角の誕生日なんだから盛り上げていかないと…。
さあさあご覧あれ、ガイガンの妙技。回転ノコギリによるチキン切り分けを!
ウィィィィィィィィン、グチャゴチャメチャ→さっきまでチキンだったものが辺り一面に転がる。
「こら!飛び散ってるからやめろ!」
ふふふ…。
なんだか、楽しい…。
「ケーキの切り分けは私が…」
「翼は日本刀を持ち出すんじゃない!この切り裂きマニア達め…」
いよいよプレゼントを渡す瞬間…。
渡すこっちまでドキドキしてきた…。
「私からは浴衣。奏に似合うと思って…」
翼ちゃんのプレゼントはなんとか修正することが出来た。緒川さんや司令による必死の説得の元だったが…。
「おお!これ着て夏祭りとか行けるな!」
奏ちゃんはどっちかというと屋台の店主みたいだけどね。
「ピー助?」
ひぇ…。
じょ、冗談ですよ冗談…あはは…。
「ま、それも良さそうだけど」
うんうん。
ハチマキ巻いて焼きそばとか作ってそう。
「お前がそんなこと言うから焼きそば食いたくなってきたぞ」
「なんでナチュラルに会話してるの…?」
まあ、奏ちゃんとは相性がいいんや。
それにほら、飼い主だし。
「あたしはピー助の飼い主だからな!」
ほら、奏ちゃんもそう言ってる。
あ、それより俺からもプレゼントを…。
「ピー助もプレゼントくれるのか?」
いえーす。
喜んでくれるといいですが…。
「開けてもいいか?」
もちのろん。
「お、これは…髪飾りか?」
うむ。
花は多分、百合だと思うけど…。
あ、百合ってそういう意味じゃないから!
奏ちゃんと翼ちゃんのカプとかそういうことじゃないから!
単純にキレイだな~と思ったのがそれだっただけで…。
「ありがとな、ピー助」
さわさわと首を撫でられる。
あ~気持ちエエんじゃ~。
「折角だし、着てみるか」
え、早速?
そんなわけでお色直し…だと結婚式になってしまう。
衣装チェーンジ!!!
「どうだ?変なとこないか?」
ないっす。
色っぽいっす奏ちゃん。
「とっても似合ってるわ、奏」
「そうか?ならいいや。折角貰ったのに着る本人が似合ってなきゃ駄目だもんな!」
いやー奏ちゃん美人さんだから何着ても似合うって。
いいね~夏の風物詩って感じで。
「夏の風物詩、か…。そうだ!」
何かを思い立った奏ちゃんは食堂から出ていって…待つこと五分ほど。
「翼、ピー助。これやろうこれ!」
奏ちゃんが持ってきたのは花火だった。
なるほど、夏の風物詩か~。
浴衣も着てるしちょうどいい!
やろう!
「翼も着替えてさ!浴衣ぐらい持ってるだろ?」
「も、持ってるけどここには…」
ん?
天井から何か…。
『浴衣あります』
緒川さん…。
流石かよ!
これがジャパニーズニンジャの力!!!
「ピー」
「ん?どれどれ…ほら!浴衣あるってさ!」
「えぇ!?」
「ほら!着替えるぞ!あ、ピー助も来い!」
わっつ!?
なんでー!?
拙者は着替えるなんて出来ないでござるよ!
「いいからいいから!」
あとそれからそれから着替えを見ちゃうことになるからアカンですって!!!
アーーーー!!!!
二課所有地。
天気は晴れ。
星空が美しい。
けどそれよりも…。
「見ろ!二刀流だ!」
「奏、花火を振り回すのは…」
楽しそうにする二人が一番美しい。
いつまでも、こんな風に過ごせたらいいのに…。
ん…。
夢、か…。
「あ!ピー助君起きた!花火始まってるよ!」
「ふっふっふっ…今こそアタシの六刀流を見せる時デス!!!」
「危ない真似すんじゃねえ!」
「切ちゃん…すごい。私も…」
「調ッ!?あれは真似しちゃダメ!」
「あ、響。歯に青海苔ついてる」
「え!?嘘!?どれどれ!?」
「流しそうめん…」
「…ピー助」
翼ちゃん…。
あれ、俺…。
「最近忙しくて疲れが溜まってたんでしょう。ゆっくりしてていいのよ?」
…いや、そうはいかないよ。
今日は…奏ちゃんの誕生日で、花火をする日なんだから。
「そう、ね…。私も、あの時のこと思い出していたわ。あの頃に比べたら、随分と人数が増えたけど」
そうだね。
「翼さんとピー助君も来てくださ~い!今日誘った張本人なんですからー!」
「ああ、今行く!…さあ、行きましょうピー助」
うん。
奏ちゃん…。
君が繋いだ命は、こうしてたくさんの仲間達との絆を繋いだよ。
君が、いたから───。
改めまして…
奏さん誕生日おめでとうございます!!!