ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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 みなさん読んでくださってありがとうございます!

 今回ですが、オリジナル要素出ます。
 ついてこれる奴だけ…云々です。
 よろしくお願いします。



守るという誓い

 ネフシュタンの鎧…

 二年前、奪われた…聖遺物。

 奏を失った事件の原因と奏が残したガングニールのシンフォギア…

 時を経て、再び揃って現れるという巡り合わせ。

 運命の悪戯が私を嘲笑っているように感じざるを得ない。

 

 戦闘はネフシュタンの鎧を纏う少女に分があった。

 ネフシュタンの鎧だけでなく、それを纏う本人のポテンシャルも高い。

 いくら攻めてもいなされ、逆に相手の攻撃を食らう。

 さらにノイズを操る杖により、数も劣勢。

 ノイズを全て切り伏せ、再びネフシュタンの鎧の少女へと攻撃を再開する。

 斬りかかり、防御され、相手の攻撃をかわし距離を取りながら牽制のため短刀を投擲する。

 

「ちょせいッ!」

 

 しかし、全て弾かれてしまう。

 これは予測していたこと、だがここで相手は大技を放った。

 

「おらぁッ!」

 

 球状に束ねられたエネルギーの塊が迫る。

 それを私は刀で防御するが…

 この威力は…!

 

「うっ…あぁぁ!!!」

 

 爆発に巻き込まれ吹き飛ばされ、地面に伏せる。

 

「翼さん!」

 

 遠くに立花響の声が聞こえる…

 自分も窮地だというのに…

 

「とんだ出来損ない!」

 

 ネフシュタンの鎧の少女は私をそう罵った。

 実際その通りだろう…

 

「私は出来損ないだ。この身を一振りの剣と鍛えてきたはずなのに、あの日、無様に生き残ってしまった…出来損ないの剣として、恥を晒してきた…」

 

 刀を杖代わりにし、痛む体に鞭を打ち立ち上がる。

 もうネフシュタンの鎧を取り返すには…

 

「だが、それも今日までのこと…奪われたネフシュタンを取り戻すことで、この身の汚名をそそがせてもらう!」

 

「そうかい、脱がせるものなら脱がして…!なにっ!?」

 

 ようやく気づいたか…

 影縫い。

 奴の動きは止めた、ならあとは…

 

「くっ!こんなもんでアタシの動きを!…まさか、お前…」

 

 向こうも気がついたらしい。

 

「月が覗いているうちに、決着をつけましょう…」

 

「歌うのか!絶唱を!?」

 

 ええ…

 聞かせてあげましょう…防人の歌を…

 ピー助、ごめんなさい。

 もしかしたら…私は…

 夜空を仰ぎ見ると、大きな満月、そして、大きな流星…

 いや、あの流星はやけに大きい。

 月に被さると流星は方向を変えてこちらに迫ってきた。

 いや、あれは流星じゃない…

 あれは…

 

「ピー助ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 マッハ3で飛行する俺なら現場に急行なんて容易いこと。

 どんなピンチにも颯爽と駆けつけて翼ちゃん達を救出!

 …なんて、出来るかなぁ?

 そんな都合よく。

 いや、翼ちゃんを守ると誓ったじゃないか。

 弱気になるのはダメだ、翼ちゃんになにかあったら奏ちゃんに顔向け出来ない。

 なんて考えているうちに、なにか嫌なものが迫る予感がした。

 翼ちゃんの身になにかが起こりそうな、そんな予感。

 幸いにも翼ちゃんはもうすぐ近くにいるようだ。

 この機械の目で周囲を捜索する…いた!

 ノイズの群れ…響ちゃんは捕まってる、なんか白い変なのがいる、そして翼ちゃんは…ボロボロ。

 くそッ!あの白い奴か!?

 やってやる!

 俺が翼ちゃんを守るんだ!

 翼ちゃんの方向に最大加速で向かう。

 

「ピー助ッ!!!」

 

 名前を呼ばれた。

 これはもうやるしかない。

 今なら誰が相手でも勝てる。

 翼ちゃんを傷つける奴は─許さない。

 

『SYSTEM FINAL WARS』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そいつは月を背に舞い降りた。

 赤い目、鋭い鎌となった両腕、紺色の体、血に染まったような赤い翼…

 異形。

 この言葉が正に当てはまる。

 こいつは一体なんだ?

 フィーネが言っていた対ノイズ用の完全聖遺物とは見た目に共通する点は多いが、細部が異なる。

 なんなんだ一体…!?

 

 

 

 

 

 

「ピー助…なのか?」

 

 翼ちゃんを庇うように降り立った俺が最初に聞いた言葉がそれだった。

 うん、ピー助だけど…

 なんか違う?

 

「ずいぶんとすらっとして…」

 

 翼ちゃん、ここは戦場だよ?

 呆けてたら死ぬって翼ちゃんが言ってたんだよ?

 まあいい。

 ここからは翼ちゃんにはなにもさせない。

 ここからは俺が戦う。

 

「チッ…バケモンの相手はバケモンだ!」

 

 そういって白い奴は変な杖からノイズを召喚した。

 ノイズを召喚するなんて…!

 いいぜ、ノイズぐらい一瞬で殲滅してやる!

 

 目に力を充填し、拡散光線『ギガリューム・クラスター』を放つ。

 広範囲に放たれた光線は大量のノイズを炭へと変える。

 近づいてくるノイズは両腕の鎌『ブラッディ・トリガー』で切り裂く。

 いとも容易く両断されるノイズ達。

 ノイズ程度に今さら遅れを取るはずがないだろう。

 一つ、二つ…足下で炭の山となるノイズ達を数え、白い奴にも攻撃を加える。

 『ブラデッド・スライサー』胸部から放つ小型の丸ノコ。

 白い奴の首を狙い放たれたそれは射線上のノイズを切り裂きながら進んでいく。

 

「くッ…!」

 

 影縫いにより身動きの取れなかった白い奴はノイズに命じ短刀を外してもらい、間一髪でブラデッド・スライサーを回避する。

 だが遅い。

 一瞬で距離を詰め、鎌で斬りかかる。

 白い奴はムチで鎌をガードするが…鎌から鎖を射出し、相手の両腕に巻き付ける。

 これで身動きが取れなくなったな。

 こうなってしまえば、こちらの勝ちだ。

 胸の回転鋸『ブラデッド・カッター』を起動させ、白い奴に迫る。

 轟音響かせ、少しずつ処刑の時が近づく。

 

「や、やめろ…来るなぁ!!!」

 

 やめろ?

 そんな言葉、今さら口にするのか。

 翼ちゃんを傷つけておいて?

 お前の願いなんて、誰が聞くか…

 

「止まれピー助ッ!!!」

 

 その言葉に体が反応した。

 ブラデッド・カッターが停止し、体の動きも止まる。

 今の声は…翼ちゃん…

 

「止まるんだピー助!もういい!」

 

 あれ…俺…

 ああ…また俺は暴走して…

 

「チッ…なにが起こってるかわかんねえけど逃げるなら今しかねぇ!」

 

 鎖の拘束も弱まっていたのだろう、白い奴は鎖をふりほどきそのまま逃走してしまった。

 

「ピー助…ありがとう…お前のお陰で、私は…」

 

 そう言いながら翼ちゃんは倒れた。

 それを支えようとしたが…手を伸ばすことが出来なかった。

 この手は…この鎌は…

 

「無事か!?翼!?」

 

 司令も本部からやって来たらしい。

 早く、翼ちゃんを…

 あれ…なんか、目の前が真っ黒に…

 

「ピー助ッ!どうしたピー…」

 

 司令の声も遠くに…

 なって…

 そうして、俺の意識は闇に落ちた。


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