擬人化したら翼さんそっくりの巨乳になるんや…
怪獣…かつて、この地球を支配していた存在。
支配していたといっても政治を行ったりなどはしていない。
彼等は存在するだけで、他の生物から畏怖され、崇拝された。
その巨大さ、力、神の如き奇跡を起こすものも存在した。
そんな崇拝されている怪獣を人の手で改造するなどという恐れ知らずの者達がいたという。
彼等が作り上げたのは「ガイガン」と呼ばれる半機半獣の存在。
ノイズを倒し、人間を守る存在。
もとは猛禽とトカゲを合わせたような見た目をし、前肢が鉤爪で、黄金の鱗を持つ美しい怪獣だったという。
温和な性格で、人々から親しまれていた稀有な怪獣…
しかし、怪獣も命あるもの。
ガイガンはその命を終えた。
やがてその遺体は回収され、サイボーグ怪獣となる…
以上が私が知っている限りのガイガンについての知識。
ここから更に物語があるというが興味はない。
そうして、いま再び、ガイガンはその命を終えようとしている。
完全聖遺物という点は興味はあるが計画に必要なものではない。
ここで処分しておこう…
『Killter Ichaival tron』
「クリス、これはなんの真似?」
「知らない。体が勝手に動いてた…そいつは殺させない」
気づけば歌っていた。
嫌いなはずの歌を。
いたぶられるあいつを見ていたら…
あたしは…
「裏切るつもり?まあ、いいけど…カ・ディンギルも完成寸前、ネフシュタンも私の物…あなたはもう用済みよ」
「…ッ!あんたまで、あたしを物扱いするんだな…いいぜ、あたしとあんた、これからは敵同士。それでいいだろッ!」
アームドギアを展開し、ガトリングをぶっぱなす。
弾幕を張ってフィーネを怯ませ、その隙にペンギンを抱える。
元のサイズに戻ってて助かった…
あとはこの城を脱出するだけ、しかしフィーネはノイズを召喚し道を阻む。
「チッ!!!こんのぉ!!!」
とにかく撃って、撃って、撃ち続ける。
この狭い屋内ではダメだ。
外に出さえすれば…
「させるとでも?」
「があっ…!!!」
ネフシュタンのムチがあたしの背中を直撃した。
ノイズだけでなく、フィーネの相手までしなくちゃいけない…
けど…
「数が多いんだよッ!」
ノイズは次々と召喚される。
こうなったら…
『MEGA DETH PARTY』
腰のパーツから小型ミサイルを一斉に発射する。
この城ともおさらばだ、ぶっ壊しちまえ!
ミサイルはノイズを炭に変え、城の壁を破壊した。
ここから外に逃げる。
煙でフィーネのヤツもこっちが見えない今がチャンスだ。
壊れた壁から外へと飛び出し、とにかく逃げる。
とにかく今はこいつを助けるのが先だ。
「逃げた、か…まあいい。あの子も用済み、それにカ・ディンギルのことを知られたからには生かしてはおけない…」
ソロモンの杖からノイズを召喚し、クリス達を追うように命じる。
なんの後ろ楯もない彼女など、取るに足りない。
二課にさえ接触されなければいい。
あとは計画を完遂させることに集中すればいい…
あれ…ここはどこだ?
真っ白な空間にポツンと一人。
なんか最近変な空間にいることが多いな。
『ピー助…』
この声は…奏ちゃん!
『ピー助、お前がここに来るのはまだ早いよ。ほら、帰りな?お前を待ってる奴等がいるからさ…特に、泣き虫な翼が…』
奏ちゃん…
うん、分かった。
寂しいけど…今はまだ…
「ペンギン!目が覚めたのか!」
ん…クリスちゃん…
おはよう…
ここは…どこかの路地裏か…
そういえば、俺はあいつにやられて…
そこからの記憶はない。
「傷が治っていくから驚いたけど…もう大丈夫なのか?」
うーん…
傷は治ったけど…またエネルギー不足…
「まだ元気そうじゃないな…くそ、飛び出して来たからな…金も何も持ってない…」
クリスちゃんが気に病むことじゃない。
それより、あれから一体なにが…
「…なんだよその不思議そうな顔は。お前を助けたのは別に…別に…」
別に?
別になんだろう?
まあ、かわいいからいっか…
ッ!!!
ノイズが近づいてる!
クリスちゃん!ここから逃げないと…
「どうした急にピーピー鳴きだして。チッ…ノイズで追ってきやがったか…」
そういうクリスちゃんの顔はどこか悲しそうだった。
あの女…フィーネとかいうヤツは俺どころかクリスちゃんまで殺そうというのか。
「お前はここに隠れてろ。あたしがあいつら全部ぶっ飛ばしてやる!」
『Killter Ichaival tron』
この歌って…
まさかクリスちゃんもシンフォギアを!?
そうして赤いギアを纏ったクリスちゃんがノイズにガトリングを撃ちはじめた。
…なんかヘビーアームズみたい。
ミサイルまで撃ち出したし…
クリスちゃんマジガンダム。
「ノイズの反応を検知しました!…ッ!?微弱ですがピー助君の反応もあります!それに…この反応は…」
モニターに文字が出る。
それは、10年前紛失したとされる聖遺物…
「イチイバル…だとッ!?」
一体今になって何故現れたというのか。
そして、何故ピー助と共にいるのか…
「とにかく装者を…響君を向かわせるんだ!」
「既に連絡し、向かってもらっています!」
よし…
あとは、頼んだぞ響君…
震える手でドアをノックする。
この病室には…翼さんが入院している。
あれ以来、ギクシャクしたままの関係ではあるけど、緒川さんからお見舞いを頼まれ、やって来たはいいものの…
あー!緊張するー!!!
しかし、ここまで来たからには勇気を振り絞って…
「失礼しまぁす。翼さ…!?」
思わず手に持つカバンを落としてしまった…
だけど、この部屋の状況は…
「なにをしているの?」
後ろに翼さんがいた。
なにをしているの?なんて言ってる場合じゃない!
「翼さんッ!大丈夫ですか!?」
「入院患者に無事を聞くって、どういうこと?」
「だって、これは…!」
部屋を指差し、この部屋の惨状を翼さんに教える。
これは…明らかに何者かが侵入し部屋を物色した形跡!
さっき司令も米国がどうの…とか話していたから翼さんの身になにかあったんじゃ…と思ったけれど、翼さんは無事のようだ。
「あ…あぁ…」
翼さんの顔が妙に赤く、なんだか恥ずかしそうな顔をしている。
これは…
あーそういう…
「まさか翼さんが片付け苦手だなんて思ってもみなかったです。もう…完璧!みたいな」
脱ぎ捨てられた服を畳みながら、話しかける。
これでおしまいっと…
「私は完璧なんかじゃない。いつもは緒川さんとピー助がやってくれるから…」
「えぇっ!?男の人に…それどころかピー助君にまでッ!?」
「た、確かに考えてみれば色々問題ありそうだけど…」
「問題大有りですよッ!だってペットにお世話されてたらどっちがペットか分からないじゃないですか!!!」
「う、うるさいわね…飼い主は私よ!ピー助のお世話は…お風呂だって…自分で入ってる…ご飯だって…そういえばこの間、自分でアジを捌いて刺身に…なんなら私もそれを食べて…」
どんどん雲行きが怪しくなってくる。
私の中の翼さんがどんどん壊れていく。
けど、なんだかこっちの翼さんの方が親しみやすい。
「そんなことより、今はこんな状態だけど報告書は読ませてもらっているわ。私とピー助が抜けた穴をあなたがよく埋めているということもね…まったく、ピー助はどこに行ったのかしら…」
やっぱりピー助君のこと大事に思ってるんだなぁ…
けど、最近気になりはじめたんだけどピー助君って一体なんなんだろう?
ペンギン…じゃないよね?
何故かペンギンで通ってるけど、絶対にペンギンじゃない。
だってペンギンはあんなメカじゃないもん。
そんなことを考えていると通信端末が鳴った。
『響さん、ノイズが現れました』
「分かりました!すぐに…」
『反応があった場所には微弱ですがピー助君の反応と…10年前紛失した聖遺物、イチイバルの反応もあります。現場に急行してください!』
「ピー助君が!?すぐ行きます!」
イチ…なんとかいう聖遺物もあるとか言ってたけど…
とにかくピー助君を連れ帰らなくちゃ!
「ピー助が見つかったの!?」
「はい…だけど、反応が微弱だって…」
「!?…なら、私も!」
「怪我人なんですから寝ててください。大丈夫、ピー助君は私が連れて帰りますから」
「…ピー助のこと、頼むわ」
「はいッ!!!」
病室を出て、指定されたポイントに急ぐ。
絶対に…絶対にピー助君を…
「廊下は走らないッ!!!」
「は、はいぃ!!!!!すいませえええん!!!!!」
般若みたいなナース長に怒鳴られる。
なので、ギリギリ走るとは言わない程度に最高速度の早歩きで病院を抜ける。
…こんな調子で大丈夫かなぁ?