ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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お前今日何本目だよ…と思ったそこのあなた。
クリボッチなんです。
小説書くしかないんです。
そして、読者の皆様に渡せるプレゼントがこれしかないんです。
つまり、私はサンタだった…?(錯乱)


古の記憶、現代の戦い

 俺はどこにでもいる平凡な大学生だった。

 特にスポーツで全国大会に出たとか、テストで常に学年一位だとか、特別な才能があるとかそんなものはないからどこにでもいる平凡な大学生だろう。

 周りを見たって特別な人間なんていうのはいない。

 少し周囲と変わったところがあっても、結局それも普通と見なされるのだ。

 特別と見なされるには、並大抵の努力では届かないだろうし、天性の才というものが必要だろう。

 だが、自分を二十年やってきたけれどついに特別な才能なんてものは見当たらなかった。

 

「特別な存在に…なってみたかったな…」

 

 しかし、その願いは間違ったものだった。

 特別であるからには、普通ではいられない。

 普通でいられるということがどれほど幸せなことか。

 それを俺は、身を持って知ることとなる。

 

 

 

 その日、男は死んだ。

 いや、死んだとされた。

 事故で重症を負った彼は病院へと搬送されたが、病院から彼は消えてしまった。

 あのケガで病院から出られるはずがない。

 このことは伏せられ、その日、男は死んだのである。

 

 

 

 

 強い光で目を覚ました。

 な、なんなんだ…これは…

 よく、医療ドラマで見る手術室の照明のようだけど…

 起き上がろうとすると、なにかに遮られた。

 手足が拘束されている。

 今、俺は大の字で拘束されている…

 一体、どうして…

 

「目が覚めたようね…」 

 

 女の声がした。

 艶やかで、美しい声だがどこか眠たげというか気力がないというか…

 しかし、今の俺には関係なかった。

 

「お前は誰だ!?なんで俺を拘束して…」

 

「質問は一つにして頂戴。まあ、まず私はエム・ゴ…アヌンナキが一人にして改造執刀医…のなり損ない」

 

 エム・ゴ?

 アヌンナキ?

 改造執刀医?

 なり損ない?

 なにがなにやら…

 

「あ、言葉遣いには気をつけてね。私が死にかけのあなたを助けたんだから…」

 

 死にかけ?

 少しずつ記憶が甦る。

 そういえば、俺はトラックにひかれて…

 

「そう。あなたはそこでもう死ぬところだった。だけどそれを私がこの世界に呼び寄せて手術した」

 

「この、世界…?」

 

「ここはあなたがいた世界とは違うのよ。なんていったかしら、ギャラルホルンだったかなぁ。それであなたを観測し、こちらの世界へと連れ出した」

 

 なにを言っているんだ、こいつは。

 俺がいた世界とかこっちの世界だとか…

 俺を騙そうとして…

 だけど、さっき確実に事故にあったのは覚えている…

 もう頭の中がぐちゃぐちゃだ。

 

「理解出来ないという顔をしてるわね…じゃあ、証拠を見せてあげるわ」

 

 ここでようやく気づいたけど、この部屋はだいぶ広い。

 そして、照明がつくとそれは現れた。

 

「これは…ガイガン!?なんで!?」

 

「?なぜあなたがガイガンを知っているの?」

 

「そりゃだって映画で見たし…」

 

 俺はこの歳になっても特撮から卒業出来なかった特オタだし…

 実物のガイガンとかこんな状況じゃなきゃ大興奮してた。

 

「これは怪獣を殺し、この世界をより人間が住みやすくするための存在。まさかこの星にあんな存在がいるなんて思ってもみなかった…今まで様々な兵器が投入されたけど全て敗北している…忌々しいけど、怪獣に対抗するには怪獣の力を用いなければならなかった」

 

 それが俺と一体どう繋がるんだ。

 仮に奴が言っていることが本当だとして、俺は一体なぜこの世界に連れてこられたというのか。

 

「これを起動させるのにあるものが必要だったの。より私達のために忠実に働き、高度な思考をする…あれの脳も改造こそしたけど、それをより最適に動かすには…人間の脳が必要だったの」

 

 人間の…脳…

 ま、まさか…

 

「けど、誰でもいいわけでもなかった…今まで何人もの実験体を用いたけれど全部失敗。だから、ちゃんと適合する人の脳を探したのよ。並行世界まで観測して。そしたら…もう、気づいてる?気づいてるよねぇ!おめでとうッ!君はぁ!ガイガンの適合者に選ばれましたァッ!」 

 

 さっきとは人が変わったかのように生き生きとし始めたエム・ゴとかいう女。

 このままでは…俺は脳を…

 

「私がぁ…君を特別にしてあげる…君はぁ全ての怪獣を倒しッ!そして私はぁ!…怪獣を絶滅させた救世主としてぇ…崇め奉られるぅ…あの忌々しいシェム・ハではないッ!この私こそがッ!神に相応しい!」

 

 そして、メスを手に取り…

 

「私があなたを特別な存在に生まれ変わらせてあげるわぁ…」

 

「やめろ…やめろぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リディアンに到着すると、そこは既に瓦礫の山となっていた。

 あちこちから黒煙が上り、生命を感じさせない。

 

「未来…未来ーーー!!!」

 

 返事はない。

 そんな…

 いや、きっとどこかに逃げたんだ。

 二課に行けば地下深くだからそうそうノイズだって…

 

「あれは…櫻井女史ッ!なんで…」

 

「フフフ…アハハ!!!既に計画は完遂させた…全て…あなた達は私の手の平の上で踊らされていたに過ぎない!」

 

「なにを言ってるんですか了子さん…」

 

「櫻井了子は…既にいない…私は…」

 

 了子さんの体が光に包まれ、そこにいたのは…

 

「フィーネ…!」

 

 一体、なにが起こっているの?

 本当の了子さんは…?

 

「リインカーネーション…十二年前、アメノハバキリの起動実験にてアウフヴァッヘン波形に触れた櫻井了子は私の器となった…」

 

 そんな…

 今まで了子さんだと思って接していたのは…

 

「これから計画の最終段階へと移る。カ・ディンギルを起動させ月を穿つ!」

 

 月を穿つ…

 一体なぜ、そんなことを…

 

「月こそが…不和の象徴!バラルの呪詛の根源…統一言語を奪われた私は…あの方への言葉を封じられた…故に!私は月を穿つ!」

 

「そんなことをしたら地球は!?」

 

「天変地異が巻き起こるだろうな。そして、聖遺物の力を持つ私に従うようになる…」

 

「そんなことさせるとでも?」

 

「邪魔をされるのは推測済み。だからこそ私は駒を用意した」

 

「駒…だと…まさか!?」

 

「そう!そのまさかよ!…ガイガァァァン!起動ぉぉぉぉ!!!」

 

 その言葉を合図に、ピー助君が瓦礫の中から現れた。

 あの、姿の変わったまま…

 

「ガイガン、三人を足止めしなさい」

 

 そう命じ、フィーネはこの場を去った。

 

「そんな…ピー助君が…」

 

「…二人はフィーネを追って。私がピー助の相手をする」

 

「お前に出来んのかよ…そんなことが」

 

「えぇ…私は防人、この身は人類守護のためのもの…ピー助が人類を脅かすものの手先となるなら…私はピー助だろうと…斬る」

 

 そう言う翼さんの顔は悲しさをなんとか隠そうとして、隠しきれていなかった。

 

「こんな、残酷なこと…ダメですよ翼さん…二人が戦うなんて、あっちゃダメです…」

 

「二人に背負わせる訳にもいかないだろう。この残酷を」

 

「…フィーネを追うぞ」

 

「クリスちゃん!でも!」

 

「でもじゃない…そいつがやるって言っているんだ。やらせてやれ」

 

 そんな…

 そんなの…

 あんまりだよ…

 

「行け、立花。小日向達がまだ無事だとしてもこれからフィーネがやろうとしていることを止められなければ結局、小日向も…誰も救うことは出来ないのよ」

 

「翼さん…分かりました。絶対に了子さんを止めてみせます!」

 

「ええ…頼んだわよ」

 

 この場を翼さんに任せて、クリスちゃんと一緒にフィーネ…了子さんを追いかける。

 絶対に…絶対に止めてみせる!

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく、二人きりになれたわね。ピー助…」

 

 ピー助は動かない。

 じっと両腕の鎌を構えて、警戒している。

 

「訓練で戦うことはあれど、本気の戦いは初めて。楽しみましょう?…はあっ!」

 

 刀を構え、突撃する。

 ピー助は鎌やノコギリと近接戦闘用の武器に目が行きがちだが、この姿なら目から放つ拡散光線に胸から撃ち出す丸ノコギリがある。

 近距離から長距離までカバーしている。

 しかし、私にも遠距離の攻撃手段がないわけではない。

 

『蒼ノ一閃』

 

 青いエネルギーの刃がピー助に向かって飛ぶ。

 ピー助は…動かない。

 なぜ…

 その答えはすぐに分かった。

 

「…!」

 

 右腕の鎌で、蒼ノ一閃を切り裂き、打ち消した。

 …なるほど、さすがはピー助と言ったところ。

 これは、難しい戦いになりそうね…




オマケ 擬人化ガイガン

響「みんなでカラオケだー!」

ピ「ほえー」

翼「ピー助、ここは歌を歌う所よ」

響「ピー助君歌ってみよう!いつも翼さんの曲聞いてるでしょ?」

ピ「やってみる…」

ピ「ぼえ~」

響・翼「ピー助(君)は音痴だった…がくっ」

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