一期を見返したいので…
ようするに時間稼ぎです。
番外編 ガイガンの日常1
ガイガンの食事1
天羽奏という少女に拾われて三日たった。
現在、俺は檻…まあ、大きめのケージの中で過ごしている。
狭いところであまり動けないのが少しストレスだ。
それにやれ検査だ調査だと毎日ゆっくりしていられない。
今のところ体に影響ありそうな検査とかはしてないけど…
うーん、いつまで続くんだろう。
早いとこゆっくり過ごせるようになりたい。
「よう!ピー助!」
外を見ると天羽奏…奏ちゃんでいいか。
奏ちゃんと…あと、青い髪の女の子がいた。
「悪いなピー助。そんな狭いとこで…あたしはもっとデカイのないのかって言ったんだけどな」
なんということでしょう。
奏ちゃん、俺のためにどうやら上に掛け合ってくれていた。
こんなに嬉しいことはない…
「今あるのがこれだけだって言われちまってさ…けど、そろそろ検査は終わりらしいからもうそろそろの辛抱だ」
お、もうそろそろ終わりなのか。
それが知れただけでもよかったよかった。
「そんでさ…約束しただろ?魚食わせるって」
あー…確かそんな約束してたな。
ここに連れられて来てからすぐに調査だ!って捕まってそんな暇なかった。
「ほら!魚屋行って買ってきたんだ!なんでも水族館で飼われてるペンギンはアジ食ってるって聞いたからな。アジにしたぞ!」
袋一杯のアジを見せる奏ちゃん。
生…
なんか寄生虫とか菌とか怖い…
けど、食欲には勝てない。
これまで出されたのはなんかドッグフードみたいなやつで美味しくなかったのだ。
それよりはアジの方が…いい。
「勝手にあげて大丈夫?それにこの生物はペンギン…なの?やけに機械チックだけど…」
うんうん、俺はペンギンじゃないよ。
宇宙怪獣、もしくはサイボーグ怪獣のガイガンだよ。
「相変わらず固いなぁ翼は。いいだろエサくらい。腹空かせてるみたいだし」
そこの青髪の女の子は翼ちゃんというらしい。
まあ勝手に動物にエサあげるのはよろしくないらしいけど、正直今はかなりそのアジが欲しい。
あんな、なにが配合されてるか分からないものに比べたら何千倍もマシだ。
「ほらピー助。食べな?」
アジの尾鰭を掴んで、食べやすいように奏ちゃんは俺に与えてくれた。
それを奏ちゃんの手を噛まないように注意してアジを咥えた。
そして、飲み込む。
…あんまり意識してないけど、この時の動きはかなりペンギンのそれに近い…というかそれそのものだった。
それよりアジが旨い…
俺(ガイガン)って本当にペンギンなのかも…
「よしよしいい子だなぁピー助。ほら!翼もやってみろって!」
「え、いや、私は…」
「いいから、ほら!」
翼ちゃんに無理矢理アジを持たせ、翼ちゃんにも餌付けをさせようとする奏ちゃん。
「だ、大丈夫?か、噛んだりしてこない?」
「いつもの調子はどうしたんだよ?大丈夫、ピー助は噛んだりしないって」
翼ちゃんだいぶビビっておられる様子。
大丈夫ですよ~噛んだりしませんから。
ちなみにガイガンには小さいが、結構たくさん牙が生えている。
「私は防人…私は剣…大丈夫。こんなペンギンのような生き物に遅れをとる私ではない…さあ!来なさいっ!」
勢いよくアジを持った右手を突きだした翼ちゃん。
なにもそんなに意気込まなくても…
ひょいっと軽く咥えて、二匹目のアジを飲み込む。
「あっ…」
うん、旨い。
こんなにアジが美味しいと思ったのは人生ではじめてだ。
「か、奏!もう一回やらせて!」
「お、おう…いいけど」
再び、奏ちゃんから翼ちゃんへアジが手渡され、翼ちゃんは再び俺にアジを与える。
それを食べる。
「もう一回!」
「もう一度だけ…」
「最後に…」
「あとでなんでもするから…!」
「これがっ!最後の…アジだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
…………………
「もう何匹あげてんだ!見ろ!ピー助が腹膨らませて苦しそうだ!」
調子に乗りすぎて食べ過ぎた…
おえっ…
「ごめんなさい…つい…」
「ついじゃない!腹壊したらどうすんだ!?」
「いや、あげたら食べるピー助も…」
「動物なんだからエサあげたらあげるだけ食うに決まってるだろ!」
すいません、中身がいい歳の人なのに考えなしに食べてました。
「全く、翼は変なところ抜けてるんだから…今日のエサやりは終わり!」
翼ちゃんから、そんなぁと見た目からは思いもよらない情けない声が出た。
けど、終わりにしてもらえると助かる…
これ以上は…うぷっ…
もう…今日は…無理…
SAKIMORI語からまだ乙女残ってた頃の口調に直しました。(2019/12/11)