我が家に帰ってきた感ある()
というわけでちょっとリハビリのために番外編書きます。
そしたら本編進めるので……許してつかぁさい。
時系列的にはG編前でございます。
久々に防人語じゃない翼さん書いたぞ……
いやーまさか二課の本部が潜水艦になるなんて思ってもみなかったよね。
まあ、特に何もなければ停泊してるだけだからずっと海中で生活してるというわけでもないので楽でいいが。
やっぱり落ち着くのは我が家だよね~……なんて思って我が家に帰るとそこは魔窟。やっぱり清潔感溢れる新造されたばかりの潜水艦だよね~!
そしてそんな新しい潜水艦で浴びるシャワーは気持ちいいぃぃぃぃ!!!
「ピーーー!(フォーーー!)」
しゃかしゃかと高速な鉤爪で身体を洗い、テンションアップによって唸る回転ノコギリと嘴の隣から生えているクワガタの顎みたいなやつ。こいつなんなんだろうなぁ?生えてる意義は分からないけど、カッコいいからヨシ!
さて、身体が綺麗になったところで……。
行こうぜ!ナンパ!(ジード風に)
ジャンプして蛇口を捻ってシャワーを止める。
身震いして水を弾き飛ばしてシャワー室を出る……前に鏡をチェック。
うん、今日も決まっている(自画自賛)
いや、そうでも思わないとやってけないからねこの身体。
自己肯定感高めていかないと()
というわけでレッツゴー。
休憩室。
装者三人が揃い、最近追加された連携を高めるための訓練終わりの休息中であった。
「立花、雪音。聞いてほしいことがあるの」
いつも通りの真面目な顔を浮かべた翼が二人に話しかけた。
あまり自分から話を振るタイプの人間ではないので響もクリスも強い関心を持った。
「なんですか?」
そして、翼の口から出たのは……。
「……可愛げとは、どんなものかしら」
なんとも、予想外の言葉だった。
あの自身を剣と言い張る風鳴翼の口から可愛げなんて言葉が出ようとは。
「え」
「はあ?」
響もクリスも間の抜けた声を出してしまった。
すかさず口を閉じてなんでもないと誤魔化すが……。
風鳴翼は「可愛い」というよりも「美しい」タイプの女性である。
凛とした人となり。そして、アーティストとしてのストイックさなどがより彼女を美しいものとして際立たせている。本人の性格も相まってより「美しい人」と認識されるわけだが翼はまだ10代の少女。身の丈に合わない。歳相応の可愛げがないというのは一部の業界人からの評価であり、それを小耳に挟んでしまった。
今までは全く気にしていなかったのだが、少々、翼の心境に変化があった。
「最近、もっと私に可愛げがあればピー助がもっと懐くんじゃないかと思って聞いたのだけれど……」
(やっぱりピー助君絡みだったかぁ……)
内心、響は予想通りであってしまったことにこの残念美人はペット依存ではないかと勘繰ったが正にその通りである。
「やはり私には可愛げなんてもの似合わない。忘れてちょうだい」
可愛げを得ようとしたことを諦めた翼。
しかし、響の性分が諦めることを許さなかった。
困っている人を見過ごせないのは彼女の美徳であり、呪いの元凶である。
「そんなことはありません!翼さんは確かに大人びていてそれはそれで魅力ではありますがそこに可愛げがプラスされたら最強です!というわけで、可愛げを出すために……まずは、ドジっ子になってみましょう!」
「……ドジっ子?」
「そうです!完璧な人というイメージがある翼さんが可愛いミスをすればきっとギャップ萌え間違いなし!つまり可愛いということです!」
「なるほど……やってみましょう」
「やるのかよ……」
力説する響。
なるほどと聞き入る翼。
呆れるクリス。
三者三様の反応。
もう知らないとクリスは我関せずと決め込むが、彼女もまた人が良かった。ちらりちらりと目線を配り、事の推移を見守る。
が……。
「はいそれじゃあ自己紹介をドジっ子風にやってみましょう」
「じ、自己紹介を……?」
「はい!例えば、苦手なことを言ってみるとか噛んでみたりとか!」
「なるほど……」
それではと一度深呼吸をしてから、風鳴翼渾身のドジっ子風自己紹介が始まった。
「風鳴翼です。苦手なことは……か、片付けでしゅ!」
「……」
「……」
「やはり私には無理だ!こんな恥を晒すようなこと!」
頭を抱える翼。
やはり私では無理だと。
「だ、大丈夫ですよ翼さん!じゃあ次は別の案でいきましょう!」
「別の案……?」
「はい!きっと翼さんも納得の可愛さを手に入れられると思います!」
次こそは大丈夫と豪語する響。
果たして、その響の案とは……。
「ピー助君を参考にするんです!ピー助君は可愛いですからピー助の真似をすればいいんですよ!」
「ピー助を参考に……?」
「まあピー助は可愛いけどピー助の真似をするってのは……」
我関せずとしていたクリスが口を出した。
なんやかんやピー助好きなクリス。ピー助の名前が出て思わず口を出してしまったのだ。
「雪音の言う通りピー助の可愛さは私達などが、いや、全人類が到達することの出来ないほどの高みにある。真似をするなんてことは出来ない」
(うわぁ……)
(うんうんそうだな)
引く響。
肯定するクリス。
それぞれ、内心で思っていることは違ったが一先ず話を進めようとした矢先、件の人物。いや、怪獣がやって来た。
「あ、ほらピー助君来ましたよ!早速勉強してみましょ……えぇぇ!?」
「ピ?」
驚愕から叫び声が上がるがそれもそうだろう。
ピー助が女性職員を大量に引き連れてやって来たのだから。
「え、あの……皆さん何をして……」
「ピー助君が一人でパレードしてたから~」
「みんなで撮影してたのよ~」
「あ、あはは……そうなんですね……」
ひきつった笑みを浮かべる響。
まさか、ここまでとは思っていなかったのだ。
ようやく仮とはいえ新しい本部が出来て多少は落ち着いてきていた二課。
これまでの疲れを癒そうと二課のマスコット、ピー助のナンパもとい一人パレードは女性職員達の楽しみとなっていたのだ。
「あんたに似て人気者だな……って、おい。どうしたんだよ」
クリスはこの様子を見て飼い主である翼に話しかけたが返事がなかった。
無言でピー助の方へと向かって歩く翼の背中を見たクリスは思わず唾を飲み込んだ。
後にクリスはこの時のことをこう語る。
「あんまり剣のことは分からねえけど、剣気ってのか……?とにかく、オーラが見えた……」
ピー助の前でしゃがんだ翼はピー助を抱き抱えると女性職員達に向かって「そろそろ外に散歩の時間なので」と言って笑顔を浮かべた。
それなら仕方ないと女性職員達も自分達の持ち場へと戻っていくのを見届けて……翼はピー助を叱る。
「駄目でしょうピー助。みんな仕事中なんだから」
「ピー……」(はーい)
「全くしょうがないんだから……。次からは駄目よ?」
「ピ~」(けど歩いてるだけなのに向こうが勝手についてくるんや(嘘))
「ピー助?」
「ピ、ピー!」(は、はい!)
笑顔のはずなのに怖い翼。
毎度のことながらそれに怖気づくピー助である。
この二人の力関係がよく分かるというものだ。
さて、翼ちゃんに捕まったわけなのだが現在絶賛翼ちゃんから遊ばれている真っ最中である。
「せっせっせーのよいよいよい」
ちょこんと出した鉤爪の先を人差し指の腹にのせて、リズムに合わせて上下させる翼ちゃん。
俺の鉤爪こと正式名「ハンマーハンド」は意外と先が鋭くないので軽くのせるだけなら怪我はしないので大丈夫だろう。
「……可愛いですね」
「そうでしょう。ピー助はとっても可愛いのよ」
「ピー助君もですけど、翼さんもとっても可愛いですよ」
「え……えぇ!?私のどこが!?」
「いやー二人を見てたらなんとなく」
ニヤニヤと笑う響ちゃん。
そうだね、翼ちゃんは普通にしてたら可愛いんやで。
普段が残念なだけで。
「……いや、雪音の方が可愛いと思うぞ」
「……は?はあ!?」
なんとも言い返せない翼ちゃんは恥ずかしいからこの場を全て巻き込むことにしたらしい。
しかしクリスちゃんが可愛いのは事実である。
「口調は荒々しいが、私服はとても女の子らしいし靴も厚底で低身長を活かしてとても可愛らしいと思うぞ」
「確かに……いいよ~クリスちゃん可愛いよ~」
うんうん。
クリスちゃん可愛い~!
照れて顔を赤くしてるのも可愛いよ~。
おっぱい大きいのも可愛いよ~。
「お前ら……いい加減にしろッ!!!」
照れてる照れてる~……って、行っちゃった。
もう~照れ屋さんなんだから~。
クリスちゃんのツンデレ!
可愛いな~おい。
属性過多かよ。
低身長でファッションは女の子らしい似合うもの好きで着てるみたいだし厚底の靴だし、だけど本人は可愛いことを自覚してなくて口調が荒々しくてツンデレで……。
もう属性のデンドロビウムですわこれ。
クリスちゃん最強。
「ピー助」
ぴえっ!?
いや~翼ちゃんも充分可愛いんやで。
だけどそれを言葉にするのはなんともむず痒いと言いますかなんと言いますか……。
「別にいいのよピー助。私なんかよりピー助の方が何倍も可愛いのだから。……だから、いっぱい可愛いがってあげる」
ぴえぇ……!?
響ちゃん助けて!
「あーわたしもう一回トレーニングしてきますね!」
響ちゃーん!?
つ、翼ちゃんも、き、鍛えてきたら?
け、稽古は大事だよ?
「稽古も大事だけれど、休憩も大事よ。だから……ふふ」
や、やめ……。
こ、怖いよ……翼ちゃ……。
ま、待って!
その手の動きはなに!?
まっ……!
「ピーーー!!!(俺のそばに近寄るなぁ!!!)」
ふう……特に山なしオチなしですがガイガンの空気を取り戻したぞ……
これで……書ける。
多分。