言っちゃったなぁ…
言っちゃったよ…
遂に翼ちゃんとマリアさんのコラボライブ『Queens of music』当日。
響ちゃんとクリスちゃんはソロモンの杖を在日米軍の岩国基地への移送護衛任務で不在。
翼ちゃんはもちろんライブのため不在。
それで、俺は…
「ピー助君、ちょっとチクッとするからね~」
相も変わらず研究サンプルになってました。
くそ…ライブまでもう少しなのに…終わりそうにない…
いやぁ!!!
折角、緒川さんが特等席用意してくれてたのにぃ!
もう何回目の採血だよ…
何L取る気だよ…
献血でもこんな高頻度でたくさん採らないぞ!
動物関連の法律見直してこい!
実験動物の扱いのとことか!
しかし、これさえ頑張ればアレが届く…
それに隙間時間にはアレしてるし…
とにかく頑張らなくちゃ…!
ライブ会場の控室で食事を摂った私は勇気を振り絞って、風鳴翼の控室の前までやって来た。
あとはノックをして、部屋に入って、風鳴翼になんかそれっぽいこと言って、退室して…
こんなにやることがあるの!?(絶望)
先日のお茶会でとんでもないトラウマを植えつけられたマリアにとって、そのトラウマの根源である翼と会うということはかなり勇気のいることとなっていた。
これから、戦わなければならない相手だというのに…
お願いセレナ…私に勇気をちょうだい…
よし…
震える手で扉を叩く。
中から「はい」と男…風鳴翼のマネージャーの声だ。
「し、失礼します…」
震える声で返事をし、震える手でドアノブを回し、震える足で部屋に入って…
もうとにかく全身震えていた。
しかし、これ以上は震えていられない。
「邪魔するわよ。今日はよろしく、精々私の邪魔をしないように頑張ってちょうだい」
マリアもトップアーティスト。
ビビる心をうまく隠して、噛まずにちゃんと言い切った!
これには内心ガッツポーズ。
テンションも弱気から一気に超強気へと上昇したマリアであったが…
「一度幕が上がればそこは戦場。未熟な私を助けてくれるとありがたい」
「ふん…続きはステージで楽しみにしていてちょうだ…あっ…」
握手をしようと右手を差し出す翼を見て、一瞬は謎の勝利の確信を得たマリアだったが…
ここで先日のあの顔…絶唱顔をフラッシュバックしてしまったのであるッ!
思わぬ恐怖に支配されるマリアは体の震えに襲われた。
ちなみに翼の方はというと、先日の一件こそあれど今日はライブ当日。
世界で活躍する歌姫との共演ということでそれはそれ、これはこれの精神でとりあえず今日のところはなにも言わず、共に同じ舞台に立とうというつもりなのでまったく威圧もなにもしていないのである。
「そ、それじゃあ、また会いまひょう…」
マリアは思わず逃げ出した。
これまで観てきたホラー映画のお化けよりも怖い翼から。
「…噛んだな」
「ええ…噛みましたね」
控室に取り残された二人はそう呟いた。
ライブが始まる。
マリアはあれからとにかく美味しい物を食べて精神の回復をはかった。
これから行うのはただのライブではない。
世界への宣戦布告。
正義のために悪とならなければならない。
そして、そうなれば…風鳴翼達、シンフォギア装者達と戦わなければならない。
だから彼女を恐れるわけにはいかないのだ。
「見せてもらうわよ。戦場に冴える抜身のあなたを」
風鳴翼にいい放つ。
こんなところで怯えていてはダメだからだ。
そして始まるイントロ…
「不死鳥のフランメ」
彼女とのデュエット曲。
観客も最高の盛り上がりを見せる。
この曲が終わったら…
遂に始まる。
世界を相手に悪を為す戦いが。
曲が終わり、風鳴翼は観客に語りかける。
それが終わったら…
私の番だ。
「私の歌、全部世界中にくれてあげる!振り返らない、全力疾走だ。ついてこれる奴だけついてこいッ!」
会場は盛り上がる。
これから起きることも知らないで…
私は…この人達を…
「今日のライブに参加出来たことを感謝している。日本のトップアーティスト、風鳴翼とユニットを組んで歌えたことを」
「私も素晴らしいアーティストに巡り会えたことを光栄に思う」
風鳴翼から差し出された手を掴む。
トップアーティスト同士の握手に会場は沸く。
「私達は世界に伝えていかなきゃね。歌には力があるってことを」
「それは、世界を変えていける力だ」
そう、世界を変える力…
歌には…
それだけの力がある。
「そして、もう一つ」
次の瞬間、会場は観客達の悲鳴に包まれる。
観客席にノイズが現れる。
私達が指揮するノイズのため、勝手に人を襲うことはないが、観客達はパニックに陥る。
触れられれば炭へと変えられてしまう恐怖に怯える。
私は…この人達を…
傷つけることが出来るのか?
いや、世界を救うためには覚悟が必要だ…
「狼狽えるな…」
自分に言い聞かせる。
そして…
「狼狽えるなッ!」
観客達を静める。
始まってしまった…
私はこれから、多くの血に染まらなければならない…
ノイズの出現を確認したということでとにかく司令室に急いだ。
場所は…『Queens of music』の会場。
なんで、翼ちゃんのライブ会場に…
くそッ!
今すぐ行かないと…!
「待てピー助…会場の様子がおかしい…まだ見極めなければならない…」
そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!
大勢の人と…翼ちゃんが危ないんですよ!
「現在、Queens of musicの会場は世界中に中継されています。もしここでピー助君が出れば世界中にその存在を知られてしまいます」
そんなのもうどうでもいい!
旧本部近くの街じゃもう有名だしな!
「落ち着けピー助…お前が翼を大事に思っているのは分かるが…現在、響君とクリス君が向かっている。ここは二人に任せるんだ…」
くそ…なにもできないのか…
悔しさから奥歯を噛み締める…
次の瞬間、藤尭さんが驚愕の声をあげた。
「この波形パターン…まさかこれは!?」
画面に浮かぶその文字を見た瞬間、あまりの衝撃に頭が真っ白になった。
「ガングニール、だとッ!?」
「怖い娘ねぇ?この状況にあっても私に飛びかかる機を伺っているなんて」
私の考えをマリアは読んでいた。
この女は一体何を企んでいるというのか…
「ライブの模様は世界中に中継されているのよ。日本政府はシンフォギアについての概要は公開してもその装者については秘匿したままじゃなかったかしら?ねぇ、風鳴翼さん?」
こいつは、知っている。
私が装者であるということを。
ならば隠す意味などないだろう。
「甘く見ないでもらいたい。そうとでも言えば、私が鞘走ることを躊躇うとでも思ったか!」
「あなたのそういうところ嫌いじゃないわ。あなたのように誰もが誰かを守るために戦えたなら…世界は、もう少しまともだったかもしれないわ」
なん、だと…
このセリフ、それにその顔は…本当に悪人がする顔なのか?
「マリア・カデンツァヴナ・イヴ…貴様は一体…」
「そうね、そろそろ頃合いかしら…私達はノイズを操る力を持ってして!この星の全ての国家に要求する!」
世界を敵に回しての口上!?
これはまるで…
宣戦布告…
「そして…」
『Granzizel bilfen gungnir zizzl』
これは…聖詠!?
それに、いま…なんといった…
ガングニール…と、言ったのか…?
そして、現れるマリア・カデンツァヴナ・イヴ。
その姿は…
「黒い…ガングニール…」
黒い装甲に…黒のマント…
細部は違えど…正に、ガングニール…
「私は…私達はフィーネ。そう…終わりの名を持つものだッ!」
オマケ
マリア「あなたのそういうところ…嫌いじゃないわッ!」
マリア・泉・カデンツァヴナ・京水・イヴ
短いのでもう一本 ガイガンが主役のラブコメ
響編攻略
幼馴染みという設定なので元々好感度が高めでそう下がることもないので安心しがち…
しかし響編にはもれなく393が登場します。
響の親友の393は主人公と響が仲良くしていると少々嫉妬してしまうようです。
なので、響編攻略の鍵は響の好感度より393の好感度です。
393の好感度を上げることでこの人なら響を任せられると信頼を得ることが出来ます。
しかし、393の好感度を上げすぎると…
この先は君の目で確認してくれ!