長い前髪で素顔が見えないが素顔を見た者の話からリディアン三大美女の一角とされるほどの美女であるとのこと。
隠れ巨乳。
恨みを晴らしたい人からの依頼を受けて、仕事人みたいなことをしている。
口癖は人を呪わば穴二つ。
俺はヒーローという存在が好きだ。
幼い時からテレビで放送していた特撮は欠かさず見ていた。ウルトラマン、仮面ライダー、戦隊…他にも色々なヒーロー達がいた。
ずっと熱中して見ていた。
弱きを助け悪を挫く。
時に悩み、立ち止まりそうになっても彼等は諦めず戦い続けた。
世間一般では小さいうちに卒業するものという認識をされている特撮ではあったが俺はずっと見続けていた。
そんなことだからバカにされたりなんてこともした。
それでも好きなものは好きだと貫いていたらなにも言われなくなった。
そうしていると意外と同じ特撮を愛好する仲間というものはいるもので特撮仲間の友人も出来た。
人として大事なことも特撮から学んだ。
俺の人生で特撮というものはかなり重要なものなのだ。
ヒーローのようになりたいと思っていた。
だからこそ…俺はヒーローにはなれない。
ヒーローではない。
この少年達は助けた。しかし…本当のヒーローならば最初に襲撃してきた奴等だって助けようとしたはずだ。
ヒーローだって救えなかった命があることは知っている。
だけど、それは助けようとして助けられなかったものだ。
俺のように見殺しにはしていない。
それに、俺が本当に救いたかったのは…
「脱走したのか!?獣畜生の分際で!!!」
逃げろ。ここは戦場だ。
背後の少年達にそう告げる。
伝わらないだろうけど。
それに勝手に逃げるだろうし。
自転車を濃いで逃げ出した三人の野球少年を見てからウェルを睨み付ける。
ソロモンの杖を返してもらおうか…
「ひっ…く、来るなぁ!!?!?」
ノイズを呼び出すが今さらノイズだ。
全て切り裂きウェルに近づいていく。
鎌を突きだし、お前の首を今すぐにでも切り落とすことができるぞと脅迫する。
しかし、その鎌は黒い槍によって弾かれてしまった。
「…ピー助ごめんなさい。彼は計画のために必要なの…」
マリア…
あんたこんな奴と手を組んで何をしようってんだ!?
「やっぱりこんな獣はネフィリムのエサにするのがいいんですよ!脱走までしたのです!そうでしょうマリア!?」
くそ…逃げるのは容易い。
だけど…
このままでいいのか?
このまま彼女を…彼女達を放っておくのはいけないと思う。
まだここに残って見極めるべきだ。
彼女達がなにをしようとしているのか。
もし、彼女達がやろうとしていることが悪いことなら止めるし、正しいことなら手を取り合えるはずだ。
響ちゃんじゃないけど彼女達と争わずに済むなら…
「え…?」
小さくなってマリアの元へ歩み寄る。
ぴょんとジャンプしてマリアの胸に飛び込んで抱き抱えてもらう。
「ピー助…」
しょうがないから逃げ出しはしない。
あんた達のやろうとしていることを見極めるだけだ。
連れ戻される時に通りすぎ様にウェルに向かって叫ぶと情けない声を出して驚いていたのでいい気味だった。
こいつは絶対あとでぶっ飛ばす。
アジトの場所が知られてしまった以上ここに残ることなんて出来ない。
すぐに移動して次の拠点となるべき場所を探しているのだが…
私は自室でピー助と一緒にいた。
脱走の件から首輪ではなく檻に入れられているピー助はどこか不機嫌そうだった。
そんなピー助を檻から出して、抱きしめながらベッドに寝そべった。
「…ごめんねピー助。あなたがやったことは正しいことよ。普通ならあなたが正義でウェルが…私達が悪。だけど、これから私達が行うことはもっと多くの人々を救うこと。そのためには多少の犠牲は付き物だと、そう思ってた」
一人言だ。
だけど、この子は人の言葉を理解している節がある。
せめて…ピー助には聞いてもらいたい。
「だけどあの子達がノイズに襲われた時…私は…私は助けられなかった。ただ見ているだけ…だけど、あなたが来てくれた。あの子達を助けてくれた。ありがとうピー助。あなたは、私のヒーローよ…」
「あなたは、私のヒーローよ…」
そう言ってマリアは寝てしまった。
まったく…捕虜の俺を檻から出して寝るなんて。
そっと腕の中から脱け出して毛布をかけてあげて…
ふぅ…
俺はヒーローなんかじゃない。
だけど…
彼女のヒーローになれたならいいだろう。
正義の味方なんて大層なもんじゃない。
誰か一人でも救えたのなら…俺はそれでいい。
…翼ちゃん。
翼ちゃんは防人として人類を守るために戦っているけど…
俺は…
今は遠く離れてしまった翼ちゃんを思う。
絶対に帰るから…
響と翼さんの三人で板場さんとクリスのステージを見ていてら敵だという女の子が現れて響達は追いかけていってしまった。
一人になり、私はあることが気にかかっていた。
さっき呪い同好会の部長さんに占いで言われたこと…
全体的に今年はいいことがあると言ってくれたのだけど一つだけ…人間関係という点のみ近く悪いことが起こると言われた。
『大事なお友達に良くないことが起こるわ…その時にあなたはどうするか…』
大事な友達…響に何か悪いことが起こるかもしれない…
「ん?どうしたの未来?」
「な、なんでもないよ!ほら行こう!」
所詮は占い…そうは思うんだけど…
私はずっと気にかかってしょうがなかった。
マリアが寝てしまったので一人で檻におとなしく入っていた。
はりつめていた緊張の糸が弛んだようで穏やかに眠っている。
時折、寝言でセレナという名前が出ていたけど…
まあ俺には関係な…
『こんばんはピー助さん』
突然、女の子が壁をすり抜けて現れた。
すり抜け…すり抜け…
なんだ幽霊か。
こんばんはやでー。
『驚かないんですね…』
奏ちゃんのおかげでだいぶ幽霊に対しての恐怖心というものが無くなっていた。
貞子みたいなの来たら別だけど…
『そうですか…それじゃあ私には時間がないので手短に。姉さんをよろしくお願いします。姉さんはとてもじゃないけど悪役なんて出来ない人だから…』
やっぱりそうか。
そうだと思ってたよ。
『よかった。不思議な生き物だけど姉さんのことよく見てるのね…それじゃあ私はそろそろいきますね』
そっか…
あ、折角だから君の名前を教えて?
『私はセレナ…姉さんをよろしくねピー助さん…』
そういって女の子…セレナちゃんは消えた。
さっきの寝言は妹であるセレナちゃんとの思い出でも夢見てたのだろうか。
けどセレナちゃんは幽霊だから故人だということ。
きっと仲のいい姉妹だったんだろう。
そうじゃないとわざわざ姉をお願いなんて言わないだろうし。
俺にも姉がいたけど死んだとしても(人間としては死んだようなものだけど)多分姉を頼みますなんて言わないし…
なんて考えていると今度は普通に扉が開いて誰か…ウェルが入ってきた。
こいつ女性の部屋にノックもなしとは…
ちょっと待て、なんでここでソロモンの杖を手にしている?
「へんちくりん…これは脅迫です。あなたが取引に応じなければマリア・カデンツァヴナ・イヴを殺します。シンフォギアを持っていたとしても寝入りをノイズに襲われれば…」
こいつ…!
だが待て、マリアはお前達にとって重要な人物のはず。
ここで殺すなんてこと…出来るわけがない。
「いえ、私は殺しますよ。私にとって重要なのはネフィリムですから」
こいつマジかよ…
この変態もやし野郎め…!
「で?どうするんですか?私の言うことを聞きますか?」
…首を縦に振る。
ブラフかもしれないがこいつはやりかねない。
「まあ、やることはただあなたの血液を採取したいってだけですが」
血液?
ここに来てまで血を抜かれるとか…
「流石にあなたをエサにするのは私が殺されかねないのでね…血液なら何も言われないでしょうし」
そう言いながら注射器を取り出し俺の腕に突き刺し血を抜き取るウェル。
血をネフィリムのエサに…
腹はふくれないだろうな。
それにしても…特撮だと怪獣の細胞やらなにやらを取り込むとろくなことにならない。
なにも起こらないといいが…
いや、それはあまりにも楽観的過ぎる。
もし、俺の血によってネフィリムが強化なり暴走したりなんてした時には俺は…
死んだとしてもネフィリムを殺さなければならない。
オマケ 擬人化ガイガンG
ピ「敵に捕まってしまった…くっ殺せ…」
マリア「あなた可愛いわねぇ…」
ピ「な!なにを!?」
マリア「なにをしていると思う?」
ピ「くっ…屈するわけには…」
部屋の外
切歌「こ、この部屋で一体なにが…!?」