ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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昨日から30件近く増えてるけど一体なにが…?


絶唱は三度響く

 切歌はダウンさせた。

 残る装者は調のみ…

 最優先はウェルの持つソロモンの杖。

 あれを回収出来れば…

 

「や、やらせないデス…」

 

 鎌を杖になんとか立ち上がる切歌。

 しかし立つのがやっとのようでこれ以上の戦闘は…

 

「切ちゃんッ!!!」

 

 調が無数の小型丸ノコを放つ。

 空へ飛ぶことで回避するが…

 二人に態勢を立て直す時間を与えてしまった。

 だが形成が有利なのは俺の方だ。

 この勢いで二人を突破してウェルを…

 

「ピー助君…戦っちゃダメだよ」

 

 響ちゃんまだここに…

 早くシンフォギアを解除するんだ!

 今の響ちゃんの体は…

 響ちゃんは平気なフリをしているけど息があがっている。

 見た感じ力が溢れているようだ。

 このまま放っておくわけには…

 

「何しやがるデスかッ!!!」

 

 響ちゃんの説得に夢中になってちょっと忘れていたが奴さん達の方で何か起きたようだ。

 切歌と調が首をおさえてウェルの野郎を睨みつけているようだが…

 ウェルが両手に持っているあれは…

 まさか…LiNKER!?

 あの子達は…奏ちゃんと同じ…

 

「YOU達歌っちゃえよ!!!適合係数がてっぺんに届くほどのギアからのバックファイアを軽減できることは過去の臨床データが実証済み!だったらLiNKERぶっこんだばかりの今なら絶唱歌い放題のやりたい放題!」

 

 絶唱…LiNKERを使って適合係数を引き上げているあの子達が…

 それは…それは…

 

「やろう切ちゃん…私達の使命はドクターを連れ帰ること…」

 

「やらいでか…デェスッ!!!」

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl』

 

 二人の絶唱が響く…

 

「ダメだよ…LiNKER頼りの絶唱は装者の命をボロボロにしてしまうんだ!!!」

 

 絶唱により二人のギアは変わる。

 それぞれのギアの本気…

 調のギアは全身の刃が展開し、切歌のギアは鎌が巨大化している。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl』

 

 響ちゃんまで絶唱を歌いだした。

 今の響ちゃんが絶唱なんて使ったらどうなるか分からない。

 恐らくやろうとしていることはS2CAの応用。

 二人のエネルギーを吸い上げようとしているんだ。

 三人とも奏ちゃんのように命を削ってまで戦おうとして…

 三人に奏ちゃんの姿が重なる。

 もし、二年前に俺があの現場にいたなら…

 奏ちゃんを助けることが出来たなら…

 やらせない…やらせるかよッ!!!!

 FWの姿を解き、金色の翼を広げる。

 

「エネルギーレベルが絶唱発動まで高まらない…」

 

「減圧…?」

 

「ピー助君!?」

 

 調と切歌のギアは絶唱発動前に戻った。

 響ちゃんのギアから発するエネルギーも…調と切歌のエネルギーも吸収した…

 やってみるもんだな…今まで吸収出来るのは光だけかと思っていたけど…

 まさか絶唱のエネルギーまで吸収出来るとは…

 ちっとばかし胃もたれって感じだ…

 

「ピー助君!熱っ…」

 

 翼を広げて放熱しているけど流石にこの熱は逃げていかないか…

 どこかに水場でもあれば…

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

 この…歌声は…

 翼ちゃ…ごぼぼぼぼぼ!!!!

 ぷはー!

 翼ちゃんの歌声が聞こえたと思ったら空から大量の水が…

 おかげでクールダウンできたけど…

 

「ピー助!立花!」

 

「翼さん…」

 

「立花…もう戦うなと言ったはず。それが何故戦場にいる!?」

 

「ごめんなさい…わたし、皆を守りたくて…」

 

 翼ちゃんその辺にしてあげて…

 響ちゃんを止められなかった俺の方に責任が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか…あの生物にあんな力があったなんて…」

 

 調と切歌…立花響の三人の絶唱発動によるエネルギーをピー助が吸収した。

 おかげで調と切歌の体に異常もなく無事に帰ってきてくれた。

 本当に…あの子に感謝してもしきれない。

 

「あのへんちくりんのことなんてどうでもいいんですよ。それよりもこれですよこれ」

 

「これは…ネフィリム…」

 

「これは覚醒心臓。奴等に倒されて砕け散ったものを苦労して持ち帰ってきたんですよ」

 

 けれど心臓だけでは…

 エサとなる聖遺物の欠片もない。

 持っていても宝の持ち腐れではないだろうか?

 

「あの生物の血液を取り込んだ今のネフィリムなら聖遺物の欠片ではなくノイズを捕食することでも腹を満たせます。だいぶ我々に優しい仕様になってくれました。なんせこちらにはソロモンの杖があるのですから!ノイズを腹一杯に食わせることが出来るぅ!」

 

「ピー助の血液を取り込ませた?どういうことか説明してもらえるかしら」

 

 あの戦闘の際、ネフィリムの姿がピー助に似ていたのはそれが理由…

 だとしてもいつの間にピー助から血液を採取したというのか…

 

「マリア、そのことは重要ではありません。ドクター話の続きを」

 

 つい私情を挟みすぎてしまったか…

 けれど気になるものは仕方ない。

 ピー助が望んでウェルに協力するはずがない。

 だからきっとなにか理由があって…

 ピー助…

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令、ピー助君の調査終わりました」

 

 藤尭に頼んでいた調査が終わった。

 思っていたよりかなり早い。

 やはり藤尭は優秀だ。

 

「で、どうだった?」

 

「やはりこれまでも装者の歌をエネルギーとして変換し吸収していたようです。特に翼さんと一緒の時は戦闘力も回復力もかなり上昇しています」

 

 先の戦闘で見せた絶唱発動によるエネルギーの吸収…

 そこから仮説をたてこれまでの戦闘データを調査したがやはりそうだったか。

 ピー助は装者の歌により力を向上させる特性。

 元々、完全聖遺物とされるピー助。

 聖遺物は適合者の歌に反応するがピー助も例に漏れずと言ったところか…

 これまで生物として活動していたから歌による起動ではないイレギュラーとされていたが少し違っていたようだ。

 歌により力が増すというならピー助は装者達にとって相性がいい頼もしい味方であると同時に敵として現れれば歌えば歌うほどピー助を強化してしまう相性最悪の敵になるということ。

 味方にも敵にも装者がいる今の現状ならばピー助は…我々にとっての切り札となりうる存在かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翼さん、響さん、クリスさん。

 あの、なんでスク水なんですか?

 俺を台車に載せてどこに連れて行く気ですか?

 

「二課が所有しているプールがあるのよ。ピー助の体温がまだ高いからそこで冷やそうということになってね。それと雪音が泳げないというからついでに雪音の水練もしようとなったのよ」

 

 はえー。

 クリスちゃんカナヅチなんだ。

 

「あのー翼さん。わたしって必要なんでしょうか…?」

 

「立花は放っておくと戦闘に巻き込まれてしまうようだからあまり一人にしないようにと司令からの指示だ。小日向からも立花を頼むと言われている」

 

 うんうん。

 響ちゃんは巻き込まれ体質のようだからね。

 仕方ないね。

 

「あたしのカナヅチはどうでもいいだろ…」

 

「苦手は克服するものだぞ雪音」

 

 そんな進●ゼミみたいなこと…

 まあいいや。

 クリスちゃんのスク水姿なんていう素晴らしい姿を拝めるのだから…

 あの、翼ちゃん。

 なんで頭を掴んでいるんですか…?

 指が…めり込んで…イタタタタタタッ!!!

 

「ほらピー助…プールに着いたわ…よっ!!!」

 

 豪快なフルスイングで投げ飛ばされる俺。

 あぁ…懐かしの塩素の臭い…

 ノスタルジィ…




オマケ 擬人化ガイガンG

ピ「一日三食五十品目…一日三食五十品目…」

司令「お?なんだピー助は料理が出来たのか」

ピ「…翼ちゃんと暮らしてると嫌でも出来るようになりますよ…」

司令「お前も苦労してきたんだな…」

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