すっかりジオウに毒された私にはもうアナザーライダーみたいな姿が脳内に…
目玉と歯茎が剥き出しでキモカッコいいデザインになってるんや…
それにしてもオレっ娘とは…このピー助の目をもってしても云々。
フロンティアの各所で始まった戦闘の様子が映し出され、その様子を私は見ていた。
ドクターはいない。
私一人。
それがちょうどよかった。
映し出された映像のひとつに私は目が釘付けだった。
その光景は、本来あってはならない。
あんなの悲しすぎる。
仲の良かった調と切歌が戦っている。
「どうして…どうしてこんな…」
力なく膝から倒れる。糸の切れた操り人形のように。
なぜ、あの二人が戦わなければならない。
私のせいだ。
私があの二人を戦わせてしまったんだ。
私やドクターの世界を救う方法に調は懐疑的だった。
『そのやり方じゃ弱い人達を守れない』
弱い人々を救うために始めたことなのに、弱い人々を救えない…?
これが正しいと信じてきたはずなのに…
今の私はどうしようもなく不安定だ。
これが正しいと思っていたことも今はそう思えない。
私は間違っていた。
私には世界は救えない。
むしろ世界の滅亡を早めただけ…
どうしたらいいの…
『マリア。いまあなた一人ですか?』
マム…
『フロンティアの情報を解析して月の落下を止められる手立てを見つけました』
月の落下を止める手立て…
まだ、月の落下が止められる。
世界を救うことが出来る…!
『最後に残された希望…そのためには、貴女の歌が必要です』
「私の歌…」
歌…
私の歌で世界を救えるなら…!
雪音が放つ弾丸を刀で防御する。
近づけば私の有利と思ったが…なるほど、
当たれば死。よくて重症。
そんなものが次々と迫るというのだから全くもってやりづらい。
だけど、分かる。
雪音がどう動くか。
そして、雪音も私がどう動くか分かるはずだ。
銃弾を刀で弾き、蒼ノ一閃を放つ。
まっすぐと雪音に向かった青い刃が爆ぜ、爆風が起こる。
直撃…?
いや、違う!
跳躍し上へと回避した雪音が空中から銃弾の雨を降らす。
刀で受け止め、着地した雪音へと問いかける。
「なぜ弓を引く、雪音ッ!?」
無言。
返答はそれだけ。
この沈黙を、答えと受け取らねばならないのか…
雪音はこの隙に距離を詰め、零距離での戦いを仕掛けてくる。
刀と銃での打ち合いが再び始まる。
銃弾を切り裂き、雪音へと振り下ろした刀は銃で防がれる。
「なにを求めて手を伸ばしている!?」
拮抗した状態を破ろうと力を加えるが、雪音は押し負ける前に刀が銃で受け流し再び射撃をはじめる。
迫る銃弾を回避して、再び刀を振り下ろす。
しかしこの攻撃は両手に持つ銃を交差して防御される。
そのまま弾かれる。
ここで、はじめて雪音が口を開いた。
「あたしの十字架を…他の誰かに負わすわけねぇだろッ!!!」
雪音の十字架…?
叫ぶ雪音の姿に、私はあることに気づいた。
首に何か巻かれている。
ギアではない。
あれは一体…?
気を取られている隙に雪音の放った銃弾がすぐそこまで迫っていた。
咄嗟の防御に衝撃を受け止めることが出来ず、銃弾の威力に押され吹き飛ばされてしまう。
地面を転がるが…私の中である考えがまとまっていた。
雪音の十字架、妙な首輪…
恐らく雪音は…
ギアを纏って、調と向かい合う。
訓練以外で戦ったことなんてない。
それも、本気で。
だけど戦わなくちゃならない。
アタシがアタシでなくなる前に。
元々、アタシ達はレセプターチルドレン…フィーネの魂の器として集められた存在。
だから最初、マリアがフィーネとなった…はずだった。
なのに、あの日…調との買い物帰りに調が体調が悪そうだからと休憩した人のいない工事現場。
調がよろけてぶつかってしまった鉄パイプの束が崩れて、調を守ろうとして…思わず、手を伸ばしていた。
そうしたらどういうわけか、桃色の障壁が鉄パイプを遮った。
この力は…フィーネの力?
そう思った。
だけど、マリアがフィーネのはず…そう思い込むことで不安から逃れようとした。
しかし、マリアがフィーネだというのは嘘だと分かった。
ドクターを計画に参加させるための嘘だと。
マリアがフィーネではないとしたら…やっぱりアタシなんだ。
アタシがフィーネなんだ。
フィーネになったら…アタシが消えちゃう。
アタシがアタシでなくなってしまう。
そんなの嫌だ。
それならせめて、世界が滅びるのを救ってアタシがいたという証を残したい。
みんなといた記憶を残したい。
なのに…
「切ちゃんが切ちゃんでいられるうちにってどういう意味?」
大好きな調が立ちはだかった。
だけど、戦わなくてはいけない。
アタシがアタシでなくなる前に…
「アタシの中のフィーネの魂が覚醒しそうなんデス」
施設に集められたレセプターチルドレンならありうること。
それは調も分かっている。
「それならなおのこと、私は切ちゃんを止めてみせる」
調の口から出たのはそんな言葉だった。
調はこのまま…世界を救えなくてもいいというの…?
「これ以上、塗り潰されないよう…大好きな切ちゃんを守るために」
「大好きとか言うな!アタシの方が調のことが大好きデスッ!だから、大好きな人達のいる世界を守るんデスッ!!!」
この言い合いが合図となり、戦いが始まる。
「「大好きだって…言ってるでしょうッ!!!!!」
「世話の焼ける弟子のおかげでこれだ」
ジープの助手席に乗り込み、そう呟く。
響君が勝手に月読調と出撃なんてしなければ、こんなこと…
「きっかけを作ってくれたと素直に喜ぶべきでは?」
運転席に座る緒川に真意を当てられてしまう。
かつてはああいう無茶は俺の役割だったんだが…弟子というのは師匠に似るのか、はたまた元から彼女はああなのか、それともその両方か。
どちらにせよ、こうやって矢面に立つのは俺の性分にあっている。
ノイズの相手は出来ないが…人間の相手は出来る。
ひとまず最優先はドクターウェルの身柄。
奴の身柄を確保して法の下で裁く。
『司令!出撃の前にこれをご覧ください!』
緒川の持つ端末に映し出されたのはマリア・カデンツァヴナ・イヴ。
どうやら世界に向けて発信されているらしい。
一体なにを語るというのか。
ひとつはっきりしていることは、彼女は覚悟を決めたらしいということだ。
『私の歌で…!?』
『月は地球人類より相互理解を剥奪するためカストディアンが設置した監視装置…ルナアタックで一部不全となった月機能を再起動出来れば公転軌道上に修正可能…』
その言葉と共にマムは吐血した。
こちらからは向こうの様子は分からない。
だけど、分かることはひとつ…
マムの体は限界に近いということ。
これ以上無理をさせることは…
『貴女の歌で世界を救いなさい!』
マム…
そして、私はフロンティアの機能を用いて世界に発信した。
私の言葉が届くとは思えない。
世界に向けて宣戦布告した馬鹿な女の言葉なんて、誰も信用しないだろう。
だけど…
「歌が力になるというこの事実だけは信じてほしい!」
『Granzizel bilfen gungnir zizzl』
「私一人の力では落下する月を受け止めきれない。だから貸してほしい…皆の歌を届けてほしい!」
セレナの助けてくれたこの命で誰かを助けることが出来るなら…
歌う。
歌ってみせる。
世界を救う歌を歌ってみせる!
オマケ?
みんな、悪いな。
絶唱顔のマリアさんが見れるのは次回以降なんや…
次回が楽しみと言ってくれた方にはもう少しおあずけとさせていただきます(愉悦)
あと最近ティガとシンフォギアをクロスさせたらという考えが頭をよぎり…
超古代と先史文明期を無理矢理統合したらアヌンナキはいるし巨人はいるし怪獣はいるしキリエル人はいるし邪神はいるし…そりゃあアヌンナキも地球を去りますよ(真顔)
あとオリジナルウルトラマンちょろっと書き始めたり…
ノアの息子(語弊あり)っていう設定なんですがどうですかね?