ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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G編最終回。
こんなに話数かけるつもりなかったんだけどな…
反動でGX編がとんでもなく短くなりそう。


別離の翼

 巨大化したピー助とネフィリムはにらみ合い、威嚇しあう。

 まさに獣同士の争い…

 最初の攻撃はネフィリムの方だった。

 ミサイルを発射してピー助を近づけさせまいとするネフィリムだが…ピー助はそれを防御することも回避することもなかった。

 涼しい顔で全てのミサイルを自身の体で受けきる。

 どうした?その程度か?とでも言っているように鳴き、歩を進めはじめる。

 やめろ、近づくなとネフィリムはミサイルと火球を放つ。

 それでも止まらない。

 ピー助はネフィリムへと近づき、その鉤爪をネフィリムへと振り下ろした。

 頭に強い衝撃を受けたネフィリムは後ろの建造物を巻き込みながら倒れる。

 力の差は圧倒的。

 ネフィリムではピー助に敵わない。

 

「翼さん!」

 

 ピー助とネフィリムの戦闘に釘付けとなっていた。

 立花の声で我に帰る。

 そうだ、ピー助ばかりにやらせるわけにはいかない。

 

「行くぞッ!!!」

 

 六人の歌声が響く。

 そして、飛び立つ──

 

 

 

 エクスドライブ。

 

 

 

 

 今の私には奏もピー助もついている。

 世界を救うなど──容易いッ!

 

 

 

 

 

 

 おいおいどうしたネフィリム?

 俺の力が入ってる割には弱いんじゃないか?

 その腕の鎌は飾りか?

 よろめきながら立つネフィリムはもうダウン寸前。

 とどめだ──

 熱線を撃つ。

 それと同時に…

 

「響きあうみんなの歌声がくれた…シンフォギアでぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

 俺の熱線と虹色の光がネフィリムを貫いた。

 そして巻き起こる虹色の竜巻は天高く空を貫いた。

 六人の天を翔る戦姫…と怪獣一匹。

 今ので力が切れたのか2mサイズに戻ってしまった。

 それはともかくとして…みんなの力でネフィリムを倒したんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 フロンティア炉心。

 ここでドクターウェルがネフィリムを操っていた。

 しかし、そのネフィリムも倒され最早為す術はない…

 

「ウェル博士!お前の手に世界は大きすぎたようだな」

 

 二課司令、風鳴弦十郎と緒川慎次がドクターウェルを追い詰める。 

 すかさずドクターウェルは最後の足掻きとネフィリムを操っていた端末を操作しようとして─

 

「う、動かないッ!?」

 

『影縫い』

 

 忍の技がそれを防いだ。

 ドクターウェルが伸ばした左腕の影に銃弾が突き刺さりその動きを封じた。

 

「あなたの好きにはさせません!」

 

 しかし、ドクターウェルの執念は凄まじかった。

 血の涙を流し、左腕も裂けながら…その左腕を端末へと振り下ろした。

 

「奇跡が一生懸命の報酬なら…ボクにこそぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 ドクターウェルの叫びと同時に炉心の輝きが増し、ネフィリムの心臓を中心にやがて禍々しい赤に染まった。

 

「何をした!?」

 

「ただ一言…ネフィリムの心臓を切り離せと命じただけぇ!こちらの制御を離れたネフィリムの心臓はフロンティアの全体をくらい糧として暴走を開始する…そこから放たれるエネルギーは…一兆度だぁ!!!!!ボクが英雄になれない世界なんて蒸発してしまえば…」

 

 その言葉を遮るように弦十郎は石で出来ているはずの端末をその拳で砕いた。

 

「壊してどうにかなる状況ではなさそうですね…」

 

「ああ…装者達にこのことを伝えてくれ。ウェル博士…お前を確保する」

 

「確保だなんて悠長なことを…ボクを殺せば簡単なこと…」

 

「殺しはしない。お前を世界を滅ぼした悪魔でも理想に殉じた英雄にもさせはしない。どこにでもいる、ただの人間として裁いてやる!」

 

「ちくしょぉぉう!!!!殺せぇ!ボクを殺せぇ!英雄にしてくれぇ!!!英雄にしてくれよぉぉぉ!!!」

 

 こうしてドクターウェルは確保された。

 しかし、これで終わったわけではない。

 暴走を始めたネフィリムの心臓を止めなければならない。

 これを止めなければ世界は終わってしまうのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 虚空にて、それを見続けていた。

 ネフィリムを倒した後、フロンティアの大地にとてもじゃないが立っていられないほどの熱を感じたので慌てて飛び立ったのだが…一体…?

 やがて、それは現れた。

 フロンティア全体が赤く染まり、その中央にある物体…ネフィリムの心臓を中心に形が形成されていく。

 まるで、地獄の業火が怪物として姿を得たかのような…

 

「再生する…ネフィリムの心臓…」

 

 マリアさんがそう呟いた。

 あれが…ネフィリム。

 さっきの姿が可愛らしく見えるほどの凶悪さ。

 これは…さっきのようにはいかないだろうな…

 まずネフィリムに調ちゃんと切歌ちゃんが立ち向かった。

 調ちゃんは自分の装甲をパージして合体させ、巨大なロボットを完成させて乗り込んだ。

 

『終Ω式ディストピア』

 

 かっけぇ…

 男のロマンがくすぐられますね…

 多分、調ちゃんとは気が合うと思う。

 切歌ちゃんは熊手のようになった鎌を回転させネフィリムへと斬りかかる。

 

『終虐・Ne破aア乱怒』

 

 …えぇと?

 うん、しゅうぎゃくは分かる。

 その後ろはえ?ねはああらんど?

 さっぱり分からん…

 それより、あの二人のコンビなら…

 斬りかかったのは二人。

 ネフィリムはなにもしていなかった。

 だというのに…何故二人がダメージを受けている!?

 

「聖遺物ごと…そのエネルギーを喰らっているのか…」

 

 あれは喰らうっていうより吸収って感じだな…

 だとしたら俺はもっとヤバい。

 完全聖遺物である俺は全部喰われてしまう、ネフィリムにとって最高のご馳走というわけだ。

 

「だったら…バビロニアフルオープンだぁぁぁ!!!!」

 

 クリスちゃんがソロモンの杖を使ってバビロニアの宝物庫を開く。

 エクスドライブによってソロモンの杖の力が向上しているのかかなり大きな入り口が出来ようとしている。

 王の財宝…は無さそうですね。

 あの中にネフィリムを格納出来れば…!

 

「人を殺すだけじゃないって…やってみせろよ、ソロモンッ!!!!!」

 

 ゲートは開きかけている。

 しかし、ネフィリムがそれを邪魔をする。

 クリスちゃんがネフィリムの巨大な手で弾かれ、ソロモンの杖を手離してしまう。

 しかし、すぐにマリアさんがソロモンの杖をキャッチしてゲートを解放させる。

 

「明日をぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

 その叫びに応えるようにバビロニアはネフィリムが入れるほど巨大なゲートを開けた。

 このままネフィリムを押し込めば…

 ネフィリムはバビロニアの宝物庫へと吸い込まれていく。

 だが、諦めの悪いネフィリムはマリアさんを掌から伸ばした触手で拘束して道連れにしようとする。

 させるかよッ!!!

 

「格納後、私が内部よりゲートを閉じるッ!ネフィリムは私がッ!!!」

 

 チィッ!マリアさんめ自分が死ぬことで罪を償おうとか考えてないか…?

 そんなの許されない。

 それに、ネフィリムなんかがあんな美人と道連れなんてのも気に食わない。

 一人で逝きやがれッ!

 すぐにマリアさんの元へと飛ぶ。

 

「ピー助…みんな…」

 

「マリアさんの命は私達が守ってみせますね」

 

 ああ…

 誰も欠けさせはしないさ。

 生きてここから出てやるよ。

 うーわ、宝物庫の中ノイズだらけ…

 何が宝物庫だよノイズ庫の間違いじゃねえの?

 とりあえず倒す。

 俺達の邪魔をする奴等は片っ端からぶっ潰す!

 鉤爪の一振りで一度に大量のノイズを炭素へと還す。

 熱線を放てば次々と爆発の火球が直線上で生まれる。

 無双ゲーしてるみたいで楽しい。

 みんなもそれぞれノイズ相手に無双してるみたいだし、これなら…!

 マリアさんの救助も終わり、宝物庫から外へと出るゲートが開いた。

 ネフィリムの臨界も近い…一刻も早く脱出だ!

 皆であのゲートへと向かい真っ直ぐ飛ぶがネフィリムがこのままお前達も道連れだと言わんばかりに立ち塞がる。

 迂回してる暇はない。

 

「みんな!手を繋ごう!」

 

 響ちゃんの掛け声で装者達六人が手を繋ぐ。

 …俺は手がこんなんだから手を繋げないんだよ!!!

 あやとりが出来ないドラえもんの気持ちがよく分かった。

 

「「最速で最短で!真っ直ぐに!」」

 

 その言葉を合図に響ちゃんとマリアさんの装甲がパージして巨大な拳となる。

 二つの拳が合わさりそれは回転しながらネフィリムへと翔る!

 

「一直線にぃぃぃぃぃ!!!!!」

 

『Vitalization』

 

 拳はネフィリムを貫き、そのまま外の世界へと六人を連れ出した。

 俺もこうしちゃいられないな…

 ネフィリムの腹に空いた風穴を通って俺も脱出する。

 みんな、さっきの一撃でボロボロだ…

 早くゲートを閉じないと…

 

「ピー助ッ!?」

 

 翼ちゃんが俺の名を叫んで…

 ッ!?

 ネフィリムがこっちに手を伸ばして…往生際の悪い奴!!!

 臨界が近い、こうなったらネフィリムを押し返してやる!

 ネフィリムの巨大な手に思いきりタックルして、力の限り押す。

 確か…一兆度とか言ってたな。

 どこのゼットンだよ…

 一兆度とか確か宇宙まで蒸発するとか聞いたような聞かないような…

 とにかくそんなんがこっちに出てくるのはまずい。

 絶対に押し返して…!

 体中の筋肉が裂け、体の中の機械が悲鳴を上げる。

 お前の体はもうダメだ。

 これ以上頑張ったとしてもお前には世界を救えない。

 このまま全て蒸発するだけ…

 俺の中でそんな声がした。

 自分自身の声。

 諦めてしまえ。

 そうすれば、この痛みからは解放される。

 どうせ、世界も終わるのだから諦めていい。

 お前だけが死ぬわけではない。

 みんな死ぬ。

 …みんな死ぬ?

 俺だけが死ぬわけではない? 

 ふざけんな。

 みんなが死ぬなんて認められない。

 ここで諦めて死んだら奏ちゃんに殺される。

 なら、どうする?

 自身を犠牲に世界を救うか?

 いや、そんなことしたら翼ちゃんに殺される。

 ならば──

 逃げ道なんてないんだよ俺には。

 みんな死のうが、俺だけ死のうが…俺には逃げ道なんてない。

 だって、あの世にもこの世にもおっかない飼い主がいるんだから。

 だから…俺はみんなが幸せになれる最高最善のハッピーエンドってやつを掴んでみせる。

 どこから湧いて出てきたのか分からない力でネフィリムを押し返す。

 臨界がもうすぐなんだろう、かなり熱い。

 それなりに耐性はあるはずなんだけど熱いって感じるなら相当な温度だな…

 皮膚も溶けはじめている。

 体のあちこちから火花が散り、体が崩壊していく。

 

「ピー助ぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 翼ちゃんの声が聞こえた気がした。

 目の前も暗い。

 真っ暗だ。

 だとしても!!!!!

 最後の雄叫びを上げて、ネフィリムを思い切り突き飛ばした。

 それと同時に、俺の体は重力に従い落下して…

 これで、どうなっただろうか。

 世界は救え、たの、だろう、か…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピー助がその身を犠牲にしながらネフィリムをバビロニアの宝物庫の中へと押し返し、小日向が投合したソロモンの杖によりゲートは閉じた。

 空が妖しく光り、やがて元の青空へと戻った。

 ピー助が落下している。

 体中、火花が飛び散り、爆発している。

 嫌だ、ピー助。

 置いていかないで。

 すぐにピー助の元へと駆け寄る。

 ピー助の体は悲惨な状態だった。

 目であるバイザーは割れ、皮膚は焼け爛れ、鉤爪も折れている…

 無事なところなんてひとつも見当たらなくて…

 

「ピー助…ピー助ッ!!!ねえ、目を開けて…折角世界を救ったのにあなたがいなくちゃ意味がないじゃない…ねえ、ピー助…」

 

 声をかけても返事なんてない。

 ピー助は…死んだのだ。      

 

 戦姫絶唱シンフォギアG編 fine




次章予告 

「俺とお前で最高のコンビだぜ!」

「妹が奴等に連れ去られた…」

「裏切り者には死を…」

「遂に手に入れた…神に等しい力を!!!!!」

「命ある限り…お前達なんかには負けはしないッ!!!」

次章「先史文明期編 ガイガンレポート」




???「おい!オレの出番はどこに行った!?」

???「まあまあマスター」
 
???「あの、ボクの出番も…」

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