ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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お待たせしましたぁ!(スライディング土下座)
すいませんマリアさんの方ばっか書いたり、短編書いてはボツにしたりしてました…
けどおかげでこっち書けたと言いますかなんと言いますか…
しばらくこっちを優先して書いていきますので!(宣言)


機械仕掛けの銀龍

 白銀。

 一面が銀世界。

 ここは…南極か北極だったか?

 

「いえ…そんな果ての大地ではありません。しかしこれは…」

 

 氷で閉ざされた大地。

 全てが、静止していた。

 

「この感じは…」

 

 背中のモスラが呟く。

 それと同時に強烈な気配と違和感。

 体の中に、異物が入り込んだかのような…

 

「ッ!?」

 

 そして、そいつが目に入った。

 全身が眩しい銀色。

 背中に聳える剣のような背鰭。

 二本の脚で氷の大地を踏みしめ立つそれは…

 その特徴的な姿は見間違えようがない。

 

「メカゴジラ…!?」

 

 驚愕から声が漏れた。

 その声を拾ったのか、静かに身動き一つなかったそれはゆっくりと、機械的に、空に浮かぶ俺達を見上げた。

 そして、それの目が赤く煌めいた。

 敵意。

 機械的に、俺達を殺そうという殺意。

 左手をこちらに向けると、その左腕が怪しく蠢いた。

 銀色の装甲が波打ち、変貌する。

 左手が、砲となった。

 砲口に紫色の怪しい光が灯る。

 そして、爆ぜた。

 

「まっず…!」

 

 俺達目掛けて放たれる紫の光線。

 あの見た目はシンゴジラの熱線に酷似している。

 当たったらまずいというのは本能も叫んでいる。

 すぐにその場を離れたが…

 

「追撃来ますッ!」

 

「分かってるッ!」

 

 迫る熱線。

 とにかく飛ぶがしつこく追跡してくる。

 

「もっと早く飛べないんですかッ!?」

 

「姐さん載せてる分重くて加速出来んッ!」

 

「んだとこらぁ!!!!誰が重いっつったァ!!!」

 

「姐さん揺れないで!バランスとれないからぁ!」

 

 わちゃわちゃしているうちに熱線がすぐそこまで。

 尻尾の先で熱を感じるまでに近づいている…

 アッチ!!!

 ジュワ~っていった!ジュワ~っていった!

 もう、ヤバい…

 死を覚悟した時、もうひとつの巨大な力を感じた。

 氷の大地を突き破り、地中から放たれる水色の太い熱線。

 メカゴジラに命中した熱線は銀色の巨体を吹き飛ばした。

 おかげで俺に迫っていた熱線もあらぬ方向へと飛んでいった。

 

「助かった…」

 

「あれは…」

 

 ゴジラ。

 モスラが呟いた。

 あの熱線の主は…正真正銘の…

 

 氷の大地を割り、咆哮を轟かせながら怪獣の王は現れた。

 

 ゴジラ。

 

 最強の怪獣。

 黒い、見るからに頑強な体。

 三列に並ぶ白い巨大な背鰭。

 堂々たるその姿は正に、王。

 

「ゴジラ!何が起こっているのですか!?」

 

「話は後だ。一旦退くぞ」

 

 そう言うとゴジラは地面に向かって熱線を吐き、氷を溶かし、砕いていく。

 それによって周りが白い煙で覆われ目眩ましとなった。

 この煙に乗じて退却しよう。

 俺達は飛べるからいいけどゴジラは…

 あっ、貴方もその飛び方するんですね…

 

 

  

 

 

 

 

 

 なんとかインファント島まで逃げることに成功した。

 ゴジラは海に出ると飛ぶのを止めて泳ぎ出した。どうやらというかやはりあの飛び方はゴジラ的にもちょっとあれらしい。

 そして、今はモスラ姐さんと小美人がゴジラから事情を聞いている真っ最中。

 

「ゴジラ…あれは一体なんなのです?」

 

「さあな。分かることはあれに同胞の骨が使われ、俺の似姿をしているということだけだ」

 

「貴方の同胞の…」

 

 ゴジラの同胞の骨…

 ということはあのメカゴジラは…

 

「機龍…」

 

「「キリュウ?キリュウというんですか?」」

 

 俺の肩に乗る小美人が訊ねてきた。

 

「あ、ああ…ゴジラの骨を使った兵器で、そんなものがあった」

 

 見た目は全然違うが。

 どちらかと言えばアニメ版メカゴジラに似ている。

 それに映画の話だし。

 アプローチの仕方が同じだったと言うべきか。

 

「おい、お前」

 

「…え、俺?」

 

「そうだ、お前だ。ヘンテコ」

 

 またヘンテコって言われた…

 なんでや!ガイガンかっこいいやろ!

 

「その体の元の持ち主は知っているが、中身である今のお前は知らん。ヘンテコで充分だ」

 

 さいで…

 

「お前はあの女に何かされたんだろう。あれについて詳しく知らないのか」

 

 詳しくって言われても…

 なんというか今まで出てきたメカゴジラのハイブリッド版というか、なんならシンゴジラっぽい熱線撃ってきたし…

 

「「ガイガンにも分からないようです。それより、ゴジラ。あそこで一体なにがあったのですか?」」

 

 そうだ。

 なんであんな氷に包まれていたのか。

 あれは異常過ぎる。

 

「…そうだな、まず俺の話からするとしようか」

 

 

 

 

 奪われた同胞の骨の気配を追って辿り着いた土地で待っていたのがあいつだった。

 そして、忌々しいことに奴からその同胞の気配がしたのだ。

 俺は奴から骨を奪い返そうと襲いかかった。

 しかし…奴は異様に強かった。

 同胞の骨を使っているとは言え所詮は仮初の、ただの鉄の塊。

 そう思っていた。

 だがあれは泥のようにその体を自由自在に作り替えて攻撃を繰り出してきた。

 そして極め付きは…お前達も見ただろう、あの光景を。

 辺り一面を氷へと変える技を奴は備えているのだ。

 胸を開いて、氷の玉を撃ち出して来たときは流石の俺もまずいと地中へ逃げた。

 そこからどう奴を攻めようかと考えているとお前達が来た、というわけだ。

 

 

 

「という経緯だ。お前達も分かっていると思うがあれは難敵だ。そして…手は出すな。あれは、俺がやる」

 

 唐突に出た「あいつは俺の獲物宣言」

 まあ、当然だろう。

 同族意識の強いゴジラなら当然。

 それにしても氷の玉…

 アブソリュートゼロの可能性が高いというか、もうそれだろう。

 決めてかかるのはよくないことだが機龍ときたらもうそれしかない。

 いや、あいつはいろんな要素ごちゃ混ぜみたいだからやっぱり決めてかかるのはよくないかも…

 

「あ、ガイガン帰ってたのか」

 

 頭を悩ませているとメガロがパトロールから帰ってきた。

 何故かインファント島にいるゴジラに一瞬びびって簡単に挨拶している。

 一緒に行っていたバトラ君も帰ってきてモスラ姐さんに絡まれている。

 なにを隠そうモスラ姐さんはバトラ君のことが「なんか言った!?」いえ、なにも…

 もうどっちがバトラか分かんないなこれ。

 バトラ君は穏やかで誠実でほんとに君バトラ?モスラじゃなくて?と言いたくなってくる性格なのだ。

 ところでそっちの方は変わったこととかなかった?

 

「いや、特に何も。あれ、お前あの三馬鹿と一緒じゃねえの?」

 

「…忘れてた!」

 

 

 

 

 

某所上空

 

「どこ行ったのかしらガイガンは」

 

「気配はこっちの方からするんですが…」

 

「ギドラさん達。アナタ達完璧に迷子デスよね?」

 

 ガイガンを追って飛んでいたギドラとジラは完璧な迷子となっていた。

 普通なら余裕で追い付けるはずのギドラだがジラを抱えながらの飛行のためいつものようなスピードが出せずにいた。

 それと、来たばかりで慣れない地球の環境、ジラの体重、三人てんでバラバラの方向にガイガンがいると言い出しそれぞれの方向に無理矢理飛ぼうとしたこと、ジラのエセ英語への苛立ち等が今の状況を生み出していた。

 

「疲れた…もうダメ…」

 

「ギャー!!!ズルっていった!ズルっていったデス!!ダメデス!!落としちゃダメデス!!」

 

「ちょっ!?暴れたら余計に…!」

 

 ジラがパニックに陥り暴れた結果、悲鳴をあげながら落下する両者。

 地面へと叩き付けられたギドラとジラは痛みを堪えながら立ち上がり口論を始めた。

 

「あなたのせいで落下したのだけど、謝罪はないのかしら?」

 

「ワタシのせいじゃないネー。ワタシを落っことしそうになったソチラの責任デース!」

 

「落としそうになったくらいでパニックにならないでよー!そもそもジラが重いのが悪いんでしょう!」

 

「ファック!?乙女に体重が重いナド…許せないデェス!!!」

 

 わーわーぎゃーぎゃーと言い合っているうちに彼女達に近づく巨影があった。

 

「「「「「「「「あの」」」」」」」」

 

「なにかしら!?」

 

「なんでしょう!?」

 

「なに!?」

 

「ナンデスカ!?」

 

「「「「あっ…」」」」

 

 巨体を見上げるギドラとジラ。

 その巨体を見た瞬間、二人は死を覚悟した。

 巨大な赤い体、胸には牙のようなものが生えており、尻尾はその巨体よりも長く、なにより…八つの首が生えていた。

 

「「「「「「「「すいません、お取り込み中だったと思うのですが、もう少しお静かにお願いします。私、寝ていたものでして…最近寝不足だったものでして寝たいんですよ。ですから、ね?」」」」」」」」

 

「「「「は、はい…」」」」

 

((((やべえのいたぁぁぁぁ…))))

 

 二人の運命や、如何に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Interlude

 

 暗い部屋に灯りを灯す。

 明るくなるとその部屋はかなり広いことが分かる。

 その部屋の中央に寝かされた、傷だらけのピー助。

 左腕の鉤爪は根元から折れ、皮膚は焼け爛れ、バイザーは割れてその目に光が宿ることはない。

 

「ずっと暗いままなんて嫌よね、ピー助」

 

 ずっと暗いままだとピー助は夜だと勘違いして寝たままだろうから…

 本当は分かってはいるのだ。

 このまま、ピー助が目を覚まさないんじゃないかってことぐらい。

 アウフヴァッヘン波形も確認されず、どれだけ歌ってもピー助が目覚めることはなかった。

 デュランダルを一度で起動させた立花の歌でさえピー助は目覚めなかったのだ。

 立花、雪音、私の三人で歌っても駄目だった。

 それでも、私は歌う。

 いつの日か、再びピー助と巡り会うために。




なんか足りねえと思ったら翼さんですよ翼さん。
翼さん成分が足りなくて書くのが滞っていたんですよ。
過去編は過去だけ書く気でいましたがね、少しだけならね…翼さんを書いていいですよね…?

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