ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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セレナの細胞とバラとG細胞で作ったビオランテというネタを思いついた。
マリアさんが曇るんや…
世間は臨時休校か…
こんな作品でよろしければ暇潰しにどうぞ。



変わる世界

 メカゴジラとの遭遇戦から三ヶ月。

 あれから…世界は大きく変わってしまった。

 メカゴジラ登場から再びエム・ゴは動き出し怪獣達を襲撃しその戦闘の余波で人類の生存圏に被害が及んだ。

 それを全て怪獣のせいだと人間に吹聴して回ったエム・ゴ一派によって人類は今、怪獣への憎悪が高まりエム・ゴが怪獣を一匹残さず絶滅させると宣言したもんだからエム・ゴは今や人類にとっての神である。

 これで奴の目的は果たされたといってもいいのだろう。

 これに反抗してくれるアヌンナキはいるのかというと…いない。

 なんでも、他のアヌンナキは全員空に帰ったとかで現在地球にいるアヌンナキはエム・ゴ一派のみ。

 まさにやりたい放題が出来る環境というわけだ。

 それと関係あるのか分からないが、人類の言語がバラバラになってしまったという。

 これまでの人類は皆統一された言語を用いていたというのにある時から急に言語がバラバラになってしまったのだ。

 これには人類も大パニックで自分の伝えたいことが理解されない。相手の言葉が理解出来ないなどという事態に。

 その結果…人類同士で殺し合うようになった。

 自分が分からないものは怖い。

 自分と同じものだけ残ればいいと殺し合い、やがて、ノイズなどという異形まで人類は造り出してしまった。

 ノイズは触れたものを自分諸とも炭にする。

 こうして、人類はどんどん数を減らしていった。

 そして───

 

 

 

 鉤爪を振り下ろし、ノイズを砕いた。

 これが、最後の一体。

 辺りを見渡すと炭素の黒い山が大量に出来ている。

 

「これで終わりだぜガイガン。…たっく、人間共はなんてもん造りやがったんだか」

 

「悪いなメガロ。付き合わせて」

 

「ホントだぜ。余計な仕事増やしやがって…元は人間だから人間を守りたいなんていうけどな、今のお前は怪獣、怪獣なんだよ。人間のことなんて捨て置け」

 

 嫌味を言ってくるメガロだが…

 今のメガロの言葉にはかなり反論出来る隙があった。

 

「シートピアの人達を偶然守ったら守護神なんて言われてそのままシートピアに居着いてた奴のセリフとは思えないな。あとあれ、アントニオさんの娘のマリーちゃんのこと気に入ってたろお前」

 

「んなっ!?違え!俺はそんなんじゃねえ!たまたまあそこにいた奴等が勝手に俺を崇め奉ったもんだからしょうがねえなとか思ってただけだ!あとマリーちゃんはいいだろ別に!チタノザウルスだって可愛いって言ってたぞ!それよりお前はあのレティシアとかいう女官がいいとか言ってたな。あんな胸がデカイだけの女の何がいいのやら」

 

「メガロお前…レティシアさんを馬鹿にしたな!胸がデカイだけなんてお前はなんも分かってない!レティシアさんは大人の魅力!包容力があっておしとやかで優しい方だぞ!俺を可愛いって言ってくれたんだぞ!チタノザウルスだって美人だって言ってた!それにマリーちゃんはまだ子供!ぺったん娘だ!そんな子がいいなんてお前はロリコンだ!」

 

「誰がロリコンだてめえ!マリーちゃんは幼女じゃねえもう16歳だぞ!ロリコンの範疇じゃねえ!お前こそ年増好きだろうが!」

 

「レティシアさんは19だ!俺が人間だった時より年下だから全然年増好きじゃないしー!むしろお似合いな感じだしー!」

 

 お互い睨み合い一触即発の状況。

 しかしここでこいつに打ち勝ち、レティシアさんの素晴らしさを広めていかなければならない。

 だから俺は戦う!

 推しのために!

 

「「うおおおおおお!!!!!うわぁ!?」」

 

 肉体言語で会話をしようと駆け出した両者だったが、横から突然突風が吹いてメガロと一緒に吹き飛ばされて地面にダイブしてしまった。

 

「駄目ですねぇ…喧嘩とは穏やかではない」

 

「チタノザウルス…」

 

「女性のことで喧嘩なさっていたようですが…いいですか二人共。女性は、全て等しく、美しい。いいですね?」

 

「チ、チタノザウルス…!」

 

 チタノザウルスは紳士(変態)だった。

 全ての女性をこよなく愛するとんでもない奴だった。

 これには人間の女に手を出したことのあるキングコングもビックリ。

 へんた…チタノザウルスのおかげで和解したガイガンとメガロは仲良くそれぞれの推しを推していくことになったのである。

 

 

 

 

 

 

某所

 ギドラとジラが墜落した土地。

 そこではいま…

 

「う、産まれるデェス!ヤバいデェス!」

 

「ほら!呼吸を整えて!はい!ひっ、ひっ、ふー!」

 

「ヒッ、ヒッ、デース…ヒッ、ヒッ、デース…」

 

「なんか微妙に違う気がするけど…まあいい!そのまま続ける!元気な子を産むわよ!」 

 

「頑張ってくださいジラさん!手を握って…は出来ないので噛んでますから!」

 

「わたし達がついてるからね!」

 

「イダダダダダッ!!!?!!噛むのはダメ!ダメデェス!せめて咥えるにしてくだサイ!」

 

 三ヶ月の間、二人はこの地から離れなかった。

 正確には、離れることが出来なかった。

 ジラの妊娠が発覚したのだ。

 そして先程、産気づいたのである。

 最初、ギドラは「そう、じゃあ私達は行くから」とジラを置いていく気満々だったのだがジラが「知らない土地で産むなんてストレスがすごいからせめて友達であるギドラがついていてほしいデス」とギドラを引き止めて今に至る。

 

「ああ…ここに新たな命が誕生するのですね…神に祈りを捧げなければ…」

 

「神様みたいなっていうか神様が何言ってるデスか!?ご利益!ご利益をくだサイ!ヤマタノオロチ様!痛みが無くなるようなご利益!」

 

「私、荒御魂系のほうなのでちょっとそういうのは出来ないですね」

 

 ギドラとジラが出会った巨大な八つの首を持つ怪獣…「ヤマタノオロチ」

 本人曰く、元は川だったがしょっちゅう氾濫して人々から恐れられ神として崇められたらある時こうなっていたとか。

 

「その代わりご利益と言ってはなんですが貴女の好きなマグロ捕ってきましたので、産後にどうぞ」

 

「嬉しいけどそうじゃないデス…ウッ!産まれるゥ!!!!」

 

 呼吸が荒くなり、痛みを堪えるジラ。

 見守るギドラとヤマタノオロチも緊張感に包まれて…

 コロンと卵が地面を転がった。

 

「産まれた!」

 

「うん、丈夫な殻をしているわ…良かったわね、ジラ」

 

「う、うーん…その、皆さん…」

 

「どうしたの?そんな歯切れ悪そうにして?」

 

「いや、実はデスね…まだ、産まれてくるデスよ…」

 

「あら、双子?」

 

「イエ…あと、200個ほど産まれてキマース…」

 

 ギドラとヤマタノオロチは、開いた口が塞がらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 怪獣達は各地でエム・ゴの軍勢と戦っていた。

 以前のような陽動が目的ではなく、殺戮が目的の軍勢は確実に怪獣の命を奪っていた。

 これに当然、怪獣達は怒った。

 戦えるものは戦えと各地で有志が反抗していたが、反抗勢力の強い地域にはメカゴジラが投入され、有志達は沈黙。

 怪獣絶滅が、まさに現実のものとなろうとしていた。

 この状況に怪獣王ゴジラは行方知れず、怪獣の女王と呼ばれるモスラは…

 

「あれから一週間。まだ出てこねえのかアイツは」

 

 隣のメガロが、巨大な繭を見上げながらそう呟いた。

 インファント島中央に聳える巨大な岩山を柱に造られたそれが出来て一週間。

 モスラはいま、成虫になろうとしていた。

 …一週間前の言葉が思い出される。

 

『あの時、私は妹の気配を感じました。恐らく…メカゴジラの中。あれの力の源として使われているのでしょう。私は…妹を解放したい。そのためには力が必要です。時間が必要となってしまいますが…それまでの間、ここをお願いします』

 

 そう言ってモスラは繭に包まれ、その時を待っている。

 果たして、いつになるのか…

 

「「ガイガン!メガロ!大変です!」」

 

 どこからともなく小美人の声が。

 一体どこだ?

 あの小さいのを見つけるのは至難の技だ。

 

「「私達を探している場合ではありません!エム・ゴの軍勢が迫っています!かなり大規模な軍勢です!」」

 

「遂に来やがったか…奴等は本当に俺達を絶滅させようってのか…!」

 

「ああ…だが、絶対に阻止してみせる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海を覆う機械の軍団。

 飛行するメカゴジラに搭乗し全てを見下ろしていた。

 広い空間で360度外の様子が映し出されている。

 海も、空も、全て私の作品達で埋め尽くしている。

 実に…素晴らしい光景だ。

 

「ああ…素晴らしい、素晴らしい光景だ。私の作品がぁ!怪獣共を殲滅し!蹂躙し!命を弄ぶ…ふひひ、はははっ…」

 

 インファントの奴等を殲滅すれば怪獣絶滅は大きく前進する。

 怪獣達が集結しているここを叩けば…あとは散り散りとなっている奴等を各個撃破すればよい。

 

『エム・ゴ様』

 

 私の目の前に投影されるデムキ。

 まだ、このことに不満があるらしい顔をしている。

 

「デムキ。そんなに私が前線に立つのが嫌か?」

 

『前線は危険です。後退して、あとは我等に任せていただければ…』

 

「それは聞き飽きた。折角この手で怪獣共を殺せる機会だ。それに、オートメーションではなくパイロットが操縦するメカゴジラの性能実験はまだ行っていない。いい機会だとは思わない?」

 

『…分かりました。私めが、必ずお守りいたします』

 

 これで通信は終わった。

 全く過保護な奴だ。

 さて、まずは開幕の花火でも打ち上げようか…

 次の瞬間、メカゴジラ左翼を飛んでいた高速戦闘機「スターファルコン」が光線により撃墜された。

 手元に立つ石柱に命じて、光線が発射された位置をズームするとそこには…裏切り者が立っていた。

 

「ガイガン…!全部隊に告ぐ!メーサー部隊は海上から砲撃でゴーレム、ランドモゲラーの上陸支援!ガルーダ、スターファルコン部隊は空からの爆撃。スターファルコンはランドモゲラーが上陸したら合体し怪獣共を殺せ!ジェットジャガー、メカニコングは好きにやれ!」

 

 こうして、殲滅戦が始まった。

 …最初の一撃は私が撃ちたかったな。




解説
ヤマタノオロチ
 ヤマトタケルに登場。
 映画では阿部寛が変身するが、本作品では川の氾濫を大蛇と結び付けたという説から着想を得て人々の信仰から生まれた神系怪獣(荒御魂)となった。
 ヤマトタケルにはあと二体の怪獣が登場するが…

エム・ゴの軍勢
 卵ロボットことゴーレムだけでなくかなりいろいろ増えた。
・メーサー殺獣光線砲。
 パラボラアンテナのような砲。メカゴジラや後述するモゲラにも搭載されている。上陸支援を命じられたのは戦艦型メーサーである。原作のメーサー殺獣光線車ももちろんございます。
・スターファルコン、ランドモゲラー
 スターファルコンは高速戦闘機。ランドモゲラーは地底戦車。
 合体することで…
『Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-type』
(対ゴジラ作戦用飛行型機動ロボット)
 通称『MOGERA』となる。
 …なに?先史文明期に英語なんてねえだろ?
 細けえことは気にすんな!(思考放棄)
 言いたかったんだよ!
 Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-typeって!
・ガルーダ
 ゴジラVSメカゴジラに登場したあれ。
 本作品ではスターファルコンのプロトタイプ的な扱い。
 メカゴジラとの合体機能はない。

今回の解説はここまで!

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