ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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なんか、書きたくなったので。


番外編 グレ響に拾われた

 これはとある世界線でのお話──

 奏の死からノイズを憎み、自身を恨んだガイガン、ピー助は二課を出奔。

 ノイズを人知れず狩り、殺し、蹂躙し…

 

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 これは、そんな世界の話。

 

 

 

 トンネルの闇の中、異形がいた。

 紺のレザーのような表皮、血に染まったような紅い翼、宵闇に煌めく白刃の両腕。

 だが、その姿は痛々しい傷だらけだった。

 

 体がボロボロになっていた。

 足取りも覚束ない。

 なんで、こんなにボロボロなのだろう。

 なんで、歩いているのだろう。

 闇の中、小さな光が見えた気がした。

 しばらく光なんて見えなかったから懐かしい。

 そもそも、いつからだったかなにも見えなくなっていた。

 ただ、嗅覚と聴覚で獲物を探して屠るだけ。

 視覚なんてしばらく機能していない。

 今も本能のままに獲物の気配を追って歩いて…だけど、今日は少し違った。

 光だ。

 光が見える。

 懐かしい、光が───

 

 

 

 

 拳を振るう。

 憎しみのままに。

 わたしの人生を狂わせたこいつらへの復讐。

 戦う理由なんてそれで充分。

 

「はあッ!」

 

 たまたま通りがかりで出会した、わたしの仇。

 出会ったのなら、殺す。

 殺す、殺す、殺す、殺す。

 今日は邪魔をする鬱陶しいあいつも来ない。

 だから独りで…殺す。

 殺し尽くす。

 拳で、脚で、私の身体全てを使って。

 わたしは、わたしの仇を討つ。

 …それにしても今日は数が多い。

 別にそれ自体はなんの問題でもないが、長引けばまた彼女がやって来るだろう。

 出来れば、誰とも関わりたくない。

 だから出来る限り素早く殺し尽くしたいのに…

 そんな考え事をしたのが仇となった。

 巨大なノイズの吐き出した、粘着性のある糸がわたしを絡め取った。

 

「しまっ──」

 

 身体の自由が効かない。

 拘束から脱け出そうにも…無駄のようだ。

 そして、これを好機と見たノイズ達が襲いかかる。

 この装甲を纏っていれば炭化することはないが、攻撃を受け続ければ流石に…

 

 だけど、わたしに襲いかかってきたノイズ達は紅い光線により炭と崩れた。

 

「な、に…?」

 

 それは、獣だった。

 異形だった。

 いや、もっと相応しい言葉を知っている…

 

 怪獣───

 

 テレビや映画に現れる空想の獣。

 ノイズなんかではないと一瞬で理解した。

 生物と機械が融合した

 闇夜の中から現れたそいつは、虚空を眺めて…

 いや、あれは音を聞いている…?

 見れば、目に当たる部分であろうバイザーはひび割れ、右目は元の生物の鋭い猛禽のような目が露出している。

 まさか、目が見えていない…?

 わたしが考えに耽っているとノイズ達は怪獣に向かって攻撃を開始した。

 わたしよりも、怪獣の方が危険だとノイズなりに判断したのだろう。

 どことなく、恐れがノイズから感じられた気がした。

 ノイズ達の中では小さく、球体のようなノイズが形態を矢のように変化させ怪獣に向かって飛来して…

 危ない!と心の中で叫んだ。

 ノイズに触れられたものは炭化する。

 それが常識である。

 わたしや彼女のようにこれを纏っていなければ、それが道理である。

 ミサイルの如く直進したノイズが直撃した怪獣はその衝撃で地面に倒れ…いや、踏みとどまった。

 そして、そのノイズを鎌の両腕で器用に挟んで地面に叩きつけて、その刃を突き立てた。

 炭となったのはノイズ。

 あの怪獣は、炭とはならなかったのである。

 なんて、出鱈目。

 最初の一体が倒されたことによりノイズ達の一斉攻撃が始まった。

 だが、怪獣は倒せない。

 その悉くを屠ってみせた。

 見るだけで明らかに手負いだというのに、いや、手負いだからこそあれは強い。

 直感で理解した。

 あれは、強い。

 そして怪獣は襲いかかったノイズを全て殺し尽くし、わたしを拘束していたキリンのように長い首を持つノイズも怪獣の腕に命を刈り取られた。

 

「…わたしを、助けた?」

 

 いや、このあとわたしにも襲いかかるかもしれない。

 だけどこの怪獣からは恐ろしい雰囲気を感じ取ることが出来ず更には…

 

「ピ~」

 

 小さく、なった。

 いや、小さくなっただけじゃない。

 姿も少し変わっている。

 いや、いやいやいやいや。

 何がどうなっているんだ。

 これを初めて纏った時よりも驚いている。

 だけど、まあ…

 

「怪獣だし、そういうこともあるのかな」

 

 こっちの姿の方が可愛らしい。

 小さいというのも加わってより愛らしいが、こう傷だらけではそれよりも先に痛々しいという感想が浮かぶ。

 それに…

 

「ピ~…」

 

「…お腹、空いたの?」

 

 訊ねると声がした方を見て、微妙に方向がずれているけどこの子は首を縦に振った。

 …独りがいいとは言ったけど、怪獣となら一緒にいてもいいかもしれない。

 それに…この子からは、わたしと同じ雰囲気がしたのだ。




グレビッキー 陽だまりがいない。けどもしかしたらピー助が代わりを務めるかもしれない。つまるところ本作における翼さん現象が起こるということである。

ピー助 異世界転生したらガイガンになってた。始まりは本編と同じだけど奏、翼の二人と一緒にいた期間が本編より長いため翼さんが既に翼さん。グレビッキーも翼さん化してるので…うわぁ。奏の死から暴走、その後翼が連れ戻そうとして失敗。以降、暴走しつつ頭はクールに隠密に行動したため見つからなかった。傷だらけなのは色々と理由が。目が見えないseason2の仁さん状態。
戦いの果てに記憶も摩耗してしまった。

翼さん メインヒロイン。ピー助を一途に思う正に良妻。ピー助も翼のことを第一に考え相思相愛。ご近所で噂のおしどり夫婦である。
 というのは翼さんの嘘で暴走したピー助を連れ戻そうとして失敗。そのためピー助を殺処分するように言い渡されてしまい責任感の塊な翼さんはピー助も殺して私も死ぬの思考に陥る。そして二度目のピー助との邂逅時ピー助フルボッコ。とどめを刺そうとしたところを司令に止められその隙にピー助逃走。以降ピー助が頭クールモードになったため追跡出来なくなった。ピー助が傷だらけ&失明の張本人。本編よりもひどいことになった。
どうして?(お前がやったんだろうが)

追伸 多分続かない。

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