ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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グレとの温度差に風邪引きそう。


夏だ!海だ!水着だ!…え?俺はだめ?ちょっとなに言ってるか分からない

 青い空、白い雲。

 広がるビーチ、寄せては返す波。

 ここは…海!ではなかった。

 

「すまない。気分だけでもと思ったんだが…」

 

 気分を味わってしまったら余計に行きたくなるよこんちくしょう…。

 モニターに映し出された夏らしい映像が終わり、虚しさだけが残る。なんで…どうして…俺だけ本部に残ってんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!

 翼ちゃん達はみんなで海に行くという素晴らしいイベントの真っ最中なのに!

 

「ピー助ぇぇぇぇ!!!!」

 

「ピー!(翼ちゃーん!!!!)」

 

 などという飼い主とペットが無理矢理引き裂かれてしまうなんて悲劇があったにも関わらず、ここの人間ときたら血も涙もないのか俺を働かせるのだ。

 ここ最近の俺の働きを思い返してもらいたい。

 ジェットジャガーの撃破、キャロルの撃破にも一役買ったのである。それを毎度毎度俺が姿を変えるなりなんなりする度に調査やら研究やらしやがって…。

 俺も海行きたい!

 海で遊びたい!

 生物観察とかしたい!

 

「ま、まあそんなに怒るなピー助。埋め合わせはする予定だ」

 

 予定ィ?予定なんてもんはいつ覆されてもおかしくねえんだわ。一夏の思い出がかかってんだわ。

 昨今の地球温暖化の影響により本来は暖かい海に棲む生物達が近くまでやって来てしまっているということに対し我々は何らかの手段を持ってして既存の生態系を守るということを…。

 

「…休憩は終わりだ。次の仕事に取りかかるぞ」

 

 司令ッ!

 無視しないでください司令!

 労働の分の対価が支払われそうになくて不安なんですが!

 司令!司令ぇぇぇぇ!!!!!

 脇に手を入れられて司令に持ち上げられるとそのまま会議室を出て司令室へ。どうやら俺は労働から逃げられないらしい。

 どうして怪獣なのに人間よろしく働いてるんですかねぇ…?

 アニマルカフェの動物達だって労働時間定められているというのに俺は何かあればいかなきゃならんから実質24時間営業。クソブラックである。

 いいや、司令室の友里さんとか女性オペレーターさんに癒されよ…。

 いざ、開け天国の門ッ!

 ブロッカー二体召喚するやつじゃないぞ。

 

「あら?あらあらあら!この子がピー助君?」

 

 えっ、誰ですの。

 白衣を着たウェーブのかかった黒髪ロングの女性。

 白衣を着た女性…櫻井さん…フィーネ…うっ!頭が…。

 

「はじめましてだから警戒してるようね?まあ無理もないわ。動物だからね。私は山根加代子。古生物学者をしている者よ。以後、お見知り置きを」

 

 はあ…よろしくお願いします(ペコリ)

 

「きゃー!お辞儀したわ!聞いてた通り人間臭いのね!」

 

 まあ、中身人間ですから…。

 それよりテンションたっかいな~…。

 アメリカンって感じ(テキトー)

 

「山根博士はMONARCHという米国の特務機関…現在は俺達S.O.N.G.のように国連直轄の機関で怪獣の研究をしている方だ。よろしくやるんだぞ、ピー助」

 

 アメリカンだと思ったのが当たってた!?

 それにしても、はえ~モナークがあるんすねぇこの世界にも。

 前にそれっぽい組織がないか調べたけど見当たらなかったから恐らく秘密の組織だったのだろう。

 モンスターバースの方だと秘密主義ではあるが一応、公的な組織だったし。

 けどモナークが組織されているということは、巨大生物の存在を掴んでいたということだろう。それも昔から。

 

「それでは、主要なメンバーは揃ったようですしレクチャーを始めましょうか」

 

 主要なメンバー…。

 装者の皆はいないけどいいのだろうか。

 まあまた後から説明なりなんなりするのだろう。

 

「私達MONARCHは第二次大戦の終戦直後に組織されました。原因は…こちらです」

 

 モニターに映し出されたのは…脚の代わりに大きな翼の生えたサソリのような巨大生物。まあ怪獣だろう。

 

「コードネーム【シノムラ】ペルム紀に生息していたとされる古代生物です。この生物は…放射線を用いて代謝を行っていた生物だということが判明しています。まあ、シノムラの詳細はあまり関係ないので省きますがシノムラの出現により王が目覚めました…」

 

「ゴジラか…」

 

「はい。MONARCHではゴジラを怪獣達の王、怪獣王と呼んでいます。シノムラとゴジラは捕食、被食の関係にあったと推察され、当時の米国大統領は二体の抹殺を軍に命じます。しかし、通常兵器が効く相手ではありません。そこで用いられたのが…水爆です」

 

 水爆…原爆以上の威力を持つ、人類が生み出してしまった悪魔の兵器。

 終戦後も度々水爆実験が行われ、日本の漁船「第五福竜丸」の船員が被爆するなどの事件があり、反戦、反核のメッセージが込められた第一作「ゴジラ」が製作されることとなる…というのは前世の世界での話だった。

 この世界に映画としての「ゴジラ」は存在しない。

 そういう意味ではこの世界で怪獣が広まったのはウルトラシリーズのおかげだったりするがここでは割愛する。

 

「まさか、度重なる水爆実験はゴジラとシノムラを抹殺するために…」

 

「その通りです。ですが二体を抹殺することは出来ず、結局シノムラはゴジラにより倒され、ゴジラも姿を消しました。次にゴジラが人類の前に姿を現したのはルナアタック…神の一撃を放ったそれきりです」

 

 そこまで聞いて、友里さんが手を挙げた。

 何か、質問でもあるのだろう。

 

「質問なのですが、何故シノムラは目覚めたのでしょうか?」

 

「いい質問ですね。シノムラが最初に発見されたのは広島近海です。そしてシノムラは放射線を用いて代謝を行います」

 

 そこまで言って山根博士は言葉を止めた。

 もう分かるでしょ?と言った顔で。

 まあ、日本人なら分かるだろう。

 

「広島に落とされた原爆の放射線により目覚めたと見て間違いないと思われます。…古代の地球の地表は今よりも放射性レベルが高かったとされています。時代を経るごとに放射性レベルは低下し怪獣達は地表から姿を消したというのが我々が出した仮説です」

 

「それじゃあ水爆だって餌を与えるようなものじゃ…」

 

「当時、いえ、今もですがあんな生物を殺せる兵器などありません。だからとにかく高い威力の物を用いるしかなかった。結果としてシノムラはより巨大な生物となりましたがゴジラもまた放射能を吸収しエネルギーとする規格外です。結果的にゴジラに倒してもらった形になりましたがこれを受けて対巨大生物を掲げる組織MONARCHは結成されます。しかし、その後は目立った成果をあげることも出来ずに規模の縮小、解体すら目前でしたが70年代初頭にある巨大生物を発見します」

 

 次にモニターに映し出されたのは…超巨大類人猿。

 

「ベトナム戦争の最中、髑髏島と呼ばれる未開の島を調査し発見したのがキングコングです。これにより組織の有用性を示したことで現在まで存続、そして先日、国連直轄組織となりました。以上がMONARCHの概要です」

 

 ふむふむなるほどなるほど。

 コングさんの子孫かな?

 まあ会えるなら会いたいものだ。

 怪獣コミュニティ的な。

 

「ありがとう山根君。単刀直入に聞かせてもらうが、君の、いや、MONARCHの目的はなんだ?」

 

「ズバッと聞きますね…いいです、教えましょう。我々の目的はピー助君、ガイガンの身柄の引き渡しです」

 

 ふぁ!?

 俺をどうする気なんや!?

 

「ちょっと待ってください!ピー助君は私達の大切な仲間です!それを勝手に身柄を引き渡せなど…」

 

「あなた方S.O.N.G.、いえ、旧二課もルナアタック後は巨大生物の調査に乗りだし、S.O.N.G.となってもそれは変わらない。ですが何か実績はありましたか?フロンティア事変や現在起こっている騒動の対処に忙しいでしょう。故に巨大生物の調査は我々MONARCHが請け負うことで分業しようと言うのです」

 

「そんな横暴な…」

 

「我々には!実績があります。組織開設から百年も近く、ノウハウもある。巨大生物に関することは我々に任せ、あなた方は自分達の職務に専念するべきではありませんか?」

 

 静まる司令室。

 確かに、彼女の言う通りかもしれない。

 適材適所。

 餅は餅屋。

 怪獣のことはMONARCH。

 超常の存在から人類を守るのはS.O.N.G.。

 …ん?

 待てよ、抜け道はあるな。

 俺がここに残るべき理由はあるじゃないか。

 司令もふっと笑みを浮かべている。

 俺が気付いたんだ。司令が気付かないわけがない。

 

「悪いがピー助は譲れないな。なんせこいつは貴重な"完全聖遺物"だからな。聖遺物の扱いなら、俺達の方が実績がある」

 

 そう。俺は元々完全自律型の完全聖遺物として二課に属しているのだ。

 怪獣であり、聖遺物。

 俺がもしゴジラなりラドンなりアンギラスだったら怪獣扱いで終わってしまうが、異端技術を用いて造られたガイガンなら聖遺物としてカウントされる。

 

「それに超常、非常識の相手をするのが仕事なら、怪獣なんていう非常識にだって立ち向かうのが俺達だ。その時に主戦力となるのがピー助だ。だからピー助を連れていかれるのは困るんだ。というわけでピー助は渡せない」

 

 ヒュー!

 さっすが司令カッコいい~!

 惚れてまうやろぉぉぉぉ!!!

 

「…なるほど。いえ、こうなることは分かっていました。それに私も、嫌がる動物を無理矢理連れて行くのは嫌ですから。生物を愛する者として」

 

 そう言いながら綺麗な笑顔を浮かべる山根博士。

 こうしていれば美人さんやな。

 

「しかし、巨大生物に関することについてめぼしい情報が掴めていないのも事実ですよね?」

 

「…まあ、な」

 

 まあねぇ。

 俺だけ調べてもしょうがないだろうし。

 他のサンプルだってないしなぁ。

 

「というわけで!私がしばらくS.O.N.G.に出向してこちらの生物学の顧問となります!」

 

 は?

 はぁ?

 

「はいこれ辞令書。ちゃんと正式なやつだから」

 

「な…本当、なのか…?」

 

 辞令書をしっかりと観察する司令だが、どうにも本物らしいことは反応で分かった。

 それにしても勝手な人事とか辞めてもらえませんかねぇ。現場が混乱するでしょう。

 

「司令!アルカノイズの反応です!」

 

 ふぁ!?

 もっと現場が混乱するようなこと言うな藤尭!

 いやノイズなら慣れっこだからいいんだけど場所は?みんなは特訓とは名ばかりの海でのバカンスだから俺が行くで。

 

「場所は筑波!ガングニール、イチイバルが戦闘開始しています!」

 

 ふぁ!?(9行ぶり三度目)

 なんというかまあ…イベント事を楽しめない運命にでもあるんすかねぇあの人達は。

 

「ピー助。念のため、増援で出てくれ」

 

 けど、ここの守りが手薄になるんじゃ…。

 

「なにかあれば俺が出る。それに、お前ならこの距離一瞬だろう」

 

 ったく怪獣使いの荒いお人だこと。

 まあいいさ。これも仕事だ。

 ガイガン!出るぞ!

 

 

 

 薄暗い格納庫の中、俺はカタパルトに足を預ける。

 速さ重視のため、既にFWの姿をとった俺は発進シークエンスへと入る。

 

「4th gate open!4th gate open!」

 

 第4隔壁が開き、移動が始まる。

 

「Quickly!Quickly!」

 

 メカニック達の怒号が飛び交う中、エレベーターが上昇していく。

 

「Pull the throttle!Pull the throttle!」

 

 潜水艦を支える鉄骨達を通り過ぎながら管制官の声を聞く。

 

「20second before!20second before!」

 

 あと二十秒…一秒が惜しい。

 だが、焦ってもしょうがない。

 

「All out!All out!」

 

 メカニック達に退避命令が下る。

 ありがとう。あなた方のおかげで俺は存分に戦うことが出来る。

 

「Pull the throttle!」

 

 さあ、飛ぶ準備だ。

 そして…。

 

「All right. Lets go!」

 

 ピー助!ガイガン、行きます!

 カタパルトが猛烈な勢いで駆け抜け、俺は宙へと飛び立つ。この勢いのままに俺は…飛ぶ!




オマケ 

ピー助「なんか久しぶりだなこの感じ。さて、次の世界はっと…」

謎のペンギンお化けみたいなノイズ

ピー助「ふぁ!?ノイズやんけ!食ったろw」がぶっ

カルマノイズ「ああああああ!!!!!」

出張ガイガン

原作の破壊者、ピー助。
九つの世界を巡り、その瞳は何を見る。

転生したら悪魔の実のカルマノイズだった件
作者 龍狐様

ピー助「いやまさかノイズに転生とは…色々苦労されたんじゃないですか?」

カルマ「まあ、色々と…」

ピー助「まあ、俺もこの通りガイガンになってましたからね。あ、ガイガンって分かります?70年代を代表するスター怪獣なんですけど」

カルマ「あ、すいません分からないです」

ピー助「さいで…」

カルマ「じゃあ逆に悪魔の実は分かります?」

ピー助「ぇ。ぁ…あ、あれやろ、ワンピースの…」

カルマ「それですよそれ。転生させてもらえる時にその能力貰いましてね…」

ピー助(や、やっべぇ…ワンピースわかんねぇ…。同級生がみんなワンピースにはまってる時も特撮に命捧げてたからわかんねえよぉ…くそ!だからある程度流行りには乗っておくべきなのか!姉貴が言ってたことは本当だったんや!ていうかなに特典って。そんなテンプレ的な特典もらってんのこの子は。俺なんか無理矢理連れて来られて無理矢理改造手術受けさせられたんですけど。え、なにこの差は。恵まれてない?なんなの?なんの違いなの?環境?慢心?ていうか見た目こいつ黒いエリ○ベスやんけ。見た目ペンギンっぽいという点で被ってない?もしかしてこっちを食いに来てる?…潰すか。え?連載開始は向こうの方が早い?………)

ピー助「すいまっせんしたぁぁぁぁ!!!」
スライディング土下座

カルマ「え、なに急に謝ってんのこの怪獣は(ドン引き)」
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