闇魏羅珠との取っ組み合いは続いていた。
こっちは向こうに手を上げないが、向こうは俺を攻撃してくる。
なんやかんやでちゃんと我慢してる俺を誰か褒めてほしい。
それにしても、傷口から凍傷になっていくの結構辛いな…。あんまり気にしてはいなかったけど、あいつからは冷気が発生されていて夏だというのに周囲の気温は氷点下を記録していることだろう。
氷属性なんてもん身につけやがって…。
俺にも何かエンチャントしてほしいものだ。
メタるために炎とかオナシャス!
駄目?
そんなぁ…。
文句を垂れるのもそこそこに闇魏羅珠を押して押して押しまくる!
こんなに押して…パワードさんかな?
しゃあないんや、パワードさんは規制のせいで殴る蹴るが出来ないから…。
思ってたよりはやってた気がするけど。
それでも押すといえば個人的にはパワードである。
OPも好きなんよ。
銀河のスパーク、流星のスピー…、
「キョオォォォォォォォン!!!!!」
いだだだだだ!?!!!!?
こいつ右の二の腕に噛みついてきやがった!?
悪かった!悪かったから!もっとちゃんと君のことを見てるからぁ!
パワードにかまけてお前に構ってやれなかったのは謝るからぁ!
くっそ…噛みつかれたとこから凍っていく…。
離れろッ!
…離れませんよね。
ここで皆さんにお教えしましょう。
噛みついて離さない動物のあしらい方を。
無理矢理引き剥がそうとするから向こうもムキになるわけでして…。
逆に考えるんだ。
あげちゃってもいいさ、と…。
というわけで噛まれた二の腕をどんどんあげましょう。
おら!食え!
ぷにった二の腕も愛嬌デース!
そしてこの作戦は功を奏し、闇魏羅珠は二の腕を離してくれた。
やっぱりジョースター卿の教えは偉大だね。
さて…なんとか早めにこいつを鎮ませなければ…。
「ピー助ぇぇぇぇ!!!!頑張れデーーーーース!!!!!」
切歌の声援が響く。
しかし…。
「プロペラの音でかき消されて聞こえないわよ…」
「いくらピー助が耳良くっても…」
「うー…。でも応援はきっと届くはずデース!気持ちが…心で通じるはずデス!というわけで調もマリアも一緒に応援するデスよ!せーの、頑張れデーーーーース!!!」
「「が、頑張れ~…」」
羞恥心から躊躇が生まれるマリアと調。
そんな二人を見て、切歌は情けないデス…と項垂れた。
「もっと声出すデス!」
「そうは言っても…」
「切ちゃん。その、恥ずかしい…」
ヒーローショーじゃあるまいしと続けた調。
しかし、切歌は反論する。
「なに言ってるデスか調!ヒーローショーじゃなくて、ピー助は本物のヒーローデス!そうデスよね!マリア!?」
「え、えぇ…そう、ね。ピー助には何度も助けられたものね」
「デェス!そして、ヒーローは皆からの応援を受けて戦うものデス!つまりピー助を応援するということはアタシ達も一緒に戦っているということになるデス!」
「なるほど…!切歌、あなたの言いたいことが分かってきたわ!」
「流石マリアデス!というわけでもう一回…」
すうぅぅぅと大きく息を吸う切歌。
そして、叫んだ。
今度はマリアも一緒に。
調は…頭が痛くなった。
「あ、ヘリにスピーカーついてるんで使います?」
「パイロットさんナイスデス!!!」
パイロットは、空気が読めた。
「なんでピー助はあいつを攻撃しないんだ…!」
苛立った雪音が忌々しそうに呟いた。
確かに、ピー助は積極的にあの怪獣に攻撃しようとはしていない。
とにかく押し返せ押し返せといったような、まるで相撲を取っているようだった。
しかし、あの怪獣はお構い無しに攻撃を繰り出す。
既にピー助の身体には無数の傷が出来ているが、ピー助は怪獣を攻撃しない。
一体、どうして…。
「このままじゃあいつがヤバいだろ…。くそっ!」
「クリスちゃん!!!」
「雪音ッ!!!」
雪音がヘリの扉を開けて飛び降りた。
命令はまだ出ていないというのに…!
『Killter Ichaival tron』
空中でギアを纏い着地する。
アームドギアをボウガンに変形させ、ピー助が射線に入らない位置まで走る。
さっきまで激しくピー助に襲いかかっていた怪獣は何故か動きを止めている。
その隙にピー助が怪獣を取り押さえた。
そして、今の位置からならピー助にあたしの攻撃が当たることはないだろう。影響があるとしても爆風ぐらいのはずだから大丈夫。
怪獣相手には恐らくアームドギアの火力では通じないだろう。
「そのまま押さえとけよ、ピー助…」
【MEGA DETH FUGA】
大型ミサイル2基を展開、即時発射。
「デカイのをお見舞いしてやるッ!!!」
怪獣に向かって真っ直ぐに飛ぶミサイル。
このまま闇魏羅珠に命中するかに思われたそれは…。
ピー助によって阻まれた。
「なっ!?」
突然、取り押さえていた闇魏羅珠を突き飛ばしミサイルを背中に受けるピー助。
「ピー助ッ!?お前、なんで…!」
黒い爆煙に飲まれたピー助に向かい、叫ぶ。
なんで、どうして。
あいつはあたしの攻撃を分かっていたはずだ。
だというのに、どうして…。
やがて、黒い爆煙が晴れるとピー助は軽くこちらを振り向いて…。
あたしを見た。
紅いバイザーの中に隠れた瞳はきっとこちらを見ている。
そう確信が持てた。
『俺に任せろ』
なんだか、そう言われた気がして…。
あたしは武器を下ろした。
「クリスちゃん、攻撃は止めたみたいですね…」
「ああ。だが、何故ピー助は怪獣を攻撃しない。このままではいずれ市街地に到達して…」
戦闘の様子を見ながら最悪の想像をする。
街中であの巨体が暴れ回ったら被害は想像がつかない。
故に迅速に、確実にあの怪獣を倒さなければならないというのにピー助は何をして…。
「…もしかしたら、ピー助君はあの怪獣と戦う気はないのかもしれません」
「どういう意味だ立花」
「あの怪獣と戦うんじゃなくて、止めようとしてる…。そんな気がするんです」
止めようとしている…?
「殴られたからって殴り返したら、また殴られて、殴り返しての繰り返しになっちゃうんです。だから…」
「…なるほどな。つまるところピー助は立花と似た者同士ということだな」
「そう言われると照れ臭いですけど…。ピー助君もあの怪獣と手を繋ごうとしてる。その事がとっても嬉しいんです…」
「ああ。ピー助は優しい子なんだ」
しかし、このままでは市街地へ突入してしまう。
何とかして押し返していかないとまずいぞピー助…。
…なんか、寒くなってきたな。
多分、こいつの発する冷気のせいだけではないだろう。
少し、血とかオイルを流し過ぎたかもしれない。
それに噛まれたり引っ掻かれた傷口から少しずつだが凍っていって体内まで浸食しているようで正直かなり絶不調。
そのせいで自己修復機能も上手く作動していない。
あれだ、MUTOの電磁パルス受けたゴジラ並に具合が悪い。
くっそー!デバフの重ね掛け戦法なんて陰キャみたいなことしやがって!
やるならせめてバフ盛り盛りの方が好感持てるわこんちくしょう!!!
「キョオォォォォォォォン!!!!!」
ああもううるさい!!!
キョンキョンうるさい!
お前はこれからキョンって呼んでやる!
いいな!分かったな!?
「キョオォォォォォォォン!!!!!」
もうちっと鳴き声のバリエーション増やしやがれこんちくしょう!!!
俺なんてこんな鳴き声だって出せるんだぞ!
「キュアァァァァァァ!!!!!」
見たか!?
ピーばっかじゃないんだぞ!!!
もういい加減…。
「ピー!!!(鎮まりたまえぇぇぇぇ!!!!)」
俺の中でも渾身の叫び。
しかし。
「キョオォォォォォォォン!!!!!」
そこは鎮まってくれねえかなぁ?
もうマジなんなん?
どうしたら動き止めてくれるんや…。
動きを、止める…。
そういえばさっき、急に動き止まった瞬間があったよな…。あれはなんでだったのか…。
あの時何かあったか…?
記憶を探る。
ついさっきのことだけど、こいつ相手にしながらだったから正直自信はない。
だが、思い出すことが出来た。
歌だ。
クリスちゃんの聖詠が聞こえたんだ。
まさか、歌を聴いて一瞬大人しくなったのか?
…やってみる価値はあるか。
「ピー!(翼ちゃーん!)」
翼ちゃんを呼ぶ。
しかし届いただろうk…、
「ピー助ぇぇぇぇ!!!!どうしたぁぁぁぁ!!!!」
届いたみたいだ()
それでは続いてメッセージを送るか…。
「ピピピ~!!!(歌ってくれ!翼ちゃん!)」
…なんだろう、今の台詞、メッサー君みたいなんだが。
死ぬんか?俺はここで死ぬんか?
俺は…俺は死なないッ!
もうマクロスなんかガンダムなんか分からなくなってきたな。
「ピー!!!(こう…落ち着く感じの歌!)」
落ち着くやつ…頼みますッ!!!
「歌ってくれと言われても…落ち着く曲、落ち着く曲…」
翼は唐突なリクエストに困った。
普段のライブでアンコール等はあるがそれはあらかじめ組み込んであるもの。
即興で歌えと、更に落ち着く曲という指定までされたので若干焦った。
「落ち着く曲…あ!マリアさんなら子守歌とか知ってそうです!」
「それだ!」
響の案を採用し、マリアに連絡をする。
諸々の事情をマリアに説明するとマリアも困惑した様子だったが、それも最初だけですぐに歌い出した。
彼女が故郷から持ち出せた唯一のもの…Appleである。
ヘリのスピーカーから流れるマリアの歌声。
そこに調と切歌の歌声も重なり…。
翼、響、クリスのコーラスも合わさり、六人の歌姫の声が響き渡る。
そして…闇魏羅珠はその怒りを鎮めた。
作戦成功ッ!
闇魏羅珠は見事に大人しくなったぞ。
今ならコミュニケーション取れるやろ。
へいへい闇魏羅珠さ~ん。私、ガイガンというものなんですがね。
帰ろう。
俺達はもう普通に地上を闊歩は出来ないんだ。
だから…目覚めたばかりで悪いけど、また地下に行ってくれないだろうか?
ひどいことを言っているのは分かっている。
それでも、理解してほしい。
まだ今の人類は、怪獣を受け入れる準備が出来ていないんだ…。
これで、俺の言葉は届いただろうか?
依然として大人しいままなので聞いてくれていると思うが…。
しばらく、闇魏羅珠と見つめ合う。
こんなにロマンティックじゃない見つめ合いもそうそうないぞ。
…どれだけ見つめ合っているだろうか。
なんだよ…早くまた襲いかかるなりなんなりしてくれよ頼むからぁ!
こういう間は苦手なんだよ~!なんか喋った方がいいのかな?とか気にしちゃうからぁ!
内心では汗だくだくでいたら俺の思いが伝わったのか闇魏羅珠は踵を返して歩き出して…。
やった!勝った!
『…お前は』
あん?
聞き慣れない声がしたと思ったら、闇魏羅珠が立ち止まり、俺に話し掛けたようだった。
話し掛けられたらしっかりと答える主義である俺はしっかりと答える。
「なんですか?」
『お前は…怪獣か?人間か?』
一瞬、胸が強く脈打った。
その質問は俺が避けてきたものだった。
自分でもその辺は曖昧にしてきた。
それ故に半端者。
けれどあまりネガティブになり過ぎるのもよくないとポジティブな俺なりの答え…というか思考停止。保留とした結論がある。
怪獣か、人間かと問われたら俺はこう答えることにしている。
「両方さ」
あのあと、闇魏羅珠は俺の言葉を聞くと何も言わずに元々寝ていた場所に帰っていった。
いや、そこから入っていっただけで実際は地下を移動しているのかもしれない。
まあいいや。さっさと帰ろう…なんか寒いし…。
ちっちゃくなって翼ちゃんの乗ってるヘリにゴー…。
ただいま~…。
「ピー助!怪我は無事か!?…体温が低い!待って、いま暖めるから…」
「翼さんッ!?なんで脱ごうとしてるんですか!?」
「止めるな立花ッ!冷えた人間を暖めるのには人肌がいいと聞いた。実際海難事故で漂流した人を救助した漁師は裸で抱き締めたらしい。つまりこれこそが正しい処置だッ!!!」
「毛布とかあるから暖めるのは大丈夫です!だから翼さんは脱がないでくださいッ!!!」
「毛布風情が暖めるだと?毛布ではピー助の心までは暖めることは出来ないだろう!?」
「なんの心配ですか!?ピー助君の心は冷えきってなんかいませんよ!」
「いいや…大人達の都合で無理矢理戦わされて…汚い!大人は汚い!」
「もうなんの話ですか!?そんなことより早くピー助君を暖めて…」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ…。
「「ピー助(君)!?」」
チフォージュ・シャトー。
「それで、ガイガンの戦闘データは取れました?」
ファラが声をかけたのは、修復の終わった銀色の鉄人。
ジェットジャガーであった。
「いいや。あんなもの戦闘とは言わないだろう。私は本気のガイガンが見たいのだ。あんな消極的な戦いなど…データを取るにも値しない」
「そうですか。修復ついでに言葉を話せるようになったのはこちらとしてもやりやすいですね。…誰の口調を参考にしたかは少々気になりますが」
「ふっ…マスターと共に生きて数百年。それだけ稼働すれば性格というものは生まれるというもの。それよりも…やはりデータを取るには直接拳を交える方がいいか」
「それなんですが…これを」
ファラがジェットジャガーに見せたのは筑波の研究所から奪取したフォトスフィアの映像。
フォトスフィア…それはナスターシャ教授が遺したレイラインの地図。
地球上を走るエネルギーの道を記したものである。
「先程から、レイラインの一部が乱れているようです。これがどういうことか…あなたの方が分かっているのではありませんか?」
「ああ…。これは面白いことになりそうだ」
地球の地下深く…。
古の神々の胎動が響き始めた。
オマケ 出張ガイガン
原作の破壊者ピー助
九つの世界を巡り、その瞳は何を見る
…九つも巡れっかなぁ?
「それでも月は君のそばに」の世界
作者 キューマル式様
ピ「まさか遂に仮面ライダーと出会ってしまうとは…」
月「いろんな世界巡ってるのか…」
ピ「そういや元ネタの方でもBlackとRXの世界行ったり映画じゃシャドームーン出てきたし…そんときはライダー達から一斉攻撃されてましたねwww」
月「別人の話なはずなのになんか妙に腹立たしく感じるな…」
奏「よう!ここでなにしてんだって…なんだこのペンギンみたいな生き物」
ピ「ピー!?!?(奏ちゃん!?)」
奏「お、おう。急にテンション上がってどうしたんだ?」
ピ「生きてる!歩いてる!」
月「まあまあ落ち着け」
ピ「…帰る」
月「ど、どうしたんだ?テンションの上がり下がりが激しい奴だな…」
ピ「…ちょっと用事思い出したから。それじゃあ!」
つオーロラカーテン
月「行っちゃった…」
ガイガンの世界
翼「まったくピー助は…今日は奏の月命日だから一緒にお墓参りをする約束だったのに。これは…あいつ、もう来ていたのか」
お墓キラリ!
花供え~
ピ「…さぁてと、次の世界に行くk…」
翼「ピー助」
ピ「ピー!?(つ、翼ちゃん!?)」
翼「最近全く見ないから心配したのよ。ふふ…しばらく、離さないわ…」
ピ「ピ~!!!(誰か助けてクレメンス!!!)」
ピー助は無事に次の世界へ行けるのか?
それは…次回までにコラボ先が見つかるかにかかっている!
別にここで終わってピー助監禁ENDでもええけどね!