ちっちゃいガイガンになってた   作:大ちゃんネオ

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お待たせしました!
就活やテスト勉強などで執筆の時間がなかなか取れなくて申し訳ない…
エタりはしない、させない飲酒運転(違う)


決戦の朝、目覚めたもの/飛びたったもの

 マンダが放ったのは『超音波砲』

 体内にあるソナーの役割を果たす器官より放たれる衝撃波。

 レイアの妹はその衝撃波を諸に受け、身体を粉々に砕かれ、破片が水底へと沈みゆく。

 そして、S.O.N.G.本部の機器類はそれによって異常をきたし、一時的な行動不能に陥る。

 揺れが収まり、友里が顔を上げると、自身を守るように覆い被さるエルフナインの姿があった。そして、エルフナインは脇腹から血を流していて……。

 

「エルフナインちゃん!!!」

 

「……ボクは、誰に操られたんじゃなく、自分の意思で……」

 

「大丈夫デスか!?」

 

「早く手当しないと……」

 

「二人は医務室から医療用キットを持ってきて!早く!」

 

「目を開けてエルフナインちゃん!エルフナインちゃん!!!」

 

 友里の声が発令所に響く。

 エルフナインの生命が、儚く、砂時計のように堕ちはじめていった。

 

 

 

 

 

『周到に仕込まれていたキャロルの計画が最後の段階に入ったようだ。敵の攻撃でエルフナイン君が負傷。応急処置を施したが危険な状態だ。俺達は現在、東京に急行中。装者が合流次第、迎撃任務にあたってもらう』 

 

 緒川さんの運転する車内で司令からの通達を受諾。

 さっきよりは大分回復してきたので戦闘も大丈夫だろう。

 緒川さんの同僚が送ってきた東京の映像には空を割って、空に浮かぶ城のようなものが現れて現場は大混乱となっていた。

 あれだけデカイのを破壊するなら、俺が巨大化して熱線なりで攻撃するのが手っ取り早いだろう。なのでそれまで翼ちゃんの膝の上で小休止。

 というかなんだ、空を割って現れるとか。

 バキシムか?

 そして、空に浮かぶ城ってなんだ?

 ラピュ○か?

 ラピュ○なのか?

 特オタ的にはムルナウの城とか。

 いやあれは城というか洋館か?

 まあ、細かいことはいいだろう。 

 一休み一休み。

 

「ピー助。無理はしないで」

 

 ……分かってるさ、翼ちゃん。

 正直なことを言うと、翼ちゃんに心配かけすぎてること反省してるんだ。

 だから、もう心配かけないようにする。

 出来るだけ。

 それなりに。

 最低限。

 まあ、身体が動くうちは大丈夫だし?

 それにほら、ガイガン忍法あるし?

 鉤爪が無事なうちは復活出来るし?

 なんなら十二の試練的なところあるし?

 ピー助は強いね、とか翼ちゃんが言えばバーサーカー並の強さ誇ってやるし?

 大丈夫やで。

 それに向こうにはもうキャロルしか残ってない。

 戦力差で言えばこっちのもんなんだからいけるいける。

 ……ふう。

 ここまで舌が回るようになれば大分調子を取り戻してきたようだ。

 だけどなんだろう、この胸騒ぎは。

 なにか……とても、気持ち悪い……。

 この、感覚は……?

 

 

 

北上川上流岩屋村

 

 風が吹き荒び、人は立っているので精一杯だった。

 そして最も風が強い。

 いや、風が集まっていたのは古より【神】が住まうと言い伝えられてきた婆羅蛇湖。

 その湖はいま、神の怒りを思わせるほどに荒れていた。

 周辺住民達がその様子を心配そうに眺めている。

 その中でも最も高齢である魚崎という男がこの地に伝わる【神】の名前を呟いた。

 

「婆羅蛇魏様じゃ……」

 

 そして、湖の中から現れる大怪獣。

 頭部から背中にかけて一列に並んだトゲが特徴的な護国聖獣の一柱。

 

 風の護国聖獣【婆羅吽(バラン)

 

 

新潟県妙高山

 

 山が崩れ、現れる巨大な影。

 狛犬にも似たような四足歩行の赤い獣は空に向かって吼えた。

 すると周囲の気温は一気に上昇し、周囲の木々が燃え盛り、炎が獣の赤き巨体を照らした。

 

 地の護国聖獣【婆羅護吽(バラゴン)

 

 

大阪金剛山地

 

 奈良県との県境にあるこの山地にそれは再び姿を現した。

 かつてガイガンと戦った聖獣。

 金色の身体に金剛石のような背中の棘。

 

 氷の護国聖獣【暗魏羅珠(アンギラス)

 

 

鹿児島県池田湖

 

 湖の上にその巨大な繭は突如現れた。

 なんとも奇怪な光景を湖付近にいた人々は次々とスマホを片手に写真に納めていく。

 そしてそれは、羽化の瞬間を迎える。

 繭を突き破り現れる、透明な羽。

 巨大な蝶、あるいは蛾に似た無色の身体がこちら側の世界へと現れた。

 身体全体が現れると、その身体に色が流れ始める。

 色彩豊かな姿へと変貌していく様を、人々はレンズではなく、自身の瞳に納めようとその機械を持つ手は下がり、飛翔の瞬間までしばらく見つめていたのであった。

 

 水の護国聖獣【最珠羅】

 

 

富士樹海

 

 その上空から、金色の粒子が地上へと舞い降りていた。

 その正体は分からずとも、人間はその光を貴きものだと認識した。

 空にポカンと開いた黒き穴。

 光はそこから降ってくる。

 その光の嵐の中、黄金の竜王が人の住まう下界へと舞い降りた。

 

 天の護国聖獣【魏怒羅(ギドラ)

 

 

 

 

 

『翼!聞こえるか!』

 

 謎の胸騒ぎに襲われていると、唐突に司令からの通信が入った。

 さっきと違いかなり焦っているようだが……。

 

『緊急を要する事態だ。護国聖獣のうち、爾羅を除く五体が活動を開始した!』

 

 は?

 こんな状況で?

 いや、こんな状況だからか。

 世界の分解なんて事態に怪獣達は自身の生命を守るために活動を開始した。

 とりわけ護国聖獣なんてのは国を護るための最終手段だ。国のためなら人は関係ないまである。

 そんな奴等が世界の分解なんて国どころか世界の危機に目覚めないはずもない。

 奴等は言うなれば、この国の白血球なのだから。

 それに最近の怪獣出現騒ぎで奴等も眠りが浅くなっていたのかもしれない。

 アンギラスが起こされたのもあって、同調していたのかもしれない。

 様々な予測が脳内を走り回るが、それよりもどうする。

 五体の怪獣が現れたとなると俺一人ではどうもしようがない。

 

『護国聖獣達は東京を目指している。狙いはキャロルの城だ』

 

『話の途中失礼します。いま判明したのだけれど、その、護国聖獣は……』

 

 通信に割って入った山根博士だが、その言葉切れが悪い。

 なにか、嫌な情報でもゲットしたのだろうか?

 

『その、科学者の私がこういうことを言うのはあれなんだけど……護国聖獣は()()となってロスト。そしてたったいま東京に集結したわ……』

 

 は?

 は?

 え、なにそのオカルティック。

 駄目だよ俺そういうの弱いからさ。

 いや、マジで。

 え?てか東京に集結?

 東京終わったじゃん。

 東京SOSどころじゃないよもう。

 というわけでもう帰ろう()

 あいつらいれば大体なんとかなるって()

 

「このままじゃ東京が……」

 

「護国の名を冠するものならば国を護るために戦うのだろう。しかし、怪獣達では人間のことを考えるなんてことは……」

 

 せやね。

 クニは考えてもヒトは考えてないからね恐らく。

 

「私達では怪獣の相手なんて……」

 

 なに弱気になってるの翼ちゃぁん!!!

 いつものように剣として頑張ります的なね、やる気はどうしたのやる気は!

 

『というわけで、ピー助に緊急出動命令だ』

 

 ほらねこうなるんだから()

 嫌だ嫌だ!

 なんで護国聖獣五体も同時に相手しなきゃいけないわけ!?

 駄目だよそんなん!

 無理だよそんなん!

 だって向こう集結しちゃってるもん!

 護国クライマックスだもん!

 魏怒羅の奴が行こうぜぇ~って言ってるもん!

 闇に堕ちた誰かのお父さん助けに行くとこだもん!

 絶対敵が邪神だよ邪神!

 そんなん相手に出来そうな連中相手になんで単独で挑まなければいけないんや!

 

「ピー助…すまない。私達ではどうしようもないのだ…。お前に頼るしか他ない…」

 

 …あー!そういうこと言っちゃう!

 言っちゃうんだそういうこと!

 いいよ!

 いきますよ!

 ええ!ええ!行ってやりますとも!  

 翼ちゃんを守るためにも行ってやりますとも!

 へい緒川さん!窓開けて!

 そっから飛んでくから!

 いいよね、移動中のところから出撃するの。

 G3大好き!

 というわけでいざ行かん。

 ピー助、行きまぁぁぁ……。

 

『東京に新たな巨大生物…いえ、巨大ロボット出現!』

 

 飛び立とうとした瞬間、新しい報告が入った。

 俺は勢いが殺されて、思い切り翼ちゃんの膝の上でずっこけた。

 というかなんだ、ロボットだって?

 

『あれは…以前、ピー助君が倒したはずの!』

 

 は?

 ジェットジャガー…あいつ!

 くそ!大人しく眠っていられず棺から出てきたか?

 いや……。

 俺と同じナノメタルで造られた存在である奴なら俺と同じような再生力を有していてもおかしくはない。

 事実やつは五千年前に一度倒したが復活したのだ。

 ならば二度目があったっておかしくない。

 俺と同じで、かなりしつこいということだ。

 それにしてもいま出てきて奴はどうする?

 キャロルの城の防衛が目的か?

 だとしても、相手は護国聖獣五体。

 とてもじゃないが、厳しいというものじゃないだろうか?

 そう思うと同時に、もうひとつの考えが浮かんだ。

 奴は、護国聖獣達相手に勝算がある。

 そうでなければ正面切って出てくるとは思えない。

 

 ……ここであれこれ考えていてもしょうがないか。

 

「ピー」

 

「なに?ピー助?」

 

「ピー!(ガイガン、出るぞ)」

 

「ピー助……必ず、帰って来るのよ」

 

「そうよ!ここで帰らぬ人になれば翼が本格的に病むんだから!」

 

「いやそれはマリアもそうだろう」

 

 いやいや実はね翼ちゃん。

 マリアさん最近仕事も恋も順調って感じなんやで。

 

「なっ!?」

 

「ほう?それでそれで?」

 

 お相手は調査部でマリアさんにエージェント教育施した…。

 

「ちょっと!今はそんな話してる場合じゃないでしょう!?」

 

 へへっ。

 さて、肩の力が抜けたところで今度こそ出撃するか。

 

「ピー助…」

 

 大丈夫だよ翼ちゃん。

 俺は先に行ってるだけだから、キャロルとかそこら辺は頼むね。

 それじゃあ、勝ちに行こうぜ!

 

「ピヤッ!!!」

 

 窓から飛び出し、車と並らんで飛びながら巨大化する。

 そして、因縁の相手のもとへと飛び立った。

 今度こそ、今度こそ決着をつけるんだ…!




護国聖獣達の登場シーンはオリジナルとオマージュとって感じで。
聖獣とか神扱いなら盛ってもええやろって感じで。
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