ギンガ団員、ガラルにて   作:Ly

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25-vsキバナ メジャージムリーグ⑥

 

 フィールドの中心で向かい合うルリミゾとキバナ。どちらも自然体で、ただ目の前の相手だけを見据えていた。

 

「一位の座を貰いに来ました。ナックルスタジアムの掃除、ちゃんとしておいてくださいね」

「言うじゃねえか、今年もチャンピオンへ挑戦するのは俺サマだ」

 

 スマホロトムで自撮りをして、ドラゴンポーズを決めるキバナ。いよいよルリミゾにもポーズと投げ方を考える日が来たようだ。勝てばポーズを考えよう、と決めた。スマホロトムはキバナの周囲を漂っている。

 

 サイドスローで投擲するキバナ。事前に公開されていた手持ちは砂嵐のパーティだった。おそらくギガイアスだろう、と考えながらルリミゾはウォーグルを繰り出す。

 

 

 

 

ジムリーダーの キバナが

勝負を しかけてきた! ▼

 

「ギガイアス!頼んだぜ!」

 

 やはりギガイアス。砂嵐が吹き荒れる。

 

 砂に慣れているポケモンでなければ傷を負うし、パフォーマンスも低下してしまう。ルリミゾはあらかじめ用意していたゴーグルを付けて目を守る。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ウォーグル!?」

 

 別室で観戦しているジムトレーナーたちは困惑に包まれていた。

 

「ギガイアスは岩タイプで、ウォーグルは飛行/ノーマルタイプですよ!?ギガイアスのあの硬さはウォーグルじゃ一撃で突破できないし、逆に一撃でやられますよ!」

「ああ・・・だけど無策でウォーグル出すような奴じゃねえ、何か考えてるんだろ」

 

 種族としての差を埋めるような奇策。期待と困惑半分にジムトレーナーたちは見守る。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ウォーーーーーグルですか!?」

 

 予想外の選出に声が伸びるカキタ。

 

「ええ、予想外の選出です!またしても奇策!これから何が始まるのでしょうか!?」

 

 ミタラシの実況と同時、スタジアムが吹き荒れた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 ジムリーダー1位、ドラゴンストームのキバナは思考を巡らせる。

 

(何を考えている・・・?『インファイト』で先に倒すつもりにしても火力が足りないハズ・・・対してギガイアスは『ストーンエッジ』、いや命中率を考えて『いわなだれ』でも一撃で倒せる)

 

 と、汗が流れたところで気付く。

 

(ダイマックスすれば『いわなだれ』を耐える!最初に『ダイナックル』で攻撃力を上げ、『ダイジェット』で加速するつもりだ!あえてギガイアスに出して起点にするつもりか!)

 

 ルリミゾがウォーグルをボールに戻すと同時、キバナもギガイアスをボールに戻す。ダイマックスバンドから力を送り、ボールを巨大化させる。

 

「荒れ狂えよ俺のパートナー!スタジアムごと奴を吹き飛ばせ!!」

 

 熱が入り、両手を握りしめて叫ぶ。巨大化したボールを構えて一枚自撮りをパシャリ。投げた先でギガイアスが巨大化していく。

 

「あはは!流石ですキバナさん!()()()()()()!」

 

 既に指示を出したギガイアスが「ダイロック」を放った先にいたのは

 

「カビゴン!耐えてくださいよ!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 カビゴンだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「どうしたキバナ選手!?突然初手からダイマックスだ!!巨大な岩がカビゴンに倒れて襲い掛かります!」

「なぜだ!?何が起きている!?」

 

 必死に状況理解に努めるカキタ。解説としてこの展開の理由を紐解かなければならない。ミタラシが時間を稼ぐ。

 

「カビゴン、それでもまだ余裕がありそうです!流石の耐久力です!あと一、二回は耐えられるでしょう!」

 

 またしても隣で呆然としているカキタに解説を振る。

 

「なぜこのような形になったんでしょうか?」

「これは・・・ルリミゾ選手がキバナ選手をリスペクトしていたからこそ起きたことです」

 

 頭の中で言うべきことを整理するために一瞬間を置くカキタ。試合が動く前に伝えなければならない。

 

「ウォーグル対ギガイアス。このマッチアップは普通に戦えばギガイアスの後出しの一撃でウォーグルが落とされてしまいます。しかし、ウォーグルがダイマックスした場合話が変わってきます。ダイマックスすれば『いわなだれ』を耐え、おまけに『ダイナックル』で攻撃力を上げ、そのあと『ダイジェット』で加速しギガイアスを倒し切れます。すると攻撃力・素早さともに上がった状態で体力を半分以上残したウォーグルが誕生してしまう、というわけです」

 

 一呼吸おいて続きを話す。

 

「それを想定したキバナ選手が、最悪の展開を避けるためにダイマックスしました。しかし、ルリミゾ選手はここまでキバナ選手が読むことをリスペクトしていたんです」

 

 とんでもなく長い解説。普段から淡々と語るスタイルのカキタだが、今回は息が上がっている。

 

「それがカビゴンへの交代ですか」

「ええ。カビゴンはあと一回『ダイロック』を受けても耐え、きのみで回復するでしょう。そうすればどんどんキバナ選手のダイマックスは・・・」

「ほぼ無駄打ちになってしまう!」

「ええ。おそらくここでルリミゾ選手はダイマックスを切って、『ダイスチル』で物理耐久を上げにいくでしょうね」

 

 とんでもない策士です、とだけ続けてキャスター二人は試合を食い入るように見ていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「行くわよ!カビゴン!」

 

 マイクで拾われたルリミゾの声がスタジアムに響く。観客がテンションを上げていく。ここはキルクススタジアム。ルリミゾのホームだ。マクワが大人気だったとはいえ、しっかりと活動し、町の人々と関わってきたルリミゾのファンは多い。

 

「「「「ハイ!ハイ!ハイハイハイハイ!」」」」

 

 やけに観客の声が聞こえるな、とルリミゾは思った。普段以上に集中しているのに、やけに五感が冴えている。ゴーグル越しにスタジアムを見渡せば、すべてが自分の味方とすら思える。

 

「あたしは!もう後には退けない!」

 

 ダイマックスバンドが光る。胸に火が灯る。

 

「キョダイマックス!」

 

 スタジアムを揺らす、歓声と巨体。気持ち良くてたまらない!

 

「あはは!」

 

 堪えきれずに笑う。両手を広げて天を仰ぐ。ずっと裏で戦ってきたルリミゾにとって、スタジアム全体を味方に付けて戦うのは初めてだ。今までの試合は全てアウェイで、加えて集中で歓声が聞こえていなかった。

 

「「「「オーオーオーオオオオーオーオー」」」」

 

 空気を震わせる歓声が、肌に突き刺さる砂嵐が、その向こうの突き抜けるような青空が、立ち塞がるギガイアスとキバナが。

 

 全てが鮮明に感じられる。

 

「ダイスチル!」

 

 この壁をぶち抜いてくれと叫んだ。

 




一ターン目と二ターン目の始まりまでです。ポプラ以上に長くなるかもしれませんね。かなりの大一番なので力を入れます。もしかしたらキバナ戦の間は投稿頻度が落ちるかもしれません。

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