~リディアン~
「――と、言うことで、今日から君たちと一緒に働くことになったイバラキくんだ。皆、拍手を」
「どうも」
ここはリディアンの清掃員控室。
ここでは新たに入った仲間を歓迎していた。
「俺の名前はイバラキ。歳は22歳。そして、趣味はヒーローだ」
「ヒーロー?あなたおかしな人ですね」
「確かに。それに、22でその頭って……ちょっとウケる」
「あ゛?」
女性従業員の言った言葉にキレたイバラキ。彼に頭のことは禁句なのである。
イバラキから放たれた殺気に女性従業員は『ヤバい』と感じて即座に謝った。
そして、その殺気を感じたのは従業員全員だ。
「ゴホンッ!!まぁ、皆で仲良くやってくれ。それじゃあ解散ッ!」
そうして男が部屋から出ていくと、ある男性従業員がイバラキに話しかける。
「イバラキさん。早速ですけど、なんで趣味がヒーローなんですか?」
「……少し長くなるが、聞くか?」
「それじゃあお願いします。まだ始まりより時間あるんで」
「それはだな……
――――――――――――――――――
それは俺が19のころだ。
「……面接、また落ちた……」
その時、俺はまだ髪はあった。
スーツを着た俺は採用試験に落ちて、トボトボしながら家にアパートに帰ろうとしたんだけど……。
「ノイズだぁ――――――――ッ!!」
「逃げろぉ――――――――ッ!!」
「えっ、ノイズ!?」
そこにはノイズがいたんだ。
俺もすぐに逃げようとしたんだが……
「うえぇええええん!!ママ!!」
「タカシ!!」
そこには逃げ遅れた子供がいたんだ。
普通なら他人は見捨てて逃げてしまうだろうが……
「ッ!!」
俺はいつの間にか走っていたんだ。
そして子供を助けて、子供を抱えながら再び逃げた。
「ありがとうございますッ!!」
「お礼はいいから今は逃げるぞッ!!」
そして三人ともども無事シェルターに入ることができ、その場は功を期したんだ。
俺は、あの時の言葉が忘れられなくてね……。
だから、ヒーローになろうと思ったんだ。
―――――――――――――――――――――――
「すごいですね…それ、イバラキさん」
「俺もあの時どうして体が勝手に動いたのかはわからないんだけどよ。まぁそれで、俺は強くなった」
「そのくだりがわからないんですけど…」
「それはな「おい、そろそろ時間だぞ」あ、じゃあまたな」
「それじゃあ頑張ってください」
そうして皆それぞれの担当場所へと向かって行った。
「………と、言うのが、彼が強くなろうとしたきっかけだそうです」
ところ変わって特異災害起動部二課。
最初にそう言ったのはイバラキと話していた男である。
「なるほど……ご苦労だった。引き続きよろしく頼む」
「分かりました」
そうして男は出て行った。
「彼にはそんな過去があったのか……」
「子供を守るのは、素敵なことだけど……」
「無謀でもある」
「でも、結局あの強さの秘密はなんなんだ?」
「さぁ……でも、とてつもないことをしているのは確かだ」
「改造手術、遺伝子操作、秘薬などを投与したという記録もない。一体何なのだろうか…?」
「まぁ、考えるだけ無駄か……ところで、緒川さんは?」
「慎次ならもう回復している。トレーニングルームで自分の速さをさらに極めようとしているらしい」
「まだ病み上がりなのに……」
「……イバラキ君に負けたのが、そんなに悔しかったのね……」
「あっ、今日は肉が安い。行かなきゃな」
そんな地下のことを全く気にしないイバラキは、今日も特売日に出掛けるのであった。