歌姫と強すぎるリディアンの清掃員(ヒーロー)   作:龍狐

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イバラキ、名前をすごく間違える

~休憩室~

 

 

ここは清掃員の休憩室。午後になったということで、お昼ご飯を食べている。

 

 

「そういえば……結局【スキンヘッダー飛び降りさん】の話、最初に見られてから誰も見てないらしいぞ?」

 

「最初は幽霊なんじゃないかって言われていたけど、実際は人の顔の紙を張り付けた木の人形だったとかの噂もあるぞ」

 

 

前回、イバラキが屋上から飛び降りたことにより噂になった【スキンヘッダー飛び降りさん】。二課の情報操作と後藤さんの叱りによってそれをしなくなったイバラキ。そのために見るところが見れないのだ。

 

 

「なぁ後藤。お前ほんとにあそこになにもなかったのか?」

 

「えっ!?あ、あぁ……実はあの後よく探してみたら本当にあったぞ。それが」

 

 

後藤さんは二課の一員。情報操作のために嘘の情報を流す。

 

 

「なんだぁあ~~やっぱり誰かのいたずらか?」

 

「その犯人はまだ見つかってないらしいがな」

 

「……本当にそんなのあったっkモゴ…」

 

 

イバラキがすべてを言い切る前に口を塞ぐ後藤さん。

 

 

「静かにしてろッ」

 

「う、うん……」

 

「ところで話は変わるけどよぉ~。風鳴翼のシングルCD。お前あれ買ったか?」

 

「ああ。買ったぞ。あのライブ事件で天羽奏がもうステージに立つことができないってことでツヴァイウィングが解散して、もう半年くらいか?」

 

「なんでも、足を痛めたって話だ。激しく動くと痛むんだってよ。走ることくらいはできるけど、ステージに立つことができないって報道でやってたしな。本人にとっては、さぞかし辛いだろうなぁ~~」

 

 

同じ清掃員がツヴァイウィングの話をしていた。

『天羽奏はライブ事件で足を痛めてステージに立つことはできない』というのが一般になっているが、実際、【天羽奏】は『LiNKER』という薬の副作用でもう充分に戦えないというのが本来の理由である。

 

だが、実際の実際は……

 

 

「……(翼さん。こいつに負けてからかなり修業量が増えたんだよな……でも、いくら修行の数を増やしたところでこいつには勝てなさそうだが……)」

 

「ん?どうした?」

 

「いや、別に?(ていうか、奏さんが戦えなくなったのは絶唱と、こいつの一撃で吐いた嘔吐物にLiNKERの効力すべてが吐き出されたって聞いてるんだよな……嘘か本当かわからないけど、なんだ?こいつの攻撃は医療にも役立つのか?だとしても喰らいたくねぇ)」

 

 

あの時、イバラキが去ったあと、奏が吐いた嘔吐物にLiNKERの効力がすべて吐き出され、実質奏はシンフォギアを纏えなくなった。それにはもちろん、絶唱のバックファイアというおまけもついている。

 

 

「(診断結果を見た了子さん。すごく驚いた顔してたな……まぁ実際俺も驚いたわ)」

 

「なぁ、お前ら……」

 

 

かなり考え事をしている後藤さんはイバラキの言葉で一旦考えるのをストップした。

 

 

「なんだ?イバラキ」

 

「お前らがさ、言ってるその二人―――

 

 

イバラキがそう言おうとした瞬間、休憩室の扉が開けられる。

 

 

「失礼します」

 

 

『『『『『ッ!!??』』』』』

 

 

清掃員全員が、その人物を見て驚いた。

何故なら……

 

 

「あ、天羽奏さんッ!?」

 

「なんでツヴァイウィングの一人がここに…!?」

 

 

そう、天羽奏だ。

二人は休憩室に入ると、イバラキの前に立つ。

 

 

「久しぶりだな。イバラキ」

 

「(奏さん、なにやってるんですかねぇ…?)」

 

 

奏の言葉にざわつく休憩室。

一部嫉妬の目でイバラキを見ている者もいる。

 

そして後藤さんは二人の行動に驚きを隠せなかった。

 

 

「………」

 

「おい、聞いてんのか?」

 

 

ずっと黙っているイバラキだったが、ようやく口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前……誰…?」

 

 

 

 

 

『『『『『はぁ!!??』』』』』

 

 

 

 

まさかまさかの発言に驚かざる負えない人々。イバラキを嫉妬の目で見ていた人たちも流石にこれには驚きを隠せない。

奏もイバラキのまさかの発言に驚きを隠せなかった。

 

 

 

「な、なぁあんた……冗談だろ?冗談に決まってるよな?だって、一回も会ってるしな」

 

 

イバラキの口から発せられた言葉を今だに信じられない奏は何回も聞く。

だが、イバラキの口から出たのは……

 

 

「いや、知らん。ていうか初対面だよな?」

 

「いや会ってるよッ!!」

 

「嘘つけ。俺にはあんたの記憶ないぞ?」

 

「アタシにはあるんだよッ!!」

 

「……ところでさ、お前結局誰なの?」

 

「………天羽奏だよ。ちゃんと覚えろよっ!」

 

 

「オッケー。【アンコ カライデ】な。覚えとくぜ」

 

 

「違うっっっ!!!【天羽奏】だッ!!あとアンコは甘いからな!?」

 

 

自分の名前を言った早々自分の名前を間違えられたことに腹を立てる奏。

それを周りで見ている人たちは『普通有名人の名前間違えるかッ!?しかも本人の前でッ!?』と思っていた。

 

 

「まぁまぁ落ち着けよ。【アーマード カリバー】

 

 

「天羽奏だッ!!ていうかさっきより酷くなってるじゃねぇかッ!!」

 

「(……こいつ。わざとやってんのか?)」

 

 

怒りならがツッコミを入れる奏。

そしてイバラキの名前の間違いはわざとやっているのではないかと疑う後藤さん。

 

 

「うるせぇなぁ~~。後藤さん、この人結局なんなの?」

 

 

イバラキが後藤さんのことを呼ぶと、後藤さんを睨みつける奏。

その目には『なんであんたは名前覚えられてんだよッ!』と言う意志が込められていた。

 

 

「(奏さん…目が怖いッ!)……イバラキ、その人は大人気アーティストのツヴァイウィングの天羽奏さんだ」

 

「知らん」

 

「ッ……!!!」

 

 

まさか一度戦った相手に忘れられるとは思いもしなかった奏。しかも名前すら憶えられていない事実。

それに相当ショックを受けた奏はフラフラした足取りで、

 

 

「し、失礼…しました…」

 

 

休憩室を後にしようとした。

……だが、さらにそこにイバラキは追い打ちをかけてしまった。

 

 

「じゃあな、鳥野 開子(とりの かいこ)さん」

 

 

「もうそれただの別人じゃねぇかぁあああああ!!!!」

 

 

すごい速さで休憩室を出て行った。

 

 

『『『『『…………』』』』』

 

 

そして冷たい目でイバラキを見る清掃員たち。

 

 

「……食おうぜ、飯」

 

「……(イバラキ、お前……何してんだよ……)」

 

 

周りの目に気付かないイバラキは、黙々とお弁当を再び食べ始めた。

 

 

 

 

 




~おまけ~


「翼ぁああああああああ!!」

「ど、どうしたの奏?」

「アタシの名前、【アンコ カライデ】とか、【アーマード カリバー】とか、【鳥野 開子】とかじゃないよなッ!!??」

「どうしたの急にッ!?」

「グ、グス……後藤さん…ズルい…」

「???」(状況がよくわからない)


――――――――――――――


奏さんの前線復帰は今作はありません。
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