皆さんは、どうお過ごしですか?
暗い雰囲気になってしまいましたが、どうぞ!!
「さてと…今日も仕事だ」
あれから二年。正確には一年と半年
イバラキは今日も仕事のためにリディアンへと向かっていた。
ちなみに、あの後、弦十郎から『二課に来ないか?』と誘われたが、イバラキはそれを拒否。理由は単純、『趣味をそこまで本格的にする必要はない』とのこと。
イバラキは大抵自由だ。
自分の趣味活動を他人に指図、命令をされたくないのだ。
だが弦十郎は諦めなかった。
『では協力者と言う立場はどうだろうか?それだったら命令に従うこともなく、君の思うがままに行動することができるぞ?』
それにイバラキは出した答えは……
『見返りは?』
だった。
イバラキはもやは人間からかけ離れていると言っても過言ではない存在。
だが、彼とて人間。それくらいの欲は持つものだ。
弦十郎は『ノイズを倒すのに協力してくれたら、それ相応の報酬――もとい給料を払おう』と言ったところ、
『じゃあその協力者ってのになってやるよ』
と、答えた。
上から目線の言い方だが、本人はそんなこと全く考えていない。
その返答に主に翼などが嫌や顔をしたが、翼はイバラキの強さを知っているために口出しすることはできなかった。
ちなみに、弦十郎とて、他人の意見を尊重する人間だ。
だから普通ならここで引き下がるかもしれないが、イバラキは力以外は一般市民だ。
そのためにもしなんらかのトラブルが起きないように、二課の協力者と言う立場を作り、イバラキの安全を確保しようとしたのだ。
そして現在、イバラキは二課の協力者としても働いている。
協力者なため命令を受けることはなく、ただノイズを倒すだけで給料がもらえるという好待遇状態だ。
そのたびにお金が入ってくるので余裕ができ、月一に寿司を食べれるほどになったらしい。
だが、特売日の執念は今もかなり強くなっている。
いくらお金が入ったからと言って今までの習慣がすぐに抜けるわけもない。
その状態が今も続いており、貯金がかなり貯まっているが、本人はあまり気にしていない。せいぜい『困った時のために使おう』という考えしかないのだ。
つまり、高収入ながらもただ月一の寿司という贅沢しか、二年前と変わったところはない。
「さてと………そろそろ着く……ん?」
すると、イバラキは足を止めた。
理由は……
「んっーしょッ!んっーしょッ!」
木に登っている学生服の少女がいたからだ。
「(あれ……うちの学校の制服じゃね?どうしたんだ?)」
イバラキは不思議に思いその少女の元に駆け寄る。
「おい、お前、どうしたんだそんなところで」
「あっ、すみません!どうやら、この子が降りられなくなっちゃったみたいで……」
少女が登っている木には、猫がいた。
「なるほどなるほど……。じゃあ俺がやるよ。女の子が木登りなんて危ないからな」
「えっ?」
そして、イバラキは『ジャンプ』をして猫を確保し地面に着地した。
「えっええええ!?」
その瞬間、少女は驚いて木から手を放してしまう。
「あっ……」
その少女は地面に激突しそうになった。だが……
「大丈夫かよ」
「あっ、はい……」
それをイバラキが抑えていた。
イバラキは少女を下した。
「あの、ありがとうございます」
「いいんだよ。それより……その制服、うちのだよな?」
「うちの……?あっ!!もしかして、あなたってリディアンの先生ですかッ!?」
「違う違う。俺は清掃のアルバイトだ」
「あっ、そうなんですか……失礼しました。あっそうだ。自己紹介が遅れました!私、【立花響】っていいますッ!!」
「へぇぇ……俺の名前はイバラキだ」
「イバラキさんですかッ!よろしくお願いします!」
「おうよろしく。ところで……もうすぐでチャイムなるぞ?」
「あぁぁあああああああ!!!いけないどうしようっ!!?このままじゃ完全に遅刻だぁ――――!!!」
「お前…バカだろ…」
「だって、困っている人をほおっておけないじゃないですかッ!」
「まぁ……それはわかるけどよ……。仕方ねぇな。俺が送って行ってやるよ」
「えっ、いいんですかッ!?」
「おお、任せとけ」
このとき、響は完全に車かなにかだと思っていた。
だが、現実は……
「よいしょっと」
「えっ?」
ただ、担いだだけだった。
「よし、お前のバックもしっかり持ったし、これで大丈夫だな」
「あの……この後どうするんで……」
「走る」
「えっそんなので間に合う訳―――」
その瞬間、イバラキたちはその場から消え、逆にそこに小規模の竜巻が生まれた
「あばばばばばばばばば!!!!!!!」
「どうした?」
「あばばばばばばばばば!!!!!!!」
「何も聞こえないぞ?」
「あばばばばばばばばば!!!!!!!」
こんな普通の人間が耐えられるわけのないスピードの風を受けた響は、もはや何もできなかった。
そして、五秒後
「着いたぜ」
イバラキがついた場所は、清掃員用の出入り口。そのために誰にも見られていない。
そもそも登校している生徒も何人もいたが超スピードなためイバラキの姿を見ることができなかったと言うのが正しい。
「あ、ありがとう……ございます……」
「ほんじゃあな」
そうしてイバラキは清掃員用の出入り口に入っていく。
「……あの人、なんなんだろう……?あっ、早くいかないとッ!」
~翌日~
時間帯は昼食。
「…【未来】……聞いてほしいことがあるんだ……」
「何?響?」
昼食の時間帯、響は親友の【小日向未来】に話しかけた。
「実はね、昨日学校に行く途中に、猫が木から降りられなくなってて、助けたんだよ。おかげで遅刻しそうになったけど…」
「それ大丈夫?怪我とかしなかったの?ていうか…遅刻しなかったけど?」
「うん。最初は遅刻しそうになったんだけど、ある人のおかげで、遅刻せずに済んだんだ」
「そのある人って?」
「うん……実は、昨日これを言わなかったのはさすがの未来でも信じて貰えないんじゃないかぁーって思ったからなんだ」
「何言ってるのよ、響。私は響を信じるよ」
「うぅ~~ありがとー未来ぅ~~!」
「それで、その人って一体誰なの?」
「それはね「おっ、響じゃないか」…?あっ!イバラキさん!!」
そこには、清掃員の恰好をしたイバラキがいた。ちなみに、清掃用具も持っている。
「どうしたんですか?わざわざ食堂まで来て……」
「いやなに。ちょっと掃除に必要なものがこの食堂の掃除用具室に置かれてるらしくてな。それを取りに来たんだ」
「へぇ~~~」
「響。もしかして今言ってた人ってこの人?」
「そうだよッ!!そうだイバラキさんッ!この人、私の一番大事な親友の
「へぇ~~よろしくな、
「
「そうか、すまねぇな
「あの……わざとやってるんですか?」(#^ω^)
未来のこめかみが徐々に上がってきている。
ちなみにイバラキに全く悪気はない。怒ってきている未来をみて響は『あわわわ、どうしよう…』と言っている始末である。
すると……
「見て風鳴翼よ!」
「芸人オーラが出てて近寄り難いって感じね……」
「孤高の歌姫って感じ……」
そこに、響たちの先輩であり、世界的に有名なアーティスト、【風鳴翼】も現れた。
アーティストは一般市民にとっては近寄り互い存在。だが、その暗黙のルールを破るヤツがいた。
「おっ、また会ったな、元気か【風鳴 ツートン】」
―ピシッ―
その時、周りの温度が数度下がった。
そりゃあそうだろう。まず第一に一般市民が有名アーティストに話しかけたこと。
そして、名前を間違えたのだから。
そのせいで周りの
ちなみに、さっきの音は決して温度が下がった時の音ではない。
翼はその瞬間、持っていたトレーをヒビを入れたのだ。
「翼だッ!!」
「まぁまぁそんなに怒るなよ」
「怒るに決まっているだろう!!貴様は何故毎回毎回私の名前を間違えるのだッ‼いい加減覚えろッ!」
先ほどとは打って変わって翼の印象が180度変わったことに
「……イバラキさん…翼さんと仲いいのかな……」
「あれのどこが仲がいいと思うの?」
翼がイバラキに口論しているのを端で見ていると、
「あちゃ~またやってるよ」
響の後ろの席から声が聞こえた。
その声の主は響たちの先輩だ。
「やっほ後輩お二人ちゃん。せっかくだから教えてあげるよ。あれのこと」
「あれって……あれのことですか?」
そう言って未来は翼とイバラキの方を見る。
「そうそう。あれはもう気にしなくていいよ。だってあの人、もう彼此二年近く翼さんの名前を間違え続けているからね」
「二年ッ!?」
「そう。今年で三年目になるよ。翼さんはこの学園生活での夢が『イバラキに私の覚えさせる!!』って大声で宣言してたほどだからね」
「そこまでなんですかッ!?」
「そうそう。あの人は今まで翼さんの名前を幾度となく間違え続けんだ。しかも、翼さんの相方の天羽奏さんも名前を間違えられたらしいんだよ」
「奏さんもッ!?」
「そうそう。奏さんなんかすごく名前を間違えられて滅茶苦茶怒ってたし……」
「……あの人、大勢の人から嫌われてるんじゃないですか?」
「まぁ…同じ仕事仲間の過半数に嫌われているのは確かだけど……まぁ私たちにとってはすでに毎日行事…イベントに化してるんだよねぇ…。まぁ私は普段見れない翼さんを見れるから嫌いと言うほどではないけど…」
先輩からまさかの事実を伝えられ、唖然としている二人。
よく見ると、周りの新入生たちも先輩たちに事の八端を教えられているようだ。
「ていうか、俺もう仕事の続きがあるからもう行くわ」
「待てイバラキッ!まだ話は終わってな――」
「じゃあな、
イバラキは翼を無視して二人に近づいて別れの挨拶をし、食堂を去って行った。
「………ねぇ、あなたたち」
「えっ!?はっ、はい!!」
突然のことだった。風鳴翼自ら話しかけられた。
それに戸惑いながらも答える二人。
「あなたたちの本当の名前、一応聞いておきたくて……」
「なんで…って、あ……」
そのとき、未来は理解した。
普段から名前を間違えているイバラキが自分たちに挨拶をしたのだから絶対名前を間違えているだろう、と。
だから聞いてきたのだろうと。
「
「響って言います」
「……?ちょっと待って。あなた、響って言ったわね?……その名前で会ってるの……?」
「えっ?はい……」
「…………」
そして、その次に翼は後ろを向いた後に下を向いてなにやらブツブツ言い始めた。
「なんで……なんで名前を間違えられてないのッ!?私はもう三年も名前を間違え続けられているのにさっきのヤツの対応からしてつい最近会った人の名前を奴が覚えるなんて……ありえない。一体彼女と私ではなにが違うの?彼女本人に聞いてみる?いや、もうヤツから直接聞いた方が―――」
「あのー翼さん?」
「はっ!あっ、ごめんなさい」
「いえいえ!!とんでもありませんッ!」
「そういえば……あなた、口元にご飯粒ついてるわよ。それじゃあね」
「ええっ!?」
翼に指摘され慌ててご飯粒を取る響。
そして前を見るが既に翼は席についてご飯を食べていた。
~夜~
「後藤さん、奏、聞いて」
「なんですか?」
「なんだよ翼」
「あの男が……イバラキが、名前を間違えない子が現れたの……」
「「ハァッ!!?」」(*´Д`)