ぎんたまぐらし!   作:ユフたんマン

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かつら

それは唐突に始まった…最初は一人だった…それは人を襲い、噛みつかれたものは同じくそれに成り下がる。B級映画のようにそれはパンデミックを巻き起こした。

ここ巡ヶ丘学院高等学校でも今、それは大量に仲間を増やし、生存者を探し彷徨っていた。

 

「オラァ!!」

 

そんな校舎の中に一人の少女の声が反響し、歩いていたそれは少女の持っていた剣先スコップにより頭部が吹き飛び、動きを止める。

 

「あとはそこの用務員室だけだな…」

 

少女はシャベルを構えながら、まだ入ったことのない教室へと向かう。パンデミックが起きてから数日後、ここ巡ヶ丘学院高等学校で生き延びた生存者の少女達は、学校の設備を使うために三階を制圧し、少女はそれを排除せんとしていた。

そしてあと一つの部屋で制圧完了という所で少女はある男と出会った。

 

 

少女がドアを開け、中に入ると同時に首筋に包丁を添えられる。その包丁には箒が縄で縛られ、槍のようになっている。

少女は目だけを動かしその下手人の姿を見る。 

 

「止まれ…手を後ろに組んで噛まれたかどうか正直に話せ」

 

少女はその男に見覚えがあった。長い黒髪、整った顔立ちをした男。そして校舎の飼育小屋でペンギンのような奇妙なエリザベスというペットを飼っている用務員。

 

「ヅ、ヅラ先生!!?」

 

「ヅラじゃない、桂だ……なんだ…ここの生徒…か…名前はたしか…」

 

「恵飛須沢 胡桃…ってどうしたんだ!?その怪我!!」

 

桂の姿を一瞥すると、素人目に見ても重傷とわかるほどの赤で服を汚し、酷く腐臭がする。

 

「しっかりしてくれヅラ先生!!」

 

「ヅラじゃない、桂だ。…どうやら奴らにはまだ噛まれていないようだな…」

 

桂は安心したように槍を地面に置き、警戒を解き、胡桃に警告する。

 

「言っておくが二階より下に行くのは無駄だぞ。地獄しか待っておらん…俺もなんとか切り抜けてきたがこの様さ」

 

ここで胡桃の頭の中に映像が映し出される。

 

「なんだコレェ!!?」

 

 

 

▽▽▽

 

「ハーゲンダッ◯…を9個…蕎麦のカップ麺を10個…これぐらいか…」

 

桂はビニール袋に入ったものを確認し、購買から出る。三階にある用務員室に戻る最中にあることを思い出す。

 

「はっ!?しまった!!今日は燃えるゴミの日だ!!」

 

桂は用務員室まで走って戻り、急いでゴミ袋を持ち階段を降る。その時だった!桂は足を縺れさせ転げ落ちてしまったのだ!

 

「ぐあぁあぁあぁあ!!!?」

 

 

▽▽▽

 

 

 

 

「ヅラ先生、回想がおかしいんだけど…どう見ても転んで怪我したようにしか見えねぇんだけど!」

 

「やはりサンダルでゴミ捨てにいったのが間違いだった…くっ」

 

くっ、と悔しそうな顔をする桂に、胡桃は額に青筋を立てる。

 

「くっ、じゃねーよ!!アンタゴミ捨てでそんな深傷負ったの!?アイツらにやられたんじゃねーのかよ!?」

 

「生ゴミがかなり腐臭を放っていたのでな…くっ」

 

「この臭いアンタのゴミの臭いかよ!?一体何を学校で食べてんだ!!」

 

胡桃は苛つき怒鳴ってしまうが、桂はそれをのらりくらりと躱し、一人で話を続ける。

 

「俺がアイツらについてわかっている事は、奴らに噛まれた者は自我を失いやつらと化し人を襲う。そして襲われた者もまた人を襲う。

まるで西洋の死霊、ゾンビ…焦げたような肌色をしたゾンビ…焦げゾンビ…『コゲゾン』でどうだ?」

 

「黙っててくれ、ヅラ先生」

 

「ヅラじゃない、コゲゾンだ。」

 

みんなの憧れの先生とはなんだったのだろうか。クールで聡明なイメージが音を立てて崩れていく。

 

「はぁ…屋上に生存者が3人いる…桂先生、そこに避難しねーか?」

 

「桂じゃない…コゲゾンだァァ!!」

 

「いや、合ってるじゃねーか!!」

 

 

その時だった!

 

「うがァァァァァァア!!!」

 

やつらが一体この部屋に入ってきた。二人の話し声に釣られて二階からゆっくりと上がって来たのだろう。

 

「マズい!!コゲゾンに気づかれ…」

 

胡桃は振り返ると桂はゴホンッと咳払いする。

 

「何嬉しそうな顔してんだァァァァァ!!腹立つんだよォォアンタはよォォ!!つい言っちゃったじゃねーか!!」

 

胡桃は顔を真っ赤にさせ大声で叫び、桂は笑い叫ぶ。

 

「フハハハハハハ、恵飛須沢!!俺は忘れんぞ!お前は言った!コゲゾンって!!コゲゾン決定ぃ!!」

 

「冗談じゃねぇ!!アンタの思う通りことは運ばせねえ!!」

 

二人でギャアギャアと叫んでいると、存在を忘れられたコゲゾンが胡桃の背後に回り込み襲い掛かる。

 

「し、しまった!!?」

 

しかしその瞬間、コゲゾンの横腹を誰かが何かで殴打し、壁へと吹き飛ばす。胡桃は冷や汗をかきながらも、コゲゾンを吹き飛ばした人物を見る。

白い布のような物を羽織り、ペンギンのような見た目をしている珍獣。

 

「エリザベス!!お前見ないと思ったらこんな所に、無事だったのか?」

 

エリザベスだった。

 

(何この生物…ってかあの下から見える臑毛の生えた足は一体…)

 

エリザベスが持っている赤い肉片が付いたプラカードには文字が書かれていた。

 

『 助けに来たよ

   桂さん   』

 

(どこからプラカードを…)

 

 

 

 

 

エリザベスを加えた二人と一匹?は屋上へと向かった。

 

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