この世界って醜くありませんこと?   作:青川トーン

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第一話「既に醜い」

 俺の生まれたこの世界は、作り物だ。

 文字通り人が作った「創作物」だ。

 

 何の因果か、死んだ俺は生前に見知った物語の世界に生れ落ちた、どうやって知ったかと言うと劇中で起きた事件に関してニュースが流れていたからだ。

 

 まあそこまでなら、ジャンルとして確立される程によくある話だしなんてことはない、俺は俺らしく「演じよう」とぐらいまでは思えた。

 

 だが生まれ落ちた世界がよくなかった。

 

 『祝福のエターナル』

 ジャンルはオーソドックスな「異能バトルモノ」でその、なんと言うか面白い事は面白い作品であり、ファンもそれなりに多いアニメで、ノベライズ、コミカライズとメディアミックスもあり、劇場版「NEXTRA」「NEXTRA2」、続編も「N」「NE」「NEX」「NEXT」が放送され、さらに番外編である「EX」シリーズ3部作までは俺の記憶にはある。

 

 まず最初の「無印」では主人公はよくいる異能持ちの高校生、生まれ持ち特殊な能力を持っていて幼少期にそれが原因で幼馴染であるヒロインを傷つけてしまい、それから人と関わる事を極端に避ける様に逃げてしまった少年だ。

 ヒロインは怪我が理由で一時は生死を彷徨ったが真実を大人達に告げず、主人公の異能を秘密にした優しき少女、退院できるほどに回復した彼女が主人公を追って、彼と同じ高校に転入してくる所から物語は始まる。

 

 

 ここまで見ればまあよくあるアレだな、ってなる筈だ。

 そうそして元々が一クールアニメだったそれが好評につき二期制作決定!となれば……ちょっとやっぱり後付けの設定が生えてきたりする。

 

 「祝エタ」も当然ながら後付け設定が盛られるわ盛られるわで、二期とノベライズで大量の新設定、当然ながら「矛盾」も発生したが……。

 第二期「祝エタN」は新規ファンを獲得しつつ更に大好評、アプリの開発が始まりつつも第三期の制作も決定。

 

 俺も実際に楽しんだが、第三期でさらなる爆弾が入ってきた。

 過去改変能力である。

 

 高校を無事卒業した主人公達の前に未来から過去改変の力を持つ者たちが現れた、それは物語のキーとなる登場人物で双子の姉妹、それぞれ敵と味方に別れ、よりよい『未来』を得る為に主人公達を戦いに巻き込んでいく。

 

 おまけに前作からの登場キャラが犠牲となる展開がファンの心を動かし、さらに続く劇場版での舞台挨拶で監督からは「未来(ぞくへん)を望んだのはお前達(ファン)だ」という名言が生まれた。

 

 

 続編が作られる限り主人公達は戦わなければいけない。

 何度平和を祈ってもそれが踏みにじられ続けるという無間地獄。

 

 

 それが原因で劇場版である「NEXTRA」では主人公が自らの力を捨てたいと弱音を吐き、苦悩し、戦えなくなるシーンまで追加されるが、劇場版のゲストキャラが自らを犠牲にした最後の願いとヒロインの叫びにより再び立ち上がる。

 

 

 背負わされるのである。

 

 物語としては面白いが、登場人物からすればあまりにあんまりすぎやしないか?

 

 

 その反動か「NEX」はかなり緩く群像劇風味になり、同じ様に異能を持って生まれてきた少年少女の苦悩を受け止めてあげながら解決していくといったスケールの小さいものとなり、やさしい世界とも呼ばれた癒しであった。

 

 

 

 だが、制作陣は弾けた。

 

 

 

 第四期「NEXT」は異能を解析する過程で生まれた技術から作られた兵器により、世界ではテロや紛争が頻発。

 主人公達は公的な立場を持たないがそれでも力を持つ者としてそれに立ち向かう、その途中で出会った一人の少女、同じ様に主人公達と同じ力を持つが、彼女を狙う多くの敵との戦い。

 激しさを増していく中で巻き込まれていく大勢の人々、そして大切なもの。

 

 次々と出る犠牲、総決算とでもいわんばかりのクソ鬱展開とそこからの再起。

 生まれてしまった「可能性」を消す事は出来ない、だが今ある戦いを止めるはできると多くの敵を倒し、ようやく仮初ではあるが平和を取り戻し、世界を守る事は出来た。

 

 そしてこれからも戦いは続く……

 

 

 

 ちょっと過酷がすぎやしないか?救いがなさ過ぎないか?世界が醜すぎないか?脚本と監督と原案は鬼じゃないか?

 エターナルのタイトルが示すとおり永遠に戦い続ける事が主人公の役目ってあんまりじゃないか?

 

 

 とアプリ版ではこの過酷な運命を全て無かった事にしようとする主人公の「弟子」がラスボスとして立ちはだかったり、更に「別作品」の世界にぶちこまれたり、ぶちこんでこられたり、あまりに悲惨。

 

 

 地獄は続く、劇場版第二作目「NEXTRA2」は別の作品で有名な「鬼」脚本を追加!加減しろ!

 劇場版のゲストキャラはなんと主人公達の娘、ついに子供まで出来たかと喜べたのもつかの間、なんとこの作品のボスはヒロインだ。

 

 未来の世界では主人公は心を無くし、完全に戦う為の存在に成り果て、世界の存続の為だけに戦い続ける。

 ヒロインはそうならない様に過去を変える事を望んだが、悲しいかな時間跳躍能力持ちは「自分達が倒してしまった」ならばと、取った手段は「作る」事。

 何もかもを犠牲にし、心を失った「最愛の人の命」さえも奪って作った歴史改変マシンを使っていざ時間跳躍という時に、自分が捨て去った娘が率いるレジスタンスが乗り込んできたというのがあらすじ。

 

 ダメ押しといわんばかりにどう選択しようと、過去改変が始まった以上、主人公達の娘は生まれなかった事になり「消える」。

 それを知っていた彼女は、主人公達に決して真実は打ち明けなかった。

 

 ただ一つの救いはまだ互いを愛し合っていた頃の両親と少しの間だけ共にいられた事だけ。

 全てを一人抱えて、消えていったのだ。

 

 

 俺達はあまりに人の心がなさ過ぎるストーリーに唖然とした。

 なんだこのクソ鬱作品は!と。

 

 いくら未来を変えても、また別の過酷な未来がやってくる。

 決して世界は主人公達を放っておいてはくれない。

 

 オマケに俺がついぞ見る事の出来なった次回作は予告編ではかつての仲間の一人が敵となる事が確定していた。

 

 

 長々と説明したがつまり……「悲劇回避しても次の悲劇がやってくる原作知識がクソの役にも立たない」世界で、なおかつ多少特殊であると「過酷な運命」に巻き込まれる世界でもある。

 

 

 揺り篭でベイビー時代から俺……いや現世では「私」である少女はひたすら考え続けた。

 物語の開始は2034年、私の出生は2023年で物語が始まる頃には11歳。

 絶対に巻き込まれる奴だと思いながら、その時に何かが出来る様に自分が持つ「力」を知ろうとした。

 

 「祝福」……この世界での異能の名だ、めっちゃなんかすごい超能力的な現象を起こすアレやコレで、因果律や時間にまで干渉できるが、詳しい理論はまだよくわかっていない。

 

 私が持つのは「跳躍」ただのジャンプなら問題なくね~?と思っただろう、そこのお前。

 簡単に言えばワープだ、「無」を経由して別に場所に渡る能力だが……ほんの一瞬とはいえ「消える」のである、その先は完全な無、あらゆるものが存在できない場所。

 

 当然、実験した。

 私のベビーベッドに昇って来たゴキちゃんを嫌々ながらも掴んで、跳躍して「無」に「置いてくる」とどうなるか。

 

 結果は……いいものではなかった。

 完全に消えてなくなるのだ、私が「手を離してしまえば」。

 

 ちょっと私の能力醜すぎないか?

 どうみても味方側の能力じゃない。

 

 ただ誰かを連れて即座に逃げるとか移動には使えるか?と色々研究もした、当然親の見てない場所でだ。

 

 そして11歳になった頃、私は物語の舞台となっている高校の側に行ってみた。

 懸念はしてたが、当然巻き込まれた。

 

 あのさ、ご都合主義が過ぎて醜くないかしら?

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『祝福のエターナル』

 第一話:変身

 

 私立ヘイセニア大学付属高校に通う少年「空雅(そらみやび)ユウ」には人には言えない秘密があった。

 普通の人間とは違う、異形の姿へと変わる能力を持っていた。

 初めてその力を知ったのは、事故だった。

 

 昔から内向的な少年であったユウは幼馴染である「阿木都(あぎみや)翔子」の後ろに隠れる様にいつも過ごしていた、だがある時に無理矢理遊びに引っ張りだそうとする翔子に嫌気がさして、「拒絶」して突き飛ばした。

 

 その時、ユウは異能を目覚めさせてしまったのだ。

 翔子に大怪我を負わせ、そして自分の恐ろしい力を知って、ユウは心を完全に閉ざして逃げた。

 やがて翔子に怪我を負わせたのが自分であると知れ、自分は罰を受けると思いながら引き篭もっていた。

 

 だけどいつまで経っても罰は来ない、それどころか翔子の両親から「治療の為の引越し」を謝罪される始末。

 両親の叱責と医者の勧めの元、とにかく学校へ行かされ続ける事になり、ユウは心を閉ざしながらも高校へと進学する。

 

 入学して一ヶ月、そこに現れたのは……紛れも無く自分が傷つけた翔子だった。

 

 動揺の中、再会した翔子にかけられた『放課後に』の言葉に従いやってきた公園。

 

 ついに罰を受けるべき時が来た、翔子が自分に復讐しに来たと思いながら向かったユウが見たのは。

 下半身が蜘蛛となった女と戦い、劣勢になる翔子の姿。

 

 ユウには身に宿った自身の恐ろしい力があった、使う事すら考えもしなかったそれだけが、選択肢だった。

 

 選んだのは「戦う事」であり「向き会う事」、その「祝福」である「変身」を使い、翔子の為に戦う。

 純白の闘士として、拙いながらも純粋で強大な力で、蜘蛛女をついに倒す。

 

「やっぱり、やさしいユウくんで間違いなかった」

 

 傷だらけの翔子は嬉しそうな顔でそう笑い、ユウは……翔子が自分を恨んでなかったと知った。

 

 

 だが蜘蛛女を倒した事を監視していた蝙蝠、その情報からユウ達はある組織に狙われる事となる。

 動き出す物語、ソレを影ながら見つめるのは「紫の目の少女」。

 

 今、「永遠の戦い」が始まる。

 

 

 

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 なんかいきなり知らん怪人出てきたんだけど……!?

 原作知識が一話から役に立ってないんですけど!?

 ちょっと醜さヤバくないか!?

 




・祝福のエターナル
 人気クソ鬱アニメ、制作陣が鬼畜生、救済二次創作が多い

・私立ヘイセニア大学付属高校
学校の名前の時点で醜くないか?

・空雅ユウ
「変身!」と違う自分に変わる事が出来る能力者
超がつくほど暗い性格で戦うのが怖い

・阿木都翔子
主人公の幼馴染、自分を殺しかけた相手を庇う聖女
彼女もある秘密を抱えるが……?

・謎の少女
「醜くないか?」

・謎の蜘蛛女
知らない原作キャラ

・謎のアニメ
知ってるキャラで知らないアニメが始まった
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