第■△話
皆さんご存知、人気シリーズの「祝■のEt○※ナ■」の世界。
オレはどういう訳か死んで、神にそこに転生させられる事になった。
このシリーズのメインの主人公「駆狼タクミ」は家族を異能者によって家族を殺され、自身も死の淵にあったが「運命」に目覚める事で命を繋ぎとめ、同じ異能者である「空雅ユウ」そして「阿木都翔子」によって救われた少年である。
キャラとしては物静かで無愛想、ここまでならよくある異能バトルモノの主人公の設定なんだがこいつが気に入らない。
この世界には異能者だけでなく、到底人間と共存できないバケモノも多く存在する。
タクミは人間とバケモノの共存を掲げる、まあ主人公としては当然の主張なんだろうけど、復讐完了後に出会う少女「マリア」の影響を受け、仲間がバケモノを倒そうとする度にそれを止めようとしたりするようになる。
更に自分は家族の仇を討ったというのに同じように仇討ちを望む能力者を止めようとしたり、挙句にタクミが殺さずに見逃した敵が後にとんでもない事件を起こす。
それは感染する事で人間を人食いの怪物「グール」に変えてしまうウイルスをばら撒き、10万もの人間を怪物に変えてしまうものである。
さすがに目の前で襲われている人間は助けるが、それが原因で他の異能者や別の種族への迫害が加速するという大戦犯。
その癖、仲間は誰もタクミを責めない。
脚本や尺の都合もあるし黒幕である「くれniな。」の暗躍こそが真の原因であるが、それでもオレはこいつが気に喰わない。
だから悲劇を起こさせないし、バケモノどもの好きにもさせない、そして「■れない○な」の思い通りにもさせない。
オレの名前は矢車ソウジ、クソッタレなこの世界を変えるもの。
愛すべき妹と弟が笑って暮らせる世界を作るもの。
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『隨ャ蜈ュ隧ア』
『荵晏?エ蠑セ縺ョ隘イ謦?↓繧医▲縺ヲ蟄ヲ蝨偵?』
ついに私が知る「正史」の資料が文字化けを起こし、読めなくなった件について。
とうとうなにが起こるかわからない物語、はーじまるよー。
いやどうすんだこれ。
私がこれまで参考にしてきた記憶にすらモヤが掛かり始めている、先日の学園襲撃から世界が「変わり」すぎている。
これまで未来からの改変なんかもあったかもしれない、がそれでもこうもはっきり「異常」が起きる事など私にも「俺」にも感じ取れる事などなかった。
なんだ、これは。
どうすればいい?
一人では到底、解決できないと母上に謁見を願うが……間の悪い事に母上が不在だ。
「血の繋がり」というもののおかげで存在は確認できるけれど、物理的に外出中と見る。
これで母上が消えたり、誰かが消えているなんて起きたら俺は徹底的にどうしたらいいのかわからなくなる。
ユウと翔子……そしてタクミが心配だ。
とにかく、彼らが無事なら何とかなると私は信じている。
というか無事になんとかしてくれ、頼むよ。
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「ねえ、ユウくん」
「どうした翔子」
いつも通り、通学路を歩く少年と少女。
彼らは一見普通の学生、しかしその真の姿はこの街を守る正義のヒーロー。
「なんかおかしくない?」
「……」
「昨日、沢山人が死んだんだよね?」
「わかっている、だが今はまだ様子を見るんだ翔子」
「タクミはまだ寝たままだし、ユウくんのご家族は仕事があるから何もいわなかったけど」
「……彼女なら、あの紫の目の子なら何か知ってるかもしれない」
「……期待しすぎるのもよくない」
彼、彼女は違和感の中に居た。
だがそれは、超常の世界に長く入り浸りすぎた幻想かもしれない。
「その通りです、私にも何がなにやらさっぱりわからない」
呼ばれて飛び出てくるのは黒幕、「縺上l縺ェ縺?↑縺ェ」という名の少女。
「……タクミの時もそうだったけど、優雅そうにしているけど格好乱れているよ」
「そうならその時に言ってくださいな……それはさておき、あなた方が異常を認識していて助かりました。あなた方がこの事態に巻き込まれていたなら、私は一体誰に頼ればいいのかと……」
正しい世界で狂っているのは、この三人。
「ねえ、いきなりで悪いんだけど、俺達は君の名前を知らない」
「ああ……そうですね、私は一度も名乗ってませんからね」
「確かに、そっちは「私達」の名前を知っていたのに私達が知らないのはフェアじゃない」
名前を知ってはいけない。
「私の名前は「紅―――」」
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空間が歪み、オーロラの向こうからスーツを着た「青い薔薇の頭」の男が現れた。
「君は本当に、迷惑な奴だよ「イレギュラー」」
「私からすれば貴方の方がイレギュラーでございますわよ」
景色がモノクロに塗りつぶされる中、正しく「動けている」のはこの場に居る四人。
「……なんだお前は」
「少なくとも私の勘ではロクな奴ではないと思うよ」
その中にはユウと翔子も含まれていた事に奈々は心の底から感謝していた。
彼女は――戦えないから。
「無から可能性を生み出す、ありえない未来を作る……それは確かに美しい言葉かもしれないでしょう……ですが、その実あまりにも歪で……見苦しい」
「え???」
本気でわからない、と奈々は首をかしげる。
その様子にはあ、と呆れた様な様子の男。
「つまりは、あなたの存在そのものが……必要ないんですよ」
男の「予備動作」を瞬間的に見抜いた翔子が変身し、奈々と男の間に割って入り、ユウもまた感情のままに「白」の姿へと変わり駆け出す。
男の姿は消え、青の宝石に彩られた黄金の騎士がその場に立っていた。
それと同時に翔子の体にいくつもの短剣がぶつかり、火花を散らす。
「何故、それを庇う?」
「少なくともお前よりは信用があるからだ!!」
翔子を攻撃された怒りか、それとも義憤か、激情がユウの力を目覚めさせる。
白から赤へ、力が変わる。
振りかぶった拳が金の鎧の胸を打ち、火花が散る。
だが青薔薇の男はまるで効いていないかの様に平然と立っていた。
「なるほど……ならその綺麗事を抱いたまま、薔薇と散れ」
ユウを軽々と投げ飛ばすと、男の姿が掻き消えた。
透明化したわけではないと翔子はすぐさま感じ取った、それは「加速」だ。
目にも見えない速度で動いている。
対処不能な事態、それでも。
それでも、世界は「変わっていく」。
金属がひしゃげる音が、モノクロの世界に響いた。
「ぐっ!」
それはどちらの呻きか。
翔子と奈々の視線の先には地面に落ちるユウと青薔薇の男、そして「三人目」の存在。
「ありえない」
奈々は信じられないと、呟いた。
それは「正史」の存在。
燃え盛る炎の様な騎士。
絶対にもう、ここに現れる事のない人物だった。
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EXシリーズ、祝福のエターナルの番外編。
ユウ達とはまた違う異能者達の物語。
その中で、最後の勝者の願いを叶える魔術師達の殺し合いがあった。
無印の5年前の話だ。
主人公は戦いに巻き込まれただけの人間だった。
彼に願いなんて無かった、なにせ巻き込まれただけなのだから。
でも彼はどうしようもなくお人よしだった。
だから巻き込まれた人々を助ける為に戦って戦って、その果てに死んでしまった。
俺は、私は、どうしても彼を嫌いになれなかった。
どうしようもなくバカで、どうしようもなく自分の正義を進んだ彼を。
「ここがあの世かって思ったけど、そうじゃないらしいな」
騎竜シンジ、魔術師にも満たないただの新聞記者。
契約するのは戦いの儀式の参加者に配られた使い魔の一体「赤竜」。
どちらも5年前に死んだ筈の……私が見殺しにした存在だった。
なのに、どうして今、貴方は現れた?
・青薔薇の男
謎の存在、また突然生えてきた。
奈々の存在を知っている様だが?
・ユウ
本来とは違うシチュエーションでようやく初期フォームに
・黒幕イレギュラーちゃん
なんかえらいことになっていて泣きたい
・騎竜シンジ
番外編の主人公、死んだ筈の人間