ガンダムSEED Destiny 白き流星の双子   作:紅乃 晴@小説アカ

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第25話 ブレイク・ザ・ワールド2

 

 

「各機、散開!!」

 

ブラックスワン隊の隊長であるカルロスの言葉に従い、メビウスライダー隊を含めた機体の全てが迎撃のために展開してゆく。

 

《ソリッドアイより全部隊へ!敵勢力はザフト軍の旧世代機だ!機体照合の結果、ジン系の機体が大半を占めている!シエラアンタレス隊、敵勢力はザフト軍ではないのだな!?》

 

「IFFに応答なし!間違いない…こいつらはテロリストだ!」

 

紫と黒の配色が施された高機動型のジンを目にしながら、ディアッカが怒声に似た声で叫んだ。

 

斬艦刃を抜刀した一機が、メテオブレイカーを配置するシエラアンタレス隊に迫ろうとする中、割って入ったラリーのメビウスが迫ろうとするジンをビームランチャーで蹴散らしてゆく。

 

「各機、単独で対応するな!敵はゲリラ戦や奇襲戦を専門にしている!最低でも一小隊で対応するんだ!シエラアンタレス隊に手を出させるなよ!」

 

『地球軍…ナチュラルなどと手を取るコーディネーターの裏切り者どもなどに、我らの思い…やらせるものか!!』

 

まるで呪詛だな!敵パイロットの声を聞きながら、ラリーは操縦桿を絞り、フットペダルを踏み込む。この作戦に参加しているパイロットたちは、メテオブレイカーを操作する工作隊を除いた全員がヤキンドゥーエ戦役を経験した歴戦の猛者たちだ。

 

だというのに、世代遅れのジンに手玉にとられている。放った高出力エネルギー砲を軽やかに躱すジンに、ディアッカは舌を打った。

 

「くッ…どういうやつらだよ一体!ジンでこうまで…」

 

「そんなことは後だ!工作隊は破砕作業を進めろ!これでは奴等の思う壺だ!!」

 

イザークの指示通り、シエラアンタレス隊の工作隊はニコルの指示を受けてバンカーポイントへの設置作業を続けてゆく。それを阻止しようと突撃をするジンの前に、ブラックスワン隊が立ちはだかった。

 

『ナチュラルどもが!!』

 

「この機体の動き…手練れだな!!」

 

「援護するぞ!スウェン!」

 

黒色の戦闘機を駆るスウェンを援護するようにカルロスのダガーがビームライフルを放つが、敵の動きは良い。こちらの放った攻撃にも冷静に対処している。攻める速度も、後退する見切りの良さも腕が立つ証だ。

 

「イザーク!!」

 

「ああ、おそらくザラ派の一派だ…だが、まさかユニウスセブンを落とそうとするとは!!」

 

ブラックスワン隊と共に迎撃するイザークも、相手がプラントの中割れから現れた存在と知って怒りを露わにしていた。最悪のケースだ。コーディネーター至上主義と呼ばれるようになった彼らの行いは、もはや人類にとっての悪意に他ならない。

 

航続距離が長く、戦闘機型の高速域の戦いを展開するスウェンの機体だが、小回りがきく敵のMSとは相性が悪い。スウェンは自機の隣に集まった僚機へ指示を放った。

 

「シャムス、ミューディー!機体を〝パージ〟するぞ」

 

「あいよ!!」

 

「わかってるわ!!」

 

スウェンの指示から素早く三人はコクピットのレバーを引く。すると戦闘機型の機体に施された炸裂ボルトが弾け、機体を形作っていた装甲が瞬時にバラバラに散らばる。

 

その中からは、三機のMSとそれぞれのデュアルアイが爛々と光を迸らせた。

 

『なっ…戦闘機からモビルスーツだと!?』

 

敵を戦闘機型のモビルアーマーだと錯覚していたジンは、現れたスウェンたちの機体を見て目を見開く。

 

「BWS(バック・ウェポン・システム)は良好だな!敵の度肝を抜くによぉ!!」

 

「シャムス!調子にのらない!!」

 

ミューディーの言葉に「わかってるさ」と答えるシャムスは、従来の機体よりも大幅な改造が施されている「ヴェルデ・バスター」の砲火を敵へと向けた。

 

炸裂ボルトによる外装のパージは、前大戦でラリーの乗った「ホワイトグリント」と同じ原理を再現したものだ。

 

ミューディーのデュエルの強化型である「ブルデュエル」。

 

スウェンのストライクの強化型である「ストライクノワール」。

 

そしてシャムスの「ヴェルデバスター」。

 

この三機はヤキンドゥーエ戦役後、クライン派から正式にハルバートン提督指揮下の地球軍へ返納されたものであり、ブラックスワン隊でモビルスーツ適性があったスウェンたちへ再配備されることになったのだ。

 

しかし前対戦時の機体が旧世代機となる中で、破格の性能を誇ったG兵器群が型落ちになるのは必然であったため、モルゲンレーテ社とアズラエル財団にて強化改修が行われた。

 

オーブからはエリカ・シモンズや、ハリー・グリンフィールド、そしてアズラエル財団の技師らも参加した改修にて、三機は圧倒的な性能を引き出されることになったのだ。

 

「各機、MSに切り替えろ!蹴散らしてゆくぞ!」

 

カルロスの機体も炸裂ボルトによって外装が剥がれ、中からはブリッツの強化型である「ネロブリッツ」が姿を表していた。

 

機体の強みであったミラージュコロイドを排除し、機動性と低出力でも戦闘が継続できる稼働時間の向上、そして臨機応変に武装が変更できるマルチハードポイントが増設される改修を受けた機体は、スウェンたちの機体を引き連れてテロリストたちと交戦を繰り広げてゆく。

 

「トール!ジンがそっちに!!」

 

「まかせろ!」

 

ブラックスワン隊が交戦するエリアから離れた場所では、回り込んでメテオブレイカーを破壊しようとするジンの編隊とメビウスライダー隊が火花を散らしあっていった。

 

『その機体のカラーは…貴様、流星か!?』

 

テロリストの主犯格であるサトーは、ヤキンドゥーエ戦役で「凶星〝ネメシス〟」と呼ばれた真っ白なメビウスを見つけた。ザフト軍最大の敵と言われた機体と巡り合うとは!!

 

『散っていった同胞たちの無念、晴らさせて貰う!!』

 

「そうやって過去にしか目を向けることしかできないのか!!お前たちは!!」

 

ビームマシンガンを構えて突撃してくるサトーと交差する。

 

彼は、ユニウスセブンで家族を失った憎しみを原動力にしている男だ。だから今の協和姿勢に納得することができないでいる。納得できないから、彼は武器を取ってその思いを世界に示そうとしたのだ。

 

それが如何に愚かな行為であるかということを自覚しながら…。

 

「ラリーさん!!」

 

「隊長!援護します!!」

 

サトーのジンと高機動戦を展開するラリーの元へ、ストライカーに乗ったキラとシンも合流する。

 

『ええい、貴様らの好きにはさせん!!』

 

「そっちには行かせないよ!」

 

「あんた達の相手は俺たちだ!!」

 

別働隊には、リークとトール。そして正面から来る敵はブラックスワン隊と、イザークたちが相手をしていた。

 

『邪魔をするな!!我らの世界のために!!我らの望むままに!!コーディネーターこそが世界を統べる民なのだ!!ナチュラルなどという存在に惑わされるから!!』

 

「過去に縛られた亡霊が言う台詞か!!」

 

互いに放つ閃光を避けあいながら、サトーとラリーは光を積み重ねてゆく。今は何より工作隊やニコルたちが無事にメテオブレイカーを作動させることだ。ユニウスセブンが落下する限界点まで、残された時間は少ない。

 

緊迫するユニウスセブン。その中でラリーたちのもとに信じがたい情報が飛び込んできた。

 

《ソリッドアイより各機へ通達!ユニウスセブン、更に降下角プラス1.5、加速4%!》

 

速度があがった?この巨大な建造物が?通信を受けたイザークは驚愕の声を上げた。

 

「加速しているのか!?」

 

《おそらく何かしろの仕掛けをしている!メビウスライダー隊は不審物を探索し、発見し次第破壊してくれ!》

 

そう言うと、ケストレルⅡからのデータが受信され、メビウスのコクピットモジュールに新たな機能が展開される。

 

《HUDに戦術データリンクから熱源データを可視化した!メビウスライダー隊は、ユニウスセブンの表面上を飛行して、反応があるエリアを探索してくれ。こちらでは磁気嵐で特定ができない!》

 

ユニウスセブンのどこかに、この巨体を加速させている装置があるはずだ。自分たちの目で見つけて、破壊するしかない。

 

「各機、オーダーは聞こえたな!」

 

カルロスの声に、ブラックスワン隊の面々が答えると陣形を立て直して分断しようとしてくるサトーたちの機体と位置を目まぐるしく変化させてゆく。

 

「露払いは任せろ!」

 

「ラリーさんたちは加速機の捜索を!」

 

すまない、と言葉を発してラリーたちはユニウスセブンの外縁部へ向けてフットレバーを踏み込む。ユニウスセブンが加速している以上、一分一秒でも時間は惜しい。

 

「ニコル!メテオブレイカーは!?」

 

「設置は完了しました!いけます!!」

 

「よし、ならそのまま…」

 

『それでは困るんだよ』

 

その瞬間、設置された一基のメテオブレイカーが閃光によって貫かれた。

 

「メテオブレイカーが!?」

 

「あれは…メビウス!?」

 

加速装置を探しに飛び立ったラリーたちと入れ替わるように現れたのは、邪悪な笑みに歪むネオ・ロアノークのメビウスだった。

 

 

 

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